『ゆっくりちぇんとゆっくりらんしゃま』
ある日、俺は気分転換に原っぱに散歩に出ていた。すると、どこからか声が聞こえてくる。
辺りを見回したが俺以外に人はいない。不思議に思い、声のする方に行ってみるとそこには
猫耳が生えた生首と狐のシッポがたくさん生えている生首ような生物がじゃれ合っているのを目にした。
普通の人なら奇怪に思うところだが、俺はかねがね里の奴らから噂だけ聞いていたゆっくりちぇんとゆっくりらんしゃまという生物ということが分かっていたので、奇妙に思うことは全くなかった。
最近この里のはずれに増えているらしいゆっくり。誰がつけたかは知らんが、その生物の言う「ゆっくりしていってね!」という言葉がそのまま名前になったらしい。
一部のゆっくりは田畑を荒らしたり、村の家に押しかけて自分の家だと出張したりするらしいが、基本的には無害で可愛らしい生き物だということだ。
「ちぇえええん!ちぇええええん!」
「わかるよー!らんしゃまのほうくるよー!」
ゆっくりらんしゃまはゆっくりちぇんの名を叫ぶ。するとゆっくりちぇんは無垢な子供のようにもぞもぞとゆっくりらんしゃまの方に近づく
普段あまり見かけないゆっくりちぇんとゆっくりらんしゃまの戯れを見て、俺はほのかなときめきを感じた。
里の人の話では何故だかゆっくりらんしゃまとゆっくりちぇんは普段一緒にじゃれあっていることが多く、
ゆっくりらんしゃまがゆっくりちぇんの親代わりになっていることが多いらしい。
俺はしばらくこの2体を遠目から観察することに決めた。
「ちぇえええええん!ちぇええええん!」
「わかるー!わかる…きゅん!!」
ゆっくりらんしゃまの方へ行こうとしたゆっくりちぇんが突然転んだのだ
この丸い体でどう転んだのか疑問だがこの際、気にしないことにする
「う……ううっ……」
「ちぇえええん!!ちぇええええええん!!」
つまづいたゆっくりちぇんは今にもあふれそうな涙を必死に堪えている
ゆっくりらんしゃまは急いで転んだゆっくりちぇんの元に駆け寄った。
「ちぇええええええん!!だいじょうぶ?いたくない、いたくない?」
「う……ううっ……うぇ……んぐぅ……」
今にも涙の洪水があふれそうなゆっくりちぇんを見て
ゆっくりらんしゃまは右往左往する。
「う……わ……わかるよー!ちぇんつよいこだからへっちゃらだよー!」
「ちぇええええん!だいじょうぶ?けがない?」
ゆっくりちぇんは何とか涙を堪えることに成功したようだ。
しかし、ゆっくりらんしゃまは相変わらずオロオロしている。
「じぶんのことくらいわかってるよー!へいきだよー!」
「ほんと?」
「ほんとだよー!」
「ほんとにほんと?」
「ほんとにほんとだよー!」
「よかったぁ……」
ゆっくりちぇんの満面の笑みを見たゆっくりらんしゃまはほっと一息つく。
「じゃあそろそろかえって、ごはんにしようか」
「ごはん!?わかるよー!ちぇんのだいこうぶつたべられるのわかるよー!」
そして2体のゆっくりは仲良くぴょんぴょんと跳ねながら原っぱの向こうへと消えていった。
2体が去っていったのを見届けた俺は村の道へと軽やかな足取りで戻っていった。
なんだかいつもより速やかで晴れ晴れとした気分だった。
- 鼻の奥が無性に鉄臭いですorz -- ゆっくり好きな新参者 (2009-04-20 23:43:59)
- 不覚にも萌えてしまったぜ・・・ -- ゆっくり愛好家 (2010-01-13 13:50:56)
- 私もこういう光景を見たら気分が晴れ晴れするな~ -- 名無しさん (2010-01-16 20:14:36)
- ちぇえええええええええん -- 名無しさん (2011-04-26 20:35:26)
- 癒やされたぁ -- ゆっくりかわいいよゆっくり (2011-08-16 18:35:44)
- 最近心が荒んでいたのでこのSSを読んで涙が出そうになりました(T_T) -- やくも大好き (2012-06-18 00:52:56)
- 山に登った。そして、返事を期待しつつ「ゆっくりしていってねぇぇぇ!!」・・・他者の視線がいたい -- 夢を信じる者 (2012-07-31 17:49:14)
- バカじゃねーのこいつwww・・・あ、俺だ、これ書いたの。 -- 名無しさん (2012-08-10 22:16:39)
- こうゆうのはイイ! -- 名無しさん (2012-12-16 07:20:31)
- かわいいぜ・・・
-- 名無しさん (2013-04-04 16:10:17)
最終更新:2023年10月31日 16:49