※編注:容量制限により分割
あの時の出来事を、後に魔理沙は語る。
―――ええ、あれには驚いたわ。
魔界で二回に渡って戦ったあの子がゆっくらいだーとか言うのに変身したと思ったら
ゆっくり、っていう見た事の無い生き物を大量に呼び出したの。
私達はその生き物に囲まれてこれはやばいんじゃないかって思ったわ。
あいつの助けが無かったら…。
あ、アイツってのは別世界からやってきたっていう人間の女よ。
二匹のゆっくりをお供に連れてて、アイツもゆっくらいだーに変身できるの。
そいつの能力のお陰で何とか逃げることが出来たわ。
で、逃げた先であの女に会ったわけ…。
ものすごいのはこの直後よ。
まず先に動いたのは霊夢、あいつ、女と目が合った途端に。
「敵かぁあああああああ!」
って言っていきなり弾幕をその女性に向けて放ったのよ。
確かに、さっきまでの状況を考えれば仕方ないかもしれないけど、
あれはいきなり過ぎると思ったわ。
…でももっと凄いのはあの女ね。
霊夢がこっちに向かって弾幕を放ったって言うのに。
アイツ、れいむの方にすら一度もむかずに、
「きゃああああ!やっと本物のゆっくりに会えたぁあああ!」
そんな黄色い悲鳴を上げて一緒にいたゆっくり…あ、さっきのゆっくらいだーに変身する人のお供の事よ…。
とにかく、ゆっくりに向かって抱きつこうと飛び掛ってきたのよ。
…弾幕に襲われたって言うのに、そいつを無視してゆっくりに飛び掛ったのよ?
しかも、霊夢の放った弾幕を神業的テクニックでかわしながら。
あれを見て私は確信したわ、この女は心底イカレてるって。
…え?その女は結果的にどうなったのかって?
「何してるんじゃあ、でんこぉおおおおお!」
さっき言っていた私達を助けてくれた女性に顎にとび蹴りを食らって気絶したわ。
ゆっくらいだーディケイネ!
第20話「ゆっくり馬鹿一代!」
――夢幻館
それは現実と夢の狭間にある、館の通称である。
最強の妖怪が住むといわれるこの館に足を踏み入れて、帰って来れた者は居ないと言う。
「…あ~お茶がおいしい。」
そんな物騒な噂がある館の応接室で、呑気にお茶を飲んでいる紅里であった。
勿論、その隣にはれいむとまりさが座っている。
その右隣に置かれたソファには霊夢と魔理沙、そして魅魔の姿があった。
「…どうかな?お茶を入れるなんてことあまりしないから自身がないんだけど…。」
そう言って話しかけてくるのは、この館に住むくるみと言う吸血鬼の少女だった。
「ん?紅茶の事は解らないけど普通においしいよ。」
そんなくるみの不安に紅里は笑顔で答えてあげた。
「うん、おねーさんが入れてくれるインスタントのお茶よりおいしい!」
「やっぱり紅茶は本格派に限るぜ!」
隣のれいむとまりさも紅茶を絶賛している。
すると、くるみは何故か複雑な表情をしている。
「…その紅茶、ティーパック何だけど…。」
「…。」
くるみの告白で、二人のゆっくりは思わず黙り込んでしまう。
「ま、まぁ腹に入れば皆同じだぜ!」
「そうだよそうだよ!」
「…今更だけど、腹は何処にあるのよあんたら。」
空笑いする二人のゆっくりに、紅里はつっこみを入れた。
「…あんた達、何でそんなにのんきにしていられるのよ!」
そんな紅里達のゆっくりしたやり取りを見て、霊夢が思わず立ち上がってしまった。
「ちょ、霊夢少しは落ち着いて…。」
慌てて魔理沙は霊夢をなだめようとする。
「落ち着けるか!神社がアリスの奴にのっとられたのよ!私はこれから何処で寝泊りすればいいのよ!」
「…ここに泊まったら?」
「イヤよ、こんな高級そうなベッドで眠ったら、ジンマシンが出来てしまうわ。」
「…ジンマシンって…霊夢、あなたどれだけ貧乏体質なのよ…。」
霊夢の事で思わず嘆いてしまった魔理沙であった。
「まぁ、早く神社を取り戻したいのは解るけど…事はそう簡単にはいかないよ。」
紅里はそう言って現状を解析し始めた。
「現在、博麗神社はゆっくらいだーの力を手に入れたアリスに乗っ取られてる。
アイツが手に入れたゆっくらいだーの力はゆっくりを無数に呼び出せるというもの。
しかも、ゆっくりは一匹一匹が強い妖怪と同じくらいの強さを持っている。
あいつだって、こっちが博麗神社を取り戻すために攻め込む事は解っているから
それなりの戦力を用意すると思うわ。
どっちにしても、簡単に奪還できるとは思わないほうがいいわね。」
…その説明を聞いて、霊夢は激しく落ち込んでしまった。
「何だい霊夢、珍しく弱気じゃ無いかい。」
「弱気になるのも解るわよ、だってゆっくりに立ち向かった幽香があんなになっちゃったもん。」
魔理沙はそう言って窓から庭を覗き込んだ。
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「いやぁ~今日も大豊作だべ!」
…そこには、完全にキャラが変わっていた幽香がいた。
麦藁帽子を被り、なんとものんびりした口調で畑を耕し、作物を収穫している。
「幽香様!どうしちゃったんですか!?いつものドSな幽香様に戻ってくださ~い!」
畑の傍では、鎌を持った少女が泣きながら幽香にそう懇願していた。
「…かわいそうに、ゆっくりに襲われたショックで
すっかりキャラが変わってしまったわ。」
魔理沙はハンカチで涙を拭いながらそう言った。
この辺りで最強の妖怪であるはずの幽香ですらこうなってしまう。
呑気に畑仕事をする幽香を見て霊夢達はその恐ろしさを再確認した。
「…おねーさん、まりさはこの戦いを降りたいぜ。
部屋に戻ってゆっくりしたいぜ。」
「無理に決まってるでしょ、私達の部屋の出入り口は博麗神社の賽銭箱とつながってるのよ。
博麗神社をアリスの手から奪い返せなきゃ、私達も部屋に戻れない。」
「うう、何でこんな事になってしまったの?」
「そりゃ全て、コイツが悪い。」
紅里の視線が、向こう側に座る女性の方へと変わった。
「…ホントニゴメンナサイ。」
向かい側に座っていた伝子はうな垂れながらそう呟いた。
「今更謝らないの!仮にも異変を解決するの役割のゆっくらいだーが
異変の元になってどうするのよ!」
「そうだぜ!お陰でまりさ達は良い迷惑なんだぜ!」
「反省して欲しいね!」
そんな伝子に紅里達は強く当たっていく。
「カエスコトバモゴザイマセン。」
伝子の姿が更に小さくなったように思えた。
「まぁまぁ、ちょっとは落ち着きな、別にコイツが悪いことをしたわけじゃ無いんだろ?」
伝子を責める紅里御一行をそう言って宥める魅魔。
「…良いわよ、私の所為で偉い事になっているのは事実何だし。」
伝子は魅魔に向かって、そう呟いた。
その台詞にはいつもの元気が無い、流石にアリスにキーホルダーを奪われた事が
相当答えているらしい。
「さて、いつまでもこいつを苛めても仕方が無いし、始めましょうか。」
と、紅里がスッと立ち上がる。
「始める?一体何をよ。」
霊夢が紅里にそう問いかけてくる。
それを聞いて紅里は何を今更と言う顔になった。
「決まってるでしょ?
アリスからキーホルダーと博麗神社を取り返す会議をよ!」
~☆~
一方 こちらは博麗神社…の一室。
古臭い割にはそれなりに広い部屋の中心でアリスは横になって寝っ転がっていた。
そして、手に持ったキーホルダーを眺めながらアリスは薄笑いを浮かべている。
「ウフフ…勝った、あのお姉ちゃんたちに私は勝ったんだ…。」
不気味な薄笑いを浮かべながらアリスは思わず横にゴロゴロと転がっていく。
まぁ、それほど嬉しい理由も居解る。
思えば魔界に侵入してきた霊夢達を撃退しようとして返り討ちにあったのがそもそもの始まりだった。
その後、最強の魔道書を持ち出してリベンジを挑むも、やっぱり返り討ち。
地上に出てあいつらに勝つための修行を始めるも、未だに成果が出ずにイライラが積もるばかりだった。
そんなときに出会ったのがあの伝子って言う変なお姉ちゃんだ。
世界を旅するゆっくらいだーと自称する彼女は不思議な生き物を召喚する力を持っていた。
アリスは直感した、これがあればあのお姉ちゃんたちに勝てるかも!
後はもうシンプルな展開、伝子に薬をもって眠らせてその隙にその力の源であるキーホルダーを持ち出した。
…盗んだ訳ではない、目的を果たすまでちょっと借りるだけだ。
そして、キーホルダーの力で霊夢達を博麗神社から追い出し、神社を乗っ取ることに成功した。
しかし、目的はまだこれからだ。
「おねーちゃん達はきっと神社を取り戻しにやってくるだろうな…今度こそコテンパンにやっつけてやる!」
そう、神社を取り戻しに来た霊夢達を徹底的にコテンパンにする。
それこそがアリスの最終目標だった。
奴らを本当に容赦なくコテンパンにしてやらないと、魔界であいつらにボコボコにされた仲間達が浮かばれないというものだ。
「ユキ、マイ、神綺様!この弔い合戦、勝って見せるわ!」
…別に死んだわけじゃ無いのだが、アリスは一人ガッツポーズをとっていた。
「…え?」
ふと視線を感じ、アリスは部屋の出入り口の方を見る。
しかし、出入り口からは庭の様子が一望できるだけで、別段変わった様子は無い。
「おかしいなぁ、だれかこっちをみていたような気がしたんだけど…。」
アリスはそう呟いて首をかしげた。
…確かに、アリスの事を見つめている存在はいた。
ただし、見つめている場所は、博麗神社から一kmほど離れた所にある山の斜面からだったが。
そこにいたのは、あの正体不明のゆっくり。
彼は双眼鏡越しに博麗神社を眺めていた。
「…ゆっくらいだーの居ない世界でゆっくらいだーが誕生した…ディケイネ…お前は何処まで世界を破壊すれば気が済むんだ…?」
そう言ってそのゆっくりは激しく歯軋りをした。
~☆~
次の日、夢幻館と現世をつなぐ湖の前。
「よし、じゃあ出発するわよ!」
「おぉ!」
紅里の号令に、全員が気合の入った返事をしていた。
「ねぇねぇ、おねーさんが立てた作戦、うまくいくかな?」
隣でれいむが不安げな表情で紅里にそう問いかける。
「まぁ、うまくいくかどうか解らないけど、何とかなるわよ。」
「えぇ~…。」
紅里の返事にれいむは本当に大丈夫か不安になってしまった。
「幽香、アンタもう大丈夫かい?…その…色々と。」
そんな中、魅魔が不安げに幽香に問いかける。
昨日が昨日だったから、やはり不安なようだ。
「ご心配なく祟り神さん、いつまでもあんな状態でいるほど、私はやわじゃ無いわ。」
幽香はそう言っていつも通りの笑みを浮かべる。
どうやら、魅魔が抱えていた不安は余計なものだったようだ。
「一日で立ち直れるなんて…最強の妖怪は単純なのね。」
「あら霊夢ちゃん、今何か言ったかしら?」
「何も。」
睨みつけてくる幽香の視線を実に自然にかわして行く霊夢。
そんなやり取りを繰り広げている霊夢達を他所に、紅里の視線は伝子の方へと向いていた。
「…伝子、本当に任せて大丈夫なの?」
「当然よ、この異変は私のミスで起こったのよ、
責任を取る義務が、私にあるわ。」
紅里の問いかけに、伝子は実にまっすぐな瞳でそう答えた。、
「普通の人間が、ゆっくらいだーに挑んで、勝つ算段がアンタにはあるって訳ね。」
「当然よ!」
「…どんな手よ。」
紅里の問いかけももっともだった。
常人をはるかに超えた力を持つゆっくらいだーに、ただの人間の女の子が挑む。
これだけでも無謀なのに、彼女は自信を持って勝つと言い切っている。
どんな手を使うのかは昨日の会議で教えてくれなかった、
とりあえず、知っておきたいと言う気持ちは当然のものだ、しかし…。
「悪いけど、ライバルに手の内を簡単に見せるほど私はおめでたくないわよ。」
伝子はフフン、と笑ってそう言った。
紅里は呆れた表情でこう呟く。
「…いつからライバルになったのよ…。」
「え?今、何か言った?」
「ああ、気にしないで。」
さっきの呟きを聞かれたら、またいざこざが起きそうだ。
大事な局面を前に無駄に体力を消費するなど、紅里には願い下げだった。
それよりももう一つ、大事な事を確認しておく事がある。
「それともう一つ、聞いておきたい事があるわ。」
「…今度は何?。」
「…あんたが言ったこと、本当に可能なの?
出来なかったらあたしら本当におしまい何だけど。」
「可能よ、元々キーホルダーとペンダントは対になるように作られていたようだしね。」
そうさらりと伝子は答えた。
それを聞いたれいむが驚きの表情になる。
「ええ!キーホルダーとペンダントにそんな秘密があったの!?」
「伝子、あんたその情報を何処で知ったのさ。」
「フフン、それも今は秘密にさせて貰うわ。」
伝子はちょっとこっちを見下すようにそう言った。
「…なんでそんなに偉そうなのよ…。」
またもあきれ返った紅里であった。
「ちょっとそこ!いつまで話し合ってるの!とっとと神社を取り返しに向かうわよ!」
と、霊夢が乱暴な口調で紅里達に呼びかけてくる。
「霊夢、仮にも女の子がそんな乱暴な言い方するんじゃないわよ。」
そんな霊夢を魔理沙がたしなめる。
「おねーさん、人間の方の霊夢、大分怒ってるんだぜ。」
「まぁ、気持ちは解らなくとも無いかな。」
今回の異変、一番の被害者は間違いなく霊夢なのである。
「さてと、それじゃあお嬢さん方が本格的に怒り出す前に行くとしますか。」
決まってしまえば行動は早い。
紅里達御一行は、決戦の地、博麗神社へと向かうのであった。
~☆~
「…どうやらお姉ちゃん達がやってきたようだね。」
紅里が動き出した事は、アリスは魔法使いの
お約束の水晶玉で既に確認済みだった。
博麗神社に居座るアリスは、すでにゆっくらいだーの姿に変身していた。
キーホルダーで呼び出したゆっくり達も既に所定の位置についている。
戦う気は既に満々、後は霊夢達をコテンパンにして完全勝利をもぎ取るのみだ。
「来るならきなさい!今度勝つのは…この私よっ!」
アリスはそう言ってフフンと踏ん反り返った。
…本当は拳を天に突き上げたかったのだが、腕が無いのでこうなってしまったのだった。
~☆~
さて、いよいよ博麗神社へと続く階段の前までやって来た紅里達。
「いよいよね・・・この嫌になる位長い階段を登ればあのクソアリスの待つ博麗神社って訳よ。」
霊夢は階段を見て、そうつぶやく。
本当は直ぐにでも突入してしまいたかった。
しかし、そうは行かなかった、なぜなら。
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階段の前に、一匹のゆっくりが立っていたからだ。
とりあえず、紅里達はその門番の様子を見るために茂みから隠れて様子を見ていたのだ。
「…見た所、何か完全に寝ているみたいだし、そのまま通り過ぎちゃえばいいんじゃ無いかしら?」
と、門番の様子を見ていた魔理沙がそう呟く、
確かに、門番をしているゆっくりは本当に幸せそうに惰眠をむさぼっている。
「…そう簡単には通してもらえないわよ、めいりんをあまり舐めちゃいけないわ。」
と、まりさにそういったのは伝子であった。
更に伝子は説明を続ける。
「めいりんの凄い所は、あんなに深い眠りに陥った状態でも相手が近づくととっさに目を覚ます
その敏感さにあるのよ、私たちが近づいただけで、直ぐに気づかれるわよ。」
「…ホント、ゆっくりの事になると妙に詳しいね、あんたって。」
紅里は伝子の解説を受けてあきれ返っている。
これで本日何度目の呆れ顔になったことやら。
「フフン!伊達にゆっくり好きは語っていないわよ!!」
伝子は実に自慢げにそう言った。
「めんどくさいわね!何が相手だろうとぶっ飛ばせば済むことよ!」
霊夢はそう言ってめいりんに近づこうとする。
「あわわ!ちょっと待ちなさいって!」
慌てて紅里達が霊夢を引き止める。
「ちょっと!止めないでよ!」
「あんたこそ状況がわかって言ってるの!?今回の相手は本当に力ずくで何とかなる相手じゃ無いって!
無闇につっこんだら昨日の幽香の二の舞だからね!」
「……!」
突然、幽香がしゃがみこんで震えだす。
「ああ!幽香さんが昨日の事を思い出して震えている!」
「やっぱり心の傷が完全に塞がってはいなかった様だぜ!」
れいむ達はしゃがみこんだ幽香達を見て慌てだす。
「ど、どうする!?大事な戦いを前にこれじゃあまずいぜ!」
「よし!ここはれいむ達がすりすりして元気にしてあげよう!」
「よし!れいむの案に乗ったぜ!」
れいむとまりさは幽香の頬に自分の頬を合わせた。
「す~り、す~り…。」
「ヒイッ!?イヤァアアアアアアアアアア!」
れいむとまりさが頬をすり合わせた途端、幽香は絶叫の悲鳴を上げた。
「あれ!?何か逆効果ッぽい!」
「馬鹿!今の幽香にそれはやっちゃ駄目だって!」
ゆっくりにトラウマを植えつけられたのに、ゆっくりを近づかれたら悲鳴を上げるのは当然である。
「あっちいって~!」
幽香はれいむとまりさをむんずと掴むと、そのまま思いっきり放り投げてしまった!
「うわぁあああああああ!」
「げ、まずい、あっちの方角は…!」
れいむとまりさは、めいりんのいる方へと飛んでいく!
もしめいりんにぶつかったら確実に彼女は目を覚ます!
そう思うと同時に、紅里は走り出していた!
あっという間に飛んでいくれいむとまりさを追い越して…。
「ハアっ!」
ガシイッ!
見事、れいむとまりさをジャンピングキャッチした!
「おぉ!おねーさん凄いぜ!」
「ナイスキャッチだね!」
思わず褒め言葉が出るまりさとれいむ。
…しかし、事は簡単に終わらなかった。
「あ、あれ!?ちょ、思ったより勢いよくジャンプしすぎた…。」
紅里は勢いよくジャンプしすぎた、あらぬ方向へと体が飛んで行き…。
ドガアッ!
「うわあっ!」
そのままめいりんとぶつかってしまったのだ。
「イ、イタタタタタタタ…。」
めいりんを尻にしいたまま、上半身を何とか起こす紅里。
その胸にはしっかりとれいむとまりさを抱いたままだ。
そして、次の瞬間…。
「JA…じゃおおおおおおおおおおん!じゃおおおおおおおおおおん!」
衝撃で目を覚ましためいりんが、まるで警報のようにけたたましい声で叫び始めたのだ!
「げ、まずい!」
そう叫んで紅里は立ち上がり、階段の方を見た。
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> ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!< ''';;';'';';''';;'';;;,.,
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i イ (ヒ_] ヒ_ン ).ヽイ i |ヒ_ン ). i イ (ヒ_] ヒ_ン ).ヽイ i|_] ヒ_ン ).ヽイ i |
レリイi!"" ,___, "".| .|、i .|| "".|レリイ!"" ,___, "".| .|、i .||i ,___, "".| .|、i .||
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レ ル` ー--─ ´ルレ レ´´ルレ レ レ ル` ー--─ ´ルレ レ´ ー--─ ´ルレ レ´
上の方から、大量のゆっくりが階段を下りてきていたのだ。
「あちゃ~やっちゃった・・・。」
紅里は自分のうかつな行動を後悔したが、今更そんな事しても現状は変わらない。
「もう!自分はうかつに動くなって言いながら何をやってるのよ!」
と、後ろから霊夢の声がする。
振り向いてみるとやっぱりそこには霊夢達の姿があった。
「やっぱり、いつも通りのやり方になるわけね。」
「よ~し、久しぶりに暴れちゃうぞ~。」
「…まだ震えが収まらない…でもここで逃げるものですか!」
「フフ、面白い事になってきたじゃ無いかい!」
霊夢達は階段を下りてくる大量のゆっくりを迎え撃とうとする。
「待った!ここは私が行く!」
と、紅里が霊夢達に向かってそう言った。
「ちょ、勝手にでしゃばらないで…。」
そう言おうとした霊夢を押しのけて紅里が一番前に出る。
勿論、ペンダントとメダルを既に手に持っていた。
…と、自分がれいむとまりさを抱えたままだって事に気づく。
「あ、忘れてた…ちょっとこれ持ってて!」
紅里はれいむとまりさを一番近くにいた魅魔に手渡した。
魅魔はいきなりゆっくりを押し付けられて戸惑ってしまう。
「おいおい、いきなり他人に押し付けるなんて押し付ける何て良い性格してるねぇ。」
「おお、この人はおねーさんと違って軟らかい胸をしてるね!」
「搾乳したいとよく言われる理由が解るぜ!」
れいむとまりさは魅魔の胸に頬を摺り寄せる。
「ちょ、あんた達かなり大胆な事をするねぇ。」
いきなりこんな事をされて戸惑う魅魔。
でも、霊夢達を手放さない辺り、まんざらではないのかもしれない。
「あんた達!魅魔様に何をしてるのよ!」
その様子を見て魔理沙がれいむ達に怒鳴りかける!
「嫉妬は見苦しいんだぜ、黒歴史!」
「だから何度も言うけど黒歴史って何よ!そんなに私の事が嫌いなの!?」
「ああ、お前は忌まわしい過去そのものだぜ!」
「…上等よ、なら今すぐどっちが本物の黒歴史なのか、決着を付けてあげようか?」
「ああ、望む所だぜ!」
「…あんた達、そういう事は全て終わってからにしてくれないかしら?」
口喧嘩を始めた魔理沙ーズに向かって紅里は冷たい視線を送った。
「う。」
「ご、ごめんなさい…。」
その冷たい視線に射抜かれて二人のまりさは動けなくなった。
「全く、少しは今置かれている状況を理解して欲しいわね…。」
気を取り直して紅里はメダルとペンダントを構えなおした。
「変身!」
「ディ、ケィーネ!」
∧/| ∧、
|ヽ!、ゝ,.r'ニ、ンi
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_Ll1 . |ト.l1-[|-l1..||-l1
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〈/ .ゝ|| -||-||-||-.||-||-||イ
γ´ ,....|| . || .||r⌒ || :|| :||ヘ
i ,'":, ||ハ.|| .||.::::::l,|| :|| :|| ',
| /::: /-ー - ヽ||:ノr - -i ::::,!
|. レイi:lj::;;lj;;::lj:〉lj ilj:;;lj;;:lji:/
|. (| | |'"ー - ,___, ー- 'イハノ
| /i::|ハ ヽ _ン 人:il
.| ハ_l::|.,!>,、 _____, ,.イi::|
紅里がメダルをはめ込んでペンダントを閉じると同時に、その姿はディケイネへと変わっていた。
「へぇ、昨日は良く見ていなかったけど、こうしてみるとディケイネってアリスの姿にそっくり何だねぇ。」
「魅魔さん!あんなアリスの顔に線を入れただけの代物とディケイネを一緒にしないで欲しいよ!」
「そうだぜ!AAの手間が違うんだぜ!AAの手間が!」
「い、意味が解らないけど、わかったよ…。」
「こんなのに手間取ってる暇は無いから、一発で行かせて貰うよ!」
ディケイネはそう言うと、メダルをすぐにペンダントにはめ込んだ!
「ユックライドゥ!れれれれレミリア!」
ディケイネの姿がれみりゃへと姿を変えた。
「あら?昨日みたいにスキマとか言う奴を使うんじゃないの?」
「確かにそいつを使っても良いけど、追いかけてくるのが目に見えているからね…
まずはこいつらの動きを止める!」
ディケイネはまたメダルを取り出して、ペンダントにはめ込んだ!
「スペルライドゥ レレレレレミリア!」
魔霧「紅魔の霧」
プシュウウウウウウウウッ!
突如、ディケイネの全身から赤い霧が噴出した!
「うわ!何よこれ!」
霊夢達はディケイネの体から噴出したものに驚いて後退する。
赤い霧は、あっという間にゆっくり達を囲んでいった。
「ゆ!?ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ!?」
すると、ゆっくり達はパニック状態に陥った。
あの赤い霧がゆっくり達にどう作用したのか、右往左往したりその場で立ち止まったりしている。
どうやら霊夢達にかまっている余裕はなくなってる様だ。
「ゴメンね、このままだと通行の邪魔だから…。」
ディケイネはそう言ってメダルをはめ込む。
「スペルライドゥ!」
「スカーレットシュート」
パニックを起こしているゆっくり達に向かってディケイネは赤い弾丸を何発も叩き込んだ!
ドゴァアアアアアンッ!
「ユウウウウウウウウウウ!?」
ゆっくり達は思いっきりぶっ飛んだ!
すると、ゆっくり達の姿が消えていく。
チャリン…。
後には、そのゆっくりを呼び出すのに使われたと思われるメダルが階段の半ばに大量の落っこちていた。
「うわお…。」
「これがゆっくらいだーの力…予想以上だねぇ…。」
霊夢達は、あのゆっくりの大群を短時間で片付けたディケイネの力に呆然としていた。
「よし!次に向かうとしますか!」
「あ、待って、まだメダルを回収し切れてない…。」
「…何してるのさ、伝子。」
デイケィネはメダルを拾い集めている伝子に突っ込みを入れた…。
「いや、だってこのメダル元をただせば私のもんだし!」
「後で拾えば良いでしょ!」
「カラスとかに取られたら後で大変でしょうが!」
結局、伝子がメダルを拾い集めるまで足止めを食らうディケイネ達であった。
最終更新:2009年10月31日 21:48