【リレー小説企画】ゆっくらいだーディケイネ 第22話-1

「並べて世は事も無し‥、か」

「厨二病?」
「ちげーわよ」

「ただ、少し思っただけ」

「結局、私が異変をどれだけ解決したって、それはその“世界”の出来事」

「どれだけ主役張ったって、一度こうやって世界を出ちゃえば、その物語には関わることはできない」

「その後その世界がどうなったか、知ることすらできないのよ。まぁ、あそこは“世界”ではなかったらしいけど‥」

「ゆん?」
「結局何が言いたいんだぜ?」

「だからまぁ、うん、無事だと良いなぁって思ってた。さとりとあのきめぇ丸が、ね」

















※作中ひらがなで表記された東方キャラの名前は、
全てその東方キャラのゆっくり(饅頭型摩訶不思議正体不明生命体のこと、ゆっくりしていってね!!!)を指します。
言わなくても分かるよね!
※キャラ崩壊注意!要注意!











世界の移動におかしなことは付き物だ。



ゆゆこ「ふぅ、お腹いっぱいになっちゃったから、ようむに残りあげるね」
れてぃ「あ、私も無理だわ~。こっちもあげるわね」

らん「ちぇぇぇんん!!この野郎、殺してやる!!」
ちぇん「知ったことかぁぁ!!かかってこいよ!返り討ちにしてやる!!」

ゆうか「ひゃん、痛い、痛いぃ。よしてょぅ、ひぃぃん!!」
てんこ「は、内心喜んでる癖に!口元がニヤけてるわよ、この変態M女!」

ちるの「rot(rotE)=grad(divE)-(Δ^2)・E」
うにゅほ「div(εE)=εdivE+E・gradε=ρ=0」

るーみあ「そーじゃない」
みょん「おっぱい!おっぱい!」
きすめ「ひゃっほう!!外で遊びまくるぞぉ!!」
こまち「働きたい」
てるよ「働きたい」

けろちゃん「児ポ法即導入すべきだと思う、教育倫理的に考えて」
すいか「TENGAとかも規制すべき」
ゆーぎ「全力で同意」





れいむ「うわぁ」
まりさ「うわぁ」
紅里「変な世界だ」




世界の移動におかしなことは付き物だ。
それにしても、今回はちと酷すぎた。

後に床次紅里さんはかく語る。

「今回はちと酷すぎた」

大事なことだから2回言う。



「とにかく今回は酷すぎた」



「責任者出てこい、ぶっ殺してやるから」







ゆっくらいだーディケイネ 22話 『彼女たちの狂性変異』 ~Apart~




「そしてまた、新たな世界を訪れた紅里とゆっくり達。
 いつも通り自室の窓から外の様子を覗いてみると、そこはありとあらゆる種類のゆっくり達が一面びっしりと」
「そう、ここはゆっくりの町。ゆっくりがゆっくりとした毎日をゆっくりと送る町。そこに人間の姿はない」
「だが、どこかゆっくり達の様子がおかしい。いや、これはおかしいというレベルじゃない」
「小食のゆゆこ、激しい戦いを繰り広げるらんとちぇん、⑨じゃないちるのとうにゅほ‥。
 彼女たちの言動挙動行動姿勢その全ては、何もかもがあべこべだった。
 誰もが気付いた。そこから得られる結論は一つ」


「「この事態こそ、この世界の異変」」



「だが、彼女‥、ゆっくらいだー床次紅里がその異変に気付いた時には、
 全てはとうに手遅れだった」
「何故ならば、次元を越えた来訪者の中で、
 その異変に一番最初に“感染”したのが彼女だったから」







「そして物語は冒頭に引き続く」
「彼女たちが自分の家を出て、町の散策を初めて5分も経たぬうちに」



れいむ「お姉さん!?大丈夫!?」
まりさ「顔が赤いし、息も粗いんだぜ!何か悪いものでも食べたの!?」
れいむ「ずるいよ!れいむにも分けてね!」

紅里「はぁ‥、はぁ‥、大丈夫‥だから。こほっ、こほっ」

まりさ「取り敢えず、横になって休むんだぜ!今お医者さんを!」
紅里「大丈夫‥、ただ頭が熱っぽいだけだから。立って動く分には全然平気よ」
れいむ「ゆゆぅ‥、でもぉ」
紅里「大丈夫だって言ったでしょ、れいむ。
   ‥でも、心配してくれてありがとう」

『ぎゅ』

れいむ「ゆゆ!?」
紅里「ごめん‥、れいむ。暫く抱かせて。何だか今は、ちょっとだけ‥、胸が寂しくて」


この時、まりさは思った。
胸が寂しい=胸が薄い=ひんぬー=洗濯板=ステータスだ希少価値だ!

それって元からだろ!!

と。


まりさ「それって元からだろ!!」

思うだけでなく口に出して言ってみた。


紅里「ひ、酷い!!私それ気にしてるのにぃ!!」



れいむ・まりさ「「??」」



れいむ「ちょっとお姉さん、台本間違えてない?それ本当にお姉さんの台詞?」
まりさ「ていうか、涙目?まりさの気のせいかな?横に『ウルウル』って効果音が付いてるように見えるよ?」

紅里「そりゃ確かにさ、私のはそんなに大きくないけどさ‥。そんなに大きな声で言わなくてもいいのに‥!ぐすん」

れいむ「お姉さん!!??」
まりさ「違うでしょぅぅ!?そこは適当にあしらうとか、無言で蹴り入れるとか、無視してこの世界の探索を続けるとか、
    そういうキャラだよね!お姉さんってば本来はそういうキャラだよね!?
    作風は荒木でしょ!?女キャラでも目にとんでもない闘士と熱意を秘めている荒木調でしょう!?
    間違ってもそんなToLOVEる以降の矢吹調ではなかったはずだよ!!」
紅里「え‥え‥、何よぅ突然‥、二人ともちょっと怖いよ‥?」
れいむ「また涙目、そして『ウルウルウル』!?怖いのは寧ろこっちだよ!?」















まりさ「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!


 |::::::;ノ´ ̄\:::::::::::\_,. -‐ァ  『紅里お姉さんに胸の話を振ったら、
 |::::ノ   ヽ、ヽr-r'"´  (.__       顔を真っ赤にして涙目になった』
_,.!イ_  _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7
::::::rー''7コ-‐'"´     ',`ヽ/`7  な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
r-'ァ'"´/  /! ハ  ハ  !  iヾ_ノ     まりさも何をされたのかわからなかった
!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ  ,' ,ゝ
`!  !/レi' (◯),  、(◯) レ'i ノ     頭がどうにかなりそうだった…
,'  ノ   !'"   ,rェェェ、  "' i .レ'
 (  ,ハ U  |,r-r-|   人!     テコ入れとか、作者の力量不足とか
,.ヘ,)、  )>,、 `ニニ´,.イ  ハ    そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ

                 もっとも恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」



紅里「う‥、何よぅ。難しいこと言って私のこといじめないでよぅ」
れいむ「まりさ、本格的にこれはおかしいよ‥。ジョジョネタにすら反応しないよ‥。
    ていうか今の紅里お姉さんに抱かれてる現状、マジ怖いんだけど」
まりさ「お姉さん病院行こう!な!?」

紅里「や、やだよ!病院こわい!行きたくない!」
まりさ「幼女か!?」
れいむ「お、お姉さん!そんな突然走らないでって‥、てうわぁあ!!」

『ズドン』

紅里「きゃん」
れいむ「ゆわ!」

まりさ「あ、こけた」

紅里「う‥、うぅぅ‥」
れいむ「お姉さん、大丈夫?」
紅里「い、痛いよぅ‥痛いぃ‥」
まりさ「いや、お姉さん、小さな擦り傷だぜ?」
紅里「ひぐぅ、痛いよぅ、痛いよぅ、ひぃぃん」

れいむ「ボロ泣き!?」





「誰もが気付いていた。この世界の様子は‥、ていうか紅里の様子は、どこか、物凄くおかしいと」
「いくらなんでもおかしすぎると」

「「だが、驚いていられる余裕も、彼女が現れるまで」」







れいむ「これは‥、悪い夢だよ」
まりさ「そっかぁ、まりさ達まだ夢の中だったんだぜ‥、じゃ、早く起きないと‥」
れいむ「でも現実から眼を背けちゃダメ!!!」『バチーン!!』
まりさ「ゆべし!!酷いよ、れいむから振ってきた癖に!  え‥あれ?」
れいむ「ゆ‥、どうしたの、まりさ?強く殴りすぎて幻覚でも見えた?」
まりさ「お前絶対後で殴り返してやるからな! いやそれより、向こうから誰かが走って‥」
れいむ「あれは‥」
まりさ「でこ+胸+仄かに漂うHENTAI成分‥」



れいむ・まりさ「「伝子が来た!!!」」



伝子「とぉっ!!待たせたわね!通りすがりのゆっくらいだー伝子、ここに推参!!」
れいむ「全然待ってないよ!でも、この際こいつでいいや」
まりさ「伝子お姉さん、大変なんだぜ」
伝子「よぉ、れいむにまりさ。異変調査は進んでる?」
れいむ「それどころじゃないんだよ!紅里お姉さんが!」
まりさ「大変なんだぜ!!」
伝子「紅里が‥?」


紅里「ひぇぇんん‥、痛い‥痛いよぅ」


れいむ「とまぁこんな感じなんだよ!逆に怖いでしょ?」
まりさ「今回の世界のっけからカオスなんだよ!助けてよ!」
伝子「あ‥、紅里‥あんた‥」
れいむ「正直台詞の横に名前書いてなかったら誰だか判別できないレベルだよ」
まりさ「書いてあっても誤字誤植を疑うレベルだぜ」
伝子「か‥、か‥、きゃ」



伝子「きゃわいい‥」





れいむ・まりさ「「!?」」






伝子「きゃー!きゃきゃきゃ、きゃわいー!!可愛い可愛い可愛い!!どうしたの!マジどうしたの!?
   うわぁ、紅里が女の子みたい!まじすげぇ可愛いくぁいいかぁいーいー!!」
紅里「きゃぁ、つ‥、伝子!? ひ、ひぐぅ‥何ぃ突然っ!?」
伝子「あぁごめん今日の紅里があまりにも可愛くていや何時も可愛いていうか格好可愛いとは思ってたけどー、
   いやぁマジ今日のはやばいよ凄いよお持ち帰りたいよ。
   ああ御免、言ってる場合じゃないか怪我してるんだよね何処何処?」
紅里「ひ‥ひざ‥擦り剥いちゃって」
伝子「ああこれ小さい傷ねこんなの唾つけときゃ治るって。ああじゃ今から唾つけとこっか、きゃー」
紅里「いぃぃ!? ダメだよ、伝子。そんなとこ舐めたら汚いよ!」
伝子「あぁん、ペロリペロリ、汚くなんかないよ‥紅里の膝美味しいぃ‥」
紅里「うぅぅ‥やめてよぅ‥恥ずかしいぃ‥」
伝子「だってこうしないとばい菌入っちゃうじゃない‥。ほら、これできれいになった。
   後は、絆創膏をぺたりと」
紅里「あ‥そのえっと‥一応ありがと‥」
伝子「きゃー紅里に看護イベントしちゃったぁ!よっしゃー。
   じゃ次はデートイベントかにゃー。ほら立って立って、手繋ごうよ!!」
紅里「にゃ‥、なんでそうなるの!?デートなんて私恥ずかしいよぅ!」
伝子「いいじゃんいいでしょ!?この世界じゃ二人きりの人間なんだからさ!仲好くしよ!しよ!」





れいむ・まりさ「「‥‥‥」」









まりさ「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

 |::::::;ノ´ ̄\:::::::::::\_,. -‐ァ  『ゆっくらいだーディケイネを見てたと思ってたら
 |::::ノ   ヽ、ヽr-r'"´  (.__            伝×紅の百合SSが始まっていた』
_,.!イ_  _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7
::::::rー''7コ-‐'"´     ',`ヽ/`7  な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
r-'ァ'"´/  /! ハ  ハ  !  iヾ_ノ     まりさも何をされたのかわからなかった
!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ  ,' ,ゝ
`!  !/レi' (◯),  、(◯) レ'i ノ     頭がどうにかなりそうだった…
,'  ノ   !'"   ,rェェェ、  "' i .レ'
 (  ,ハ U  |,r-r-|   人!      打ち切り直前の路線変更とか、趣味に走った作者の暴走とか
,.ヘ,)、  )>,、 `ニニ´,.イ  ハ     そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ

                    もっとも恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」




れいむ「いったい‥、この世界で何が起こってるの!?」




「紅里に続き、伝子までも謎の異変に侵され豹変してしまった」
「その事実は、残るゆっくりたちを極限までに追い詰めた」
「異変の結果はそこかしらで見かけることができるのに、その過程はあまりに不可視であり不鮮明」
「この時まりさたちの絶望は、彼女たちの視界に世界の終わりすら垣間見せた」


「「だが、この時、彼女たちに光明をもたらす声が一つ」」




「どうやら‥あんたたちはまだ“正常”みたいだね‥」

まりさ「誰だぜ!?」
れいむ「この声は‥」

こいし「こっちよ‥私はここに居るわ」

れいむ「やっぱり、管理者のゆっくりこいし‥!?」
まりさ「そんな憔悴しきって‥どうしたんだぜ!?怪我でもしたの?」
こいし「だ、大丈夫‥、物理的な外傷はないから。
    でもこうしてお喋りできる時間もそう長くなさそう‥だね。
    こうなったらもうあんた達に頼るしかない‥。お願いだから話を聞いてちょうだい」
れいむ「わ、分かったよ‥」
まりさ「どんと来いだぜ」


こいし「じゃ、聞いて‥」




気付いてるだろうと思うけど、この世界には“異変が”蔓延してるわ‥。
あんた達もこの世界のゆっくりの様子は見たでしょ?明らかにおかしな様子のね‥。
原因は分からないけど‥、その異変は確実にこの町を蝕み、おかしな世界を作り出した。

ええ‥、原因は分からない。
だけど、異変発動の条件はなんとなく分かった‥わ。
伝子は、この世界に来て、そして外に出て、それだけで“ああ”なった。
あんた達のゆっくらいだーもそうだったんじゃない‥?

分かる‥?
発動の条件、それはこの世界の、この町の空気に触れること。
この世界に存在すること‥、それだけだよ‥。
そして‥、私も既にこの“異変”に感染している。
まったく‥、幸せの部屋の管理人とあろうものが、ざまぁないね。

だけど、運が良いのか悪いのか‥、あんたたちは、まだ“正常”。
もう、この異変はあんた達に任せるしかない。


れいむ「え、マジで?」
まりさ「まりさ達が主役だって?」
こいし「ええ、大マジ。災難だね。イヒヒ」
れいむ「待って、おかしいよ!この異変の感染条件はこの世界の空気に触れることなら‥」
まりさ「なんでまりさ達は“正常”なんだ?それこそおかしいぜ!」


こいし「‥‥‥は?」


まりさ「何でそんなに呆れ顔なんだぜ?」
れいむ「れいむ達なにかやったっけ?」

こいし「あんたら、それ本気で言ってるの?」

れいむ「え?」(シュコー)
まりさ「何のこと?」(シュコー)
こいし「あんたらの一頭身に張り付いてるガスマスクのことだよ!
    ていうか何でそんなもん装備してんのよ!」


れいむ・まりさ「「あー、これでかー」」((シュコー))


れいむ「なんか外の空気が淀んでそうだから、取り敢えず持ち出してきたんだったね、そういえば」(シュコー)
まりさ「このところインフルエンザも流行ってるから、備えあれば憂いなしだぜ!」(シュコー)
こいし「まったく‥、感心するべきところなのに、どうしようもなく呆れるのはどうしてだろうね‥」


まぁ‥、いいや。話を続けるよ。
あんた達のそのガスマスクの御蔭で確信が持てたんだ。
異変に侵されたのはこの世界の“空気”そのものだって。
そして、この世界に来たばかりの私たちがその異変に“感染”しているということは、
異変の元凶は最近まで、この世界の空気に細工してたってことになる‥。
なら、この異変を起こした場所からは、まだ大した距離を移動していないはずだよ。
だとすれば、怪しいのは風上。
なるべく町全体が一瞥できて風が同じ方向に絶え間なく吹いている高場‥。
まず調べるとしたらそこ‥。町のはずれにあった森林地帯の‥、高い木の上なんて怪しいかもね。
元凶は残っていなくても、そいつに繋がる何かしらの手掛かりが手に入るかもしれない。


れいむ「まずは、そこに行けば良いってことだね!」(シュコー)
まりさ「分かったぜ!ここらでまりさ達ができるってことを視聴者に見せつけてやるのぜ!」(シュコー)
こいし「ふん、頼んだわよ。私が話せるのはここまで‥、後は、あんた達に託す‥よ。 ぐっハッ‥」


こいし「ゼェハァ、ゼェ‥、どうやら‥、そろそろ私も限界みたい‥」


れいむ「こいし!?」(シュコー)
まりさ「どうしたんだぜ!?」(シュコー
こいし「大丈夫‥、外傷はないって言ったでしょ‥、私も‥既にこの異変に“感染”しているんだよ‥」
れいむ「そんなこと言ったって、紅里お姉さんたちは性格が激しく変わっただけで何ともなかったのに!」(シュコー)
まりさ「いったい何でそんなに死にそうになってるんだぜ!?」(シュコー)
こいし「それは‥」











 ―とあるゆっくりの独白―


“幸せ”って何だと思う?
いやさ、形が色々あるのは知ってるんだよ。
何回も何回も、それこそビデオのテープが擦り切れるぐらい“繰り返し”見続けてきたものだから。

『恋人と一緒に映画に行く』
『宝くじに当たって日々を豪遊する』
『美味しいものを食べる』
『嫌いだった奴が不幸のどん底に堕ちる』
『豪華客船で気の合う友と出会い、優雅に生活する』
『長い間叶わなかった夢が叶う』

どれもこれも、当本人は呆れるほど幸せそうで、
見てるだけのこっちだって楽しい気分になってきた。

だけどさ、見てりゃ分かる“幸せ”を、
私自身は一度も感じたことがなかった。

どんなに良く作られた小説や映画を見て、
思い切り笑ったり泣いたりしても、
それは自分の“幸せ”じゃないでしょ?

結局あの世界で私の“それ”は見つからなかったんだよ。



だから、私は彼女と共に世界を移動した。



“幸せ”になりたいんじゃない。
私だけの“幸せ”を探したいんだ。







「見つかった」

幸せとは、常に自分のすぐ傍にあって気付きにくいものなんですね今気付いたけど。




約15分前

こいし『ハァハァハァ‥、ダメ‥、もう抑えられない‥』
伝子『?』
こいし『キャー!伝子お姉ちゃん、ダイ、ダイ、ダーイ好き!!!』
伝子『‥。ゆっくりが私に後ろから抱きつくな』(バシッ)








伝子『ウザイ』










こいし「あぁぁあぁぁあぁあぁぁぁあアアアァァァァアアあぁあああぁぁああああああああああ(吐血)」


こいし「伝子に嫌われたウザイって言われたもうダメだ私はダメだ絶望だ死にたい嗚呼鬱だ死のう」
れいむ「あー‥」(シュコー)
まりさ「こりゃ‥、本当に酷い異変だぜ」(シュコー)

こいし「なんで二人はあの時まではあんなに想い合っていたのにいやこれは異変のせいだって頭の中では分かっているのだけどけどウザイって言われた事実は変わらない訳でていうか現在進行形で嫌われててやっぱり死にたい嫌だ嫌だ伝子に1秒だって嫌われていたくない抱きしめてもらいたいぎゅっとそんで一緒に寝」

れいむ「えっと、このままじゃ本当に取り返しのつかないことになりそうだし」(シュコー)
まりさ「ちゃっちゃと、この異変の元凶を見つけないと」(シュコー)





「一人のゆっくりの尊い犠牲の上、異変の元凶への手掛かりを得ることのできた二人のゆっくり」
「だが、世界を越える旅人の中で、異変に侵されていないのはこの二人の無力なゆっくりだけ」
「本当に異変の解決など大それたことが、この二人に可能なのか」
「そんな疑問は無駄だった。他に動ける者などいないのだから」
「やるより他なし‥、選択肢など存在しない」
「そして何よりも」








???「その必要はない」

れいむ・まりさ「「!?」」(シュコー)

???「何故ならば、貴様たちが言うその“元凶”は、今ここに姿を現しているからだ!」

まりさ「だ、誰なんだぜ!?どこに居る、姿を見せるんだぜ!」(シュコー)
れいむ「まりさ!あそこの木の上だよ!」(シュコー)
















「俺こそは‥世界を滅ぼす悪魔のゆっくらいだーの野望を打ち砕く漢」










   _人人人人人人人人人人人人人人人人_
   >冷血動物 スパイダーマ  見参!!!  <
    ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ^Y^Y^Y ̄
                   . -‐-
              ___ / /      ミ;    BGM『封じられた妖怪』
          「 ̄´:::::::::::::::::`丶{      Vノ   チャチャチャ チャチャチャ
          ヽ:::::::::::;. - 、:::/⌒`丶ー-――┴――-‐ァ      チャチャチャチャチャン♪
           {::::::::/   ´′    ヽ`ヽ::::::::::::::::::::::::/
           \./    /::::ハ ヽ \  ':::::::::::::::::/
            / / /{::ハ!::::lヽ::}ハ::.イ  ';:::::::::/      ,(⌒)
           / / /lハ!::::::::::::::::::::::::::::}  V ´ヽ     ノ  Y`Y´`Yヽ
           ′ {:::::{:::「\:::::::::::/}:::::/:::::,::':::::::ノ  (´ ̄   .i__人_人_ノ
 i´`Y´`Y`ヽ(⌒) `ヽ\ゝ.:゙ー‐゙::::::::゙ー‐゙::/::/:::::/   ` ̄ヽ      /
 ヽ_人_.人_ノ::::`~ヽ   } iヾ ::::::::::::::::::::::,7/::/         ` ̄ ̄
   \___:::::::::::\ /{ ハイ >rvー <_{イ/
           \_ 〉



蜘蛛男「悪いが、貴様らの主戦力が使い物にならなくなるまで、高みの見物を決めさせてもらった」


れいむ「う、うわぁ‥HENTAIだ!全身スーツだ!!」(シュコー)
まりさ「HENTAIのゆっくりヤマメだ!!」(シュコー)
蜘蛛男「誰がHENTAIだ!!あと一発で人の変装を見破るな!許せん!!」
れいむ「待って、今さっき自分のことを“元凶”だって‥」(シュコー)
蜘蛛男「ああ、そうだ‥。全ては俺の能力の仕業だ、貴様たちを打ち破る為のな!!」


『スパイダーストリングス!!』


れいむ「あ‥」
まりさ「しまった!ガスマスクが!!」
蜘蛛男「まさか、こんな玩具で俺の“病”を封じるとは思ってもみなかったがな!
    悪いがこれは預からさせてもらう!」
れいむ「う、うわぁぁ!どうしよう、この世界の空気に、触れちゃったよ!」
まりさ「ヤバイんだぜ!このままじゃまりさ達も‥!」
蜘蛛男「ああ、俺の“病”『ふぃるどみあずま』の餌食になってもらう!」
れいむ「“病”って‥?」
まりさ「じゃ、この異変の正体は‥」

蜘蛛男「そうだ!俺の作り出した特製の“熱病”だ!
    普段とはあまりに違う奇抜な態度や行動をとった相手によく言うだろう?
    『お前、熱でもあるんじゃないか?』と。
    その“正体不明の熱病”をばら撒いておいたのさ!」

れいむ「む、無茶苦茶だよ‥はぁ、はぁ、こほっこほっ」
まりさ「こほっ、この咳は‥、あの時の紅里お姉さんと同じ‥!?」
蜘蛛男「その咳と顔の紅潮こそ、“感染”の合図!
    病気が蝕むのは身体機能だけではない!俺の“病”は精神を侵す!
    そして、その者の最大の特徴、アイデンティティを崩壊させる!」

れいむ「単純な性格反転じゃ、ないってこと‥?こほっ」
まりさ「こほっ、それで、紅里お姉さんは“か弱く”、伝子は“HENTAIな程人間好きに”、
    こいしは“スキンシップ過剰なデレデレ”になった訳か‥」
蜘蛛男「ほう、理解が早いな。だが、悪く思うな。
    貴様らのような不審な輩の台頭を、この世界で許すわけにはいかない!」


蜘蛛男「命まで取る気はない。だが、貴様らの旅路はここで病み止まりだ!」

























 ―その頃のゆっくらいだーず―


この世界の空気に触れてからの、異常とも言える心の変化には気付いていたし、
普段凄く“愛おしい”と思えるものに対し、
“そうでもない”程度の好感度しか抱けなくなってる自分には、
若干の薄気味悪さと、大きな違和感があった。

その違和感が今の自分に向けられているものか、
それとも昔の自分に向けられているものなのか、
それすらも分からない状況でもあったのだが。


だが、まぁ、そんなことはどうでもいいんだよ。


いくら変質しようと人間の本質は“心”な訳で、
腕も手も脚も頭も脳味噌も、それを充実満足させる為の手段でしかないのだから。

私が居て、
隣に可愛い可愛いチョーマジきゃーいーこの人が居る。

それで一緒に立って歩いて触れ合って、
笑ったり怒ったり喜んだり。

『私の“心”は大変満足しておいでです』

それ以上の“何か”があるか?
いや、ないね。

OK、それこそ私の人生。
つまりはいつも通りなのさ、イェイ。





こまち「あいよ、クレープフルーツミックス二つ、お待ち!」
伝子「はい、ありがと。これお金ね」
こまち「まいど!いやぁ、可愛いお連れさんですねぇ、デートですかい!?」
伝子「あら、やっぱ分かるぅ? 良いでしょ可愛いでしょ愛おしいでしょ?
   運命の赤い糸で雁字搦めに結びついた自慢の恋人‥寧ろ既に人生の伴侶なんです‥」
紅里「ぬぁ‥ち、違います!全然違いますぅ‥!!」



伝子「いやぁ、美味しいわね、このクレープ。皮の焼き加減が絶品だわー」
紅里「‥‥(ハムハム)」
伝子「ね、美味しいよね、紅里!」
紅里「‥‥ツーン(ハムハム)」
伝子「あら‥、紅里てば怒ってる?」
紅里「ツーン(プイ)」

伝子「でも起こった顔もきゃわいぃよぉ!!きゃーきゅー!」
紅里「ひゃぁぁ!!やめてよぅ、ひっつかないでぇ!」

紅里「あ~う~、口にクリーム付いちゃった‥」
伝子「さっきデートとか恋人とか言ったの怒ってるの? やぁねぇ、伝子ちゃんのお茶目な冗談じゃない」
紅里「それもだけどさぁ、それだけじゃないよ‥」
伝子「ん?」
紅里「伝子だって分かってるでしょ?私たちこんなことしてる場合じゃないって‥。
   この世界、明らかにおかしいもの」
伝子「そーねー。さっきのゆっくりこまちだってサボタージュらしかぬ働きぷりだったし。
   この町のゆっくりは色々変だわ。何ていうか特性っていうか‥、アイデンティティーがあべこべなのよね」
紅里「ゆっくりだけじゃないでしょ!私だって‥色々おかしいもの。
   普段の私はもっとこう‥、なんていうか‥もっと‥乱暴というかなんというか‥」

伝子「男っぽかったわねぇ。ガサツともいう」

紅里「うう‥、なんでだろう‥。自覚してた筈なのに、凄く恥ずかしいよ、いつもの私‥」
伝子「大丈夫、どっちも可愛いから♪きゃーいー」
紅里「伝子だっておかしいでしょ!?普段の伝子はもっとこう、ゆっくり好きで」
伝子「今でも別に嫌いになった訳じゃないみたいだけどねぇ」
紅里「それで‥、もっとこう‥、私のこと‥、嫌いだった‥よね?」

伝子「あぁ、そう‥だったかなぁ?」

紅里「そうでしょ!?私たち会うたびに喧嘩ばかりしてたじゃない‥!」
伝子「確かにそうだったけど‥。別に、あなたのこと嫌いだとは思ってなかったと思う。
   寧ろ、昔から好きかも‥」
紅里「えぇぇええぇええぇ‥、ちょっと何言ってるのよぅ!」
伝子「いやまぁよく言うでしょ。喧嘩するほど仲が良いって。
   私とあなたは前から、気軽に喧嘩できるくらいの仲だと思っていたけど?
   それとも、紅里は私のこと嫌いだったの?」

紅里「いや‥、まぁ‥、確かに嫌いってほど嫌ってなかったし‥。
   助けてもらったことも何回もあるし‥。
   す、好きと言われたら‥間違って‥ないかもだけどぅ‥」

伝子「いやっしゃぁぁぁっぁああ!!!紅里と両想い確定‥!両想い確定‥!
   それじゃさっそく式の準備をしましょうか、ぎゅー!」
紅里「ち、違うぅ!論点がずれてる、ずれてるよ~!」
伝子「私がお婿さんで、紅里がお嫁さん!私がタキシードで、紅里がウェディングドレス!
   あ‥、逆でもいいなぁ、私もウェディングドレス着たいし!
   いっそ二人ともウェディングドレスでもいいかにゃぁ」
紅里「妄想のスピードが早すぎだよぅ‥!だから、違う、私が言いたかったことは‥」


紅里「これが、私たちのこの異常な変化こそが、この世界の“異変”ってことでしょう!」


伝子「あーそりゃね、うんその通りだと思うよ」
紅里「そんなあっさり」
伝子「でも今はそんなことはどうでもいいのであった。
   さぁ、ともに美しき門出を祝うに相応しい教会を探しましょう」
紅里「よくないよぅ‥!なら早く解決しないと‥」
伝子「大丈夫大丈夫、異変なんて今までだって適当にうろついてたら向こうから元凶が飛んできたでしょ?
   見つけてから対処すりゃ余裕よ、余裕」
紅里「でも、れいむとまりさだって、さっきから全然姿が見えないし‥。うう、心配だよぅ」

伝子「ああ、それこそ、大丈夫でしょ」

紅里「な、何よ。どうしてそんな自信満々に‥?」
伝子「ああ、だって‥、あの子らってゆっくりじゃない?」
紅里「そりゃ、ゆっくりだよ。見れば分かるよ‥」
伝子「昔から思ってたのよ。あの子らは、なんていうか、他のゆっくり達よりよっぽどゆっくりらしい。
   テンプレっていうのかしらね。ゆっくりであることのお手本みたいな存在。
   どんなピンチだって平然と漫然と、ゆっくりしながら凌げる気概を持ってるんじゃないかって。
   今までだって大体そんな感じだったでしょ?」
紅里「まぁ‥だいたいは、そうかも‥」
伝子「だから、大丈夫でしょ。根拠もないけど。
   そんなものがないのがゆっくりなんだから」



伝子「あの子らは、そういう風に信じるに値する、あなたの仲間でしょう?」



紅里「まぁ‥そうなのかなぁ。ゆっくりらしい‥ゆっくりか‥」








「そして、舞台は再び」
「二人のゆっくりと、蜘蛛男との戦闘の場面へと移り変わる」
「ガスマスクも奪われ、絶望的だと思われたその戦況」
「だが、実際にそのふたを開いてみれば‥」






それは、実にゆるりとした感覚だった。
自分が、ではない。
周りの全てが、だ。

まるで、世界全てが0.5倍のスロウで再生されたかのような感覚。
反面、身体の内側、思考が光のような早さで頭の中を駆け巡る。

ふと、正面を見ると、自分に迫りくる細長い何かがあった。
考えるまでもなくそれが“敵”の放った攻撃、
それも粘着性の高い蜘蛛の糸によるものだと判断できて、
「避けた方が良い」とこれからの行動の選択を決定し終わっても、
その攻撃は呆れるほどのんびりなスピードで中空を漂ったままだった。

その余りの鈍重さには若干いらつきさえ覚えた。

そして、自ら動いてその攻撃を放った“敵”に直接攻撃をした方が早いとため息交じりに考えて、
まりさはそこで初めて、その場から動いた。



そこまでの時間、僅か1.3秒。

「な!?」

蜘蛛男が驚愕し何かしら声をあげた頃には、とうにまりさの攻撃は届いていた。
ふと、隣にもう一人の赤リボンの饅頭の姿もあった。
どうやら、相棒も同じようなことを考えていたようだ。
そして気付いた。


あー、私らのアイデンティティーは“ゆっくり”だったか、と。


それと同時に、蜘蛛男の身体は勢いよく鉄砲弾みたいな速さで地面を転がった。
なぁんだ、鈍間は鈍間なりにちょっとは速くなれるじゃないか。


「ば、馬鹿な、見たことない‥ぞ。ここまで、ゆっくりらしかぬ‥ゆっくりは‥」


蜘蛛男がおぼつかない足取りでヨロヨロと立ち上がる。
間髪入れず体制を整えるその体力とタフネスぶりは称賛に値するが、
その動きまでものろく、苛立たしいものに感じる。

「まったく、誰のせいだと思ってるの?スパイダーマさん」

そのイラつきはれいむも同様のようだった。
元凶も原因も真犯人もこいつだと、さっき自分で白状したばかりだったというのに、
反応が逐一ワンテンポ遅れている。

「貴様ら‥、俺に‥なにをした‥!?俺は何をされた‥!?」

あまりに突然の出来事だったからどのような攻撃を受けたかさえ判別できなかったらしい。
狼狽しきった蜘蛛男に同情交じりで答えてやる。

「まりさ達は、ただお前に真っすぐぶつかっただけさ。
 ただただ、見えない程度の速度でな」


「「こんな風にね」」


打ち合わせした訳でもないのに、またれいむと同時に敵に飛びかかる。
こういうのを“気が合う”とでも言うのだろうか。

「ぃっ‥、『スパイダーストリ‥」

蜘蛛男が性懲りもなく何かしらで攻撃を防ごうとしたみたいだが、

「遅すぎる」
「のろすぎる」

貴様には、全てに於いて速さが足りない。

「ぐ‥は‥!?」


「「刹那にて死て往ってね」」


そう、刹那。
口から咄嗟に出た言葉だが、今の自分達にこれほどしっくりくる言葉があろうか。

異変解決など、今のまりさ達なら七十五分の一秒で事足りる。







蜘蛛男(ご‥、誤算だった‥!!
    確かに、この熱病が崩壊させるアイデンティティーに、長所、短所の分け隔てなどない‥)

まりさ「やれやれ、本当はもっとスマートな攻撃がしたいんだがな」
れいむ「体当たりしかできないのが一頭身の辛いところだよ」

蜘蛛男(だからといって‥、ここまで速くなるか、普通!?
    この町にはゆっくりしかいないが、スピードがここまで劇的に変化した奴は一人もいなかったぞ‥!
    こいつら、普段どんだけゆっくりしていやがるんだ!?)

蜘蛛男「ぐ‥くそ‥!」
まりさ「おやおや、まだ立てるのか」
れいむ「もうよしなよ。同じゆっくりを一方的に痛めつけるってのは、あまり気分の良いもんじゃない」

蜘蛛男(このまま、この場所で、この状態で戦うのはまずい‥か。
    戦況を立て直さなければ‥!)

まりさ「おい、奴さん、何か考えがあるみたいだぜ」
れいむ「しょうがない‥、仕留めるよ。地の利は奴にあるんだ、長引かせる訳にはいかない」

蜘蛛男「舐めるなぁぁ!!『ウェブボール』!!」
れいむ「蜘蛛の糸ので固めた弾か」
まりさ「当たるかよ、そんなへなちょこざい」
蜘蛛男「馬鹿め、それは俺の“攻撃”なんかじゃない。お前たちの“障害”だ」

『グパァ』

れいむ「く‥!? 弾が‥蜘蛛の巣みたいに広がった!?」
まりさ「当たりゃしない‥、だが、こりゃやっかいな壁ができちまったぜ」

蜘蛛男「そして‥『ウェブスイング』!」

まりさ「ちっ、まるで本当のスパイダーマンだな!いや、それともターザンか?」
れいむ「森の方へ逃げる‥。追うよ、まりさ!」
まりさ「でも、どうせ罠だぜ。誘っていやがる。地の利は向こうにあるんだろ?」
れいむ「ああ、その通り。でも、たかだかその程度の不利じゃ、引く理由にはならないでしょ?」
まりさ「ふ、違いない」





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最終更新:2009年11月08日 00:18