「ゆっ、ゆんや! ゆ~っ」
「ゆーんゆん、ゆーんゆんゆん」
「ゆっゆっ」
…おやおや。どこから紛れ込んで来たのやら、ゆっくりのまりさとれいむが私の家に遊びに来ていた様子です。
二人はどこで知ってどこから見つけたのやら、昔懐かしいスーパーファミコンを引っ張りだして、何やら
ゲームをしています。
代わりゆくテレビの画面を眺めては、ゆっきゃゆっきゃとはしゃいでいます。
よく配線を行えましたね、偉いですよ。
されどもというもの、二人には器用に動く指先が無いため、コントローラーを操作するには腹部にてぶしつけに押し潰すあんばいとなってしまいます。
コントローラの操作を担っているのはまりさです。
体いっぱい使って、キャラクターを操ってゆく容態はとても可愛らしく、なんだか窺っているこちらまで生き生きしてきますね。
…私主観の感想を延々と述べるなど、やぼというもの。
実際にゆっくりたちの世界を、私たちの言語に直し、覘いて見ることにしましょう…。
「デーンデンデーンデンデン」
「うるせえ」
「デレッデレンデレ、デレレデンデン」
「うるせえ」
「いいじゃねえか。若気の至りだよ」
おやおや。まりさがゲームのBGMを口ずさみ、れいむが毒づいています。
いがみ合うほど仲が良いというものですね。
「まるで海の底で息をしている下痢の声色だぜ」
少々トゲが大きすぎるというのも、愛情の裏返しでしょう。
しかしながら、今の発言によりまりさの心鐘がどでかく響いたか、まりさはゲームを行いながら陳述の程を切り返します。
「そこまでいうことないだろ! 半泣きになるだろ、言われた方の気持ち考えろよ!!」
「あ、ばあちゃん到来。鶏ボールきた」
スルーというものは、いつ、いかなるときでも悲しいものです。
流石に堪えている様子で、まりさは苦虫を噛み潰した渋い表情を浮かべています。
無視された事による衝撃か、まりさの全身の動きが若干ブレてしまい、操作しているキャラクターは哀れ鶏に変身してしまいました。
「コケー! ココココ、コケェッ」
「ちょっと意味がわからないですかね」
せっかくまりさが体を張って状況をフォローしたのに、かえってまりさにとって居づらくなってしまいました。
属に言うスベリです。
『気にしないもん』と半ばぐずりつつゲーム内容を進めるまりさです。
やがて鶏状態が解除され鎧の男が元の姿を取り戻します。
特定のスポットに着き、足場から宝箱がむくむくと浮き出てきました。
「お、宝箱が湧き出た。再度宝箱チャンス」
「宝箱撲殺オラオラ」
気を取り直したまりさがキャラクターの使う武器である短剣を宝箱に飛ばし、とやかくにぶつけます。
すぐ数秒後には宝箱が開封され、その中身が露にされました。
…されども、二人の期待もむなしく。
真に残念ながら出てきたそれは剣のアイコン!
「うわああああ剣かよおおおおお」
「落ち着け。ちょんだ、ちょんジャンプだ、いけ。勇気持って飛び越えれば恐いものなどない」
一世一代のピンチに担当のまりさと観客のれいむが相談を広げます。
それも当然です、初期装備の細くて長い槍が、あわや真正面にすら飛ばないどうしようもない武器へ変化しようとしているのですから、それは動揺するというものです。
一時の間を起き、喉を鳴らして、…まりさは前の足場へと進みはじめます!
「ちょんっ」
「飛距離足りない」
地面にあった剣のアイコンが、画面の上中心にある装備表示まで移動したのでした。
「ア゛ア゛ア゛アアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
「日頃の行いが反映されたまでだな」
「使いづらいいいいいいいいい!!! 真っ直ぐ飛ばないいいいいおおい」
「…ふ、ふふ」
「笑うんじゃねえ!」
投げの動作すら失われ、手元から放たれる剣の舞は、見るものを圧倒させます。
まりさの立っている足場の地平線には敵がたたずみ近づいてくるのですが一向に当たる予兆を見せません。
滑稽なモーションを幾度か繰り返し、コントローラを腹で蹴飛ばし拗ねてしまうまりさです。
こらこら、機械類に乱暴はいけませんよ。
「ほらまりさ、また宝箱だ。宝箱チャンス到来だぞ」
「ドラドラはよ中身を晒せい」
しゃがみテクニックを駆使して敵を駆除し、めげずにステージを進んだところに再度宝箱がありました。
くさらずに続行していれば、いずれはいいことがあるというものです。
『今度こそまともな武器のように!』まりさたちご一行は宝箱に願いをこめました。
「また鶏きた。婆ちゃんチャンス」
「うるせえババアにチャンスねえよ。それに殺せば問題ない。オラババア死にさらせこの野郎」
「婆ちゃあああああああああああん!!!!」
宝箱からひょっこり姿を現したのは、意外や意外先ほど少しだけ姿を現した、鶏ばあちゃんでした。
当然おばあちゃんは歓迎されるはずもなく、幾分予想していた態度のまりさにより瞬く間剣の餌食となってしまいました…。
おばあちゃんがゲーム画面から退場する際にれいむが突如大声をあげるものですから、まりさは頭おかしいんじゃねえかと疑わざるを得ません。
「うふふ、お前、いきなり大声出すなよ、どうしたんだよ…。あはははは!」
「婆ちゃんに恋してた」
「恋とかねえ、ねえから、ふふ」
「うわムカデきた。襲うなよ、俺を狙うなよ」
「体力1だから一回でも当たるとパンツるもんな」
「寒流の中パンツ一丁とか堪らないわな。かなわない意味と興奮する意味の二つで」
まりさが変なことをのたまうものですから、地面の溝から、突然ムカデが飛び出て来てしまいました。
ステージの仕様といえばそれに当たらなくも遠からずといった具合ですが、まあまりさのせいにしておきましょう。
襲い掛かるムカデの威圧感は一級品です。
当然予測できるはずもなく、まりさの操作する鎧の男は無防備なままムカデから一撃を受けてしまいました。
鎧の男は後方にふっ飛ばされ、同時に纏っていた鎧が壊れてパンツのみの裸姿になってしまいます。
「うわあああああああああ!! パンツ、ううううう!!」
「変態や、快楽変質者やで…」
「エロやでええええええ!!!」
「んふっはっはっはっはっは!!」
「笑い事じゃねえし!! 死ぬし、おいパンツったぞどうしてくれる」
「敵にぶつかった際のノックバックによる転落死は無くなったし良かったじゃん」
「言ったな、これが良い事なんだな、言ったな」
「相変わらずムカデが襲って来てるぞ、逃げろー」
「本気だす。ホオオオオオオオオオ!!!!1」
ゆっくりの間では、奇声あげれば本気の証拠にでもなるんですかね。
まりさは襲い来るムカデを立ち止まるなどの巧みな操作で避け進む、そこまでは上手でした。
「まりさが本気だせばちょろいもんよ」
まりさが何を勘違いしたか得意気に大口を叩いたその時でした。
うかつなまりさは、なんとコントローラーよりジャンプの操作を割り当てられているボタンを押してしまったのです。
単純に言えばAボタンですね。
当然ゲームの主人公を担っているキャラクターは電子信号の命令に従い、足場から飛びだし、しまいには真上を渡りゆくムカデにぶつかって骨になってしまいました。
端的に言えば死んだって事になります。
テレビ<デレデレデレデレーン
「…」
「…」
テレビの画面が真っ黒になり、悲しいバックサウンドが流れはじめました。
まりさの表情は呆気にとられたもので、同時にれいむの容態は笑いを堪えきれないでいる、歓喜の態度をあらわしています。
とても陰湿で非道なれいむですが、まあ、理解できるというものです。
「くふふふふ…!」
「…ガメオベラやん。オベラ」
「…くふふ、ふ、本気出してそれかよ」
「笑うな、操作むっさ難しいんだぞ。ジャンプして空中にいる中では操作効かねえんだぞ」
「今の自分から飛びに行ったじゃねえかよ…」
れいむは腹底苦しそうに、前のめりに蹲りながら笑っています。
「誤作動だし」
「言ってろ、所詮まりさの実力だし。コントローラー貸せ。まあみてな、れいむ様にかかればこんなゲーム楽勝よ」
「コンテニューも使い果たしたからまた1からだろ、面倒くせえ」
「まりさが面白がって飛び下り自殺繰り返すからだろ」
「面白がってはねえし、真面目だし」
「へえ、真面目でアレなのか。糞だな」
まだ二人の会話の通訳がなされる前、まだこのゲームの操作に不慣れだったまりさが、あたかも自殺の様にステージ足場の溝に飛び込んだ事がありました。
はじめたばかりのまりさは主人公が垂直に落ちるだけでも『がに股がに股! あはははは!!』と笑い転げていたものです。
何やられいむはその事についてネチネチとまりさにつけ込んでいるようです。
「今からまりさのアソコをお前になすりつけてやる」
まりさが逆ギレして頭おかしい事を喋り始めました。
「ひわい」
「ふぐりふぐりふぐり」
「んふっ! ふ、何だよそれ…」
「まりさのアレをれいむに擦り付けたときの効果音」
「意味分かんねえから、お前付いてないだろ…、ふは、」
「「あっはっはっはっはっは!」」
「うわ、敵にぶつかって崖に落ちた! 吹っ飛びすぎだろ」
「雑魚が。肥だめに使って漬物になったほうがいいぜ」
ちなみにれいむのプレイ内容ですが、ステージ2の時点で9死してしまい、まりさに馬鹿にされていましたとさ。
Iphoneにて昔懐かしいゲームがありました。
海外版の内容なので推測は難しいでしょうが、是非まりさたちがプレイしたゲームのタイトルを当ててみてください。
早苗ちゃんの人
- 魔界村かぁ。
一面もクリアできず投げ出したのはいい思い出。 -- 名無しさん (2009-11-19 05:49:14)
- softalkボイスが脳内再生されたw -- 名無しさん (2011-06-02 13:53:24)
最終更新:2011年06月02日 13:53