- 戦闘・暴力・出血シーンがあります。まとめwikiの「とろろ」みたいな物作ろうとした結果がこれだよ!
蒼き海に浮かぶ無数の小さな緑。
その一つ一つに無数の人、動物、妖怪、神様、そしてゆっくり達が存在していた。
夜が来れば深淵の闇が、朝が来れば神々しき光が満ちあふれる世界。
人間とゆっくりは互いに手を取り合ったり、時には争いながらも共存してきた。
世界は穏やか。誰もがそう思う。
時は弦早45年。東の海に浮かぶ漆の国日元が大きく二つに割れていた時代。
世界を旅するゆっくりと少女の物語が今始まる。
死蝶「幻死」 緩慢刀物語妖夢章・英 外郎剣「羊羹剣」
これは今のように科学は殆ど無く、刀がそこら中に存在していたほんのちょっと昔のお話。
始まりの舞台は西行国、日元の西南側に位置する一国である。
軍事面では東に位置する博麗国に劣り、領土の面では西に位置する守屋国に劣る。
それでもなおこうして独立を保ってられるのはここが特別な場所であるからなのだろう。
ただ単に無視されている可能性も考えられないことはないがそれはそれで平和で良いものであろう。
平和であるのだけれど、とある事件を皮切りに物語はこの地より始まる。
暦上では卯月、西行国も桜が咲き誇り、道際にある夜桜が月光で映えるそんな夜のことであった。
「ひとつひしめくすみざくら~ふたつふりむくこころがふたつ!みっつみつごにちとせあめ~よっつしのこくまいります~ 」
この空気が澄み切った静寂な世界にみょんな歌が響き渡る。
シャキシャキという鋏の音を背景に、その歌はどんどん盛り上がりをみせていった。
「とうでとうとう!……………なんだっけみょん」
桜が立ち並ぶ小道で頭を傾げているのは一人(?)のゆっくりみょんであった。
彼女(?)は考えるのを止めて別の歌を歌い始め、高枝切りバサミで道ばたの植木をそれなりに綺麗に整えていく。
時々上を見上げては夜桜の美しさをその目で感じ取る。それがみょんの日課であり、最高の楽しみであった。
「ふぃ~やっぱ手入れはめんどくさいけど、この一時が至高でござる」
そう言いながら高枝切りバサミ(注:高い枝を切るのに特化した鋏、特別価格320銭)を地面に置いてみょんは仰向けに寝転がった。
毎日毎日こうして国中の植木を切る作業に飽きたわけではないがやはり何か倦怠感という物が生じるものなのだ。
みょんは西行国の旗本武士である。幼い頃(?)から武道をたたき込まれ今では西行国の中で一二を争う程の実力を持ち合わせている。
しかし西行国は今まで一度も攻め込まれたことのない国、そしてこれから争う様子も全く見せない。平和なのだ。
武士としてはかなりの実力と地位を持っているみょんであってもその力を持て余すこと以外しようがないのだ。
剣術による稼ぎ所もなく選んだ道は西行国そのものの庭師。西行国にある植木を全て管理するという物であった。
他にも様々な職業選択があったが不器用であったみょんにはその道しか残されていなかった。
「ああ、どうせなら他の仕事の方が良かったみょん…………」
と思いつつも他の仕事そのものが思いつかないみょん。そんな自分の無能さを呆れみょんは深い溜息をついてそのまま寝転がる。
資格ってやっぱ大事ですよね。
「………………………?」
静かなこの夜に溶け込んでしまおうとそのままみょんは目を閉じる。しかしその時不穏な空気の流れを感じみょんは起き上がる。
「………………むふ」
そんな気持ちの悪い笑顔を浮かべて高枝切りバサミを口の中に仕舞いみょんは流れが変わった場所へと駆けていった。
風が不気味に草を揺らし月と星だけが大地を照らしていく西行国の夜に一つの人影があった。
その人影は髪の長さ、背の高さから少女のように見え、刀のような物を大事そうに抱えながらとにかく無我夢中で走っていた。
「はぁっっ………………はぁっ!」
息を切らしつつも走り続けるその人影を追うように五つの球体らしき物が少女の後を追っていっている。
球体はウサウサと言いながら垂れ下がったウサ耳をしきりに揺らしていた。
「おえっ………おえっ………あの刀をなんとしてでも手に入れるのだッ………」
「我が国の為に………ウサ」
「祖国のために………ウサウサ」
「お腹いっぱいの人参のために………」
「やっぱそうだよね~祖国のため何かやってられないっつぅの」
必死に逃げ続けている少女とは対照的にニヤニヤと笑みを浮かべ明らかに余裕のある雑談する五つの球体。
一応速度の差があるから少女は追いつかれずにいるが如何せん体力の消耗が激しい。捕まるのも時間の問題だろう。
「もういやーーーー!!!げほっげほっ!」
「もう諦めたほうがいいね!この永夜国の隠密忍軍に目を付けられて逃げられた者は一人とていない!ウサ。」
「おい、今何でウサと言った。」
「…………ひぃひぃ…………こんにゃろうめ!こうなったら!」
少女の人影は覚悟を決めたのか単なるやけっぱちなのか振り返りその球体達と目を合わせる。
意外とも取れるその行動に球体達はほんの少しだけおののく。
その隙に人影は両手に抱えていた刀をきちんと柄の所を持ってそのまま縦横無尽に刀を振りまくった。
「このこのこのこのののののののののひのこのこのこ!!!!」
「………………………………」
少女はやたら滅多に刀を振り回すが球体達は絶対にその射程に入ろうとはしない。
寧ろその隙に球体達はある程度距離を取りつつも少女をとり囲んでいった。
「ぞらぞらぞらぞらぞらぞら!!!!」
「鞘も外さないで何やってんだか………」
「あ、ほんとだ………」
きょとんとした顔で少女は刀を振るのを止め鞘を外そうとする。球体達はその一瞬を狙って少女に向かって一斉に襲いかかろうとしたが、
鞘から刀が抜かれた瞬間眩い光が辺りを包んでいった!!
「あぎゃあああ!!めが!めがぁ!」
「ぎがっち!」
「おお、流石在処先生が作った最高傑作!それおののけおののけとりゃああああ!!!」
少女はその光におののかず、鞘を左手に、抜き身となった刀を右手に持って先ほどと同じ様に右手を大きく動かして刀を振る。
球体達も同じ様に少女から距離を取っていたが緊張感だけは完全に変わりきっていた。
「…………や、やっぱり…………」
「本物………だね、」
「うむ、通常の刀は握りやすさとそれなりの重量である分扱いやすいし、素人から玄人まで幅広く使われている武士の基本。
対してあの輝きを持つ『覇剣』は見た目なんかは真剣と変わらないけど、あえて刀の万能化を目指した分硬度と重量をかなり増加させたため
敵を斬るよりも旗印としての役割が大きい玄人好みの扱いにくすぎる刀。刀の特性を生かして使いこなせないとなまくら刀より弱いただの鉄くずみたいなものだってのに
なんであのガキは片手で振り回してやがるんだ…………」
「どの位重いの………?」
「ざっと子供一人分だね。しかし以前見た覇剣『羽ヰ夕』なんかとは全然輝きが違う………」
冷や汗を垂らし焦りの表情を浮かべる球体達。しかしそう言いつつもジリジリと刀の射程間際まで近づいていった。
「…………本物と分かった以上、躊躇いはしない」
「出来るだけ刀を傷つけずに」
「殺せ」 「殺せ」 「殺せ」
「ひっ!!!止めてよ、こないでよ!」
冷酷な笑みを浮かべる球体達の口から針のような物が垣間見える。少女の前にいた球体がまず最初にその針を勢いよく吹き出した。
「うあわっ!」
「次」「撃て」
少女がその針を間一髪避けるやいなや次の針が右側から少女の腕を狙って発射される。
反射的に少女はその方向に刀を向け針を弾き飛ばした。
「ぎゃっ!なにやってるんじゃ!!」
「そ、そんなことしたら刀が折れちゃうよ!刀が折れたら報奨金が半額うう………」
やけに慌てている球体達の様子を見て少女は唖然としている。
二秒後ちゃんとした思考を取り戻し、未だ狼狽している球体達を見て好機と思ったのか少女は刀を振り上げ目の前にいる球体に向けて振り落とそうとした。
「ぷっ」
しかしそれはあまりにも甘い計算だった。球体達は少女が攻撃の意思を見せた瞬間体勢を整え全員が少女の右膝を狙って針を打ち出したのだ。
五つの針が容赦なく少女の膝に突き刺さり少女の体は勢いのまま大きく地面に倒れる。
「ぎゃあああああああああああ!!!!!!!」
「狼狽えたとでも思ったの?バカなの?」
「これぞ因幡忍法『卯詐欺者騙』」
痛みを堪えて少女は右膝を見る。五本の針は確実に肉に刺さっていてそのうちの2本は完全に貫通していた。
鞘と刀は落とすことなくその手に掴んでいるが、因幡忍軍達はジリジリと確実に少女との距離を詰めていく。
「ぎぃぃぃ!!!!!!!!このおお!!!」
少女は力を振り絞って刀を横薙ぎに振る。しかしそれも呆気なく躱された上に再び針が発射され今度は少女の右腕に突き刺さる。
「いぎゃああ!!!」
「これで無事に刀手に入れられるね、ウササササ!!!」
「ウッシャッシャッシャ!!!」
「シャーッハッハッハッハッハ!!」
「ぐ、こ、この刀は絶対……渡さないんだから!」
「おやおや動けないくせに強がっちゃってるね、バカなの?死ぬの?」
少女は鞘を杖代わりにし何とか残った左足で立ち上がる。しかし風が吹いただけでも崩れそうなくらい弱々しいのが現状だ。
因幡忍軍達もその様子を邪魔することなく唯々少女との距離を依然詰めていくだけだった。
「この刀は……………命の刀だ!」
少女は右脇に鞘を置くことで体を支える。そして左手で右膝や右腕に刺さっていた針を勢いのまま引き抜いた。
針と共に肉もある程度そぎ取られ、傷跡から血がたらたらと流れ出て痛みで姿勢が大きく崩れる。
「ば、バカなの!?抜いたところで何か変わるもんじゃないのに!」
「寧ろ出血でくたばっちまうね!バカだよ!」
「うる、さい、生首饅頭ども!」
激しい痛みを堪え少女は刀を左手に持ち替え大きく振り上げる。
もう攻撃する必要もないと言わんばかりの呆れた顔で因幡忍軍達はほんのちょっと後ずさったが、
思いもよらぬ事に少女は刀を思いっきり自分の腹に突き刺した!!
「う、ぎゅううううう!!」
「!!!!!!!!!!!!!!!!」
「な、なんなのこいつ!!頭おかしいよ!!!」
あまりにも少女が意外な行動を取ったので因幡忍軍達は今度は本気で狼狽し始める。
しかし少女は刀を差したというのにその表情は安らかで、ゆっくりと自分の体から刀を抜いていく。
「覇剣『舞星命伝』………悪に振るえば悪の根源すら途絶え善に振るえばその命は再び目覚める…………すごいよね………流石在処さん」
刀を引き抜き終わると不思議なことに右手右膝の傷がどんどん塞がっていく。
そして刀で刺したはずの腹の傷までもが次第にいった。
「…………ふ、ふ、ふうふふうふふふふふふふふふふふふ…………こりゃあの永夜国の宰相が欲しがるわけだ……」
「ほらほらどうした!かかってきなさいよ!」
さっきとはうってかわって強気で刀を構える少女。しかしまた針が飛んでくると急に引け腰になった。
人間ってそう言うものである。
「あわわわわ、一応回復できるけど痛いからいやなんだよぉ、このこのこの」
少女は飛んでくる針を引け腰ながらもちゃんと刀で弾いていく。
「だから刀で弾くのはやめろっつってるだろうが!!!」
「じゃあ針飛ばすの止めろよ!!」
先ほどの動揺がまだ残ってるのか針の速度は先ほどより遅く少女の反応速度でも何とか付いてこれる。
少女は血の付いた刀をとにかく振り回し因幡忍軍の放つ針を弾いていった。
「埒あかねぇよ!このままじゃ刀折れちまうよ!」
「ばぁか!覇剣がこんな事ぐらいで折れるか!」
「この針は鎧さえも貫通できるように出来てるのさ!だから刀なんてひとたまりもないよ!」
え?と言った顔で呆然とする少女。その一瞬の隙を狙って因幡忍軍達は少女の指に向かって正確に針を打ち出した。
五本が五本全て少女の右手の指を貫通する。悲鳴が辺りに響き渡り少女は刀を持つこともままならず刀は地面に落ちていった。
「今だッ!!!」
「させっか!!!!」
刀に飛びかかろうとした因幡忍軍の一人を思いっきり蹴飛ばしそのまま刀を覆うように倒れ込む少女。
その際刃が左腕を切ったが指にはまだ針が残っているので傷が癒えない。
状況は最悪だ。蹴り飛ばした因幡忍軍もすぐに復帰して少女に近づいてくる。
「殺すころここここkrこrkろrこrkろrkろkろrkろkろrkろおろrこっrkろrkろrこrkろrこrkろす!!」
「な、なんか変な文字使ってる………いや、いやいやいや!!!くんなくんな!!助けて」
「きしゃあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
そして因幡忍軍は少女を囲みつつジリジリと距離を詰め、一斉に少女に向かって襲いかかった!
「待てーーーーーーーーーーーーーーーーーゐ!!!!」
「!?」
突然の怒声に因幡忍軍達は襲いかかることを止めその声の方向へと振り向く。
見計らったようなタイミングで現れたのはこの話の主人公、先ほどまで高枝切りバサミを構えてだらだらしていた不器用なゆっくりみょんであった。
「ひとつひしめくすみざくら、ふたつふりむくこころがふたつ、みっつみつごにちとせあめ、よっつしのこくまいります。
我が名は西行国旗本武士真名身四妖夢。この西行国において粗相は許さないでござる!!」
そう決めポオズ(?)をとってみょんは口の中から高枝切りバサミを取り出す。
「や、やばい。この国の奴らに見つかってしまった。しかも射程長い武器を用意されて」
「あ、まちがえたみょん」
みょんはその高枝切りバサミを口の中に仕舞い別の物を口の中から取りだす。
それは透き通った深い紫色をしていて、小刀のような形をしていた。
「外道剣・羊羹剣!」
「………………………………ぷっ」
因幡忍軍の一人が微かに笑い、それにつられて全員が一斉に笑い出す。
「ゲラゲラゲラゲラわざわざ射程の短い武器に持ち替えたよ?こいつ」
「しかも何それ?菓子剣?ゲラゲラゲラゲラ!!」
「これだから田舎者は困るよね!!」
因幡忍軍、もうメンドイからゆっくりてゐでいいや。てゐ達はみょんとみょんの羊羹剣をあらん限り貶し続ける。
しかしみょんはそれに怒りの表情を表すことなく羊羹剣をゆっくりと構える。
「一つ、言っておこう。この羊羹剣!!!斬れないものはほとんど!!!」
「……………ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ」
てゐ達の笑い声がこの夜の世界に響き渡る。みょんは静かに目を瞑りそうしてこう呟いた。
「桂園流・桂剥き」
みょんは言い終わった瞬間にはもうてゐ達のスキマをくぐり抜けててゐ達の後ろにいた。
そのあまりの速さにてゐ達は後ろを取られた後も驚愕したまま動く事が出来なかった。
「…………………痛く、ないね」
「そうだね」
だが、てゐ達はみょんを背にして互いの体を確認し合うが傷は一つたりとも無い。
そしてまた怪しげな笑みを浮かべる。
「やっぱりこけおどしだね!!今度はこちらの番……………」
そう言って振り向いた時であった。いままで一度も表現されてなかったけどてゐ達の覆面がはらりと地面に落ち、全員の動きが止まる。
皆その事に驚愕の表情を浮かべているがその直後てゐ達のふわふわとしたあの髪がばっさりと宙を舞った。
髪と覆面が無くなったてゐ達はもう単なるウサ耳が付いた
ゆっくり饅頭に過ぎない。
「ほ、殆ど切れないはずじゃ………」
「髪と覆面はその『殆ど』以外みょん」
「ぶええええええええええええん!お家かえるぅぅぅぅぅ」
個性が無くなってすっかり戦意を喪失してしまったのかてゐ達は泣きながらその場からすたこらさっさと逃げていった。
ようやく静寂が帰ってきた。みょんは安堵の息をつきすぐ傍で倒れている少女の下へ駆け寄る。
「さぁご安心下さいみょん。悪党共はやっつけた…………………………死んでる」
ここは何処だろう。少女は目覚めてまず第一にそう思った。
自分はいつの間にか布団に寝かされていたようだ。
少女は気絶する前のことを必死に思い出そうとする。
忍者のようなゆっくりに追われ、刀で傷を癒し、殺されるその寸前謎のゆっくりに助けられた。そこから先は覚えていない。
恐らく救援による気のゆるみで気絶してしまったのだろう。そしてあのゆっくりにここまで連れてこられた。
ある程度思いを巡らせたあと再び思う。ここは何処だろうと。
「あーあー」
とりあえず辺りを見回してみた。意外に広い和室で窓から日の光が入ってくる。
夜が明けたくらいしか分からないので少女は立ち上がってついでに体を伸ばした。と、ここでいろんな事に気がついた。
まず服装が白装束に変わっている。少女が着ていたのは動きやすい半袖だったはずだ。
血で汚れたから洗ってくれるのは分かるが何でこんな儀式とかに使いそうな物を持っているのだろうか。
まぁ裸体になるよかマシだと思って再び布団の上に座った。
「…………………かたな」
身体の軽さと虚無感に気付き少女は辺りを見回す。
「刀、そう、刀だよ」
あの忍者軍団から命からがら守った『覇剣』。それが今彼女の手元にない。
少女は部屋にある物を漁っていったが剣の類の物は一切見つからず余計に焦燥感が募っていく。
「どこ!どこ!どこ!?」
あの刀がどれほど少女にとって大切な物か分からないが頭を掻き涙を浮かべる様子を見ると並大抵のことではないだろう。
遂には棚を破壊するなど暴力的になり、障子を蹴破って隣の部屋に突入していった。
「…………………………みょん?」
障子の向こう側にはみょんがいてのほほんとお茶を飲んでいた。
突然の破壊音に驚きみょんは障子の方を見て少女と目が合う。そして一時の沈黙が流れた。
「どらっしゃあああああああああああああ!!!」
「ぎゃああああああああああああああああああああああああ!!!死体が動いてるうううううううううう!!!」
「誰が死体じゃぼけえええええええええええええええええええええええええっっっっっっっっっ!!!」
沈黙を一撃で破壊すると共に少女は怒りのまま湯飲みを蹴飛ばし流れるようにみょんを鷲掴みにする。
「刀だよ刀ぁ!!渡せ渡せ渡せ渡せ渡良瀬渡せ!!!!返せ帰せ還せ反せ孵せかえせ!!!」
「うひぃぃぃ、そ、そこにあるでござるぅぅぅ」
みょんは涙目ながらも髪で刀のある山を指し示す。
それを見るやいなや少女はみょんを投げ捨てその場所を荒らしまくった。
「ウヒィーーー!!カタナァカタナァァーーー」
もう少女とは思えない奇声を上げながら探し、少女はようやく一本の刀を見つけることが出来た。
ありとあらゆる物が散らばってこの部屋の落ち着いていた雰囲気は見る影もない。だが少女はそんな事も気にせず嬉しそうに頬を刀にすり寄せていた。
「……………不思議なことに、生きてるみょん」
「だから誰が死人だっての。危うく死にかけたけどさ」
白装束なのも死体と思われたからか。そう言えば起きたとき白い布が顔に被さっていたことを思い出す。
一応高揚とした気分も少しは落ち着き少女は刀を抱えたまま空いてるところに座った。
そして刀を目の前に置きみょんに向けて深々と頭を下げる。
「…………とりあえず、助けて下さいましてありがとうございました。」
「まぁ、そう謙遜しなくても。みょんは自分のやるべき事をやっただけのことでござるから」
それなりに格好いい台詞であるが実際はそんな崇高な物ではなく自分の不満を晴らしただけである。
まぁそれで命が救われたからいいか、とみょんはほんの少し誇らしげに思った。
「で、ここどこ?」
頭を上げた途端少女は周りにある物を端に寄せてその空いた空間で気怠そうに体を横にした。礼儀知らずも程がある。
「さっきまでの誠意は何処へやら」
「走りに走って気がついたらここに着いちゃったんだよね、何て言う村なの?」
みょんはその傲岸不遜な態度に深い溜息をついたがその質問に答える意思ぐらいはあった。
「ここは西行国、桜が舞い散る幽玄の地でござるよ」
「…………………………………ええと、そんな国あったかな………」
西行国は博麗や守屋に比べれば知名度は劣るだろう。しかし全くと言って良いほど無名というわけではない。
この地へ徒歩でこれる場所に住む者ならば絶対に知っているはずなのだ。
「………………そう言えば名前、聞いてなかったでござるな」
「え、あ、ええと、私の名前は烏丸彼方(からすまかなた)。風華国の戦国美少女とはこの私の事!」
自分のこと美少女って言う人ほど信じられない。みょんはこの少女に対して猜疑心が芽生え始めたがその前に一つの疑問が浮かんだ。
「風華国と言うのは……………何処のことみょん?」
「知らないの?流石田舎モノだね、風華国と言えばこの国一の大国だよ」
「は?」
この列島『日元』にそんな国はなかったはずだ。しかしなぜこの少女はそれを自信満々に言い切るのだろうか。
「うむむ、訳が分からなくなってきたみょん………ええと、とりまるかたな殿だったかみょん」
「なぜ両方間違えた。」
へ?と言う顔をしているみょんを少女は再び鷲掴みにして自分の眼前まで持っていく。
「確かに、私は良く名前を間違えられるよ。烏丸が鳥丸、かなたがかたなってね
でも烏丸の方は文面で、彼方の方は口頭の場合だけ!それをどうして両方間違える事が出来るの!!」
「……………間違えやすい名前でござるね」
「絶対わざとだろ!このゆっくりヤベーってぜってー病院連れて行くべきだよ!」
そんなこんなで出会ってからまだあまり時間も経ってないのにも関わらず二人は取っ組み合いを始めた。
彼方のあばれる!しかし彼方の攻撃は外れた!
みょんのたいあたり!こうかはいまひとつのようだ
「鋼タイプ…ッ!?」
「何て回避率だッ!」
みょんの体術は悉く受け止められ逆に彼方の攻撃は殆ど回避される。
そんないたちごっこのような喧嘩は長引き一日中騒ぐはめになったとさ。
「あ~~~~~」
「みょ~~~~~~~~~」
散らかった部屋で彼方とみょんの二人は大の字になって寝転んでいた。
既に部屋は凄惨そのもの。長引いた戦争はありとあらゆるモノに禍根を残すものである。
「……………………かなた殿」
「ちゃんと言えるじゃん。ええとみょんさんでいいんだよね」
「よくないでござる。みょんの名前は真名身四妖夢。幽微意様から承った栄光ある名前でござるよ」
「……………みょんでいいじゃん」
「よくないみょん。みょんはようむだみょん!みょんみょんみょんみょん!!!!!!」
「やっぱみょんじゃねーか!なんだぁ!?やんのかこら!」
彼方が啖呵を切って二人は再び喧嘩しそうになったが二人とも動く気さえも起きずただその場で寝転がり続けてることしかできなかった。
そこには笑顔に悲しみもない、嘆息と倦怠感だけが残るばかりだ。ぶっちゃけやる気が起きない。
「………………ところで、風華国とは一体何処にあるのでござろうか」
長い沈黙の後、みょんは彼方にそう尋ねる。彼方は疲れとは違った呆れのような溜息をつき、
「田舎モノ。この島『漆日』の西に位置する最高の国じゃん」
そう罵るかのように答えた。
「『漆日』………………」
またみょんに聞き覚えのない単語が出てきた。しかも『この国』という言葉を前置きにして。
「この島は『日元』でござるよ」
「『漆日』だよ」
「『日元』」「『漆日』」
「『日元』(にちげん)みょん!」「『漆日』(しつひ)だよ!!」
「やんのかこらぁ!!!」「上等だ!!!かかってきやがれ!!!」
と言ってまた啖呵を切るがこれだけ意気込んでも身体を動かす気力が湧かなかった。口喧嘩の余裕すら湧かず二人はそのまま口を噤む。
「…………う~ん何処か食い違いがあるみょん、まずかなた殿は一体何しにここへ?」
「この刀をある人に届けるためにだよ、でもさ、気付いたらここにいてその上あいつ等に追われちゃってさ。散々だよ」
彼方はさっきとは逆に疲れの溜息を吐き出して刀をしっかりと握りしめる。
先ほどまでのおちゃらけた様子は一つもない。刀に掛けてる思いは真剣そのものだ(あ、うまい。いやうまくない)
「この覇剣『舞星命伝』はこれ一つでも戦局が一気に変わるほど凄いの。それを運ぶように命じられたんだよ私」
「この刀がねぇ………」
疑心丸出しで刀を見つめてることに気分を害したのか彼方は刀を鞘から抜いて刃を見せつけるように刀をみょんに近づける
「ほら刃とか凄く切れそうでしょ、これだったら多分鉄も切れるね!最高だね、ひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」
「……………………………あ゛」
不吉な声を出してみょんは刀からとにかく目を逸らす。
彼方が急に不安になりみょんを元に向きに戻そうとしたが頑なに目を逸らす。一頭身である体をねじ曲げてもとにかく目を逸らす!!
「い、いきなり止めてよ。なにがあったのよ!」
「いやいや~みょんは何にも見てないでござる、うん見てない見てない。1ヶ所だけかなり刃こぼれしてるなんて………」
「なんだって!!!!!!!!」
彼方はみょんは思いっきり投げ捨て、刀の刃をまじまじと見つめる。そしてある一点を見たとき彼方の顔は一気に真っ青になった。
刀の腹、その辺りに一回でも刀を交えたら折れそうなほどの傷が一つだけ存在していたのだ。恐らくあの因幡忍軍達の針による攻撃によって生じた傷だろう。
「あ、あ、あばばばばばばばばばばばばばばばば」
このどうしようもない事実が相当ショックを与えたのか彼方は奇声を上げながら白目をむきその場に力なく倒れてしまった。
他にも色々彼女の身に何かあったけど彼女の名誉のためにあえて言わないでおこう。あえて。
「ぎゃああああまた死んだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
さらに悪いことに倒れた衝撃で覇剣がその切れ味と相まって彼方の喉にざっくりと刺さってしまった。
一応命を与える刀、ということだから絶命することはないだろう。現に致死量の血を出したのにも関わらず彼方の呼吸はまだ続いている。
しかしそれでも血は吐き出されるべき息と共に容赦なくあふれ出ていた。
もし、状況を知らない第三者がこの惨状を覗いていたとしたらどう思うだろうか。間違いなく犯人はみょんである。
「……………………やべぇ」
先ほども口喧嘩したばっかでこれでは痴情の縺れでみょんが彼方を殺したような状況だ。
とりあえずみょんは彼方の死体(仮)を戸棚の中に押し込め一息つく。
そして辺りの物を片付け、
「ふざけんじゃねぇよ!!」
とお早い復活であった。
「………………………確かに、その刀はただの刀じゃないでござるね」
「そうだよ!そうだけど!ああ、ああ、ああああああああああああああああああぁぁぁ………
早く先生に直して貰わなくちゃ…………済みませんお世話になりました!」
そう言って彼方は彼方を鞘に収め首に血を付けたまま外に飛び出す。
喧嘩しているうちに時間が相当経ったのか外はもう闇、月と星の光が空間を照らしている。
「………………………え?」
月の光を頼りに走ろうとして空を見上げたその時彼方は驚愕の表情を浮かべた。
大事な刀を早く直すためだというのに、早く届けて大事な人の勝利を捧げてあげたいのに、彼方の足は止まった。
「…………………どこ?ここ」
空には『満天の星』、『双子のような二つの月』が光を放っていた。
この光景が彼方にとってどんな意味を持つのだろうかみょんが知る由もない。
それでも彼女は刀だけは絶対に放さず、ただ虚ろに空を見上げ続けていた。
「え~と、はい、お茶」
みょんは部屋の端にいる彼方にそっとお茶と和菓子を差し出すが彼方は蹲ったまま反応しない。
結局あの後彼方は何処かへ行くわけでもなくみょんの屋敷に戻ってきた。
その時の表情は絶望そのもの。今も全ての気力を無くしたかのように端っこで体育座りして動く事もない。
「…………………羊羹でござる」
「…………………………そんなのどうだって良いんだよ」
「羊羹はおいしいみょん、好き嫌いは良くないでござる」
「いや好き嫌いとかそう言うのじゃないから……………………」
軽いツッコミを入れる彼方だが彼女の目は涙ですっかり腫れている。
みょんは彼方が泣いている理由を知らない。けれどその悲しみに満ちあふれた表情はどこか心に訴える物があった。
「…………………私、もう一人なんだね」
「一体どうしたのでござるか………そんなに落ち込んで」
感情を読み取れてもこのままじっとしていては進展も何も無い。少々不躾だと思ったがみょんは彼方にその悲しみのわけを尋ねようとした。
彼方はほんの少し黙りこくって、涙を拭きこう言った。
「………………………ね、この世界に月って…………何個ある?」
「月?それならさっき自分の目で…………………ええと『二個』だみょん」
今もその二つの月が世を照らしている。みょんはこの時彼方の悲しみが月にあることを察した。
「…………………私がいつか前見た月は『一つ』だった…………でもどうして、一体ここは何処なの!!」
「……………………ここは日元、今二つの大きな国が争っている島国………」
「そういうことじゃない!!!!ここが漆日だか日元だかそう言う問題じゃないの!!
先月見た月が二つになってるってどういう事!!国が違うとかそう言う次元じゃない!」
激高する彼方だがその目からはどうしようもなく涙が溢れ出す。
もう訳が分からないのだ。思考が追いつかない。彼方も、みょんも、誰一人この違いの意味が分からない。
「……………よっつしのこくまいります……………」
みょんは突然昨日歌っていた歌の一節を呟く。気絶する寸前に歌われた歌であるからか彼方は聞き覚えはない。けれどその神妙さに彼方は動きを止める。
「………………?」
「これは西行国に伝わる古い数え歌みょん。もしかしたら関係あるかも」
「…………どういう事?」
「えっと、この西行国はよくよく神隠しの現象があるみょん。とは言っても………出口の方だけど」
「………神隠し?出口?」
「…………えっと、この国ではいつも子の刻頃に突然人が現れる事があるのでござるよ。故に神隠しの出口みょん
恐らくかなた殿はその漆日という国がある世界からこの日元に来たという事みょん」
みょんの話を要約すると『異次元から迷い込んできた』という事である。便利ですね。
でも先ほどまで泣いていた彼方の目は好奇心で溢れている。女心と秋の空と言うが少し顕著すぎだろう。
「………ああ、だから『四つ子の刻参ります』か…………『よっつねのこく』じゃねーか!!!『しのこく』じゃねーよ!」
「そこら辺は突っ込んだらいけないみょん………」
それはゆっくりの存在を問うことに近い。(注:ゆっくりは動くお菓子。動く理屈は考えるな、感じろ)まぁ話が進んだらその辺のツッコミも入るでしょう。
けどこの雑談が功を奏し彼方は少しずつ精力を取り戻すことができた。
「………………はぁ………でもどうしよう。刀はこんなだし、さっきの話から私は神隠しにあったって事なんだよね……」
「……………………刀ならどうにかなるかもしれないでござる」
え?と顔を上げて軽く驚いた表情を見せる彼方。そしてみょんは口の中から昨日使った『菓子剣』「羊羹剣」を取り出した。
「この国は刀の産業においては全世界ピカイチと聞くでござる。だからその刀を直せる刀鍛冶はきっといるみょん!」
「……………ほんと?」
「この刀に誓って!」
「刀じゃねーじゃん、何その棒」
「……………………………………酷いでござる。昨日はこれで悪賊らを追い払ったというのに…………」
自慢の剣を否定された挙げ句棒と呼ばれみょんはかつて無いほど表情に影を落とす。
ちゃんと説明してこの刀の素晴らしさを教えてやらねば、と思ってみょんは立ち直った。
「これは『菓子剣』というみょん。みょんたちは人間より力が弱くて普通の刀は扱いにくいでござる。
故にお菓子から作った軽い刀が作られた、それが菓子剣みょん」
「……………けっ、パチモンか」
その一言はみょんを激怒させるのに十分だった。
「んだとぉーーーーーーー!!!!!いまなんっつたぁーーーー!ゆるさん!!!」
「なめんなぁーーーー!!!こちとら刀を運び続けて十年!刀のことならなんでもござれじゃーーー!!」
彼方はその売り言葉に軽い買い言葉で返す。だがみょんは
「ガキが!!みょんはこの刀と共に生きてるみょん!この刀はいわばみょんの半生!シネ!!ゆっくりじゃなくて今すぐ死ね!!!
低能!!ガキ!!クズ!そんなんだから迷い込むんだよ!!一生迷い込め!!!ここで果てろ!!刀も折れてしまえ!
これ以上バカにするならテメェの自尊心と心の支え全部ぶち壊す!!!死ね死ね死ね!!」
みょんはゆっくりにあるまじきあらん限りの罵声を彼方にぶつけた。
刀が武士の心であるように菓子剣はゆっくり武士の心。菓子剣を貶すことはみょんを貶すことと同等である。
さっきみたいに軽い口喧嘩で済むと思っていた彼方はその罵声相手に言葉が出ない。寧ろその言葉を真に受けて何も考えることが出来ない。
自然と涙が出た。そして彼女の本音が口から漏れ出す。
「……………………………やだ。やだ、真白木さんに会いたい、在処さんに褒められたい、もっと頑張りたい。お姉ちゃんに会いたい!!
やだやだやだやだぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
彼方は堪えきれなくなり大泣きしてまるで子供のように癇癪を起こす。いや、そもそも彼女はまだ子供なのだ。
こんな見知らぬ土地に迷い込んで平常でいる方が難しいのである。
「……………ぐ」
ただでさえ怒りが頂点に達していたみょんは泣くな、喚くなと怒鳴り散らしたいところだった。
しかし先ほどまで意地を張っていた彼方が泣き出したことに戸惑いを隠しきれず言葉が出ない。
このゆっくりできない状況にみょんは苛立ちとは逆に不安、そして悲しみすら覚える
「かえしてよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!なおしてよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん!!!」
「……………………………言い過ぎたみょん。だから泣かないで欲しいみょん」
「びえええええええええええええええええええええええええええええええええん!!!!」
いくらみょんが懺悔の言葉を言おうとしても彼方は泣き止まない。それだけみょんの言葉が彼女の心を抉ったのだ。
みょんはこんな事態になったことを激しく後悔し、そして大きく叫んだ
「………………………みょんが!!!責任をとるでござる!!!!」
「ううええええええええええん……………え゛?ぜきに゛ん゛?」
「そうみょん。みょんが責任とるでござる!折れそうな刀も!かなた殿の世界というのも!!全部!みょんのせいだというのなら!全部責任とるでござる!」
「う゛うーーーーーーー!!!」
さっき自分をズタズタにしたみょんがこんなことを言うなんて俄に信じられない。でもゆっくり特有の表情ながらこの自信に満ちた表情は何だろう。
少しだけ人の言葉を受け入れる余裕が出てきた。
「もしこの国にその刀を直せる刀鍛冶がいないなら全国何処へでも着いていくでござる!!だからゆっくりするみょんんんんんんん!!!!」
「…………………ホント?」
「ああ、この刀にかけてみょんに二言はない!!多分」
「……………せきにん、とってくれるんだよね。じゃあ信じる。信じるしかないから………………」
そう言って彼方はまだ瞳に涙を溜めながらもみょんをきゅっと抱きしめた。
「あ、な、何かみょんにはないでっかい二つのしぼうが……」
「あててんの………」
背丈は中学生ぐらいだが平均高校生以上の胸に押しつけられみょんは少し夢心地、さらに布地が薄い一枚のためその柔らかさはただ事ではない。
まさにウルトラバストインパクト。たまにはエロイ事も書きたいのだ。自分。
「ぷはっ!と、とにかく着替えるでござるよ。そんな血まみれで外は出られないみょん。かなた殿の服はそっちの部屋に置いてあるでござる」
「え?あ、わかった。」
今の白装束は先ほどのドタバタですっかり血まみれ、意識してないのに紅白である。
彼方は刀を持って隣の部屋に駆け込む。女性の準備は長いと言うが彼方はものの二分で元の服に着替えていった。
「じゃじゃーん」
生地自体が厚い半袖と糊で固めたようにハリがあるスカアト、そんな服を纏って彼方は小躍りする。
本当に感情の起伏が激しい子だと思ってみょんは溜息をついて彼方に話しかける。
「さて、これからみょんに着いていって欲しいみょん」
「?どこに?」
「西行国・潔玉城。ここなら何処に刀鍛冶がいるかという情報があろうでござるし、この国の国主『西行幽微意幽意』様に謁見するからでござる」
「『さいぎょうゆうびごころゆい』…………よく分かんない名前。で何でその人に?」
「人、と言うかゆっくりでござるけどな。みょんは今は本業に就いていなくても西行国旗本。国外に出るからにはそれなりの説明をしなくてはならないのでござる」
へぇと言って彼方は感嘆する。多分一から十まで全部は分かってないだろうが旅に出るかもしれないという事だけは理解できた。
「さて、それじゃいくでござるよ~~~」
「あ、まってよ!」
こんな奇みょんな会合から、みょんのゆっくり生は大きく揺れ動いていく。
謎の少女彼方、そして彼女が持つ覇剣。これらが中心となって物語は動き始めるのだ。
これはまだ序章に過ぎない。二人の旅、そして戦いは始まったばかりだ。
- 覇剣チートすぐる
紅魔章で折れてるから使用不可みたいなこと言われてたけど、その理由がよくわかったわ
回復機能持ちの刀は強すぎる
RPGでいうなら壊れてしまって真の力を発揮できない最強武器ポジションって感じかな
だけどその回復機能の間違った使い道全開なシーンでものっそい笑ったw
<「……………………やべぇ」 このシーンのために回復機能があるのかと思ったくらいw -- 名無しさん (2009-11-24 23:45:44)
- ポケモンネタと来たか
色々な小ネタが楽しい話 -- 名無しさん (2009-11-25 01:27:02)
最終更新:2011年04月16日 22:37