「ただいまー」
「おかえりなさい!! おうちでゆっくりしてね」
「あぁ、良い子にしてたか?」
そう言ってゆっくり霊夢の頭を撫でてやる、体を振って喜ぶゆっくり。
「れいむいいこにしてたよ!! おひるもちゃんとたべたよ!!!」
テーブルに視線を移すと作っておいたおむすびは全部平らげてくれたようだ。
少しご飯粒がこぼれているのは仕方ない、ご愛嬌だろ。
「よしよし、いいこだなぁ霊夢は。今、夕飯作ってやるからなぁ」
「ゆゆ!! いそがなくてもいいよ!! きがえておふろにはいってゆくりしてからでもいいよ!!!」
嬉しいこと言ってくれるじゃないか、一緒に暮らすようになってから随分と語彙が増えたな。
でも……。
「大丈夫さ、俺もおなか減ってるんだよ。服を着替えたら直ぐに作ってやるからな」
「!!! うん!! ゆっくりつくってね!! ゆっくりまってるね!!」
はは、本当はお腹空いてたんじゃないか、我慢しちゃってかわいいねぇ。
急いでジャージに着替えて夕飯を作る。
今日は中華炒めと味噌汁、あとは佃煮に漬物。
ほかほかのご飯の上にとろみの付いた中華炒めを載せれば中華丼の出来上がり。
特大サイズの餌入れに載せてテーブルに出す。
「おーい霊夢、ご飯が出来たぞー!」
寝室のベットで遊んでいた霊夢が勢いよく飛び出してきた。
目の前の山盛りの中華丼を見て目を輝かせている。
「ゆ~!! おいしそう。こんなにいっぱいたべてもいいの?」
「心配すんな。バカスカ食らうおまえを養うだけの金はあるから」
「うん!! ゆっくりたべるね!!」
そう言って勢いよく食らい付く、おいおいゆっくりたべるんじゃないのかよ……。
「むっしゃむしゃ♪ おいしいよおにーさん! とってもおいしいよ!!」
そうかい、それは良かったな。
「おいおい、急いで食うから口の周りがご飯だらけだぞ」
「ゆ? ほんとだ!! んべー……」
舌を伸ばして器用にとってくなぁ、……って、そうじゃない。
「お行儀が悪い」
ぺちん
「ゆ!!」
「ほら、口拭いてやるからこっち向け」
とろみと涎でベドベドになった顔を丁寧に拭いてやる。
「ゆっ! ゆ~くすぐったい♪」
「がまんしろや、……ほら拭き終わったぞ。食べ物は逃げていかないんだからゆっくり食え!」
「むしゃ、……べも、むしゃ、おにいjさんの……むしゃ……」
「食うかしゃべるかどっちかにしろ……」
「♪ おにいさんの作ったごh……」
「本当にしゃべるな、普通は食ってから喋るだろ?!」
ちょっ、ご飯粒が顔に、布巾布巾……ってこれも涎まみれだ。
「ゆゆ♪ おにーさんおもしろい」
「もともと原因はお前だ」
ぺちん
「ゆ!」
「おにいさんが、しゃべるかたべるかどっちかにしろっていったんだよ♪」
顔洗ってきて開口一番それかよ。
てか、もう食い終わってるし。
「はいはい、俺が悪かったよ。それで、お前さっきなんて言おうと思ってたんだ」
「そのまえに、おかわりちょーだい。おにさんがわるかったからばつだよ♪」
「わかった、ちょっと待ってな」
くそ、誰だよ悪いことをしたら罰があるって教えた奴?
閻魔か、……いや俺だ、何教えてるんだ俺。
「ほいほい、おかわりな! 残すなよ!!」
「おにーさん、これちょっとおおいよ!」
「量を指定しなかったのはお前が悪い、よって罰だ♪」
ささやかな仕返し。
あぁ、でもこの食いっぷりだと丁度良い量だったかもな。
「おい! それ食う前に話すこと有ったんじゃないのか?」
「ゆ!!!」
しまった、また数分前の惨劇が……。
「んーごっくん!! ちゃんとたべてからはなすよ!!」
……、おお!! 偉いぞ霊夢。
「偉いぞ霊夢、それで何が言いたかったんだ?」
「おにーさんのつくるりょーりがおいしいからどんどんたべちゃうんだよ!! おにいさんのりょーりがわるいんだよ。だからばつをうけてね!!」
そうか、うまいかぁ。
伊達に仕事先で鍋振ってる訳じゃないからな。
「それはいいとして、罰ってなんだよ?」
「かんたんだよ、れいむみたいにぱくぱくたべてみてね♪」
……、訳分からん。
「こうか?」
取り合えず言われたとおり中華炒めをご飯に載せて一気に掻っ込む。
「そうだよ、どう?」
んーどうって言われても、これは……。
「うまい、なぁ」
「でしょ!! そうやってたべるとおいしいんだよ!! おにいさんもおいしかったでしょ?」
そう言ってまた掻っ込みはじめる霊夢。
それを見て、もう一度掻っ込んでみる。
「そうだな、こうやって食うと上手いな霊夢」
「でしょ!! むしゃ、だがらおにーざn」
「だから食いながらはなすな!」
ぺこん
「ゆ! てへへ♪」
さっきの食事はえらい目に有った。
まだ顔がべとべとするな、さっさと風呂に入って今日は寝よう。
「おい霊夢、風呂入るぞ!」
「ゆ~、……。おふろ、はいるよいっしょにはいろうね」
食べ過ぎでさっきまでへばってた霊夢を抱えて風呂場に直行。
あぁ、こいつが本物の博麗の巫女さんだったら良かったのに。
いや、紅魔館の司書さんも捨てがたい。
「おにーさんはやくはいろうよ。ずっとそこにいるとかぜひくよ!!」
……。
そうだな、はやくはいろうな。
ザッバーン。
と勢いよくお湯を溢れさせて風呂につかる。
先に入れといた霊夢もザブンザブン揺れる湯船にご満悦だ。
「もー。おにいさんいきおいよくはいりすぎだよ! もっとゆっくりはいってね!」
「これがゆっくり出来る入り方なんだよ。明日が休みだったら酒飲みながらも良いんだけどな……」
「おにいさん、それもゆっくりできるけど。いつものやつやって! いつものやつ!!」
はいはい。
タオルを湯船の中に入れて丸める、少し強く握るとあわがシュワーっと飛び出してくる。
「ゆっゆ♪」
「お前も飽きないなぁ。ほら、そのままだと溶けるから一旦上がれ。体洗ってやるから」
「むー!! れいむはとけないよただのおまんじゅうじゃないもん!!」
「そうでも言わないとずっと上がってこないだろ? ほら、無理矢理にでもあげてやるぞ~!!」
「きゃーおにーさんがれいむをいじめる~♪」
あぁ、これが博麗の……。
その後、体を洗ってやり俺も洗った後一緒に湯船で川の流れのようにを歌って風呂から出た。
「おーい、明日はちょっと早いからもう寝るぞ。こっちにこいや」
「うん、おにいさんといっしょにゆっくりねるよ♪」
あぁ、これg……。
「ほれ、さっさとはいれ」
「ゆっくりふわふわ~♪ おにーさんおやすみなさい」
「はいはいおやすみオネショすんなよ?」
「れいむはおれしょなんてしないよ!!」
仰向けで布団をかけると死にはしないが窒息するので、必然的に横向きになる。
何を思って俺が買ったのか知らんが、キングサイズのベッドなので布団が捲れるということはない。
……が、始めのころはコイツの視線が気になってなかなか寝付けなかった。
「ゆ~~っく~~~り~~~」
相変わらず寝るのはえーなー。
さて、俺も寝るか。
……。
「今日は延滞している図書館の本を返してもらいますよ!!」
「断るって言ったら?」
「もう。どうして貴方まで魔理沙さんの真似をするんですか? もっとまともな人だと思ってたのに」
「だって、この本を返してしまったら、もうここに来ないだろう?」
「!!! それは、……だったらあなたが図書館に来れば良いじゃないですか」
「いやだね。俺は慣れない化粧をして家に来る君を見たいんだ」
「……もう、○○さん」
「小悪魔……」
「ch……」
「ゆ~♪」
「!!!」
……、オーケー理解した。
目の前にはゆっくり、そして俺の口の位置も理解した。
あぁ、良い夢だったよ。
最高の夢だった。
……
「朝だ、起きろ」
ぺちん
「ゆ!! ……。 おにーさん! れいむはおねしょしてないよ!!」
「分かってる、これは俺が悪い。お詫びにホットケーキを作ってやろう」
「ゆ♪ ゆっくりたべるよ!! おにいさんのほっとけーきだいすき!!」
そう言って嬉しそうなゆっくりに、蜂蜜たっぷりのホットケーキを出してやった。
あぁ、朝一緒に飯を食うのが博麗……。
「それじゃ、言ってくるから大人しくしてろよ。昼飯はテーブルの上な。今日はサンドイッチだぞ」
「ゆ! わかってるよ。 おにーさんも気をつけていってらっしゃい」
「あぁ、行って来ます。それじゃぁな!」
玄関に鍵をかけて家を出る。
最近は珍しくなくなった洋風の家に新興住宅地。
ちらほらとゆっくりを買っている家も結構多い。
独身暮らしだった俺にとって。
最近の行って来ますと言ってただいまと言えるゆっくりとの生活もなかなか楽しい。
でも、どうせ二人で暮らすなら博麗……。
「さてと、今日はケーキでも買って帰りますか!」
そう言って職場へと俺は足を進めた。
Fin
- ゆっくりできたよ!ありがとね!! -- ゆっくり名無し (2009-03-27 02:07:57)
- 読んでいるだけでゆっくりさせられます♪
-- 名無しさん (2009-03-31 01:56:16)
- すごくゆっくりしてるね! -- 名無しさん (2010-11-27 13:13:52)
- ゆっくりしてるね
うらやましいよ
俺の夏休み、
終わっt(ry -- 闇の住人さ (2012-08-10 22:24:46)
最終更新:2023年10月31日 16:51