ゆっくらいだーディケイネ外伝「EPISODE 0:戦士 が 生まれた 日」

『ゆっくらいだーディケイネ外伝』

            EPISODE 0

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| 戦 || 士 |  | が | | 生 | | ま || れ | | た |  | 日 |
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どこかの世界にある館、紅饅館。そこは今まさに、何者かによる襲撃を受けていた。

「第3客室、敵の侵入を確認!」
「第6遊撃班、迎撃!」
「厨房にて火災発生!」
「隔壁!消化剤防除!」
「隔壁ってなんだよ!そんなもん無いよ!」

押し寄せる敵の大群を迎え撃つは、紅饅館のメイドゆっくり部隊。善戦してはいるものの、状況は劣勢にあるようだ。

「…」
「…」
「…」

館に侵攻している『敵』。その姿はあの『ゆっくりできない世界』の兵士、ユックレスと酷似していた。
だがその輪郭はぼやけ、向こう側が透けている。まるで亡霊のようだ。

「駄目です!エントランス突破されます!」
「1階部分は放棄する!2階へ上げるな!」
「左舷!弾幕薄いぞ何やってんの!」
「モノマネして遊んでんじゃねーよ!」

必死に防戦するメイドゆっくり部隊だが、次第に押され、防衛ラインが下がっていく。

「…」
「…」
「…」

2階の守りを固めるメイドゆっくり部隊だが、それでも敵の侵攻は止まらない。やや速度は落ちたものの、
押し切られるのは時間の問題だろう。
だが…どこの誰とも知らぬ連中のこの暴挙を許すほど、紅饅館は寛大ではなかった。

『 そ こ ま で よ ! 』
『 う ー ! 』

館中にれみりゃとぱちゅりー、二人の声が響く。同時に館全体が紅く輝きだした。

「!」
「!?」
「!!!」

その光はゆっくりと、敵の身体を包み込みその動きを束縛する。そして包んだ敵の身体ごと縮んでいき…やがて完全に消滅する。
館全体に魔法陣を描き、れみりゃとぱちゅりー二人分の魔力で発動させた大規模魔術。それにより雌雄は決した。
紅饅館の勝利だ。



「終わったわね…」
「うー…」(そうだね…)

敵が消え、メイドゆっくり達も治療や休息のため部屋へ戻っていき、掃除もされず放置されたままの誰もいなくなったエントランスを
れみりゃとぱちゅりーは見下ろしていた。

「今回は退ける事が出来たけど、次また現れたときはどうなるかわからない…」
「うー、うーうー。うー」(そうだね。だから、今回得られた情報を分析して原因を調べて、対抗策を…
むしろこっちから打って出られるくらいの用意をしなくちゃね)
「だから、今回得られたデータをもとに調査・分析して対抗策を…こちらから打って出るくらいの用意をしなきゃあね」
「うーうー。うー?」(いやそれさっき私が言ったじゃん。人の話聞いてた?)

ぱちゅりーはじっと、帽子から取り出したものを見つめる。
それは今回得られたデータの中でもおそらく最大の収穫…一枚のメダルだった。



―――数日後。

「むきゅー…みんな、集まったわね」

図書館にぱちゅりー、れみりゃ、さくや、そしてめーりんが集い、テーブルを囲んでいる。
例のメダルについての調査結果が出たため、その説明をするべくぱちゅりーが全員を招集したのだ。
(ちなみにふらんは呼んだら話がややこしくなりそうなので、別のテーブルで漫画を読ませてある)

「Zzzz…」
「めーりん寝るな」(ザクッ)
「はうっ!」
「じゃあ早速始めるわね」

額にナイフの刺さっためーりんを「まぁ、いつもの事だし」で済ませ、ぱちゅりーは調査結果の説明を始めた。
あのメダル、そして残留魔力のデータからわかったのは。
一つ、ここではないどこかの世界が『ゆっくりできない世界』へと変貌した事。
一つ、それを放置するとやがて別の世界までも『ゆっくりできない世界』へ変わってしまう可能性がある事。
一つ、この前現れた連中はその影響の一つ、この世界をゆっくりできなくするために現れた尖兵である事。

「つまり…ゆっくりは絶滅する!」
「「な、なんだってー!」」 「う、うー!」(な、なんだってー!)
「寝るなめーりん」(ドスッ)
「いや起きてましたよ!?一緒にMMRやりましたよね!?」
「ついてはこの事態に対抗するため、しばらく研究をやろうと思うの」

2本目のナイフが刺さっためーりんをやはり流し、ぱちゅりーは話を進める。

「だから人員と資金をまわしてほしいんだけど…れみぃ、いいかしら?」
「う?うー…」(うーん、確かにそれも大事なんだけど、PGダブルオーライザーほしいし…)
「ありがとう!そんなにあっさり快諾してくれるなんてさすが親友ね!」
「うー!」(してないよ!)
「世界のためゆっくりのため私財を投じるそのお姿…さすがお嬢様です」
「うー!」(違うって!)
「お…」
「死ねめーりん」(デュブチュッ)
「人の台詞邪魔しないでくださいよ!っていうか今死ねって言いましたね!?」
「なんかものすごい音がしたけど大丈夫?」

3本目は流石にスルーしきれなかった。なんかこう、なんか…アレなことになってるし。

ともあれ、こうして世界がゆっくりできなくなる危機…ゆっくらいしすに対抗するための切り札、ゆっくらいだーシステムの開発が開始された。
異世界の物であるメダルを元に行われたその研究は困難を極め、日夜不眠不休の作業が続いた…



「どうやら私達ゆっくりからは、個体ごとに異なる粒子が発せられているようね…これをゆっく粒子と名づけましょう」
「ダサッ」
「ねーよw」
「むきゅー!ゆっく粒子ったらゆっく粒子なの!」

「成長性を重視して初期性能を低めのプランでいくか、それとも成長性を犠牲にしても初期性能が高いプランでいくか…」
「敵の力は未知数なんだから、成長性があったほうがいいよ!」
「その前にやらちゃったら元も子もないよ!最初から強い方がいいよ!」
「じゃあいっそ両方作っちゃいましょうか」
((…言わなきゃ良かった))

「ぱちゅりー様、ゆっくらいざーが完成しました!これでゆっく粒子を効率よく制御できるようになります!」
「…あ、そう…」(ゆっく粒子って何だったかしら…)

「紅魔郷クリアしたー?」
「ううん。6面で力尽きちゃうんだよねー。ぱちゅりー様は…あれ、どうしたんですかぱちゅりー様」
(…紅魔郷って5面までじゃないの!?)

「そこちょっと、8・2・0~(ぱ・てゅ・りぃ~)」
「…」
「…」
(…見られた!)

「カバディ!」
「カバディ!」
「カバディ!」
「カバディ!」



嘘です。実際は一日2時間くらいのペースでゆっくりやってました。

まあ、そんなこんなもありまして。

「つい」
「遂に完成しましたね…2つのゆっくらいだーシステム」
「ええ、でもこ」
「でもこれで終わりじゃありませんよね。むしろこれが始まり、ようやく戦いが始まるんです」
「そのために、い」
「そのために一刻も早く装着者の選出をしなければ…」
「むきゅー!最後まで言わせなさいよ!」

堪忍袋の 緒が切れた!

「どうも最近、あなた達に下に見られてる気がするわ…」
「そんな事ありますん」
「そんけにしてます。あ、そねけいして…尊敬してます」
「…2回も噛むほど言いたくないの?」
「ぱちゅりー様。そんな事より…」
「ええ、そうね」

開発室にいるゆっくり達の全ての視線が一箇所に注がれる。全ての瞳がそれを見る。壁に掛けられた時計を。
3時だった。

「おやつにしましょう」
「「「「はーい」」」」」

どんな時でもおやつは大事。そうネ、そうだよネ。ぱちゅりー含む全員は、開発室をぞろぞろと出て行った。
キチンと箱にしまわれた2つのゆっくらいだーシステムを置きっぱなしにして。




















「あら?」




















そして翌日。

「むっきゅぁぁぁぁぁぁぁ!」

開発室にぱちゅりーの絶叫がこだました。その顔は真っ青になっている。ぱちゅりーなだけに。

「ない!ない!どこにも無い!」

机の上に置きっぱなしにしておいた2つのゆっくらいだーシステムが忽然とその姿を消していたのだ。
ちゃんとしまって帰れよ。

(一体どこに…まさか、あのゆっくりできない世界の連中がもぐりこんで持ち出したんじゃ…!)

ゆっくらいだーシステムはゆっくらいしすへのカウンター。『ゆっくり』を取り戻し、守るためのもの。
ゆっくりできない世界、そしてそれを創り出そうとしている連中にとってはとても迷惑な存在と言える。考えられない話ではない。

(なんてこと!ここまで来て…!)

ぱちゅりーは俯き、その身体を震えさせる。自らの無念と、後悔と、ふがいなさに。まぁ、完全に不注意だしね。

「ぱちゅりー様、おはようございます」
「さくや…早いのね。まだ11時よ?」

昼前じゃないっすか。普段どんだけ遅いんですか。

「ああそうだ、プレゼントなら昨夜私が発送しておきましたので。さくやなだけに。ふふっ」
「…は?」
「昨日机の上に置いてあった箱。あれプレゼントですよね」
「え!?ちょ、ちょっと待って!?」
「勝負はこれからさはったはった、ですか?」
「そうじゃないわよ!諦めた時点でゲームオーバーだけど、なんか現状をこの手で切り開けそうな気がするから幾つか質問させて!」

出典:「少年ハート」(HOME MADE 家族)
流行ってるんです今。紅饅館で。

「まず…さくやあなた、ここにあった箱がどこに行ったか知ってるの?」
「知ってるも何も、送ったと申し上げたではありませんか。プレゼントですよね?あれ」
「そのへんから話が見えないわ。プレゼントってどういうことよ?」
「これの事ですが」

さくやはどこからともなくラジカセを取り出してテープを再生した。ちなみにラジカセっていうのはラジオとカセットテープレコーダーが
一緒になった機械の事で、カセットテープっていうのはカセットテープの事なんですよ。

『ゆっくりぱちゅりーの、むっきゅん☆だぁいほうそう~』
「むっきゅぁぁぁぁぁぁぁ!」

再びぱちゅりーの絶叫がこだました。今度は顔を真っ赤に染めて。

(これは私が毎週密かに録音してるひとりラジオ…!なんで、なんでさくやが…)

平たく言うと、現在進行形の黒歴史。みんなにも過去に一つくらいあるだろう。あるよね。あるって言って。

『今夜もみんなで、むっきゅむきゅになろうね~♪さぁ~て、まず最初のおたよりは~』
「私これ毎週楽しみにしてるんですよ。まさかリスナープレゼントまで用意してたとは思いませんでした」

にこやかに笑いながらテープを再生し続けるさくや。ぱちゅりーは羞恥に身体を震わせている。

『鳥島県(架空の地名)にお住まいの、ラジオネーム眠れぬ森の魔女(架空のリスナー)さんから…』
「…ド…アル……ド………スク………ロス………ルク………
灰燼と化せ冥界の賢者!七つの鍵をもて開け地獄の門!」

耐え切れなくなったぱちゅりーはヤケクソ気味に呪文を詠唱し、ありったけの魔力を集める。
ふしぎなちからが くわわる!くわわる!

「七鍵守護神(ハーロ・イーン)!」

集束された魔力が一条の光線と化し、ラジカセを飲み込み蒸発させる。これで平和は保たれた。

「ちなみにあのテープですがダビングして館内の全員に配布してますので」
「ぐっはぁ!」

ここ最近の部下達の態度の謎が解けた気がした。早急に手を打たねばなるまい。
というかぱっちぇさん、なんか忘れてませんか?

「そ、そうよ!ゆっくらいだーシステム!どこに送ったの!?」
「?もちろんリスナーに送りましたが…」

そう言ってさくやは2枚のハガキを差し出した。

『アンケートの回答:2,2,5,1,3 たたみいわし
希望するプレゼント:ふるさと小包がいいです。
住所:(個人情報保護バリアー)
氏名:床次紅里』

『ぱちゅりー!ぱちゅりー!ぱちゅりー!ぱちゅりーちゅぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!ぱっちぇぱっちぇぱっちぇぇええぅわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー
(※一部というか大分不適切な表現があるため省略させていただきます。ごめりんこ)
森定伝子』

「…何これ?」
「先日の襲撃の後片付けをしていたら出てきました。ラジオ宛てのお便りだと思ってここに置いておいたのですが…」

襲撃の後に出てきた、ということはおそらくあの時に生じた時空の歪みに巻き込まれて異世界から届いたハガキだろう。
少なくとも最初からこのラジオ宛てに届けられたハガキではない。だって放送してないもん。勝手に配布した奴は目の前にいるけど。
(2通目は妙な電波を受信というか発信している感じがするが気味が悪いので無視する)

「とにかく、送っちまったもんはしょうがないわ…どうにかしてこの二人にゆっくらいだーとして戦ってもらわないと…!」

そんな事言って、実は選別面倒になっただけでしょう。

「さくや!そーゆーワケだからかくかくしかじか説明してらっしゃい!なんだったらモノで釣ってもいいわ!5000円までなら許す!」
「かしこまりました。ついでに『うー!うーうーうー!ううー!』と謎の置手紙を残していなくなったお嬢様も探してきますね」



こうしてこの日、別々の世界で…

「ふるさと小包プレゼント!」
「乗った」

ゆっくらいだーディケイネと…

「さくやちゃん!?本物!?あぁぁぁりがとう神様ぁぁぁぁぁぁぁぁ…(ドスッ)…あぁぁ…愛が鼻と額から噴き出してるわ…」
「それは 血です」

ゆっくらいだーディエイキの、ゆっくりを守る戦いが始まったのだった。











○ゆっくらいだーシステムに関する報告書

<概要>
様々な世界がゆっくりできなくなる危機・ゆっくらいしす。その尖兵として紅餡館を襲撃した謎のゆっくり達(=ユックレス・シャドウ)を
分析し、ゆっくらいしすに立ち向かうために開発された、全てのゆっくりする者達の最後の希望。それがゆっくらいだーシステムである。
ゆっくらいだーシステムは人間をゆっくりへと変身させ、それにより様々なゆっくりの力を使うことが出来るようになる。

<構造>
全てのゆっくり(他の世界のゆっくらいだー含む)はそれぞれ各個体独自の「ゆっく粒子」と呼ばれるものを放出している。そのゆっく粒子が
放出される波長(以後粒子パターンと呼ぶ)をメダルに記録・圧縮させ、専用のツールで解放する事で装着者をゆっくりへと変身させる。
開発されたゆっくらいだーシステムは2種類(永型・ディケイネ、映型・ディエイキ)あるが、この点は両者共通の基本特性となっている。
ゆっくらいだーシステムはアクセサリ型粒子解放ツール(永型はディケイネックレス、映型はディエイキーホルダーと呼ばれる)と
専用のメダルポシェットのセットで構成される。ポシェットの中には数枚のメダルが収納されており、装着者が取り出す際に
ポシェット内部に構成されている粒子変調システムによってメダルに圧縮されている粒子を装着者の望むものへと書き換える。
装着者はメダルをポシェットから取り出し、粒子解放ツールに挿し込み、カバーを閉じる。この動作を行うことによりメダルに封じ込められた
ゆっく粒子が解放、装着者の周囲に展開されゆっくりへの変身、あるいはゆっくりのスキル・スペルを発動させる事が出来る。
(その際、使用したメダルは自動的にリセットされポシェット内部へと戻る。ただしディエイキが他のゆっくりを生成する際に使用したメダルは
例外で、生成したゆっくりが消えるまでポシェットに戻らない。出た分だけポシェット内部で新たにメダルが生成されるので、
メダルがなくなる事は無い。)
ただしゆっく粒子はあくまでゆっくりが放つものであるため、人間の姿のままではシステムを動作させることが出来ない。そのため、
永型・映型ともに第一段階として人工ゆっく粒子による基本形態「ディケイネ」「ディエイキ」に変身(ユックライド)する必要がある。

<永型・ディケイネについて>
永型は、2種のゆっくらいだーシステムのうち先に完成されたシステムである。基本形態ディケイネに変身するほか、その機能を応用し
他のメダルを使う事でディケイネ以外のゆっくりにも変身する事が出来る。永型の由来は粒子パターンを記録すれば理論上あらゆる
ゆっくりに変身でき、『永遠に成長し続ける』事から。

<制約>
先述の通り理論上あらゆるゆっくりに変身することが出来る永型だが、最初からあらゆるゆっくりへと変身できるわけではない。
人工ゆっく粒子で変身する基本形態ディケイネ、テスト用の粒子パターンを記録した何体かのゆっくり(これについてはあくまで
テスト用であったため、ラストスペルライドが使用不可などの制限がある)を除いたゆっくりに変身するためにはそのゆっくりの
粒子パターンをポシェットに記録させる必要がある。粒子パターンの記録に必要なのはゆっく粒子の蓄積量ではなく、
瞬間的な放出量である。ゆっく粒子の放出は常に行われているが、ゆっくりの感情によりその量は左右される。微弱な粒子を
いくら浴びたところで粒子パターンは記録できない。ゆっくりが、ゆっくりさせたいと強く願った瞬間…つまり心の底から無意識のうちに
「ゆっくりしていってね!!!」と叫んだとき、最も大量のゆっく粒子が放出される。それを浴びたとき、ディケイネのポシェットは
粒子パターンの記録に成功する。

<追加装備-ヒストリボン>
早期に基本システムが完成した永型については追加装備が開発される事となった。それがヒストリボンである。
記録した全てのゆっく粒子のパターンを刻んだこのリボンを使う事でディケイネはハクタクフォームへと変身し、
性能の飛躍的な向上に加え「歴史を創る」程度の能力を得る事が出来る。
ただしこのハクタクフォームはあまりに強力すぎる性能のためリミッターが存在する。
9体以上のゆっくりの粒子パターンを記録している事。
そして、装着者である人間が、ゆっくりがゆっく粒子を最大放出する時と同じ感情…つまり、誰かをゆっくりさせたいと強く願う事。
以上の条件を同時に満たした時、リミッターは解除され装着者のもとにヒストリボンは現れる。だが装着者があくまで人間である以上、
2つ目の条件を満たす事はおそらく無いと思われる。

<映型・ディエイキ>
永型の完成から大幅に遅れて完成したのがこの映型である。他のゆっくりに変身する永型と違い、映型は記録された粒子パターンを
再現する事により他のゆっくりのレプリカを作り出すことが出来る。映型の由来はこの『他のゆっくりのヴィジョンを映し出す』機能から。
基本形態への変身システムを応用できた永型と異なり、この機能は完全新規のものであるため開発期間が大きく延びる事となった。
しかし永型と違い、本体であるディエイキはそのままに他のゆっくりを作り出す事でディエイキの力は単体による戦闘力から集団による
戦力へと変質し、より高度・強力な戦いを行うことが可能となる。システムを有効に活用するため、永型と違い映型のポシェットには
予め多数の粒子パターンが記録されている。粒子パターンの解析・記録も開発期間が延びた原因の一端である事は否めない。
なお、ある程度限られた装着者しか変身できない永型と異なり、汎用性を高めたこの映型は大抵の人間が変身する事が出来る。ただし
粒子適合率の低い者が変身した場合、エラー発生(異なる種類のファイナルフォームライドが適用されてしまう、ディエイキではない別の
何かになってしまう、などが想定される)の危険性があるため選出された装着者以外は使用しない方が賢明だろう。



以上がゆっくらいしすに対抗する『ゆっくらいだーシステム』に関するレポートである。
だが、紅餡館を襲撃した謎のゆっくり達の出現をはじめ既に色々な世界でゆっくらいしすの前兆…ゆっくりできなくなる異変が起き始めている。
それらの異変を乗り越え、ゆっくらいだーはゆっくらいしすを食い止める事が出来るのか…今の私にはまだ、それを知る術は無い。
しかし私は信じている。そして私は願っている。
ゆっくらいだーの勝利を。
ゆっくりできる未来を。
このレポートを読む者たちの前に、そんな世界がある事を…。




















 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V[ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      ,. -‐-、        ,.- 、
     /     i      /,   ヽ.
    /      ハ├──-//i    i
   ,'      / ソ::::::::::::::::::ヽ、!    |
   i   /:;:::::::::::::::;:::::::::::::::ゝ、____ノ
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   ハ:::::::レヘ::i' (ヒ_]    ヒ_ンハソ:::ハ 
   |::::::::ノ:::l:|"   ,___,   l:::::|::ノ 
   ノ:::::::::::::ハヽ、  ヽ _ン  ノ::::i:::(
  イ:::/::::::/:::イヽ>, -r=i':´イ:::ハノ
  〈rヘ:::::!::レ´   `y二」ヽレ':::〈
<おしまい>

※念のため
ゆっくらいしす=ユックリバースの出現およびゆっくりできない世界の『病気』の蔓延による世界がゆっくりできなくなる危機のこと です。
でんこに追い掛け回される事ではありません。



書いた人:えーきさまはヤマカワイイ

この作品はフィクションです。ゆえに実在する人物だのなんだのとは一切関係ないんじゃないかと思います。
ついでに言うと、報告者が報告者なので設定の信憑性は疑わしいところです。


  • 紅饅館って美味しそうないい名前してる
    ディケィネ、ディエィキのコンセプトが明確になって読んでてわくわくした
    両方とも「えい」型なのはやっぱり名前を掛けているのかな? -- 名無しさん (2009-12-19 13:49:48)
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最終更新:2009年12月19日 13:49