1人と一頭の夜に

「1人と一頭の夜に」
クリスマスの夜程寂しい物は無い。特に1人暮らしで彼女も居らず、親は田舎で、1人っ子故に訪ねる兄弟など最初から居ない俺にとっては特にだ。
「人じゃないからって私をはぶく……ねたましい。」
あー、まぁ、他に一頭居たか、ぱるすぃ。
だが、クリスマスの夜風呂場でゆっくりの髪洗ってるというのは、その、堪える。
「なにがよ。ねたましい。」
なんかこう虚しいんだよ……。海パンはいてるし。
「いやなら脱いでもいいわよ?どうせねたましくないでしょうし。」
プっ、と笑いやがった。こんなんだから可愛くない。
そんなんでこ憎たらしいお饅頭の頭をゴシゴシと泡立てていると、
「お兄ーちゃーん」
と声がした。
見ると、曇りガラスの向こうに影が見える。
「お兄ちゃん、お風呂入っていいー?」
駄目だ。
「えー!折角妹が入るって言ってるんだよー!」
「何よ、ねたましい……。」
「ぱるぱるも一緒なんだ!じゃあさ、三人で一緒に!」
駄目だ!とにかく駄目!
「……入れてくれたらさ、イイコトしてあげるよ?」
「いやらしいこと言って釣り上げようとする……ねたましい……。」
「いいじゃ~ん。ぱるぱるもぱふぱふしたげるよ?」
……そんな胸あんのかよ。
「確かみてみる?」
「ゲーメスト……ねたましい。」
とにかくお断りだ。さっさとあっちいけ!
「もう……。入れなかったの後悔しちゃうよ?ケロちゃん的な意味で。」
入れたらゆゆこ的な意味で後悔するだろうからいいです。
「仕方ないね。」
ガラス越しの影は消えていった。

「ふう……ねたましいわ。」
ま、いつものことだからな。
「呼んだ?」
出てけ!
「ぶー。」

「ちょっと祟り殺したいだけなのに……」



……ま、とにかく。
安い部屋のツケにしたらいい方だ。
シャンプー流すぞ、目閉じとけ。
「分かってるわよ……ねたましい……。」

  • 妬ましい! -- 名無しさん (2009-12-26 20:06:22)
  • パルパルしいわ! -- 名無しさん (2009-12-26 22:53:54)
  • 恨めしい! -- 名無しさん (2009-12-27 00:36:47)
  • おお、妬ましい、妬ましい。 -- 名無しさん (2010-02-23 16:20:30)
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最終更新:2010年02月23日 16:20