即興、書ける時に即興。色々と無理な分即興。オチなし。
『廃屋のお茶会』
廃ビルに囲まれた、古く朽ち始めた廃屋。私はそこの中へ子供時代の様に潜り込む。
内部はドアが外れ、寂れた姿を晒す多くの部屋が並ぶ中、ただ一部屋だけ、
しっかりとドアが立てられていて見た目にも小奇麗に掃除されている部屋があった。
「また来たのか、暇な奴だぜ。」
中に入ると、部屋の窓辺で外を眺めながら陽の光を浴びている、頭。
黒いトンガリ帽子に金髪のロングヘアー。顔横で三つ編みにした髪がワンポイントの頭。
そして、何処か特徴的な、あまり変化することの無い表情と輪郭。
目をぱっちりと開き、眉をまげ口を開いたままUの字の様な輪郭を持った、
そんな独特の外見の頭が、体の無い頭だけの姿で喋りかけてきた。
それは、想像力豊かな者なら魔女の頭が呪いで生き続けていて、
侵入者に警告しているのだ。などと考えるかもしれない様な、そんな奇妙な光景である。
「どうした、今更まじまじと見て?」
今思ったことをそのまま口にだして、その頭に伝える。
すると表情を変えず、口も開けたまま動かさずにケラケラと笑い始め、
「ハハ、恐怖の魔女の館にようこそ!!。ってか。」
ふざける様にそう言い捨てるのと同時に私の少し目の前、
大体にして部屋の中央辺りに突然テーブルとコーヒー、ポッド、そしてお菓子が現れる。
その魔法のような光景は何度見ても不思議な物で、思わず目を奪われてしまった。
「ま、そんな事よりも、だ。何時もの様にお茶をしに来たのだろう?」
ハッと、我に返り、声のした方をむけば、先程まで頭だけの姿だった者が
ずんぐりむっくりとした手足の短い、頭が何処か不自然な大きさで独特の表情を
浮かべてる事を除けば、まるで人間の小さな幼子の様な、そんな姿に変わっていた。
「ほら、こっちに来いよ。コーヒー一杯を飲む内に大抵の悩みは解決するってな。」
悪戯の様にニヤつく表情をして手招くそれに誘われるがままに椅子に座り、
他愛のない話から、興味深い話まで様々な会話をしながらコーヒーを飲む。
愉快なお茶会はしばらくの間盛り上がりを見せ、お互い楽しい時間を過ごす。
が、楽しい時間には常に限りが有るもので、非情にも私の腕時計のアラームが
部屋に鳴り響き、そろそろ用事の時間で出なければならない事を告げて立ち上がると、
「ああ、あんたも忙しそうだしな、用事の時間なら仕方ない。」
淡々とそう言い終えるのと同時にテーブルや食器など出てきた物は全て一瞬にして消えてしまった。
私はそれを見てから静かに帰り支度を勧めると、ふと、有ることに気がついた。
もう幾度となくここに足を運んでおきながら、今更なある事実に。
「・・・やれやれだ、名前なんて今更聞いてくるとは。あんたは喋るだけの相手の名前なんて興味の
無い奴なのかと思ってたんだが、その実ただのうっかりさんとは、こいつは一本取られたぜ。」
呆れているのか、それともただ単に愉快なのか、喋りながら珍しく二転三転させ、
それからまた元の表情に戻ったかと思えば、静かに、そしてあっさりと言った。
「まりさ、だ。平仮名でまりさ。ほれ、忘れないようにこれをやろう。」
まりさがゆっくりとした速度で小さな噴出しを私に向けて飛ばす。
噴出しを手にとり、見てみれば荒々しい文字で"まりさ”と書かれており、私は苦笑してしまう。
そんな私を見て、二ヤついていたまりさに私は再会の約束と別れを告げてその部屋を後にした。 即興の人
- 雰囲気ssって感じですな
ただ、そこはゆっくりしていってねと一言告げるべきだろまりさ -- 名無しさん (2009-12-28 11:08:29)
- 噴出しって持てるのかw -- 名無しさん (2012-03-18 00:08:38)
最終更新:2012年03月18日 00:08