「胴体と服とお財布と冬休みの自由工作と友達のナズーリンを失くしてしまいました! どうか助けてください!」
虎丸から電話があったのは午前6時。とても寒い朝
こあくまは、聞こえよがしに舌打ちをすると、パトパトと飛んで村のちょっと外に飛び出して、虎丸の家に行く。
それにしても、こんな時間になきついてくるとは、今まで寝ていたのか、こんな時間に起きたのか。何かを失くすと
脊髄反射で他人に泣きつく習性があるので、気がついたのは先程だと考えて間違いない。
到着すると、虎丸は地面が軽くぬかるむ程泣いていた。
「よく来てくれました!」
「何で私なんです?」
こうは聞いたものの、こあくまは冷や汗に気づかれないようにする事に必死だった。
しゃくりあげながら虎丸は、一言だけ搾り出した
「あなたと私の仲じゃありませんか」
――――――あれか
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・・・・・・半年前
┌─────────────────┐
│ : r、: :r、: │
│ :,i ヽ、: ___ :ノ ヽ: ..│
│ :/ / `ゝイ´ ;;;; `ヽ:Y ハ: .│
│ :;' ! ;ノ/  ̄ ̄ ̄ ̄ \ `! !: │
│ :l/⌒/ヽ/ ∞ \ヽノ: │
│ [___________] .....│
│ :i:::,'::|:::/. i/ |:::/ ソレ'`Y:::::',: .│
│ :i:::i:::レi (◯)レ' u (◯)i:::i::|: .│
│ :i:::i:/::i ""u rェェェ、 ""i:::i::|: │
│ :i:::/::::ハ u |,r-r-| u人/::|: │
│ :レ'Vへi> 、u_`ニニ´ イレへ/: │
└─────────────────┘
++++++++++++++++++++++++
「そんな事で私が今更動じるとでも?」
パチュリーにどれだけ今までしばかれたと思っている?
「いえ、そっちじゃなく」
++++++++++++++++++++++++
・・・・・三日前
┌──────────────────────────┐
│Before , --― - 、_ .│
│ こぁ ,ヘ、,./:::::ァヽ,r'ヘ!::::::ヽ;ヽ/7`ヽ ...│
│ ,.ィ´ / 〉';:ィ/::::/:i:::::i::';::';:::';ィヽ.r⌒^ こぁ .....│
│ (( ヘ⌒ヘ/ /:/::i-/‐::ハ:::ハ‐!ハY ヘ )) .....│
│ '、 ヽ、_ iルLi(ヒ_]'`' ヒ_ン λ/ / .│
│ >、ソ ヽミリ ""r-‐‐┐""/ ̄ソ │
│ ヽ、ソ,/ノ:|,ゝ,ヽ、__,ノ_ノイ,`´イ ....│
│ 弋 /ヽr-ヽ、/γ/',.‐' .....│
│ ,ヘ人.イ:::::::|/」:::::::::j,.へ.,人.,ヘ ......│
│ こぁ // 7 ヘ::::::::V::::::_,.://` l ハ │
│ /へr⌒!/,イ:::::::ハ::::::_;:>⌒',⌒ヽノ ..│
│ /ヽー'ーrヘ-‐''::、ヽ こぁ ..│
│ ...│
│ After ↓ ....│
│ / ,:' ...│
│ \\ ト、 ,. '"´ ̄ ̄`` 、 ,.へ、 .│
│ \ /:::::ヽ/⌒:::::::::::::::::::::::::⌒ヽイ:::::::::::`> / │
│ ∠、::::::::/::::::::/` |:::::::/!::::;:::::::ハ::`Y´⌒´ // ...│
│ ` 、 ⌒7::::;::/:::ハ:r'|::::/ |:::∧::::::::|::::| / │
│ |:::/:::レ' ゝ、_レ' !/ ∨|/:::::| ...│
│ + . |::ハ:::| ( ヒ_] ヒ_ン )、!::::::イ、 + ......│
│ r‐、 _,./´!Ⅵ'" ,___, "'|;イ:::!::! i .│
│ _人_ ヽ、_).」 |:/::ト、 ヽ _ン .,イ::λ::!::! __ _人_ ..│
│ `Y´ ,ハ__`ン!∨ルイ>r--r<´レハヘノ /\ `Y´ ..│
│ ,..ヘ〈 ゝ-イ| i'´|:::::| ヽ/ |::::/'ヽ、 ./:::::::::\ ! ..│
│ /:::::::`ゝ--イ、___,ハ:::ヽ/[]ヽ/::/ Y´::::::\::::::::\ ...│
│ <:;_/─-、::::::::;ィ─|:::::::/ !:::::::::::|、 _\r'´ ̄\r─ヽ │
│ \r' .く::::::〈 |::::::::::::! >'´ 〉 ...│
│ '/ヽ-へト---イく\___/ ..│
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│ i (_ \::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉 │
│ ` ー ,!`"7ー---ァr-‐イ /| ......│
│ /::::::/ /.八::::::::', く _! ..│
│ |:::;::;' | | ヽ:;:::∨/ .│
│ !:::::| ヽ二ニ,ハ:::ハ │
│ [こ八、 ./こ7 | .│
│ ヽ--‐' └--‐' ..│
└──────────────────────────┘
「うふふふふふ///」
「・………こあ………さん・・・・・・・・・!!?」
「と、虎丸さん!!?? 一体いつからそこに…」
「……………………………………」
「お、お願い言わないで!!! この事は誰にも言わないで!!! お願いだから!!!」
++++++++++++++++++++++++
「……………………………………」
「……………………………………」
「………………私とあなたの仲じゃないですか」
「解ってくださいますか!!!」
――――という訳で、隣の家のナズーリンが置手紙を残して外出してしまった事については単に慰め、
胴体と財布と服については紛失届を提出する方法を教えた。
中にはTSOTAYAのカードが入っていたので、ポイントは惜しいが止めてもらった。
さて冬休みの宿題は―――――
「何を作ったんですか?」
「ヤク〇トの容器でロケットを……………………………………」
そういえば虎丸は順調に作っていた。中々の出来で、確かにあれが無くなったのは惜しい
「代わりの素材を探しましょう」
日も昇る前。ゆっくりの朝は遅い。早く起きるのはパルスィくらいのものなので、二人は縦横無尽に村を
駆け回って素材を探した。
パルスィは早くに起きて、外で朝食を摂りつつ二人を眺め、食べ終わると二度寝を始めた。
―――代わりのものは探した結果こあくまの実家の、裏の倉庫に置かれていた。いつの間に、誰が置いた
のかは解らなかったが、適材と言えた。
そのヤクルトの容器より遥かにしっかりした強度を誇る器に、二人は歓喜する
「これで大丈夫だね!!!」
「金賞間違いなし!!!」
虎丸はすぐに家に引きこもって作業を開始し、こあくまは二度寝を始めた。
冬休み万歳。
――――二人が村長からビンタを喰らったのは、その日の夕方だった
「とんでもないことをしてくれたね」
「「ごめんなさい……………………」」
ヤクルト以上に頑強な素材で構成されたロケットに、村民一同息を飲んだ。実際に大ゆっくりでも
乗る事ができる程度
問題はその素材だ
「大切なクリスマス用のTENGAを、こんな事に使っちゃって!!」
「これ、凄く綿密に作ってあるから、元に戻せません!」
住民約4割が鬼である。この生首村のTENGAの消費量は半端ではない。元々、人間との必要以上の
接触や外界の退廃した文化に嫌気が差した一昔前のゆっくり達が山に作った隠れ里である。
ここにいるゆっくり達はなるべく胴体を首にひっこめて生活している。通称「生首村」
この村からの輸出も少なければ、輸入も少ない。TENGAは嗜好品であり、記念日にこそ使える象徴なのだ。
何にせよ、TENGAを使う時には、全身をくまなく伸ばせる。
「どうすんのよ……………………もう発注できないし」
「ロケットの出来はいいんだけどなあ……………………………………」
虎丸とこあくまは、泣きじゃくる事しかできなかった。上手い解決方法を考えたかったが、子供の自分達にできる
事など限られている事も解っていた。
打ちひしがれて、こあくまの部屋で二人は考えた。
「ごめんね………………」
「仕方が無いですよ。それより、どうやってTENGAを用意しましょう?」
「TENGA自体は高くて買えないし………………………」
代わりのもの、というと
二人は、家にある考えられる限りの容器を探して、村長の家に出向いた。
―――丼
―――お茶碗
―――ゴム手袋
これならば、たくさん集める事はできるだろう。
二人が意気込んで村長の家に行くと―――――村長はれみりあで――長という柄でもないのだが―――――
外からやってきたゆっくりてんこを、槍で突きまくっていた。
人間も一人いて、感心してみている。
「うわあああああああああああああああああああ」
「上手い 流石村長 上手い」
「出会い頭いきなり無双三段とか素晴らしすぐるでしょう?」
喜んでいる
対して、突かずにはいられないれみりあ村長は更に突き、
非常に出ずらい雰囲気だので、物陰から見ていると、人間の様子から見て、どうもならず者らしい。そういえば、
連中を見るのはこれが初めてではない。何度か村長宅を訪れているのを見ていたが、何者なのだろう?
「と、とりあえず試供品だけ置いていきますから! オマケつきで!」
黒服の人間は、そそくさと、恍惚となったてんこ達を両手で抱えると、その場を跡にしていった。
「見てたんだね。ちびちゃん達」
「最初から盗み聞きさせてもらいました……・」
「あんなヤクザ者と関わるつもりはないんだけどね」
「でも、このままだともっと陰湿な嫌がらせをされますよ?」
「それにこれ…………」
置いていったのは、カップ麺
特大・大・中・小とあり、ほぼ全てのゆっくりに適した大きさである。
人間の里ではそこそこ良く見かける、インスタント食品である。
「折角だから食べません?」
「このオマケも差せば……………………………………」
「あら?」
n
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lニニニニニニニニニニニl
米国辺りの映画とかに出てくる、傘立てカクテルのようで中々可愛い。
「何で傘なの?」
「さあ? 傘の会社と提携してるのかな?」
「でも、こういう食べ物は体に悪いんだよ」
いや・・・・・・・・・
ここで、村長は何かを思い出したようだった。
「マトモに聞かなかったけど、これ別に食用とはいってなかったな……」
恐る恐る、傘を一端避けて・・・・・・
n
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「「じゃ、ジャストフィット!!!」」
「ヘブン状態!!!」
すぐに他のゆっくりも呼ばれ、テストをしたが、結果は概ね良好
入り心地は抜群である
「ゆっくりマフィアさん達、もう一回着てくれるよね?」
「TENGAより遥かに安いし、大量に発注するよ!!!」
結局、こあくまと虎丸自身が直接解決したわけではなかったが、村長はご満悦。
鬼達を初めとして、皆ゆっくりマフィアがカップ麺を持ってくるのを楽しみに待つ事に
「今年のクリスマスは楽しくなるよ」
そう―――――クリスマスは、大切な日だ。
人間も商業主義にとっても宗教としても大切らしく、毎年奔走するそうだが、ゆっくり達に、
特にこの村での意味合いは大きい。
大体特に記念日というのものを特に設定する習慣がなかったので、正月と誰かの誕生日、
そして5月14日と村の創立記念日とクリスマスだけは気合を入れるのだ。
村は、見る間に赤と緑とネオンに埋め尽くされていく。
「よかったね! カップ麺が届くのが楽しみだね!!!」
「本当に楽しみか?」
夜更け。仕事の終わった大人達が、酒場で一杯やっている中、ぼそりとだが、大きく響かせたのは、
長老だった。ゆっくりらんしゃま
「私は反対だよ。あんな邪道なもの」
「なして」
「あのカップ麺には、酷い曰くが染み付いてるようだ。昔あった、馬鹿で酷い人間が触ったものを更に
加工して量産した様な嫌な匂いがする」
「加工して量産したんなら、その人間の匂いなんか消えてるんじゃない?」
「嫌って言ったら嫌」
「でも、TENGAは使えないし」
「昔どおり、肉を食えばいいじゃないか」
長老・・・・・・昔は、祝い事があったり、嬉しい客が来ると、何でも肉を多めに焼いて済ませたそうですが、
そろそろそんな安直な習慣から抜けだそうって5年ほど前に言ったのは、長老自身でしょうに・・・・・・
そろそろ本当にアレか
「ねえ、何で長老はクリスマスにこだわるの?」
「ああ・・・・若いのはまだ知らないね。元々、この村の創設に関わって、最初は本当に誕生日くらいしか
特別な日がなかったんだ。 で、何か一年に何度かはハメを外せる日を作ろうってことで、クリスマスを
提案したのが」
「長老なの?」
「いや、その友達の人間」
「その割には人間嫌いだよね、長老」
「色々あったみたいよ。この前旅立ったふらんさんもそうだけど、出来立ての頃からいたゆっくりは、まあちょっとね」
村長れみりあが、困った顔で説得しているが、らんしゃまは怒るというよりは段々悲しげな顔になり、そして、
次第に恐怖しだした。
「―――――これは陰謀だよ」
「……………………………………はい?」
「陰謀に違いないよ! カップ麺を通じて、文化面からじわじわこの村を侵略するつもりだよ!!!」
「別に大した独自文化自体ないだろ………この村に」
「奴等は、いつもきまってそうしたところから入り込んでくる!」
「”奴等”って誰?」
”奴等”………は、 ”奴等”だろう。
「いや、だから誰よ?」
「じゃあ、天狗だ、天狗の仕業だよ」
// ヽ,
,.└''"´ ̄ ̄ `ヽ、
,. '´ 、、 ヽ ヽ ・・・・・・・・・・・・・・・・
ノ , lヽ j /、lヽ ト、_,,.',
r'´ r'"イ .ノ\| .レ r=;ァ'レ' { }
{ !、 l rr=- / `'''l.>‐ .、
レヽ.,ト' ー=‐' / l 、,,_,,ノ
,}' ', /ヘ, /レ' ,/ >‐、
7'´レ1 ヽ 人ル'レ' 'i、_
レ~i` ヽ 、_ ( "
「宇宙人かもしれんぞ」
_,, -──- ....__
,...."´::::i ̄!::::::::。:::::::::::`゙ ヽ
_,.,,-──-- ..,, ./::::〈:::匸 二!:::〉:::::::::::::::::::::`.、
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/::::::::::::::::::::::::::::::::::,:::::::::::::::::'., ヽ,.'´ ̄` 7´  ̄ ̄ ´ ̄``ヽ::::::::; ・・・・・・
,'::::::::::::/:::::_i__:::i::::::ハ-=ニ二_ヽ / / /! `ヽ ヽ::/
.i:::::::::::;'::::::_!__::ハ::::! !::::::ハ::::ヽ:::ヽ / // { / { ト、 | }ハ 、 ヽ
|:::::::::::i::::!/ ー-!::_| !/!,:!ヽ::::::i::::i |l{ { | ∧{ ヽ.{‐ヽト、ノ}ノハ ! !
.|:::i::::|_:_! (ヒ_] ヒ_ン ハ:::!::::| lハハlヽ{_,.. ` 、.__ リ.ハl | |
|:::|::::::::!::::| " ,___, " |::/i-┘ | ハ. (ヒ_] ヒ_ン ) ! l | |
|:::|:::i:::::|:::ゝ,. ノiヽ| .. ヽヘノ"" ,____, "" | | | l
|::::|::::|:::::i::::!-:;>,、 ____, ,.イ:i::!::::| ハ { ヽ _ン } } j/
|::::|::::|::,イ::::| へ \__! ト,::::::|::::| ` ヽ イ/ / ,′
.|::::|::::|::ヽ|::::| ゛ヘ }><{` <|::::| | > __,,. イ リ' / /
「地底人かもしれん」
__,,,,..............,,,,__
,,.. -''"´:::::::::::::::::::::::::;;ヽノソi
,'´:::::_,.-‐'' " ̄`‐--:、>'´ ! ノ|,.--―─‐- 、
/<'.. -‐'' "´ ̄ ̄`"""'' ー--'、 r',,.iニニニニニニ;;‐、⌒ ヽ
,::'"´:::::::::;;;:r,'γ⌒`'⌒ヽーヽ_;;:::::::::::::;`ヽ. /⌒ \\ ヽ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〈:::::::::::; _丿⌒' ト々;;:::::::::;;ノ / i \丶 !
ヽ、::;i´r / ハ 人 ヽ, ヘ;;::::;;冫 イ 人 r"v''ヽi
ノ〈 i ,ィヽ八, ノ'レ- ルi ハ〉 ハ /ノ ノヽノイノレ` ヽノ|ノ \/ ヽ
〈 / ,ヘレ't'tテァ rtテ-ァ | h 人〈 ノ ヘハ.ttテァ r'tテ‐ァ ノ ) 丶 ゝ
ノ'レ',い ̄  ̄ イr!(ヽソ ノ'レ " ̄  ̄" 冫 ヽ ) 丶)
(/ヽノ⊃ ' ⊂j ノ ヽ ノ / i ` ノ イ イ ノ丿
Y 人 ‐=- 彳、. ノ ハ  ̄ノ', ‐=- ゝノヽ ', ) /
).i,( 'ヽ.,_ __,.イコイシ ノノ) ソ个 ..,_ __,.イノ ノ ノ丿
――――どちらかというと、これにはちょっとだけ信憑性があった。
あのてんこ達よりよっぽどマフィアっぽいし。
しかし、
「細けえ事ぁいいんだよ!!!」
「『流星のロックマン』じゃないんだから」
の二言で、この話は終了となった。
ただ――――――気づくものは気づいていた。
「このオマケの傘なんだけど・・・・・・」
「うん」
「この目の部分、ガラスが張られて、何だかカメラみたいになってるんだよね」
n
. --' '-- ,
/-^- ^-^-^\
/'/ ,ー=●=-、 ←←←← ここ
/ /_/\,⌒⌒ 、
./ / \/\/\ \\ 'ヽ
/ / / ヽ ヽ 'ヽ 'ヽ
「わあ、ほんとだ」
「この先っぽの部分なんか、まんまアンテナになってるよね」
「凄いなあ。オマケってレベルじゃねえぞ」
「何のためにこんな事を……………………………………」
「……………………………………」
「……………………………………」
「まあ、いいか」
「かっこいいし」
これを、らんしゃまが見たら言うに違いない
「これは政府の陰謀で、上空にはこのオマケの小さい傘から採取した情報を、上空の巨大な傘に収録して
よからぬ事に使うに違いない!」
――――と
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++;
本番の夜
てっきりカップ麺を持ってくるのはゆっくりマフィア達だと思っていたら、業者本人達がやってきた。
ゆっくりむらさと、真っ当そうな人間が一人。
何か・・・途中でとても恐ろしい目にあった様子だったが、ゆっくり達の喜ぶ様子を見て、気を取り直してくれている。
最近開通した車道があるため、割とスムーズに運んでくれた。
メインディッシュにと、王陸鮫の肉を炙っていると、続々とお客がやってくる。
山に住む、完全野生生活を選択したちょっとアウトローなゆっくり達。
「車道の側から来た」町の人間達。何だかんだで、最低限の交流はあって、世話にはなっている( 年をとったゆっくり達は、
『そちら側から来る人間』を、『赤い人達』と呼んでいたが、そろそろこの名称の正確な意味を知る者はいなくなりそうだった)。
直接売り込みに来た、人間と一緒のマフィアてんこ達もやってきた(カップ麺会社の人間と顔を合わせ、非常に気まずそう
にしていた。『何でここにいるんだ?』と聞かれ、『面倒なので殴りこみの召集を断った』と言っていた)
クリスマスパーティーは、ゆっくりゆっくり、開始宣言も無しに、和やかに始まった。
それぞれがささやかなクリスマスプレゼントを配りあい、思い思いの食材を火にくべ、語り合う、
虎丸とこあくまは、この光景に今年も目を奪われていた。
村民も
野生の者も
町の者も
「赤い人達」も
マフィアも
無条件に皆でゆっくりする日。
暖かい日
昨日、あんなに怒っていた村長も、マフィアや人間達と楽しそうに話している。
実は、今日は村長の誕生日らしい。本人は言わないが、クリスマスプレゼントと、誕生日プレゼントの両方を満遍なく
もらっている所から、人望と密かなカリスマっぷりが伺える。
長老も――――最初は嫌な顔をしていたけれど、全員に声をかけて回っている。
途中で、一人の人間と会って動きが止まった。
どうも様子がおかしいと思ったら、その人間はよく見ると透けていて―――――足もなかった。 幽霊か?
戻ってきたらんしゃまは、すっかり明るくなっていた。
「さて、ケーキとカップ麺はまだかな?」
「カップ麺に入りながら、ケーキを食べるんですね!!! 素敵です!!!」
「頑張ってよかったですね!」
こんなにゆっくりした日は久しぶり
「ある意味、TENGAで作ってよかったね」
「それは言いすぎだ」
「でも、こんなに素敵な仕掛けもあるし………………」
と―――――スィーに乗って、あの冬休みに作った超大作のロケットが運ばれてくる。
「本当は、学校が始まってから見せようと思ってたんですが、もうここで披露します!」
底部に付けられた導火線に、中央の焚き火からもらってきた火を灯す
どうやら本当に飛ぶらしい
これで、花火が搭載されていたり、空中で分解したり爆発したりすると、宿題として提出できない気もしたが、
一応先生にこの前直接見てもらったから、評価の対象にはなるだろうと、こあくまは他人事の様に考えた。
「発射!!!!」
全員が注目する中、ロケットは唸りを上げて飛ぶ。
はっきり言って、やたら大袈裟な音と飛ぶ事以外のギミックはなかったので、地味ではあったが、赤く光るTEN〇A
のボディに火の光が映えて、ギラギラと輝いた。
やはり、赤い色はクリスマスによく似合う。
「「「やったやったー!!!」」」
全員が歓声をあげる中―――――――
轟音で、それはかき消された
ガオンっ
続いて――――
咄嗟に全員避難したが―――――落ちてくると思っていたロケットより、先に地面に落下してきたものがあった。
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.-‐' `‐-,,、 _ | l | | | l | |
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/ /\/\ ヽ
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| | | l | | l | | l |
- 彡
| l | □| l |
「何だこれ………?」
「これ、明らかに……………」
あのオマケの傘だった。
大きさは――――広げれば、ワンルームも隠せそうなほど。
ロケットは、確かに真っ直ぐ上空に飛んだ。 この傘は、どれくらいは解らないが、本当に空を飛んでいた事になる。
「おい………」
目の部分は、やはりカメラになっており、アンテナもついている。というか、本当に機械であるらしく、地面に激突したのがきかっけで
壊れた様だ。
機械音が酷い
何の気なしに、誰かが言っていた戯言が皆の胸に蘇る。
―――これは政府の陰謀で、上空にはこのオマケの小さい傘から採取した情報を、上空の巨大な傘に収録して
よからぬ事に使うに違いない!――――
口火を切ったのは―――――らんしゃまだった
「陰謀だ!陰謀だよ!!! アトランティスかな?とにかく何かが裏で動いてるよ!!!」
年とると怖いものが多くなるから………と突っ込みたかったが、誰もできなかった。
人間もゆっくりも、全員青い顔になっている。
虎丸は早くも泣き出していたが、これは自責の念やらではなく、状況を理解して本当に恐れている。
「………………てんこ達、これはどういう事?」
「し、・知らないよ」
「私たちは、業者の手伝いをしていただけだ」
早速、れみりあ村長はマフィア達に臆せず詰め寄って言った。
彼女達すら気後れする形相で、カップ麺を運んできたむらさと男を睨んだが、二人は、無関係を必死で表現するのが精一杯だった。
「ちょ、直接は解りません! あのオマケも、かなり昔に作られた在庫を流用したものでして……」
「じゃあ………誰が一体なんのために……」
怪我人はいないとはいえ――――パーティーは阿鼻叫喚と化しかけていた。
子供達は泣き出し、外部の人間たちもうろたえるしか出来ない。
村の責任者達が何とか落ち着かせようとしているが・・・・・・・・・・・・・
「クリスマスが、クリスマスが……………………」
「こんなんじゃ」
―――ゆっくりできない・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!
長老すら、涙ぐみ始めた、その時。
「皆さん!!!」
「驚く事はありません!!!」
「細まけぇ事はいいんだよ!!!」
赤い人達が来る方向―――――そこには、あまり見かけない組み合わせのゆっくり達が4人並んでいた。
チビれいむ ・ みょん ・ 一輪 ・ こまち
どこから来たのだろう? ちょっと耳をすますと、ヘリの音がした。
後ろでは、機材を運ぶ音がして、スタッフらしい河童達がせわしく働いている。
「生首村の皆、 メリーゆっくりスマス!!!」
「梵Nippori製鉄所 でーーーーーーす!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「…・梵Nippori製鉄所だよ!!!」
「あ……すみません。 誰?」
「……いやその…じゃあ、『イージーシューターズ』って曲覚えてます?」
「ああ!!! あの!ロックバンドね」
「凄い! イージーシューターズさんだ!!!」
「サイン下さい!!」
梵Nippori製鉄所の面々は、かなり悲しそうな顔をしていたが、律儀に色紙に求められれば書いていた。
「所で、あんた方、この化け傘について何か知ってるのか?」
「アトランティスの陰謀って本当?」
「陰謀とは大袈裟な。まあ、所謂調査の一環だよ!!! やましい事は何もないよ!!!」
「そうかなあ・・・・・・」
「そんな事より」
いつの間にか、簡易だがライブステージが完成していた。
「『イージーシューター』演るよー!!!」
「ROCKするぜー!!!」
「聞きたいかい!!?」
聞きたーい !!!!!
村は、いつの間にか最初の盛り上がりを取り戻していた。
巨大な傘は、いつの間にか撤去されていた。誰が持っていったのかはわからなかった。
一曲目が終わる頃には、雪が降り始めていた。
――― ホワイトクリスマス!!!
二曲目と同時に、ケーキとカップ麺が配られ始めていた。
鬼達はすぐさま 中に入ったが、他のゆっくりや子ども、人間達は、普通に食べ始めた。
「やっぱりクリスマスはいい………」
「そうですね」
らんしゃまは目を閉じ、村の反対側の入り口に立っている、何体もの地蔵を見ながら言った
「今なら、色んな事を許せる気がする…………」
それぞれの思いを胸に、村の全ての者達が、麺をすすり上る。クリスマスパーティーは、雪以外にも―――暖かい湯気で、
村が白く包み込まれるよう。
これからもずっと皆で平和にゆっくりできますように――――万感の思いを胸に
バンドの滾る様な爆音を聞きながら。
――――一応、スープも全部飲み干してから、ほぼ全員が言った
「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まじい」」」」」」」
了
- 台無しだ〜 -- 名無しさん (2009-12-28 08:20:57)
- 私の考えたタイトルを使っていただいてありがとうございます
他のssにも軽く触れたことを書かせていただきますが、
ぱっと言葉の響きで決めた生首村をまさか一連のssの舞台にしていただけるとは思ってもいなかったので、
なにやら心の中でにやけた気分になってしまいます
その生首村を舞台としてあるssではシリアスな雰囲気で、
またあるssでは同じ舞台とは思えないようなギャグ全開の雰囲気で、
まったく違ったジャンルを書き分けながら、しかもそれぞれ微妙につながっているのがすごいです
幅広い物語を楽しませていただきました。ありがとうございました
そして「彼」とゆっくり達に幸せな未来が訪れるといいですね -- 名無しさん (2010-01-02 19:54:13)
最終更新:2010年01月02日 19:54