ほろ酔い加減で、村の入り口付近にある地蔵の横を過ぎてしまうと、一気に寒さが襲った
「うい~」
戻ろうと思って振り向くと、先ほどまで御祭りをしていた村が、消えていた。
演奏で疲れきったみょんは、首を傾げる。
「はて?」
入れ替わる様に、地蔵の横を、人間の老人が勢いよく通り過ぎていき――――姿を消した
――――奇跡だ!!! ついに中に入れた・・・・・入れた!!
姿はないのに、声だけは聞こえる。
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もの凄い喧騒なのに、それぞれの言っている事はわからない。
プルプルと震えながら、冷たいコンクリートの上を、丸っこい生物が歩いていく。大きさはゴルフボール程。
大きく丸い耳。カーブを軽く描いた尻尾。灰色の髪の毛。
パッと見鼠に間違われる事もあって、周りの大人は、きつく、山から外に出る事を禁じていた。
それでも、彼女は我慢できなかった。
安全で楽しい山にある家を出て、沢を渡って、アスファルトの道を伝って
賑やか明るい、村ではなく、町へ
都会は、全ては優しくなかった。
全体的にゆっくりしていなかった。
誰もが足元の彼女に見向きもしない。敵意も抱かない代わりに、気をつけることも無い。
元々ゆっくりの割には敏捷性のある彼女は、すいすいと人ごみを避けながら町を歩く。
ゆっくりできない車、自転車、大きな店、いずれも山には無い。
初めて見る世界に、恐怖よりも心が躍った。
いつも紛失物を探すのを手伝わせてくる泣き虫の隣人は、今頃まだ自分を探しているかもしれない。
それでも、危険な目にあっても、彼女はこの町に残りたかった。
しかし――――― 今日ばかりは帰りたかった。
見慣れた景色が、町中に広がっていた。
赤と緑が基本の、けばけばしいけれど、暖色に基づく装飾
クリスマスの事を忘れていた。
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あまり見慣れない光景だった。
酔いを醒まそうと、近くの石の上に乗り、一服し始めたみょんの先に、田舎道があり、そこで人間の子供達が
たむろしている。
時間は遅い。 なのに中学生くらい。 しかも一番上は、高校生くらいときている。
「かごめかごめ」でもやっているのかと思ったら、中央の、端から見て最も弱そうな少年を、思い切り蹴り飛ばして
いた。
容赦がない。頭が悪すぎて、本当に仲間を殺してしまう事のある鳩の様。
これだけなら、そこまで珍しくはないが、連中はいかにもな見た目が不良の子供ではない。「そこら辺にいる」という
言葉が本当に似合う、無個性な、見た目は真面目そうな子供達だった。
少年は抵抗する事も無く、ひたすらうずくまって堪えている。
れみりあがしゃがんで似たようなポーズをとることがあるが、見ているこっちのきまずさはその比ではなかった
「あ~あ・・・・・・」
こういうのは反応に困る
どうしたものかと、二本目を加えた時―――――
多少、少年は抵抗したのだが、それが思い切り高校生の逆鱗に触れた様で、見るからに腰巾着然とした奴と
一緒に、手にしてい大きなポリ袋を振りかざし、それを乱暴に振り下ろしてたこ殴りにし始めた
少年は、初めて抵抗し、一層の恐怖を露にした。
「やばいって、駄目だって!! 本当にやめようよ!!!」
「人道主義なのか? 偽善者なの? ばかじゃねえの? 死ぬのか?」
「絶対祟りとかあるよ! やばいよ!!! それに、中の子死んじゃうよ!!!」
「てめえがゆっくり死にやがれ」
―――あいつら、何で「ゆっくり訛り」を真似してるんだ?しかも正確じゃないし
これは、関西人が、似非関西弁を聞いたときの反応に近いだろう
と――――近づいて気がついたが、少年は必死に自分をポリ袋の中身を守ろうとしているらしい。
だから、避けるに避けられず、高校生と腰巾着、及びその他のモブ達は、それが楽しくて仕方がないらしかった。
「やめようよ・・・・・・」
『―――やめちぇねやめちぇにぇ!!! しょんにゃにふりまわしゃれてゃりゃ おめめがまわっちゃうよ!!!』
『ゆっきゅりおろちてにぇ!!! しんちょうににぇ あらたしきゅはれもにょをさらりゅようにニェ!!!』
『てんちのようにしぇんしゃいに、あきゅみゃのようにだいちゃんに』
声は、高校生が持っている袋から聞こえた
(赤子が入ってる・・・・・・・?)
何故、あんな所に赤ん坊が?
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「何でこんな所に赤ちゃんが・・・・・?」
余裕がちょっとあるのか、皆ほんの1ミリだけ優しくなれているのか、通行人は今日、めざとく道を行く彼女に気がつき、
道を空けてくれる。元々踏まれないように進むのは訳がなかったが、周りの方に気を使われて楽に歩くのは、却って
恥ずかしい。
彼女はいそいで進む。
元いた山に向かって
プレゼントが欲しいとかそういう訳ではなく
とにかく、クリスマスに、ここにい続けてはいけないような気がした。
様々な要素に加え、急ぎもあって、思い切り勢い余って、瓶の蓋に気がつかなかった。
「いちゃっ!!!」
つまずき、ぽよんぽよん跳ねてぶつかった先が―――――
「痛えなこのガキ・・・・どこ見て歩いとる!!!」
ビール臭い息を吐きながら、酔っ払いの人間が彼女をつまみあげる。
酔っ払いは――――鬼なら、あの村に沢山いて、たまに暴れる時もあったが、連中に暴力を直接振るわれた事は無い。
彼女達は、弱い者ではなく、出来る限り強い相手に暴力を振るうのが好きだった。
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「自分が安全な所にいて振るう暴力の、どこにスリルがあるんだか」
みょんは別に暴力は好きではないし、実際に不意打ちで、ライブハウスを荒らしたうつほに切りかかった事を後悔しているが、
どうせなら強い相手の方がいいと思っている。
あの高校生ときたらどうだ。
少年がされるがままになっている理由は、ポリ袋に詰められた赤ん坊達を気にしているからで、しかもその袋を武器にして、
少年が嘆く様子を見て楽しんでいる。
もう一つのポリ袋は、形から察するに、テルヨフとチルノフでも入っているのだろう。
「やめようよ。やっぱりさ、可哀相だよ、逃がさない?」
あのテルヨフとチルノフはその内起きるだろうし、袋もポリ袋だから、いざとなった、赤子達も自力で破って逃げる事くらいは
できるだろう。ゆっくりの方は心配していない。
だが。
「ゆっくり好きは無視できないでしょう? 勘違いしてるみたいだけど」
みょんは少年達の前に姿を現す。
ギターを背負ったまま
最初に、みょんの姿を見て、高校生達は爆笑を始めた
「同級生を苛めるのはやめなさい」
高校生達は、ぽかんと驚きを隠せない様子だったが、すぐにその疑念を笑いに変えた
「こいつ何を言ってるんだ?」
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「何言ってんだか聞こえねえぞ!!!」
酔っ払いを誰もが白けた目で見ているが、関わりたくなくて、誰も何も言わない
彼女は全身をぶんぶか振って逃げ出そうとするが、無理だった。
必死で謝るが、相手が聞こえないと喚くのは、発音が悪いからか、単に聞こえないのか、酔っ払いすぎているのか
「ごみぇんにぇ、きをちゅけりゅから、おててはなしちぇにぇ? ごみぇんにぇ?」
尻尾の先端を持たれ、ぐるぐると回されるのは酷い恐怖だった。
「やーめーちぇえええええええ・・・・・」
赤子が泣いているのなら、誰か助けてくれただろうか? 仮にそんな親切心を持った奴がいたとしても、酔っ払いの
怒号が大きすぎるのと、クリスマスの、町の喧騒にかき消されてしまっている。
「あー・・・・クリスマスだってのにむかつくな」
「おうちかえらせちぇよう・・・・・・・・・・・・・・・・」
酔っ払いは完全に足にぶつかられた事ではなく、余程嫌な事があったのか、震える彼女に腹が立って仕方が無いという
事を喚き始めていた。
流石に周りの目に付くと思ったか、彼は片手の平で怯える彼女を包むと、ようやく移動を開始した
どんどん悪くなる一方の状況に、一層恐怖した彼女は、更に大きく悲鳴を上げた
―――その声が届いたのか
真っ暗な中、若干手が緩まり、かなり付近で、つまり酔っ払いに話しかける声が初めて聞こえた。
「おい、やめろ馬鹿」
「あ?」
「そういう行為は誘拐罪で犯罪だからおまえは死ぬ」
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「そういう行為は・・・・・・色々とまずいし犯罪だからやめなさい!!!」
またもや爆笑
怒るなら解るが、何故笑うか?
みょんは目の前の学生達の思考の根底にあるものが理解できない。
見た目よりも幼く、実は小学生だとか?
しかし、小学生でもある程度何が犯罪か、映画館にいくだけでも著作権とかの話くらいは理解できるはずだ。
何がおかしいか? 言葉は通じるが、余程違う国か ここは
「ほら、やっぱり祟りだよ!! 出てきちゃったよ!!!」
苛められていた少年は逆にみょんを見て涙目だ。こいつも何なんだ
「ゆっくりは生物じゃなくて妖怪だったんだ!!! 赤ちゃんを攫ったから仕返しにきたんだよ!!!」
「黙ってろ!!」
「いや、どう見ても生物でしょうJK 私だってお酒も飲みますし」
何かとても残念な勘違いをしているらしい。
「とにかくあなた達は、誘拐罪!!! そして暴行罪!!!」
「誘拐とか犯罪とか馬鹿じゃネーの?」
――――何なんだこいつら?
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「何だあんた……?」
「ほう、私を知らないか。あまり調子に乗ってると裏世界でひっそり幕を閉じる」
「てんこさん・・・・その程度にしておきましょう」
何を言っているのか解らなかったが、とにかく酔っ払いの敵なら自分の味方だろう
と、思ってたら、手の平の中に光が差して、自分を拘束していた力が緩まった。
「ゆあああああああ」
空中に投げ出されるが、即座に彼女をつかんでくれる手があった
「おお、めんこいめんこい」
「なずーりんの子供ですね」
先ほどの酔っ払いよりずっと小さいのに、暖かく、もっと安心した、ゆっくりできる手の平の上
ゆっくりてんこが、傷だらけの顔をほころばせてこちらを見ている。
このゆっくりは何故、自分のためにここまで傷ついても平気なんだろう?
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「あ、解った」
うんざりした顔で、みょんが納得すると、多少全員の顔が曇った。
「 ・集団VS一人
・相手はもやしっ子
・しかも年下
・人質付 」
「だから何だよ」
「すごいですね、アナタ達」
ごとりと、背中に背負っていたギターケースを下ろす
「人質も、抵抗された時を考えて、胴体の無い奴と常に寝込んでる奴等を選んで、その上更にそう言った連中の中でも、
赤ん坊を選ぶなんて、ここまで慎重な人間は見たことありません。
殴る相手にここまでのハンディを課しますか 」
「ああ!!!?」
気は引けたが、ギターケースを口に咥える準備をする。
「余程、殴り返されたくないんですね」
図星なのかどうかは解らないが、中学生達は激怒している。 高校生も怒っていたが、メンツを守ろうという気は
あるらしく、まだ抑えて話す
「そりゃおめえ、勘違いだ。俺達が袋に入れてるのは、人質じゃねえ。これから持って帰って保護すんだよ」
「保護する? それにしちゃ運び方も扱いも酷い」
「お前も行くか?ウサギ小屋なら空いてるから、そこで3食分は一応入れといてやるよ」
どうやら、冗談や比喩抜きで違う世界の様だ
が、袋の中の子供達は喜んでる
「うしゃぎごや? ウサちゃんにあえるにょ? うどんぎぇちゃんとかじゃにゃいの?」
「うしゃぎしゃん しゅきー! いきたいいきたいー」
「でも、ぞうさんのほうが もっちょ しゅきでしゅ」
「おやつもおねがいします・・・・」
ええい……
緊張感に欠ける。
「この馬鹿は、途中で逃がすだの何だの言い始めてよお」
「だって、やっぱりまずいよ。 ゆっくりは妖怪っぽいから、良い事をするとお礼があるけど、悪いことすると仕返しにくるから、
仲良くしといた方がいいって、雑貨屋のじいさんが言ってた!!!」
「あのじじい、去年死んだだろ!!!」
「同じクラスだった奴が、捕まえに行って、それから性格が凄く暗くなっちゃったんだよ!!! あれきっと祟りなんだ!!」
「あ、それ原因俺だわ」
へらへら笑いながら、高校生は自慢げに語り始めた
何でも、彼自身が小学校高学年の時に、れみりあを竹鉄砲で撃ち落とした事があるらしく、その話を弟がしたのが原因で
盛り上がり、その友人がゆっくりを捕まえに行かされたのだと言う。
で、手ぶらで帰って来たので、散々痛めつけてやった、と
「ほほう・・・・・」
とりあえず、みょんは決めた。
「ここから先は感情論です」
次の瞬間、みょんには胴体が生えていた。
何のモーションも、エフェクトも無いため、これをやると大抵の人間は驚く。
続いて、ギターケースを開けると―――――――一振りの剣が仕込まれており、鞘を丁寧にしまい、構える
………この時点で、もう逃げ出している奴が何人かいる。
流石に高校生は、いいところを見せたいのか我慢しているが、先に仕掛けるように、周りの腰巾着達に命令し始めた
「全く…………!」
正直、相当やる気が削がれたが、袋の中の赤子とチルノフ達、そしていじめられていた少年に気を使いながら、みょんは
猛然と剣を携えて駆け込んでいく
連中は悲鳴を上げたが、小汚い野次が減った分、村があった場所から大声が聞こえた
―――― 申し訳ない!!! 本当に申し訳ない!!!
先ほどの老人の声に似ていた気がした
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「言っておきますけど、このてんこはあなたを助けるために傷だらけになったんじゃなくて、私と喧嘩してボコボコになったんですからね」
「いちいち言わないでよ………」
ニヤニヤと笑いながら説明するゆっくりイクさんと、顔を赤らめて俯くてんこの間に、何か爛れたものを彼女は子供心に感じ取ったが、
それは黙っている事にした。
と、見渡す限りてんことイクさん達。てんこだけが全員ボロボロで、何かの労働の後らしく、つかれきっている。
「ボス、ケーキ班の配達は全て終了です」
「ご苦労」
「ルードヴィヒから電話が入ってますぜ」
「用件だけ聞いといてくれ」
「どうせ、一足先に生首村でパーティー始めてるから、って事でしょうね」
「いや、もうプレゼントも配りつくしたらしいんですが、乱入してきた、ヤパンスキーの爺さんが持ってきた芋羊羹がやたら美味しいらしくて、
ボスだけでも来ないかって。カップ麺が不味過ぎて、良い口直しだとか」
「あー…………まあ、最初は行く予定だったしなあ」
手の上の彼女と目があう
「………… どこから来たか知らないが、お前も行くか?」
――――生首村、というのが何を指すのか良く解らなかったが、彼女はもう少し手の上にいたくて、こくりと頷いた。
「行きましょう」
「イクは来ないでよ………」
「いいじゃないですか、ライバルファミリーの実家も一度見たいですし」
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「親の顔が見てみたいですよ」
月並みな台詞だが、大量に道に散らばったズボンと、あと何着かのパンツを見下ろし、鞘に剣を収めたみょんは、もう怒ってはいなかった。
これしきで全員逃げ出すとは情けない。
ただ、リーダーの高校生は本当に痛い目にあわせたから、もうあの連中とつるんで大きな顔はできまい
「出すのを手伝ってください」
「あ、はい…………」
おずおずとポリ袋から、ゆっくり達を外に出す作業を続ける少年は、非常に弱弱しく見えたが、あんな中、一応祟り云々以外の理由から
子供達を助けようと頑張った男だ。
みょんは、決してそれを心の中でも馬鹿にしようとはしなかった。
「あ、ありがとうございました」
「こちらこそ」
「「「「ゆっくちしていっちぇね!!!」」」」
チビ達は、ウサギさんが見たかった等とは言っていたが、拘束状態が解かれたのが相当嬉しいらしく、跳ねたり転がったりを繰り返している
緊張感ゼロ。
チルノフとテルヨフはまだ寝ていた。
「どうか、反省しますから祟らないで下さい………」
「私はそういう訳では……… お礼だったら、CD買ってね!!!」
ゴソゴソと、新アルバムの、販促用のチラシを全員に配る。
シングルは先行分含む3そして、曲と、タイアップが2曲。
「何ですか?これ」
「梵Nippori製鉄所だよ!! あ……やっぱり『イージーシューター』じゃなきゃ駄目か?」
「いえ、存じません………」
「にゃあに?これ?」
「おねえしゃん、おうたじょうずなの?」
本当にどこの国だここは………
そして、酔いからさめたはずなのに、一行に自分がさっきまでいた場所が見えない。
今何時なのかと、携帯を取り出し、時間を確認してみょんは悲鳴を上げた
「何で20世紀なんですか……………?」
何が起こっているか、少年も理解していない。
チルノフ達は目を覚まし、チビッコ達はギターに興味を示し始めている
時刻は、23時。
まだもう少しだけクリスマスだ。
「あーもう……………何でしょう、この変な空間。時間も場所もねじ呉曲がったみたい……」
みょんはギターの用意をし、スピーカーは無いが、ipodの音量を最大にする。
「自分達の曲じゃないけど、クリスマスといったらこれしかないんです」
―――― ♪ I wish for こんな 夜には
―――― ♪ I wish for 夢見て
―――― ♪ I wish for なくした 全てに
―――― ♪ I wish for 今も
========================================
―――― ♪ ため息が時を刻む 長い夜の途中
思い出すたび あなたの夢繰り返す
孤独だけ抱きしめて
「♪ 永遠を 欲しがっても 刹那を感じてる」
「音痴…………」
「煩いな」
「ヤパン嫌いなあなたなのに、この手の歌だけは好きなんですね」
「名曲 流石LUNA SEA 名曲」
車を運転しながら大音量で……… ボスと呼ばれているてんこは、イクさんと彼女と二人きりで気持ちの
良い曲を聴いている。
彼女は、どこかで聞いた覚えがあった。
「このバンド、ギターが二人いて、デビュー曲から重要な曲は殆ど片方のギターと、ベースが作ってたんだが、
私はもう一人のギターの方が、作曲、演奏共に好きだ。特にこの曲の………」
――― ♪ BLUEな気持ち ちりばめた時の中
========================================
「アルペジオが最高なんです」
アコースティックギターを、多少地味だが、何度も練習した、ギターのバックパートに合わせる
周りはもう一人のギターの方ばかりを評価するが、みょんはこっちを弾くのが好きだった。
―――― ♪ 答えさえないままで
r-、_,「:V´|-─‐- ..,,_
r'::::::、:::::::!::/_,,...,,___ `' 、 ♪
>、:::::;> "´ ` ''ー- 、`フ
/ y' / / ! ,! `ヽ. マ=
,' / / /! ./| / ! ,! i i ', マ=// \ ♪ ―――― ♪ I wish for こんな 夜には
! |___! ./ _|,/,.ノ-' l.、'_| |. !. | マ=// ,/=マ
| | レ| (ヒ_] ヒ_ン、| | | /><.>'=マ ―――― ♪ I wish for 夢見て
| | | /// ,___, /// ハ_,.ハ_/></
! i .! !、 ヽ _ン ノ |/></ ―――― ♪ I wish for なくした 全てに
`ヽレヘ. |7>,、 _____, ,.イ /(ミヽ、
.イ\!ヾく´./ヽ二ン`X ><,ヘ__ノi ―――― ♪ I wish for 今も
,'´´ Y:::::Vヽヽノト/></ /
/ /|::::::/ / ̄/></ /
/ >ー--<_/ /></|─ー'´ ♪ 一人きりの自分がいた 暗い迷路の中
ゝ___∠/`Tつ´ 入_,
/ / (( (_.'-ァ ___ノ ♪ 自分の居場所さえも まだ解らずに 行き場所も解らずに
ィ (o、/></゚、。/ヽ
j | \x/ \/:::::::::::ヘ ♪ 明日さえ 怖がってた 冷めた瞳の中
\\ ヽo) /:::::::::::::::::ヘ
/\\__ノ::::::::::::::::::::::'ヽ ♪ だけど今は 擦り切れたこの夢を
ノ::::::::::::::::::::::::::::::::λ::::::::::::(
´~~'~~i'~~~7~/ フ~~~~` ♪ 優しく抱きしめて
」 !ヘ、,./
[二二}.、_/
.| ,.-≠、く.
L____)ン
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―――― ♪ I wish for こんな 夜には
―――― ♪ I wish for 夢見て
―――― ♪ I wish for なくした 全てに
―――― ♪ I wish for 今も _,,...,,...,,...._
,----、 / _,,...,,......_ ヽ
| | ̄\\/ / \|
_,,...._ |\ \\ ),/ ./
ゝ,,,, \| ) )_,,....,,....,,....,.,,. )\ /:::::ヽヽ:://:::::::::::::::\
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.' '; i i i ! i } } i ./::::::;ハ/トゝ人'、:::人/:::i:ヽ::::ヽ;::::'、
,' i ' ; ゝ、人人ノ/_ノノ / ノ 、 |:::::/:::::|≠=ミ\(≠=ミ|;:::::::::::::::\
i ヽ .| rr=-,:::::::::::r=;ァ / / i '、 /∨:VV|/// ,___, /// |::::i::::::|::::::::::ヽ
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ヽ V 人 -=- ヽ 人 '、 !:::::::|::::::へ、 ノ::人:::/::::::::::::ノ
、_)ノ ノ >.、 [井] ,.イ/ ( ノ (._ ヽ ∨´\:へ:`>r-‐--イ ノ::/」- |:人人ノ
/ / ノ´ ,,.ィ''|-| ̄ノ こ ノ | ノ \ ,--/´ {>(永)<} |::ノ」 \
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いつの間にか、調子の外れた音程で、チビ達も一緒に歌っている。
少年は体育すわりのままだが、顔を輝かせている
「ギターのINORAN氏、私の理想のギタリストの一人です」
========================================
「…………………」
目的地が見え始めてきた
彼女は、助手席のイクさんの膝の上で寝息をたてている。
「名曲ですね」
「ああ、 INORAN、流石に良い曲を作る」
雪はやみ、満天の星空が見え始めた
少しも言い難そうな素振りも見せず、イクさんは言った
「それ、作曲したのベースのJですよ」
了
- イクさん空気嫁よw
こういう知ったかぶりみたいなことを言ったときって凄く恥ずかしいのに。 -- 名無しさん (2009-12-27 22:39:55)
- みょんってやつ渋い -- 名無しさん (2009-12-27 23:44:11)
最終更新:2009年12月28日 11:24