一人の蛇と一匹のゆっくり3

「………ッッッッ!!」



昼下がりの森の中に銃声が響き渡る。
そして場面は変わり、男の後ろ姿が見える。その歩みには明らかな焦りを伴っていた…。

「まさか、これ程までとはな…。」

追われている男は伝説の傭兵と呼ばれた男…そう、ソリッド・スネークその人である。
スネークは背後から迫る気配に焦っていた。

「何か妙案はないか。」「助かる道は。」「応戦するべきか。」「隠れる場所は…」

彼の頭の中では様々な思考が交錯し、それが彼を更なる混乱と焦りへと導いていた…。
焦ってはいけない。動揺してはいけない。
そのように考えるが、抑え込もうとする感情が余計な焦りを生みだしていた。

「いつまではしっているんだ。「まらそん」でもしているつもりか?」

三度銃声が響き、その内二発は彼の腕と頬を掠めた。
外れたのではなく、外したのだ…。
この屈辱に彼は奥歯を強く噛み締めた。

「ほらどうした、つぎはあてるぞ?」

その声は余裕綽綽といった様子である。
通常の兵士であればこの時点で心はすでに折れ、発狂すらしているだろう。
しかし、彼は違った…。その口元は明らかに笑っていた。
そう、彼は知っていたのだ。慢心の中にこそ油断が生まれる事を…。

「さて、どうしたものか、スタミナがそろそろ切れそうだ…ん?あれは…」

歩を進めていると、ある物が目に入った。
それを見るや否や、その「なにか」がある茂みへ彼は飛び込んだ。

「それでかくれたつもりか、おまえには「しんそこ」がっかりしたぞ!」

声の主は彼に失望の声を上げ、ゆっくりと茂みに近づいた。
その直後である…。

「ウゴアァァァ……!!」

と謎の悲鳴が響き渡った。

「………?なんだ今の声は…まさか!」

彼が茂みの中を探るとスネークが倒れていた。
良く見ると手元に何かを持っている…。

「これは……。そくせきラーメンさん!…あのばかめ、あれほど「ちゅうこく」したものを…」

そう、スネークが手にしていた物は「そくせきラーメン」と呼ばれるものである。
見た目は現世で言うところの「袋入りラーメンで」ある。しかし、ここ、「幻想卿」の物は少々変わっており、自生する「植物」である。
そして何より………。



毒がある。



非常識極まりない特性であるが、此処は「幻想卿」。言うだけ無駄というものだろう。

「でんせつのようへい」がこのていどとはな…しょうじき「しつぼう」したぞ。」

彼は落胆し、去ろうとした。






しかし、この時背を向けたのが彼の最大の過ちだった…。





「失望させてしまったか?それは悪かったな。」

「………!?」


彼は驚愕すると共に混乱していた。
背後からするはずの無い声、そしてのど元に突きつけられた冷たい刀身が彼を拘束していた。
先ほどまで倒れ、息絶えていたスネークが自分の背後に立ち、何事も無かったかのように振舞っていた。


「慢心は油断を呼ぶ。俺が「即席ラーメン」を本当に食ったか確認するべきだったな。」

確かに脈も、呼吸をしている様子もなかった。
しかし、彼は「慢心」により、何よりも優先すべき「確認」を怠ったのだ。
それが彼の致命的な間違いだった。

「コイツの特徴を教えてくれたのはお前のはずだろう「ゆっくりスネーク」。俺が間違って食ったとでも思ったか?」

「ふぅ…、おれのまけのようだな、みごとだ。」

そう、スネークを追っていたのは「ゆっくりスネーク」であった。
そして、何故彼らがこの様な死闘を演じていたのか、それは……。

「じゃあ、昼飯の調達を頼むぞ!」

「クソ!つぎはおまえにぜったいにやってもらうからな!!」

「勝ったら」な。」

「………。」










どちらが昼飯を調達するかで揉めていたのだ。









「たしかに「みゃく」も「こきゅう」もなかったはずなんだがな…。」

「ああ、確かに俺は死んでいた。ただしコイツでだ。」

スネークはそう言うと自分のバックルから一錠の薬を取り出し、見せた。

「仮死薬だ。といっても蘇生薬が無ければそのまま死んでいたがな。そして、蘇生薬はここだ。」

次にスネークは口を開けた。
奥歯をよく見ると何とか視認できる程の小さなカプセルが埋め込んであった。

「あまり何度も使えんがな、まさか使う事になるとは…お前さんも中々やるじゃないか。」

「じゃあ、あのとき「は」をかみしめていたのは…」

「そう、蘇生薬の分泌を促していたのさ。」

「ゆゆぅ!ずるいy…ごほん、まぁ、「たいちょう」もだいぶよくなったようだな、なによりだ。」

「おかげ様でな。じゃあ、よろしく頼んだぞ!」

「いそうろうのくせになんてやつだ…。」

「なんか言ったか?」

「なんでもない、「さかなさん」でいいか?」

「ああ、宜しく頼む。」








こうして一人と一匹の昼は過ぎていくのであった……。













ゆっくり好きな新参者






  • 以前「そくせきラーメンさん」の案を下さった方へ。
    ちょっとだけ設定を変えました。
    お許しをorz -- ゆっくり好きな新参者 (2010-01-11 10:23:45)
  • 即席ラーメンが生えてるとか、
    ここまでオリ設定が入るともはや幻想郷じゃない気がするのが残念
    だけど群生している毒入り即席ラーメンは妙にシュールで笑える


    そう思っていたら幻想「卿」かよww
    似たような似たような異世界なわけね納得www -- 名無しさん (2010-01-11 13:22:52)
  • アチャー…まさかと思い一話から観てきました。
    全部誤字っていました、申し訳無いorz
    後で直しておきます; -- ゆっくり好きな新参者 (2010-01-11 14:29:26)
  • むしろこの場合は幻想卿で合ってる気がする。 -- 名無しさん (2010-01-11 14:38:16)
  • では、「幻想卿」のままにしておきますw
    たしかにその方が動きいやすいかもしれませんね。 -- ゆっくり好きな新参者 (2010-01-11 14:54:45)
  • ただしEVAには即席ラーメンさんの毒はきかな(ry -- 名無しさん (2010-01-22 08:03:39)
  • そういえばスネーク(ゆっくり含む)はうーぱっくに隠れたりしないのだろうか? -- 名無しさん (2011-08-11 20:21:12)
名前:
コメント:

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2011年08月11日 20:21