深夜。
アパートの一室。
テーブルの上、大手のビールジョッキの中、プカプカと浮かぶ、
プチゆっくりれいむ
この状況になったのは、ただ転がり落ちたから。 ただそれだけだ。
落ち込んで自暴自棄であった事もある
朦朧と漂いつつ、数時間前を思い出している。
とある世界
とある国
人間とゆっくりの同居状態がゆったりと続いていた時代
金持ちになるなら、とかく、野生生活を捨てたゆっくりならば、「立候補するかバンドを組んで一発
当てるしかない」と言われる不況の中
とあるゆっくり4人によるバンドが、名を上げ
梵Nippori製鉄所 / Easy ☆ Shooters !!!
┌───────────────────────┐
│ r---------、 .│
│ イ `ヽ;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.,. --、 .│
│ ゝОノ;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;l ○ ,l │
│ l;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.`ァ‐ '’ ...│
│ /;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.l │ VO: Reimu(プチれいむ)
│ ノ---------、;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.;.l ..│
│ ,.-‐'"´___;.;.;.;.;.;.;.;.;`"ー‐‐、;.l ..│ G: Myon(みょん)
│,,..-‐''"´ ̄'7´7 `"ー‐‐、;.;.;.;.;.;.;.;`ヽ .│
│ `'‐‐、;.;.;.;.;/,' , ' / / l ヾ `"ー‐‐、;.;.`ヽ .│ B: 雲居(一輪)
│ `ヽソ / / /l l ', ヽ ', l ソ`\;.;ヽ、 │
│ iヘ、 /r-!、/ .l /,,.-、 i l l /l;.;.;.;.;`ヽ、ヽ │ Dr: Komachi(こまち)
│ iソイiヽ!::::;! ´i:'::::lヾlハ/l,/ .l;.;.;.;.;.;.;.;.;.;冫 .│
│ l从', `¨ , `ー' i从从l ', ̄ ̄ ̄ ....│
│ l .ト、 、_ l l ヽ ..│
│ l l ,ヽ _ イ'l l , ヽ ..│ 歴史にちょっとした名前を残したのだが
└───────────────────────┘
結成6年目にしてギタリストが失踪し、4ヶ月が経った。
そしてあるゆっくりバンドは、解散を決めた。
いなくなった理由は全く解らない。皆解らないほど、固い絆で結ばれ、楽ではないが充実した活動を
行っていた4人だった。
だから、一人が欠け、代理も見つからず、色々狂って、残された3人は解散を決定した。
解散を改めて公表する前夜、3人はベースの雲居の部屋で飲み明かした。
全員泣き叫んだ。
そして腹の底から笑い、浴びるほど飲んだ。
「そういえば二人は何でバンド活動を始めようと思ったんです?」
最初は、ある日おりんが仕事後に持ちかけてきたのだった。
「現実逃避かねえ」
「あんなところにはいちびょうもいたくなかっちゃよ!!! ほかのことやれるきかいがほしかったんだにぇ………」
製本所の作業進行担当は、外交や戦争関連の職も含めれば、この世界で少なくとも
ベスト100に入る苦行である。
「雲居は?」
「同じです。行く当ては無かったけど、皆で上手い具合に同時にやめられる、って」
「いや、それはみんなおなじだよ!ほかにはどんなのがあったかおしえてね」
「理由は三つありまして」
①.元々音楽をやってみたかった
②姐さんに褒められたかった
③.雲山の勧め
こうして簡潔なまとめは、会話の基本。 ドラムのKomachiはどうだった?
「理由は二つあって」
①.長者になりたかった
②.皆で何か面白い事をやりたかった。
――――ここにはいないギターのMyonは、恐らく
①.母親の泣き顔を一度見たかった
②.憧れがあった
③.家計の足しにしたかった
であろう。中々退廃的というか、憧れの嗜好が中学生の様なところがあった。
………では、ボーカルのReimuは?
「りゆうはひとつだよ」
①.富と名声が欲しかった
「ようはちやほやされたかったんだにぇ!!! それでおかねがたくさんもらえればもっとよかったんだよ!!!」
「うわあ…………」
「あんたの率直な所は好きだけどさあ」
Reimuは恥ずかしがってはいなかった。酒にも酔ってはいなかった。飲む振りをして、グラスの淵に
器用にバランスをとって跨っている。体の無い、しかもプチゆっくり向けのおちょこもあるのに、普通の
グラスを使いたがり、結果飲んでいない。
「けっきょくそれがすべてだよ!!!」
「そりゃそうですが、そんな気持だけでよく続けられたもんすね」
「いや、その先があるはずさ」
クピクピと、ファンの鬼に贈ってもらったウォッカを呷りつつ、Komachiはつまみのスナック菓子をグラスのReimuに
渡す。慣れたが、体が無いのなら最初から大人しくテーブルの上にいれば言いと思う。
「――――再婚したかったんだろ?」
「………………まあにぇー」
一輪はこの辺りの事をあまり知らず、深追いするべきではないと思っていたが、Reimuは躊躇なく、もみ上げを
挙げて、その下のうっすらとした傷を見せた
「これ、わかれたつぎのひ、らんしゃまにおもいきりなぐられたあとなんだよ」
「??どういう関係で?」
「らんしゃまは、れいむの、ぎりの、おかあしゃんだよ………」
一応、Reimuの元配偶者が誰なのかは知っている。というか、同業者である。 「Bafume」 というユニット名で
活動中の、ゆっくりゆかりだ。このバンドよりも知名度も人気も実力も高い。
更に言えば、雲居にチャンスを与えた恩人の一人でもある
―――つまり、あのバーサンの親?
「いやいや雲居………」
―――知らない方がいい事って世の中にはまだまだあるのさ
それは、彼女にとってではなく、今グラスの上でカッパえびせんを器用に端から食べているReimuに対して言ったこと
であろう。
「会えば結構仲良さそうにしてたのにさ。てか、バカっプルだったよね、元々」
「そんなにきもちのいいもんじゃないよ~」
「何でああなったの?」
「せいへきのふいっち」
「ええと……………………」
そんな形で、本当に勢いで一度は分かれたのだが
「なんだかんだでにぇ、やっぱりよりもどしたくなってにぇ? でもいまさらいうわけにはいかないから、バンドはじめて
ひともうけしたら、むかえにいこう ってきめてたの」
「それなら、堅実に会社勤めでも………」
「出来るわけ無いよね」
このご時世だ
それに何より
「プチゆっくりには、ちゅらいじだいだにぇ~」
しみじみ顔を赤らめて、のぼせた様にReimuは自嘲気味に呟く。何度も言うように、彼女は、酒は一滴もまだ
飲んでいない。
「こんなちっちゃいゆっくりだもん」
「――――でも、もう一度やり直そうって素直に言えば、あのオバサンなら許してくれそうじゃない?」
「…………こまちも、いちりんも、こう、漫画は読む?はドラマとか、ギャルゲーとかその逆とか」
Reimuは、少しだけ顔色を変えていた。
「たまにさ、『こんなあたしでも受け入れてくれる』とかのセリフあるじゃない?」
「ええ」
「―――――あれ、れいむは だいっっっっきらい!!!」
明るく言うが、目は笑っていない
顔は、赤い
「あまいんだよ。 じぶんはどりょくもしないで『そのまま』でいて、だれかがむじょうけんにすいてくれるなんてにぇ」
「それって」
愛情の基本であり、究極と思うのだが?
「ほんとうに、あいてのことがすきなら、『こんなじぶん』 つづけてたんじゃだめでしょ!!!」
「それは………」
それができる者ばかりではないのだ。
限界だってあるし、自分の否定を続けていたのでは疲れてしまう。
その点
「れいむは、 努力家だったよね」
「―――ちがうよ!!!」
「いや、努力家ですよ。 ゆっくりれいむには珍しいくらい」
――――民族単位での傾向と偏見だが――――最も人口が多いとされるゆっくりれいむは、その暢気さ、
天真爛漫さ等で有名である。そのマイペースさは、「どんな非常事態だろうと構わずゆっくりする」と批判すら
ある。
あくまでも一般的な傾向だが―――――そんな気質を、ボーカルのプチれいむがもう少し受け継いでいたら、
2回目に、Myonが再結成を持ちかけくる前に、このバンドは永久に消えるところだった。
おそらく、子供の頃からそうだったのだろう。
「Reimuの御母さん、すっごい怖いの」
「へえ」
「この前、Mugen大会の授賞式に出てたから見た人も多いでしょ」
「ああ、あのMugen協会の会長。」
決勝戦進出者が、史上初のゆっくりぱちゅりーだったので、話題になって興味は無いが、雲居も見ていた。
「おかーしゃん、アメリカぜんどをたびしてたって」
賭けバスケで人間から金を巻き上げては、旅費として移動していたが、ニューヨークでついにこっぴどくゴロツキに
痛めつけられ――――オクラホマ州に落ち着いてから、何故か森に穴掘って暮らしていたのに、一財産築いてた。
「Reimuさんはどんな子供だったんでしょう?」
「よく、エロほんをみつかっておこられたよ!!! だめなこどもだったんだにぇーー」
実際は――――怒られるどころではなかった。
「まったく―――――どりょくなんてくだらない」
その時、呼び鈴がなった。
狭いアパートの一室。 応対しにいった雲居を目で追うと、客人が見えた。
3人固まる。
ゆっくりようむ―――みょん が立っていた
「お待たせしました~ D〇minoピザですミョン」
「お疲れ様です」
「ではご確認下さいミョン」
支払いを済ませ、何か悲しそうな顔で、要求もされていないのにKomachiはチップを払った。
妙にいやらしい目付きで、デリバリーに来たみょんは素直に受け取り帰っていく。 遠くに行くのを確認するように時間を空けて、
3人は話を再開した。
「ミョンミョン言ってたね」
「ミョンミョンっ って言ってましたね!」
「ミョン だっちぇね」
「ミョン」という語尾は、方言のようなものらしいが、使うゆっくりようむと、頑なに使わないゆっくりようむがいて、その違いは実は
解っていない。地方にいけば、最近は控えられている「ちー〇ぽ」が口癖のゆっくりようむに会うことが出来る。
Myonは、使わないタイプのゆっくりだった。
今頃、本当にどうしているだろう。
「メンバー、揃わない時でも、頑張って来たじゃないですかぁ」
それも、もう終わる。
弱音は吐きたくなかったが、前向きな言葉が見つからない。
だから、Reimuは黙りこくり、Komachiは一気に一杯あおり―――――― 雲居はまためそめそ泣き始めた
「もう、姐さんの事も、お金のこともいいんです。現実逃避って言われても構いません」
Komachiは優しく肩に、ゆっくり特有のちんちくりんな腕を回す
雲居は、元々かなりセンスもあったし、ベース自体の腕も大したものだったから、この先も大丈夫だろう。
二人がそう言うと、ぶんぶかと彼女は首を振って言った。
「私、このバンドを続けたい。 ――――このメンバーじゃなきゃ駄目なんです」
===========================================
―――― あなたじゃなきゃ駄目なんです
「そんなこと、かわいいこに、いわれってゃら きもちいいだろうにぇ~」
酔い潰れて、眠りについた二人を、ビールのジョッキの上に立ち、カラカラと見下し笑って、Reimuはご満悦
な表情
電気を消して、月明かりの中
「んー それも一つのりそうだにぇ!!!」
Reimu は、言う方だった。
そんな、事を言われるほどのものを、彼女は持ち合わせた覚えは無い。
だから、自信なんてからっきし無い。
正直、解散でどこか安心さえしている。
――――いつか、自分自身重荷に耐え切れなくなる気がしていた。
本当に自信がないのだ。
やってもやっても。 ある程度の数字を結果として叩き出せたとしても。
努力と周りが褒めてくれる、悪あがきを繰り返している時だけ、その不安や重荷から解放される。
いつか、駄目になる気がする。
周りを修復できないほど悲しませる気がする。
だから、酷くなる前に途中で終わらせられたら
結婚生活も、とどのつまりそうした理由で破綻した気がする。
何人かとは、実際修復不可能にな関係になった。 らんしゃまは未だに自分を許してくれないだろう。
「どれえ、いっぱいのむかあ」
この時、絶望やら諦観やら、昔を思い出しての感傷やらで、Reimuは確実におかしくなっていた。
だから、愚かにも、酔ってもいないのに、ジョッキの中身に顔を近づけて、落下してしまった。
「うああああ なにこれ?」
ビール好きだったから、天国のはずだが、身の回りにありすぎれば拷問である。アルコールが直に全身に染み渡って、
次第に考え事もできなくなる。
何とか抵抗したが、力が入らない。
気がつけば、体が縮んでいる
「なんで!?」
百歩譲って、水分を吸収して大きくなるのならわかる。しかし縮むとは、自分の体ながら解らない。
ますます一人では脱出できなくなった。
多くの――――少なくともReimuの周りのゆっくり達は――――胴体を持つ事ができたり、変に大きくなれたりする。
Reimuには、これがどうしてもできなかった。
飛んだり跳ねたり以上の、色々な事はできる限り行えるし、体の事では同年代には負ける気もしなかった。が、
胴体を持ったり、自分の体を拡大する事だけはできなかった。
Komachiと雲居が起きるのを待つしかなかろう。
仕方なく、ビールの海に身を委ねる
(あぁ~あ……………)
眠くなると思っていたが、眠れなかった。防衛本能か。
(やってらんねえな………)
意識的には口には出さず、心で愚痴る
(本当にいつまでもちっこいまんまだわ、まともに喋れねえまま、口開けばえらく舌っ足らずな赤ん坊言葉しかでてこねえし)
これ、文章にした場合えらく読みにくいんじゃないだろうか。
雑誌のインタビューは、普通に漢字も含めて読みやすく編集してくれたが、実際に話している間、相手を苛立たせた事は
一度や二度ではない。
(大体なんだよ、プチれいむ って。そういう生物って事になってやがるが………たまに ロリばばあみたいなもん って言う奴も
いるが、言葉の綾だろうが、ババアはねえだろうばばあは。 そらあ、あたしよりも――――――)
あのゆっくりは、何だかんだで年寄り扱いされる事を怒っていた。
Reimu自身は、喧嘩した時でもばばあと言った事は一度も無い。
(いつまでもプリティーで羨ましいって言う奴もいたな。赤ん坊のまま、周りに甘えっ放しでいられて羨ましいなんてほざく奴も)
実際は逆だ。
特に、子供の頃、本当に母親に褒められた記憶が無い。
最初は素で、殴られた。体が一行に成長しないのはある程度受け入れるとして、まともにいつまでも赤ちゃん言葉なのだから、
ふざけてるか甘えてるかしていると思ったのだろう。
本当に、甘えではなく自分の娘が「こういう生物」の一種であると解ってから、母れいむの教育は更に厳しさを増した。
平等主義者だったから、他の普通の姉妹達への厳しさもグレードアップしたので、さぞかし迷惑だっただろう。
褒めて伸ばすなんて姿勢はなかった。
実際、世間に出るとそれ以上に認められなかった
未だに言われる。
――うざい
――虫けら
――お前なんかゆっくりじゃない
(ありがとな。 母さん)
そのおかげで、ここまで来れた。
一人で何でもできるようになった。
今の自分がいるのは、母れいむのおかげだ。
理不尽な罵倒には、それを無視せず怒らず悲しまず―――目の前の課題に努力して取り組む事。そこから出た結果で見返すこと。
子供の頃学んだ。
そうやって、たくさんの敵やライバルを作って、そいつらを叩きのめすことを目標に頑張ってきた つもりだった。
どうしても勝てない相手はいる。
どんな人間もゆっくりも、それとなく努力し続ければ、負ける事はなくなると思っていた。
が、未だにその実感が湧かない。
成績にしろ、他の課題にしろ、部活にしろ―――――――ずっと目の前にいた。
途轍もなく憎かった。
どんなに離れても
長い間会っていなくても
決して忘れられるはずはない。
(――――ゆかり)
生涯、最も憎んで、最も愛したゆっくり
親友にして好敵手で、姉でもあり――――――宿敵 そして最愛の恋人
人間とゆっくり 人間の中の人種、 そして、ゆっくりの中の種類
いずれも、皆違う線の上を歩いている。
たまに交わったり、平行したり、決して接近すらしなかったり。
Reimuとゆかりは―――――――本当に同じ線を歩いていたと思う。
もしくは、ゆかりが強引にReimuの線に入り込んできたかのよう
ただし
( あいつは、前を歩き過ぎるわ。 あんなの追いつけないよ…………)
手には届かなかった。
学生時代、目の仇にして自分から何から何まで因縁をつけて挑んだが、勝てなかった。
彼女の人生は、線の上を、ゆかりに向かって疾走していたようなものか。
(何で………あんな奴)
好きになったんだろうか。
というか、結婚までして
(再婚、できねえよな こりゃあ)
バンドで一旗あげようとしていた矢先、相手までデビューして、気がついたらライバルになっていた。
おまけに―――――
「もうだめだにぇ~…………」
本格的に、ビールに身を委ねたが―――やはり眠れなかった。
窓の外を見上げれば月
そういえば、直接何がきっかけで付き合い始めたのだったか?
確かあれは、近所のれみりあと遊んでいた時、頬を擦り付けられたのでスキンシップしていたら
,.--、_,,....,,__,. -- 、
,.- '"// ⌒ヽヽ //⌒l |
/ l | ___ ___',',nイk___,// ヽ, ってな顔してて………
,' ヽ_rゝゝ-' ー',.-、- 、イ、 i
i ,.へ_トー'"____,.ィ ! ハ、___ イヽ、イ 最初は無視したのだが
r'⌒ r´γ /__,.i i / V__ハ ゝ
〈_,.イ イ ,ィ::( ο)ilililili( ο)`!ヽ! ハ
i i .レイl':::::::::::::::::::::::::::::::::! ハ/ヽ
翌日こうなっていて
_,.、 /7ヽ. ,r'´ ,r'ミ三ミ_ィ
ィ彡三ミヽ `ヽ /:::;ヘヽ,.___,:'::∠i:::/_ . ー´ ,r'ミッ⌒'ミ_
ヾミヽ `ー ,':::/´ i::| /::/ /:/ `'' 、_ '―ー´ _
彡三ミミヽ ,.'"':;::'、 |:|_/∠、r'-'、_ノ `ヽ. ,r'ミミ三ミ_
彡' ヾ、 _ノ ! \ゝ'-'"´ ̄; ̄ヽ_>-、_,ノ i.!、_ 、ッ 'ミ_
rゝ、‐ '" / | ! ,ハ-‐ハ`'ーrヽ、__」、 }^ヽ、 __ _
,ィ彡'  ̄ r'´ノr'"/ /-‐ /! ,' -‐ ヽ! i`ヾr-r'、_ ノ ハ } \  ̄ 'ミ_ィ,
ミ三彡' /ヽ/ ノ i /(ヒ_] レ' ヒ_ン ).ハ /! ,ゝハ / }! i ヽ\ 'ミ_三ミ
// ハ ハ,:' /! ,ハ/// ,___, ///レ' |/ |{_ ノ } _」 .' -=ニニィ
⌒Y⌒Y´/へrヽ 人 ヽ _ン 7 ,' i |ヽ⌒Y⌒Y´ 'ミ_ィ,
ィニニ=- '. )ン ト>.., _______,,, イ.イ / .ハ ', \ ゙i゙i
,ィ彡' !、,__ 'ミ_
それでもあえて無視していたら
ネッチョ ヌッチョ
_,.、 /7ヽ. ♪
,.へ ___,.へ,. /:::;ヘヽ,.___,:'::∠i:::/_ /
♪ __,,. --─'──`<.,,/::::ノ,':::/´ i::| /::/ /:/`'' 、_
\ .,. '" `'"':;::'、 |:|_/∠、r'-'、_ノ`ヽ.
/ ゝ____,.へ--、へr-、ノ ノ\ゝ'-'"´ ̄; ̄ヽ_>-、_,ノ i.!
i__,.へ!_,./--'─'--'-<ヽij" / | ! ,ハ-‐ハ`'ーrヽ、__」 }^ヽ
r'へ,.イ / ハ ハ i ゞノl/ /-‐ /! ,' -‐ ヽ! i`ヾr-r' ハ } \ って目の前でやりはじめて………
`Y´ / / ノ / ィ レ' 、! ハ,l ⌒ ,___, ⌒ .ハ /! ハ / }! i ヽ
、 i イハ ハ ´ ⌒ ,___, ⌒ !/// ヽ_ ノ /// レ' |/〈{_ ノ } _」
..!., | V | /// ヽ_ ノ /// .l 7, ハ ヽ⌒Y⌒Y´
∧ `ヽ、ノ 〈 ハ. ,人 イ.イ / .ハ
V /!〈rヘハ!|>,、 _____, ,.イハVノ` ー--──r'i´、! ,' ,'
おそらく周囲は
. | .∧ ○、,_
○、.,_| / ', / `ヽ.`ヽ.
/´'`ヽ..|へ,/V/、 ':,_,ノト 、
,' _[_.| ゝ-‐''´ヽ、/ !/ ,ハ ,|
,' ´ |::::::::.... |レへ,! / ! こんな感じだったんじゃないかと思う
/_.7-‐ァ''"|!二7´ ̄7ヽ、/`ヽ._! !/ |
r' ̄7-‐ "´´|:::::::: ̄`ヽ、_!`ヽ、___! |、/ヽ|
!ァ'´ , _i_ . |:::::::,ハ-‐! 、`ヽ、___7、 ,ハ |
;' ,' /´ゝ、i .| / ァ'/ノハ/! ヽ. ヽ ! / /
! ! ;' .(ヒ_] ヽ|:::::....r=;ァ:::! /! ハ!/ /
`ヽ! !. /// ,__|:::::::::: ̄"::::::レ' ,' ./ |‐--‐<
レ'7 ヽ.|=ヨ :::::::,' レ' ./ く\
〈 ヽ 、 | ...:::::::,イ / ハ 〉 < `>
`ヽ./!>., |.,___ ,. イ;'/、/_!/>、,__,.>'´
あー、くだらねぇ・・・ .| 流石永遠の17歳!!
なんでこんなアホみ .| かわい過ぎる!!!
たいに無理に褒めな |
きゃいけねぇんだよ
気がついたら、ゆっくりちぇんとれみりあも含め、6人で号泣していた。
(あれでお互いに何となく近くなったんだっけか……… あの時のゆかり………)
今でも思い出す
「……………かわいかったにぇ……………」
口には出さなかったけれど
周囲は怒りと嫌悪感で泣いていたが、Reimuは、嫉妬で泣いていたのだった。
「もうあのころにはもどれないにぇ………」
「あの頃って言うと、キャンプ行った時?」
「いや、もっとあとだよ」
「私があなたに下着を送った時?」
「あんな真っ黒い紐、いやがらせいがいのなにものでもにゃいよ!!!」
「あなたが、私に口紅送ってくれた時?」
「あ、それくらい。どうがないときにぬると、すごくこわかったやつ」
二呼吸ほどおいて
ここが酒の中だという事を思い出す
――――だから、ちょっと冴えたようにみえる頭でも幻覚くらい見るだろう
都合よく――――元伴侶が、ビールジョッキの中に一緒に浮かんでいるとか、
元々Reimuの倍の背丈はあったからこの中に一緒に居ること自体がおかしい。
嘆息して、Reimuは自分の浅ましさを嘆き、受け入れる事にした
ただし、相手は見ないように――――
実は、声よりも先に、匂いで解ってしまった
とても、甘い匂いだ
「ハロー」
「ふん………いましゃら、いきなりきちゃんだにぇ………」
会いたい時にはいつも会えない。 会いたくない時には突然来る
「やっぱり会いたい時がよくあるのね」
「にゃいっ!!! だいたいなにしにきちゃの?」
「―――大ファンの梵Nippori製鉄所が、解散と聞いて」
なんだか応援しているのか馬鹿にしているのかくぁから無い響だった、顔を傾けて相手を見ようとすると、
恐らくそのままひっくり返って本格的に覚えれそうなので、Reimuは天井を睨み続けた、
「わらいにきたんでしょ………」
「一ファンとしては、解散して欲しくないから、居ても立ってもいられなかったのだけれど」
何が一ファンだ。笑わせる
「あんた、どっちかっていえばもう てきじゃない!!!」
「いや、個人的には本当大ファン」
「デビューはおそかったくせに、あんたたちにかてるようそなんて、Reimuたちには、1㎜もにゃいよ!!!」
「勝ち負けの問題じゃないでしょう」
「いや、かちまけのもんだいなんだよ」
―――「Bafume」は、勢いに乗ってヨーロッパツアーが決まった
(そういえば明後日からだが、こいつはこんな所に居る。余裕があるのだろうか?)
―――そうでなくても、実際に空間も時間も制限されてるし
―――何より………
(ありえねえだろ、人間と浮気――――っていうか、もう分かれてるから問題ないのか。だからって………)
「かとうは、いいおとこだよねえ」
「ああ………加藤はまあ、確かに良い男だけど、あれは現実逃避っていうか、心の迷いっていうか……」
「いいじゃない。Reimuより、かとうのほうがおにあいだよ!!!」
それで――――こんな落ちこぼれゆっくりなぞ捨てて、いくらでも人間の格闘家に逆セクハラを繰り返すがよい!
こちらは、もう追いつけない
「ごめん……それ、本当に反省してるのよ……マネージャーにも怒られたし、実家からも電話かかってくるし……」
珍しく取り乱した声だった。予想だにしていなかったというか、その事を指摘されるとは思っていなかったのだろうか?
もっとも、彼女に逆セクハラを受けていた加藤は、ゆっくりナズーリンの恋人がいるらしいのでそこまで焦ってはいなかった。
感じたのは、敗北感。
ゆかりは、それきり黙ってしまった。
Reimuはもっと罵って攻撃して、それで話を続けたかったが、言葉以前に、そうした憤りや劣等感といった、後ろ向きな
言葉を用意できなかった。
そんな気持ちも消えていた。改めて、酒の中にいれば、脳もふやける。
何とかもっと話したい。
お互い、昔の様に罵りあいでもいいから、何かを続けたかった。
ここまで密着した状態で、彼女はゆかりとの距離を感じた。 置き去りにされたとかではなく、元々離れていた気がした。
(あの、配達に来たようむ、あいつは自炊とかどうしてるんだろう?)
Myonは、中々その両立に悩んでいた。元々母親のゆっくりゆゆこ(結構有名なライターだった)に敬語を使うような真面目な
奴だったためもあるが、当然ながら、ようむの人口はかなり多くとも、彼女の代わりを果たせる可能性のあるゆっくりが、世界中に
何人いるか
ゆっくりとゆっくりは、何て違っている事だろう!!!
れいむでさえ、話せば驚くほど違うのだ。
人間以上に解りやすい種としての違いと類似性を持っていると、ゆっくり達自身が思っている。
だが、実際には違うのだ。「似ている」どころではなく、「ちょっと違いがある」「誤差がある」どころではなく、全く持って違うのだ。
詰まる所、同じ線に立てる者はいないし、共有できるものなど何一つないのではないか?
大昔の人間は、全ての生物は本来一つの完璧な存在であったのが神様の逆鱗に触れ、二つに裂かれて地上に落とされ、
それぞれが完璧な状態に戻りたがって、伴侶を一生涯求めるのだという。
嘘だ。
最初から一人で、かっちり交われるものなど無いと、Reimuは幼い頃から思っていた。
少なくとも―――――自分と交われる者はいないだろう。
待っていても来ないから、自分を回りに少しでも当てはまるように変えていくのが筋というものだ。
彼女の今までは、そのための悪あがきの連続だった。
そんな自分に だ。
「こんなことはききたくないんだけどにぇ」
単純な疑問だ
「『こんな れいみゅの―――……どこがよかっちゃの』?」
気持ち悪い。
しかし、「こんな私(僕・俺)を受け止めてくれる~」とは、若干趣が違うだろう。
困る質問だと思っていたが、ゆかりは即答してくれた。
「うん。理由はもの凄くあるんだけど、おおまかに言って4点に分けられてね」
ほほう。
「―――ふん。いうまでもないにぇ。なにをいいたいのかはわかりゅよ!!!」
①ゆっくりれいむだから
→ ゆっくりれいむとゆっくりゆかりのコンビって、まりさとれいむについで、実は割りと多い。ペアスポーツや仕事仲間などで。
何となく種として馬があうんだろうし、それを望んで友達づきあいする奴も多いのかもしれない
②家柄
→ Reimuの母親は、オクラホマ州での名士中の名士である。現在はMugen協会やその他多岐に手を出しすぎていて…
そういえば、このゆかりの家は、同じ州でホテルグループを………
③優越感
→ ここまで差が歴然として、それで自分に挑んでくる相手と一緒にいるのって、ウザい通り越して楽しくね?
④遊び
→ ありがちだねえ。でも、ゆっくりゆかりって、基本胡散臭くて信用されない分、本当に騙す奴いるし。割と有名な悪人いるし。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「ごめん。ほんとうにごみぇん………… ③なんて、さすがにないよにぇ」
「④もよ。あなた、ゆっくりゆかりに偏見持ちすぎ。騙してなどいませんわ」
不意に雲が流れ、月が隠れた。これだと、横を向いてもゆかりの顔は見えまい。
甘い匂いで、漂っている場所だけ解る。
「まず、① これは確かにそう。 だって仕方が無いでしょう。種による愛着ってやっぱりあるもの。あなただって、私と全く同じ中身で、
ゆっくりひなか、ゆっくりゆかりがいたら、ゆかりの方を選ばない?」
「―――……………」
「そこは、あなたを御母さん達に感謝なさい。誇りに思っていいのよ」
―――その、ゆっくりれいむとして、自分は不良品だと思うのに………
「そして、②」
「うん」
この時
初めて、どこら辺かは解らないが、 ゆかりと、Reimuは体の一部が触れ合った
「あなた、かっこよかったもの」
二人ともまだ健康なので、肌の弾力がお互いを弾きあった。
Reimuはグラスの端まで行き、バウンドしたが、その勢いでゆかりにもう一度触れる事まではできなかった。
「小さいのに頑張ってるとか、プチゆっくりなのに、歌ってる時は普通の声のギャップが凄いとか、そんなんじゃないの。――――私は、
あなたが頑張ってる所はかっこいいと思ってたし、好きだった。 だけど、それはあなたがプチゆっくりだからとか、逆境を跳ね除けてるとか
そういう条件は関係無しに」
ゆかりも一度端にぶつかった様だ。グラスが軽く揺れる。
「あなたはかっこよかった」
それは―――――ずっとそうだった訳ではないだろう。
耐え切れず、弱音を吐いた事は存外多かったと反省してるし、割とすぐ泣いた。すぐに泣く奴はゆっくりには確かに多いが、Reimuもよく
泣いた。
努力したり戦った末、その全てに結果が伴った訳ですらない。
「ほかにもかっこいいやちゅなら、いくらでもいたでしょ。よりによって、こんなちんちくりんがかっこいいて……?」
「悪趣味ってよく言われたわ」
そこで、「『あなたじゃなければ駄目なの』とでも言ってもらえれば完璧なのになあ」と思いかけて、全力でReimuはその思念を振り払う。
自分は性根まで腐っているのかと、グラスの端に、わざと頭を打ち付けた。
ゆかりは、クスクスと笑う。
頭をぶつけた弾みで―――横を向いたが、沈むことは無かった。
ようやく、ゆかりを見ることが出来るが、やはり暗くて良く解らない。
それでも、輪郭はおぼろげにわかった。
(おのれ、 おのれ…………!)
心の中で、歯噛みする。
(何で、こいつこんなに綺麗に見えるんだ? なんであたしは、こんな変な奴を好きになったんだ?)
思わず、涙ぐんだが、ビールの中だし、暗いから解らないだろう。
ただ、泣いたのは悔しさだけではない。
歯を食いしばっている内に、Reimuはある事にきがつき―――そして、思い切って声に出した。
そう、声に出したの
「ゆかり―――――」
「ん?」
レコーディング時にも、これは感じた事は無かった。
「上手く言えないんだけど―――――あなたは、私と一緒にいて、楽しかったかな……?」
「……………」
初めてではないだろうか
「私は、貴女にとって、その、ふさわしい形で、かっこいい状態でいられたの………………?」
喋れはした。
それでも、根源的な自信の無さは変わらない。
ゆかりは、暫くしてから返してくれた
「③がね」
「………………」
月が見えた。
ゆかりは、思っていた以上に、悲しそうな顔をしていた。
「あなたといっしょに居て、楽しかったから。 あなたがプチでも何でも、ただいるだけでもね」
はっきり言って、③だけが、もう全てなんだけどね、と付け加え、ゆかりは何やらまた胡散臭い声で笑った。それは凄く
わざとらしい笑い方だった。
月はまた隠れたが、一瞬見えた顔は、随分疲れていた。明後日から海外ツアーだというのに、本当に大丈夫なのか?
相当きついスケジュールなのか?身を案じる言葉をかけたかったが、声を出せなかった。
―――私もよ
とも言いたかったが、それも言えなかった。
色々堪えるのに必死だった。
(理由なんか今更あるかよ。 わたしは、ゆかりと一緒にいられればよかったんだ)
ゆかりが―――もう、どんな状態であろうとも
(一緒にいたいんだ)
それでも
同じラインに立っていようと、そのままじゃ、ただいるだけでは、置いていかれる気がしていた。
そのための悪あがきの連続だったというのに。
「何か、ごめんね。ゆかり」
「―――――――――何でこうなってしまうのかしらね?」
少なくとも明日から、もう二人は会えなくなる。
ツアーがどれくらい続くのか、Reimuはきちんと把握しようとしていなかったが……どの道、夜が明けてこのビールジョッキから出たら、
またとんでもなく遠い所へ行ってしまう気がした。
こんな会話をしたあとでも、自信が無い。
一生、こんな形の関係が続くんだろうか?
宿敵、と表現したのは、そういう意味だ。
「あ、そういえば。気になったんだけど」
「え、何?」
「④をまだ聞いてない」
「あーそれ………」
ぱしゃり、と水音とともに、水面が揺れ、ややあって気配が消えたと思ったら、覗き込む形で、ゆかりはジョッキの外に出ていた。
体の大きさも、ほぼいつもと同じくらい。
何なんだ一体。
「ちょっとショックかもしれないのだけれど」
「うん。ちゃんと言ってよ」
「怒らない?」
「いや、大丈夫。多分怒らないと思うから」
「私、実はロリコンなの」
「ざっっっっけんなあ このババア!!!」
思い叫ぶと同時、水面から飛び上がり、ついで、何とかジョッキから脱出できたのみならず、Reimuの体は通常の大きさに戻っていた。
が、そんな事を喜んでいる暇もなく、テーブルの上に着地すると、今度は胴体がついてテーブルに頬杖をついているゆかりに食いかかる。
「けっきょく、そういうことがもくてきだったんでゃにぇ!!! みんなが、『あのゆかり、プチゆっくりとつきあって、ロリコンにちがいねえぜ』って
うわさしゅるから、そのつど『ゆかりんは少女だもん!!! だから、れいむのことがすきでも、どうねんだいだから、ロリコンじゃないもん』!!!
っていってまわっちゃんでゃよ!!! だのに、あんたはほんにんのまえでそういうことをへいきでいう! ぶちこわちだよ!!!」
「や~ん……… 怒らないでって言ったのにい」
「なんでゃよもう、かわいいにぇ、このばあさんは! このくそばばあ!! れいみゅの、かわいいかわいいばばあ!!!」
「ちゃんと最後まで聞きなさいな。私がちんまい子が好きな理由はね……」
ポコポコと頭突きを繰り返すReimuを、愛しげに眺めつつ、ゆかりは途中、両手で優しく包み上げた。
「小さいと、全身でこういう事ができるから…………」
そのまま、Reimu自身をゆっくりとしてはかなり大きい、自らの胸の上に乗せ―――後頭に両腕を回して、ゆかりは本当に―――
自らの一部の様に、Reimuを、思い切り抱きしめた。
「あ………あ………」
最初、息もできず、状況がわからなかったReimuはされるがままに、ゆかりに抱かれ続けた。
漏れ出した声は、結局堪えていた嗚咽へと変わった。
「うわああああああああああああ」
心の底から泣いた。
安心感と、結局素直になれず、意志の疎通もできなかった罪悪感と―――こうしていつまでも抱かれ続ける事ができない寂しさと、
そして、改めて包み込まれる喜びがない交ぜになって、泣くしかなかった。
顔は胸にうずまっているが、ややあって頭に何かが垂れるのを感じていた。
位置として、ゆかりの顔から垂れているのだろう
「ねえ、Reimu」
血や涎ではない。
「あなたは 私といて楽しくなかった?」
(ああ、そうか)
こいつもこいつで、自信が無かったのだ。
楽しくない訳がないのに。
お互いにこれでは、いつまでも同じ位置には立てないのだろう。
抱いている体が、小刻みに震えている。
(ああ………こんな時)
切実に願ってしまう
(胴体が欲しい………)
それができないなら。
(せめて、腕が欲しい………………)
――――自分から、彼女を抱きとめられるくらいの
その日ほど、切実に願った事は無かった
「何でしたっけ、平成版のライダーで、こういう怪人いませんでした?」
「なるべく中途半端に新しい作品で例えなくていいよ……こういう酷フォルムのキャラって探せばけっこういるし」
「そっちょくなかんそう、ありがとう」
それでも、一輪は嬉しそうだった。
komachiは、第一発見者なので、そろそろ状況に慣れきた頃か
「実際、これどうするの? 放送できるの?」
「どうせ、TVには出ないようにしてるんだから今更でしょ」
「おまえら、えんりょなしにいってくれりゅにぇ………」
椅子の上から、盛大に後にReimuは仰け反りかえった
「………あんた、まだ慣れてないから………」
「ぬう……みんな、よくこんなもの、からだにはやして、あちゅかえりゅにぇ!!!」
「そりゃ、普通は胴体っていうか、腰についてるものだもの」
「Reimuさん………」
人間の店員達の、嫌~な視線がそろそろ気になって、一輪は言った。
「何で、足だけ生やしたんですか?」
(生やしたんじゃねえ、朝起きたら生えてたんだ!!!)
更に
「百歩譲って、胴体を省略したとしても、腕くらいはつけなよ!!!」
(だから、生えてこなかったんだってば!!! 理由は知らねえよ!!!)
先程、こうしたフォルムはけっこうある、と聞いていたが、あまり思い浮かばない。
小さな生首から、細くて丈夫な足だけが生えているというのは―――――――――
更に、
「――――で、どこら辺までいった?」
「DEEP PURPLEの『Highway Star』 れんしゅうしてるけどきついわ」
「あー そりゃすごい」
「やっぱり才能あるんですね」
「いや、5本指じゃないからだろう」
「なんぼんだろ、これ」
足とどう連動しているのかは解らないが――――
とりあえず、胴でも腕でもなく、足だけが生えたReimuは――――もみ上げをひたすら鍛える事にした。
それが、2週間。
一応、Reimuはボーカル兼ギターとなっている。
「方向性変えなきゃナ……」
「あ、練習した曲があるんです」
親友にしてライバル、宿敵のであり、恋人 姉であり――――――最愛の母親ともいえる存在を越えるため
身近にいた、「こんな自分でも」と何とかいってくれる連中と一緒に居たくて
梵Nippori製鉄所は、これからも悪あがきを続ける事になりそうだ。
了
- 生きてる限り戦い続けるんだねわかるよー -- 名無しさん (2010-03-28 16:05:13)
- 深い話じゃ。
相変わらずのシリアスかつシュールな世界観、素敵ですw -- 名無しさん (2010-03-30 02:21:30)
- プチゆっくりって成体になってもこの口調なのかな?
ギターはもみあげで弾く派?ジミヘンみたいに歯で弾く派? -- 名無しさん (2012-03-23 13:14:47)
最終更新:2012年03月23日 13:14