※東方キャラ登場注意。むちゃくちゃ二次設定ですよ。
※
今までの自分の作品見てないと、訳の分からないとこあるかもです。御了承ください。
そんな奴らのエイプリルフール(東方)
case1 てるもこな二人
4月1日。エイプリルフール。
この日は、一日だけ、どんな嘘をついても許される日らしい。
―――迷いの竹林内の、妹紅の隠れ家内にて。
今日がエイプリルフールということを知ってか知らずか、ゆっくりかぐやが、部屋で寝そべっていた妹紅に尋ねる。
「ねー、もこたんもこたん」
「なーにー、かぐや」
「今日は姫のとこ遊びに行かないの?」
「あー、今日はいいや」
面倒くさそうな顔をしながら、妹紅は素っ気無くゆっくりかぐやに答える。
「えー、どうしてよー」
「いや、だってさ、今日はさ」
もちろん、妹紅は今日はエイプリルフールだということは知っていたが、
「だって今日は‥、あいつと面向かっていつもみたいに『お前なんて嫌いだ!』なんて言い辛いし、
だからって『お前のことが好きだ』なんて言える筈ないし‥」
去年の同じ日の光景を思い出し、妹紅は少し顔を染めながら、そんな風に答えた。
と、同時に、
―――ガララッ、と、突然妹紅の家の戸が勢いよく開き、
蓬莱山輝夜が、
どういうことか顔を真っ赤にしながら、
ついでに頭にゆっくりもこうを乗せて、
「べ、別に妹紅のことなんか好きじゃないんだからね!!」
「とらうみゃー!」
そんな台詞を吐き棄てて、ダッシュしてそのまま走りさってしまった。
「‥‥‥」
「聞かれてたみたいね、さっきのかぐやたちの会話」
「‥‥‥えーっと、どういう意味で解釈すりゃいいんだよ、さっきの発言は‥」
「いやまぁ、考えるまでもないと思うわよ」
「多分、姫はもこたんと大体同じこと想ってるはずだから」
case2 ゆゆミスな二人
4月1日。エイプリルフール。
この日は、一日だけ、どんな嘘をついても許される日らしい。
―――冥界、白玉楼にて。
『私ね、実はミスティアのこと大嫌いなのよ!』
だが、そういう日だってことを、必ずしも誰もが分かっているとは限らないので、
嘘をつく時には、その大きさと取り返しのつかなさとかに注意が必要である。
「‥今となっては、マジ反省してますわ」
西行寺幽々子は珍しく暗い雰囲気で、目を伏せながらかく語る。
しかし、どれだけ反省しようと、覆水は盆に返らないし、吐いた唾は飲めこめないものなのである。
具体的に言うと、
例えば、その言葉を真に受けた夜雀が、
一瞬で顔を青ざめてこの世の終わりのような顔をして、
それでも何かの間違いだと思い「嘘でしょ?」と尋ね返しても、
真顔で「いいえ、これは本当のことなの」と嘘とは思えぬ迫真の演技で返されて、
思わず呼吸が止まってしまってどんな顔をすればいいのか分からなくなり、
少しの間を置いて、その小さな喉から小さな、けれど深い嘆きの意味が込められた嗚咽が響き、
大粒の涙を絶え間なく流し始めてやっと、
(やばい‥やりすぎた)とやっと後悔し始めて『嘘、嘘、ごみんね!』と幽々子謝ろうとしたその瞬間、
「お姉さんは泣かせるなぁぁああ!」と、ゆっくりみすちーによる怒りの『ドリルくちばし』が炸裂、
幽々子「痛い、目が痛い!」
そんなことしてる間に翼を広げて大声で泣きながら空の向こうへ飛んでいった夜雀なのであった―――
という出来事が起こったとしても、
決してなかったことには出来ないのである。
「最っ低ですね」
主の悪ふざけに対し、妖夢は心底軽蔑した顔を贈って、大事なことだから二回言う。
「最っ低ですね」
「返す言葉も御座いませんわ」
それで、どうしたらいいかしら?と珍しくオロオロした様子で、幽々子は自分の従者に尋ねる。
それに対し、妖夢は自分の脇に差してある刀、二本あるうちの長いほうを幽々子に手渡した。
「大丈夫です、幽々子様。大抵の事は腹を切って詫びれば許されます」
妖夢、綺麗な笑顔でそんなことを言う。
綺麗な、有無を言わせぬ笑顔でそんなことを言う。
「介錯なら、私も手伝えますから」
4月1日、午後2時07分。
西行寺幽々子、白玉楼の中庭にて、自刃――
「駄目ぇえええ!!!」
未遂。
「ミスティア!?」
今正に幽々子の腸へ達しようとした白い刃を止めたのは、
突然飛んできた夜雀、ミスティアだった。
「ミスティア‥、どうして‥ここに?」
「私、知らなくて、忘れてて‥。今日、エイプリルフールだって、
ルーミアに言われてやっと思い出して‥、
嘘だったんだよね!? 私のこと嫌いって、嘘だったんだよね‥!?」
幽々子は、泣きそうな顔で迫るミスティアに対し、バツの悪そうな顔で頷いた。
「えっと、その、ごめんなさ‥」
「ごめんね!!」
だが、幽々子が謝りきる前に、ミスティアは幽々子の胸に飛び込んで、
自分からそんな謝罪の言葉を口にした。
「ミスティア‥?」
「ごめんね‥、私、バカだから‥。信じちゃって‥、ごめんね‥!
そんなはずないのに‥、冗談だって気付かなくって‥、
それで‥、幽々子のこと、自分のお腹斬っちゃうくらい追い詰めちゃって‥、
ごめんなさい‥!」
どう考えても、質の悪い嘘をついた幽々子が悪いのだが、
ミスティアは騙された自分に非があると感じているようで、
一生懸命に幽々子に謝ってくる。
「ミスティア‥」
そんな純粋な夜雀を騙し、挙句の果て謝らせている自分の所業を恥ずかしく思った幽々子は狼狽しつつも、
(ああもう‥!可愛いなぁ!!)
そんなことで泣いて謝っちゃうこの生き物のことが本当に愛おしくて萌え萌えで我慢できず、
取り敢えず抱きついてきたミスティアを支えてあげようとその小さな背中に自分の両腕を伸ばし、
「いいから早く謝れよ」
ずっと介錯の準備をしていた自分の従者に、容赦なく袈裟斬りにされた。
真っ赤な鮮血が、白玉楼の庭に弾けて跳んだ。
「ゆ、幽々子!?」
「すいません、介錯をやめていいとの指示は受けてなかったので勢い余って殺っちゃいました!
(昼間っからイチャイチャしてんじゃねぇよ、糞うぜぇ)」
「あ、あれぇ幻聴かしら? 妖夢から主に言うにしては辛辣過ぎる言葉がだだ漏れしてる気がするわ‥(吐血)」
「あーもうかったりぃー、ヤメだヤメだ。後の始末は任せましたよ、夜雀」
「え、えぇー!? ちょっと大丈夫なの、これ!? 血ぃドバドバ出てるよ、亡霊なのに!?」
「大丈夫です、その無抵抗な身体にあと2、3回斬り込めば、流石の幽々子様も1週間は復活できないでしょう」
「始末ってそういう意味!?」
そして、返り血をたくさん浴びたまま、半人半霊の少女はその場から去っていったのでした。
「‥‥、半霊のお姉さん」
と、そこにどこから現れたのか、ゆっくりみすちーがその少女の肩を、翼を使って優しく叩く。
「今は独りでも、きっとそのうち、良い人が見つかるって」
「ハハハハ、お前も切り裂かれたいのかド饅頭」
case3 パチュこぁな二人
4月1日。エイプリルフール。
この日は、一日だけ、どんな嘘をついても許される日らしい。
―――紅魔館の大図書館内にて。
「という訳で、ボクはパチュリー様のことなんか、大、大、大嫌いなのですよー!!」
満面の笑みで、小悪魔は自分の主人に対しそんなことを言い放った。
「そう」
対する主人であるパチュリーは、分厚い本を読みながら、
“読書の邪魔をするな”とでも言いたげな顔で、小悪魔の発言を軽く流す。
「あれぇー、ショックなのですかー?信頼する部下に嫌われててショックなのですかー?
でも大丈夫なのですよー!今日は実はエイプリルフールなのです!
つまりさっきの発言は真っ赤な嘘なので‥」
続く小悪魔の冗長な台詞にうんざりしたのか、
「小悪魔」
パチュリーは、如何にも深刻そうな態度で、小悪魔に対し面と向かって言い放つ。
「私は、小悪魔のことが大好きよ」
「ほえ!?」
突然の衝撃的な台詞に、小悪魔は一瞬顔を真っ赤に染めるが、
今日が、どういう日なのかを思い出し、
今度は逆に真っ青な顔をして、恐る恐る聞き返す。
「そ、それは‥どういう意味なのですか?」
「あら、今日はエイプリルフールだってこと、貴女も知っているんだよね? だったら、もう一度言うわよ」
パチュリーは冷酷な笑みを浮かべて、もう一度、同じ台詞をさらに強い言い方で言う。
「私は、貴女のことが、世界で一番大好きよ。
顔を見るだけで心が温かい気持ちになって、すぐにでも抱きしめたくなるくらい大好きよ」
「え‥、え‥、それって‥つまり、 逆の意味で‥? えっと‥本気なのですか?」
分かり易いくらい動揺している小悪魔の態度に、パチュリーは満足そうに口を歪め、
「ええ、私は本気よ」
トドメといわんばかりに、冷酷に子悪魔にその言葉を突き刺した。
「そ、そんな‥そんな‥」
耐えられなくなったのか、小悪魔は俯きパチュリーから目を逸らし、目を涙で溜めながら、
「ぱ、パチュリー様のバカぁぁああああ!!!」
『むきゅー!?』
「痛っ!?」
どこに隠し持っていたのか、
図書館に住み着いている、パチュリーそっくりのゆっくり、
つまりゆっくりぱちゅりーを突然取り出し、
パチュリー本人の顔に投げつけて、
そのまま踵を返して図書館から飛び出して行った。
「いたたた、生物を投げんじゃないわよ」
『むきゅぅー‥』
突然投げられて目を回したらしいゆっくりぱちゅりーを丁寧にテーブルに置き、
「まぁ、これで静かになったわ」
やれやれと首を振り、清々した言わんばかりに再び読書に勤しみ始めた。
『むきゅー』
「おや、もう復活したの? なかなか丈夫な生物なのね、ゆっくりって」
『むきゅー!』
「フフ、元気ね。良いことだわ」
すっかり元気になって、テーブルの上を楽しそうに飛び跳ねるゆっくりぱちゅりーを見つめ、
魔女は自分の従者の姿を思い出し、薄く笑った。
先ほどの冷酷な笑みとは真逆の、優しく暖かい笑顔。
「しかし、あの娘もバカね。 エイプリルフールは“嘘しかついちゃいけない日”って意味じゃ、ないでしょうに」
case4 にともみな二人
4月1日。エイプリルフール。
この日は、一日だけ、どんな嘘をついても許される日らしい。
―――妖怪の山、川原。
「飛車、三マス前へ」
「ゆっー!」
「じゃ、ボクの番だね」
にとりと椛がいつも通りゆっくり将棋に興じている静かな午後。
「そーいや、今日はエイプリルフールですねー」
「ああ、そうだっけー」
「ゆゆっー!」
何の気なしに呟いたにとりの言葉に、椛も何の気なしに自分の駒であるゆっくりれいむを動かしながら答える。
「四月馬鹿か‥」
「ゆっ、ゆっ!」
にとりは手の中で、自分の駒であるゆっくりまりさをお手玉のように弄びながら、
次の手を考える最中、何の気なしに言ってみた。
「じゃ、椛さん。この勝負で椛さんが勝ったら、私のことお嫁さんにしていいですよ」
「ふぇ?」
椛の表情が、瞬間冷凍な感じで固まる。
そんな椛の反応を見て、満足そうに、にとりはニヤリと嫌らしい笑みを浮かべた。
もちろん冗談だ。
妖怪だからって、こんな状況でこんなに気楽に愛の告白なんてするはずがない。
だが、そんな冗談でも純情な椛は顔を真っ赤にして困ったように俯いてしまっている。
そんな椛の態度に、若干の罪悪感の混じる愛おしさを感じ、
ちょっと冗談が過ぎたかな、と思い、
笑顔で「もちろん冗談だよ」と伝えようとした。
「アハハ、もちろん冗だ‥」
―――ガシャッ
しかし、その言葉が最後まで紡がれることはなかった。
気がつけば、にとりの隣には、鈍く鋭く銀色に輝く巨大な刃が肩に食い込む一歩手前の近さで添えられていた。
「今更冗談だなんて言ったら、その身体4つに叩き斬って川に投げ捨てる」
先ほど打って変わった真剣な、まるで仇を睨むような真剣な眼差しで、
もみじはにとりに向かって自身の巨大な武器をかざしてそう言った。
「え、えっと‥。今日はエイプリルフールだってさっき話したよね?」
「だから、さっきの話は冗談だなんて言うつもり? まさか、ねぇ。
あんな話をこんな日だからって、冗談で言う訳ないよね?」
にとりは、臆病な河童である。
こんな風に脅された直後、はい嘘でした、なんて言えるはずもなく。
「えっと、勿論‥、嘘じゃないです‥」
そう言う選択肢しか残されていなかった。
「よっしゃぁああああ!!!頑張るぞぉおおおお!!!!」
対する椛は、嬉しそうに、
本当に子犬のような嬉しそうな態度で、自分の大剣を頭上に掲げて強い決意と闘志を燃やした。
「ゆー?お嫁さん? 愛をかけた戦いなの?」
「ウォー オブ ラブ 愛の戦争なのかー」
「すごいです。まさかさなえたちがそんな素晴らしい戦いに立ち会えるなんて」
「こりゃ、いつもより数倍気を入れていかなきゃいけないね!」
「分かる、分かるよー!」
「その戦い、その想い、イエスだね!!」
気がつけば、盤上のゆっくり達もはしゃぎ回って、この戦いに特別な意味を見出している。
「ボクは絶対にこの勝負に勝って、にとりを手に入れて、一生大切にするからね!
それじゃ、再開しようか!」
「え、えーと、はい‥」
にとりは暗い顔で頭を抱えて小さく蹲り、
先ほどの何気ない一言の冗談を、死ぬほどに後悔した。
もちろん、後の祭りにも程があるのだが。
「ほら、にとりの番だよ!」
「ゆゆー!」
「えぇえい!勝てば良い話だ! 勝率なら、私の方が少し上なんだから!!」
「ゆっー!」
絶対に負けられない戦いが、そこにはあった。
「にとりー、それニ歩」
「あ‥」
~終わり~
最終更新:2010年04月02日 21:06