てゐ魂二十二話2

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~☆~

一方、ゆぶき町では怪しいゆっくり達が右往左往の大騒ぎしていた。
闘争中のてゐを捕まえる為、ゆぶき町全域を探し回っているのだ。

「おい!そっちに居た?赤ちゃんを連れたうさ耳ゆっくり!」

「いや、駄目だ!何処にも居ない!」

「むぅ、これだけの数で探しているのに、手がかりさえ得られないとは…。」

だが、一向に見つからないてゐの姿に、怪しいゆっくり達は焦り始めている。
…ふと、そんなゆっくりの目にマンホールの蓋が映る。

「…まさか、下水道を移動しているとか?」

「えェ!?まさか、そんな方法で!?」

「ありえないとは限らないだろ!映画ではよくある手法だぜ!」

あーだこーだと言っているが、いつまでも言い争っていてもしょうがない。
ゆっくりの何匹かが、マンホールの蓋を開けて、下水道へと下っていく。

「これで見つかるとは限らないけど…。」

「残りのメンバーは隠れられそうな所をドンドン探してみようぜ!」

そして残されたゆっくりは地上を更に徹底的に探し回るのであった。

怪しいゆっくり達の仲間のうちのれいむが逆さになって転がっていたダンボールを持ち上げて、「何処に居るの~~!?」

まりさが側溝の蓋を開けて。「大人しく出てくるんだぜ!」

ありすがゴミ箱をあさりながら。「今出てきたらおいしいタイヤキをあげるわよー!」

他のゆっくり達もあちこち探し回るが、てゐの姿は一向に見つからない。
…と、探しているゆっくりの内の一匹が、しきりにちらちらとある地点を見ている。

「…オイみょん、さっきから何しているんだ、気になって仕方ないぜ!」 

「いや、だってさっきからあの変な胴つきゆっくりがこっちを見ている気がして…。」

「え?」

それを聞いてまりさがみょんの視線の先を見る。
…そこには、三度傘を深く被り、虚無僧のいでたちをした妙な胴つきゆっくりが一人据わっていた。
確かにそいつはしきりにちらちらとこっちを見ているような気がする。
怪しいまりさが、更に怪しい虚無僧ゆっくりに近づいて話しかける。

「オイ、お前、さっきからこっちをちらちらと見ていて何のつもりだぜ!?」

虚無僧ゆっくりは俯いたまま、ぼそりとこう呟いた。

「…いえ、私はそのゆっくりが連れている半霊がマシュマロみたいでおいしそうだな~って思っていただけです。」

「え!?」


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怪しいみょんはそう言って自分の半霊を見る。
半霊はその虚無僧ゆっくりから身を隠すようにみょんの後に隠れる。

「それは一体何味ですか?マシュマロ味ですか?はんぺん味ですか?」

「ひ、ひぃいいいいい!」

虚無僧ゆっくりの問いかけに、身を震え上がらせる半霊とみょん。
「気、気味の悪い奴だぜ、おいみんな!ここの捜索は後回しにするぜ!」

「ウ、うん!ゆっくり理解したよ!でも半霊が何味なのかは確かに気になるよ!」

「…………!」

更に震え上がるみょんと半霊を引きずるように、怪しいゆっくり達はその場から引き上げていく。
…虚無僧ゆっくりが去っていくゆっくり達を見送ると、横に視線を向ける。

「…連中は去ったわよ、そろそろ出てきなさい、てゐ。」


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そう、横に居るテルヨフに問いかける。
しかし、テルヨフは全くピクリともしない。

「…どうしたのよ、てゐ、出てきなさい!敵は去ったわよ!」

虚無僧ゆっくりはテルヨフを持ち上げ、まるで貯金箱の中身を確かめるかのように振りまくる。

「まさか、中で何があったの?オイ、返事しなさい!てゐ~!」

「それの何処にどうやって隠れろというんじゃ馬鹿ぁあああああああ!」

一心不乱にテルヨフを振りまくる虚無僧ゆっくりの後ろからてゐは後頭部に回転体当たりをぶちかます!
弾みで、虚無僧ゆっくりの首がポロリと外れてしまう。
一瞬ドキッとする光景だが、心配は無い。
名瀬から、虚無僧ゆっくりの身体は、文字通り飾りの身体なのだから。

「ちょ、てゐ、何処に隠れていたのよ。」


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落ちた弾みで外れた三度傘の下から現れたのは、長く美しい黒髪が特徴のゆっくり、かぐやであった。
「そんな事より、マジでそいつの何処に隠れろというのさ!馬鹿なの!?死ぬの!?」
てゐはかぐやにまくし立てるように怒鳴りかける。
ちなみに、てゐは丁度かぐやの後に置いてあった大きなゴミ箱の中に隠れてました。

「うう、やっぱりくちゃかったよ…。」

鉢植えの赤ちゃんれいむもゴミ箱の上に置かれています。
…まぁ、どうでもいい事だが。

「何行ってるのよ、テルヨフの力は凄いわよ!なんと、こんな所に収納場所が!」

かぐやはそう言うと、テルヨフを裏返して背中のチャックを下ろした。



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背中のチャックからは、無数の目玉が覗き込んでいた。

「怖いよ!隠れたくねぇよ!何処に連れて行く気だよ!
 って言うか前から思っていたけど、それは一体何なんだよ!」

「元のキャラ的に背中にチャックがあっても不思議じゃ無いでしょ!」

「とりあえず、元のキャラはそこまで得体の知れない存在じゃ無いと思う!」

…なんだか、かなりメタな方にまで話題がずれている二匹であった。

「…あんたちゃち、なきゃがいいにぇ。」

赤ちゃんれいむはそんな二匹を見てそんな事を呟いた。
「別に仲良くねぇよ!」
聞こえていたらしく、てゐがそう言い返す。

「…で、なんだか追われているみたいだから匿ってあげたけと、
 何で追われてるの?しかも何で赤ちゃんなんかつれて…。」

てるよはそう言って会の毛を伸ばして、ゴミ箱の上の赤ちゃんれいむを引き寄せた。
「うにゃああああ!?」
引き寄せられる際、赤ちゃんれいむが叫び声をあげる。
まぁ、いきなり大量の髪の毛が迫ってくれば、子供じゃなくても叫び声を上げたくなる気持ちも解る。
かぐやは引き寄せた赤ちゃんれいむの顔をじっと見つめる。

「…それにしても、見れば見るほどあんたに似てふてぶてしい顔してるわね。
 ここまで来ると、ふてぶてしさで80日間世界一周できるんじゃない?ってレベルね。」

「どれだけふてぶてしいのさ、このゆっくり。」
かぐやの台詞にツッコミを入れるてゐ。

「…まぁ、そのふてぶてしい赤ちゃんをあのゆっくり達が必死になって追いかけてるんだけどね。
 怠惰ふてぶてしいだけじゃ無いみたいだよ、こいつは。」

「そうだよ!ふてぶちぇしいだけじゃないんだよ、えっへん!」

てゐの言葉を受けて小さな胸?を張る赤ちゃんれいむ。

「…えばってどうするのさ馬鹿。」

てゐは呆れから来る溜息を吐いた。

「…まぁ、このふてぶてしい赤ちゃんの事は良く解らないけど、あのゆっくり達の事は良く知ってるわ。
 …多分、あいつらはイオシスカンパニーに雇われた反逆ゆっくりよ。」

かぐやは、先ほどまでとは明らかに違う、真面目な表情と口調でそう言った。
「…イオシスカンパニー?」
あまり聞き慣れない言葉に、てゐは首をかしげる。

「知らないの?古今東西のクスリを製作、販売している有名な会社なのに。
 ホラ、ここから見えるところに本社ビルだってあるのよ。」

かぐやはそう言って空を髪の毛で差した。
髪の毛の先の景色には、周りのビル群より一際高い、イオシスカンパニーと書かれたビルが見える。
「ふ~ん、あたしは薬の事には無頓着だから知らなかったよ。」
てゐはそのビルを眺めながらそう呟いた。
「…ま、あそこが売ってるのは薬だけじゃ無いみたい。」
かぐやがそう言うと、てゐは彼女の方へと向きを変える。

「…表向きはゆっくり達のための医療用の薬を売っているけど、裏側では反逆ゆっくりに
 スペルカードや胴無しでも使える武器を売りさばいているのよ、そのコネクションを使って、
 会長は反逆ゆっくりを自身の用心棒として雇っているの。」

「…はは、そりゃ物騒な話だね。」

「そういえば、あそこの会長さん、跡継ぎの事でもめているって話を聞いた事があるわね。
 何でも跡継ぎを誰かに連れさられて、その犯人と跡継ぎを反逆ゆっくりを使って必死に探しているとか。」

会長 跡継ぎ 捨てられていた赤ちゃんれいむ そして、そのれいむを必死で探す反逆ゆっくり。

キーワードが繋がって今回の話の全貌が何となくてゐの頭に浮かんできた。

「…あんた、思っていた以上に厄介なもん連れてきたんだね…。」
てゐは赤ちゃんれいむの方を見て、めんどくさそうにそう言い放った。

「ゆ?」

自分の置かれている状況が理解できていない赤ちゃんれいむは首を傾げるだけだった。
「…まぁ、解ったような解らんような…とりあえず、現況はあの会社にあるって解れば十分だよ。」
てゐはそう言って赤ちゃんれいむが実っている鉢植えを自分の頭の上に乗せる。

「ちょっと、何処に行く気?」

かぐやがてゐを呼び止める。
てゐは振り向かずにこう言った。

「もう、育児なんてめんどくさい事したくないし、親に突っ返してくる。」

「む、いきゅじほうきなんて れいみゅはどうきゃとおもうけど?」

「五月蝿い、本当の親の所に帰れるんだからいいでしょ!」

頭の上の鉢植え赤ちゃんれいむと言い争いを始めるてゐ。
かぐやはそんなやり取りを聞きながら、てゐ立ちに向かってこう言った。

「てゐ、イオシスカンパニーに殴り込みを掛けるなら一つだけ忠告しておくわ、
 どうせあんたの事だから反逆ゆっくりの十匹や二十匹は楽勝でしょう、
 でも、ただ一匹、目隠しをしているゆゆこには気を付けなさい。
 下手したら対峙した瞬間に、あなたは頭から丸呑みされてるかもしれないわ。」

かぐやの忠告を受けててゐは立ち止まる。
脳裏をよぎるのは路地裏であったあの不気味なゆっくりゆゆこ。
しかし、動揺するでもなく、恐怖するわけでもなく。

「余計な忠告、ご苦労さん。」

それだけいって、てゐはイオシスカンパニーのある方へと歩き出すのであった。

「…かじぇがつよくなってきちゃよ、さむいよ!」

「子供は風の子。」

てゐの頭の上の赤ちゃんれいむが、風に揺られてユラユラ揺れていた。


~☆~


イオシスカンパニー

丁度ゆっくりの街全体が胴つきゆっくりにより、発展し始めた頃に設立された製薬販売会社である。
社員の殆どが胴無しゆっくりを占めている会社であったがその技術力は胴つきゆっくりの経営する他のライバル会社にも引けを取らず、
現在も製薬業界においてトップシェアも果たす大型会社である。
…しかし、その急成長振りには疑問の声が上げられており、
裏で何かしてるんじゃない?と業界の間ではもっぱらの噂になっている。


「あ~もう、またこびり付いているよ…。」

「ちゃんとトイレはキレイに扱って欲しいぜ…。
 これを掃除するのはまりさ達何だからな…。」


まぁ、そんな黒い噂なんて、トイレ掃除のために雇われたパートのゆっくりには関係ない話である。
彼女たちはイオシスカンパニーのトイレを掃除して雇い主からその報酬を貰う。
それ以外の会社との接点は無いのだから。

「全く、いつもいつも思うけど、何でここの連中はトイレをキレイに扱わないかな!
 掃除するまりさ達の方の身にもなって欲しいぜ、全く。
 一度社長に忠告して置くかぁ?なぁ。」

「…しても無駄じゃ無いかな、汚しているのはここの社員じゃなくて
 お客さんの方みたいだよ。」

「お客さん…ああそういえばたまに見かけるな、何だかガラの悪い変なゆっくり。」

「全く、お客さんだからってずうずうし過ぎるわよね。」

愚痴を漏らしながらトイレ掃除を続けるゆっくり達。
やがて、掃除していないのは奥のほうに設置された胴付きゆっくりや人間用の
洋式トイレだけとなった。

「後はあの胴付きや人間用の洋式トイレだけか…。
 この会社は社員もお客も胴無しゆっくりだけだし、あんまり汚れてないんじゃないか?」

一方がそう言って溜め息を付くと、もう一方がこう言った。

「それでも、点検ぐらいはしないと社長怒るよ?給料引かれるよ?」

「…それもそうだな、めんどくさいけどこれも仕方ない、か。」

「…ああそう言えば、トイレと言えばこんな話を聞いた事があるよ。」

「何だよ、急に。」

「とある胴無しゆっくりがトイレで用を足すためにトイレに駆け込んだんだ。
 でも殆どのトイレが使用中で開いているのは胴付きゆっくりや人間のための
 洋式トイレしかなかったの。
 で、そのゆっくりは無理矢理その洋式トイレで用を足すことにしたんだって。」

「…で?」

「洋式のトイレって中蓋があるでしょ?
 焦っていたそのゆっくりは中蓋を閉めずにそのまま用を足そうとしたのよ、
 …それが悲劇の始まり、そのゆっくりはトイレに嵌って、出ることが出来なくなったんだよ。」

「…何だその間抜けな話は。」

「ちなみに作り話じゃ無いよ、実際にトイレに嵌ったゆっくりを助けるために
 レスキュー隊まで来て大騒ぎだったんだから。」

「は、何とも間抜けなゆっくりもいるもんだぜ、
 今度実際にあってトイレに嵌った感想を聞いてみたいもんだ。」

「確かに!フフフフフ!」

そんな下らない話で談笑しながらゆっくり達は洋式トイレの扉を開いた。



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  \        .∧     ○、,_
    \  ○、.,_ /  ',   / `ヽ.`ヽ.
      /´ `ヽ)!へ,/V/、    ':,_,ノト 、
      ,'   _[_`ゝ-‐''´ヽ、/     !/ ,ハ   ,|
    /,'  ´             |レへ,!  / !
   / /_.7-‐ァ' ̄!二7´ ̄7ヽ、/`ヽ._!    !/ |
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  | !ァ'´  ゝ、 !. / ァ'/!  、`ヽ、___7、  ,ハ   |
  ;'  ,' /(◯), V 、(◯)ハ/! ヽ. ヽ ! /   /
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  `ヽ! !   .|,r-r-|    .レ' ,' ./ |‐--‐<
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    \___)  (___/


「助けててんこ~。」

…そこには洋式トイレに思いっきり嵌っているらんの姿があった。

「………。」

「………。」

呆然と、トイレに嵌っているらんを無言で見つめているゆっくり二匹。
「…あんた、れいむ達と一緒に雇われた用務員だよね?」
一方がようやくと言った感じでトイレに嵌っているらんに問いかける。

「そ、そうだてんこ!一緒にトイレの掃除をするために雇われたらんだてんこ!
 トイレに思いっきり嵌ってしまったてんこ!助けてくれてんこ!」

らんはそう言ってトイレから脱出しようともがいている。
…が、きっちり嵌っている為、脱出は難しそうだ。

「…ところでさ、何でこんな高い所の階のトイレに居るんだぜ?」

そんならんにまりさがそんな質問を投げかけてくる。

「え?」

「二手に分かれてトイレ掃除をしたほうが効率がいいからってことで、
 私とれいむは上の階のトイレから、お前は下の階のトイレから掃除することにしたんだよな。
 ここはまだ30階中の25階だぜ?お前と鉢合わせするには早すぎるんだが…。」

「…。」

そう指摘されて、らんは冷や汗を流す。
そんならんに二匹のゆっくりの視線が冷たく突き刺さっていく。
…やがて、らんは観念して口を開いた。

「ご、ごめんなさいてんこ、一階まで降りるのがしんどくてここでサボってましたてんこ。」

「…。」

「…。」

その告白を聞いて顔を見合わせる二匹の用務員ゆっくり。
やがて、お互いに頷きあうと、ちょうどトイレに嵌っているらんを挟み込むように横に回りこむ。


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_..,,-":::::rー''7コ-‐'"´    ;  ', `ヽ/`7           \  ○、.,_ /  ',   / `ヽ.`ヽ.            'r ´          ヽ、ン、
"-..,,_r-'ァ'"´/  /! ハ  ハ  !  iヾ_ノ             /´ `ヽ)!へ,/V/、    ':,_,ノト 、           ,'==─-      -─==', i
  `!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ  ,' ,ゝ             ,'   _[_`ゝ-‐''´ヽ、/     !/ ,ハ   ,|       i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |  
   `!  !/レi' (ヒ_]     ヒ_ン レ'i ノ            /,'  ´             |レへ,!  / !      レリイi (ヒ_]     ヒ_ン ).| .|、i .||
   ,'  ノ   !'"    ,___,  "' i .レ'           / /_.7-‐ァ' ̄!二7´ ̄7ヽ、/`ヽ._!    !/ |       !Y!""  ,___,   "" 「 !ノ i |
  ノノ (  ,ハ.    ヽ _ン   人!           | r' ̄7-‐'"´ ̄   ̄`ヽ、_!`ヽ、___!    |、/ヽ|      ..L.',.   ヽ _ン    L」 ノ| .|
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        し  )).                                                              J´((
          ソ  トントン                                                           ソ  トントン

「ねぇねぇ、どんな感じ?どんな感じなの?」

「仕事サボった挙句にトイレに嵌ったのはどんな感じ?」

ウザサ1000倍で二匹のゆっくりはらんに話しかける。

「ちょ、そんな事してないで助けててんこ!」

「ねえねえ!」

「ねえねえ!」

らんの制止を無視して迫って来る二匹のゆっくり。

「ごめんなさいてんこ!仕事サボったのは誤るてんこー!
 だからマジで助けてください、お願いしますー!」

トイレから出ることが出来ないらんは絶叫することしか出来なかった。


~☆~


「…うう…酷い目にあったてんこ…。」

何とか悪夢の洋式トイレから脱出することが出来たらん。
彼はチリ一つ無い廊下をとぼとぼと歩いている。


「全く…れいむ達は真面目に掃除してるのに抜け駆けしてゆっくりするなんて何考えてるの!
 この事は雇い主に報告するよ!いいね、答えは聞いてない!」


先ほど、用務員ゆっくりに言われたことが脳裏をよぎる、
これで、給料を減らされるのは確実だった。

「ああ、何でこんな事になったてんこ…。
 何とか仕事先を見つけたのはいいけど、トイレは臭いし、このビルトイレ多すぎだし…。」

全30階で、全ての階にトイレが最低限2つある。
全てきれいに掃除し終える頃にはまず間違いなくヘトヘトになっている頃だろう。

「…やっぱり、らんが駄目すぎるのが原因なのかてんこ?」

らんは自嘲気味にそう呟いて今までの人生を振り返る。
胴付きゆっくりの秘書であったが、ある事件でその胴付きゆっくりをボコボコにして辞職、
その後、仕事を転々とするがどれもこれも長続きしない。
現在は妻に食わせてもらっていると行っても過言では無い。

「やっぱりらんは何をやっても駄目だゆっくりだてんこ、ホント、どうしようもないてんこ…。」

今までの事を思い返せば思い返すほど、落ち込んでいくらん。
ド壷に嵌るとはこう言う事をいうのか。


『もう自殺しかないな、確定的に明らか。』

「そうだてんこ、もう自殺しか…って待て待て。」


言いかけて正気に戻るらん。


「今なんで自殺なんて考えたてんこ!?流石にそこまで追い詰められてないてんこ!」

「イヤイヤ、もう自殺したほうが良いって、ほら、さくっと!」

「サクッとって何だてんこ!そんなお手軽感覚で自殺して溜まるかてんこ!
 ッて言うからんはさっきから一体誰と話しているんだてんこ!?」

声は背後から聞こえてきている気がする。
そう思ったらんはすぐさま後へと振り向いた。


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   `ヽ/| _r/ ̄ヽ>____イ          \ _」Y´        ̄`ヽ/-、 ヽr--ヽ.
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´    /`::::::::\_」::::::|/ ム:::::∨:::',        .r' ∠_/ / ト,、 レ' |/_,.!イi i  iン く⌒ヽ ノ ハ } \  
     ヽ:::::::::::::ル':::::::L__/」:::::::〉:::ノ      /ヽ/ r'´ ィ"レ´ ⌒ ,___, ⌒  `!  i  ハ /  }! i ヽ 
      「::::::::T、`:ー::::::::::::::::::イ:::|'      / / ハ ハ/ ! /// ヽ_ ノ /// i  ハ  〈〈{_   ノ  }  _」 
      |::::::::::|ハ::::::::::::::::::::::::::|::::|       ⌒Y⌒Y´ノ /l           ハノ i  ヽ⌒Y⌒Y´
     ,':::::::::::!「}二ニニニ二}::::',           〈,.ヘ ヽ、        〈 i  ハ  i  〉
    /ヽ;:ヘハイ |\     /ト、/\           ノ レ^ゝi>.、.,_____,,...ィ´//レ'ヽハヘノ
.   ハ/ヽ,ノV:|∧ `     |_」\ハ

そこに立っていたのはカチューシャを着けたれみりゃと、メイド服を着込んだてんこだった。

「…!?!?!?お、お前達なんでここに居るんでて…むごッ。」

いきなりらんはれみりゃの羽で口を塞がれる。
「シーッ!今れみりゃはメイドに扮して潜入操作中何だど!」

「め、メイド?」

「そうだど!お前は頭に輝くこのカチューシャが目に入らないのか!」

れみりゃはそう言って頭の上のカチューシャを見せ付けた。
そして、続いててんこがこう言った。



                 _,,...._  |\
                 ゝ,,,, \| ) )_,,....,,....,,....,.,,.    )\
                 /_,,....,,_\、'::::::::::::::::::::::::::::r''''ヽ''ヽ  )   
                _..,,-":::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::{   '  }r-''''フ   ,'´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ.
                "-..,,_:r''''''''''''''''''''''''''''''''''''''( ( )____ノ::- ,,    | そ .お ご お |
                  //   r  ;    ! ヽ i ヽ ',' |''"     | れ .風 飯 帰.|
                 .'    '; i i  i  !  i  } }   i       | と 呂 に な |
_|\∧∧/|_        ,' i  ' ; ゝ、人人ノ/_ノノ / ノ   、      | も に す  さ |
\       /        i ヽ .| (ヒ_]     ヒ_ン ) / / i  '、     | ・  す る  い.|
<    じ   >       ! | \| ""  ,___,   " ( /|  |   '、    | ・  る ? .ア|
/       \       ヽ V 人   ヽ _ン    ヽ  人   '、    | ・  ?    ナ |
 ̄|/∨∨\| ̄       、_)ノ ノ  >.、_    ,.イ/ ( ノ (._   ヽ   |        タ |
                 /  / ノ´ ,,.ィ''i ̄ ̄ノ こ ノ |  ノ   \ ヽ、_____ノ

                   _,,...._  |\
                   ゝ,,,, \| ) )_,,....,,....,,....,.,,.    )\
                   /_,,....,,_\、'::::::::::::::::::::::::::::r''''ヽ''ヽ  )
                  _..,,-":::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::{   '  }r-''''フ
                  "-..,,_:r''''''''''''''''''''''''''''''''''''''( ( )____ノ::- ,,
                    //   r  ;    ! ヽ i ヽ ',' |''"
                   .'    '; i i  i  !  i  } }   i
_|\∧∧/|_          ,' i  ' ; (ヒ_]     ヒ_ン ) / ノ   、
\       /         i ヽ .| ""  ,___,   "  / / i  '、
<    さ   >         ! | \|    ヽ _ン    ( /|  |   '、
/       \         ヽ V 人          ヽ  人   '、
 ̄|/∨∨\| ̄         、_)ノ ノ  >.、_    ,.イ/ ( ノ (._   ヽ
                   /  / ノ´ ,,.ィ''i ̄ ̄ノ こ ノ |  ノ   \
            

                  _,,...._  |\
                  ゝ,,,, \| ) )_,,....,,....,,....,.,,.    )\
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                   //   rゝ、人人ノ/_ノ i ヽ ',' |''"
_|\∧∧/|_         .'    ';(ヒ_]    ヒ_ン ) } }   i
\       /        ,' i  ' ;    ,___,     / ノ   、
<   つ   > i      i ヽ .| ""  ,ヽ _ン  "  / / i  '、
/       \        ! | \|            ( /|  |   '、
 ̄|/∨∨\| ̄        ヽ V 人          ヽ  人   '、
                  、_)ノ ノ  >.、_    ,.イ/ ( ノ (._   ヽ
                  /  / ノ´ ,,.ィ''i ̄ ̄ノ こ ノ |  ノ   \

「お、お前はらんを馬鹿にしてるのかてんこ!?」

てんこの言動に怒りを覚えるらん。

「そんな事より、ちょうどよかったど~。」

「え?」

れみりゃの言葉でらんは目を点にする。。

「ここで働いているならここの構造について知っている筈だど!
 ちょっと道案内してほしいんだど!」

「み、道案内…?何処に?」

突然の問いかけに戸惑いを覚えるらん。
そんな彼女に答えを出したのはてんこであった。

「これから社長をズタズタにするから社長の居場所を教えて欲しいんですがねぇ。」



~☆~


その頃、イオシスカンパニーの受付では。

「…………。」

受付で働いて早十年。
今まで様々な来客者に対応してきたベテラン、受け付けパチュリー。
しかし、今度の客にはそんな彼女も戸惑いを覚えるしかない。


        ,-r_'Zヽ1Yヾ_ュ-、
       r'`7ヽ,イ_スTゝ‐zヘjヽ.
     l`スZ_Y_い_,-ヘlイ_j、T,ゝ7
    _,ト'Tヽ_ノ、 メ、7イ-rヘいKス._
    ヽレv'ート、/7-、f`ナV-、ハノ、lヽィ′
    ,レ'Tー!7´ト、_K´Yヽノ、j-イ゙Y、
    ,ゝiくヽレくY_ノvヽい'ーくメゝト!、
      ∥'人ノ`{二XX二}`;ヘレ′
   _ || __ /{/}\    `
  r , -`―'- 、イ v{/}v┘
 イi イ人ルレ ン、 {/}
 /ヒン   ヒン)| i、| {/}
〈   ワ  []ノ i  {/}
  ー―――'レル'_{/}_
        i´‐一''┴─`i
      ,. -l∧ ∧∧ ∧l   ,.- 、
     /  `l工 工 工l  /,   ヽ.
    /      _|_|_| //i    i
   ,'      / ソ::::::::::::::::::ヽ、!    |
   i   /:;:::::::::::::::;:::::::::::::::ゝ、____ノ
    〉--' /:/、__;:ィ::ハ::、_;:!:::i:::ハ::〈
   i::::::::/::::::ハ_ニ;、,レ レ、_;、ゝ::::|:Y
   ハ:::::::レヘ::i' rr=-,´   r=;ァハソ:::ハ 
   |::::::::ノ:::l:|〃 ̄      ̄ l:::::|::ノ
   ノ:::::::::::::ハヽ、   'ー=-' ノ::::i:::(   
  イ:::/::::::/:::イヽ>, -r=i':´イ:::ハノ
  〈rヘ:::::!::レ´   `y二」ヽレ':::〈


「どうしたのさ、私は社長に合わせて欲しいんだけど。」

「はやくあわちぇてね!」


鉢植えに実った赤ちゃんれいむとそいつを頭に載せているゆっくりてゐ。
子連れで会社に来たゆっくりなど、初めてのケースである。
だから受け付けパチュリーも戸惑いを覚える。
…しかし、ここで慌ててミスを犯してはいけない。
落ち着いてマニュアル通りの対応をするだけである。


「申し訳がありません、社長も多忙な方ですので事前にアポを貰わなければ
 会うことも許されません、取ってますか?アポ。」

「アポ?ああ、りんごの事?」

「アッポォではなくてアポイトメントの事よ。」

「何でゆっくりに会うのにそんなのを取らなくちゃいけないのさ。
 イヤだねぇ、最近は何をするにもややこしくなっちゃって。
 昔はもっとシンプルだったよ、出会い頭に「ゆっくりしていってね!!!」で誰も彼も仲良しだった。」

「…あの、何の話ですか?」

「それなのに今やただ会うだけであれやこれやとややこしい事しなくちゃ行けない!
 ああもう!『ゆっくりしていってね!!!』の精神は何処に消えたのさ!」

「せちがりゃいよのなかだにぇ!」

てゐの叫びと同時に頭の上の赤ちゃんれいむも続いて叫ぶ。
パチュリーはこのやり取りを聞いて確信した。
コイツ、ただの馬鹿だと。


「お客さん、ここで騒ぐようならこちらも考えがありますよ。」

パチュリーはそう言うと、壁に取り付けられていたボタンに体当たりをする。


う~!う~!


警報と共に、警備棒を被ったパチュリーが何匹かでてくる!

「ムキュ!一体何があったのかしら?」

「あそこで営業妨害をしているゆっくりを追い払って!」

受け付けパチュリーはそう言っててゐの方を見る。
すぐさま、警備パチュリーがてゐに飛び掛る!

「おっと!」

てゐは後に飛び跳ねてそれをかわす!
その背後にはエレベータ。

「ふう、きょうも外回りだぜ!」

タイミングよくエレベータが開き、中からゆっくりが出てくる。
てゐはそのゆっくりの横をすり抜けてエレベータの中に入り込む!

「うわ!こら!エレベータは出るゆっくり優先だぜ!」

ビックリしたゆっくりはてゐにそう言うが、てゐは無視してエレベータを操作する!
「逃がすか!」
エレベータの扉が閉まろうとするが、それに構わず警備パチュリーが飛び込んでくる!

ムギュ。

結果、エレベータの扉に警備パチュリーが挟まってしまう。

「むぎゅー!すぐにエレベータの扉を開けなさい!」

両側からエレベータの扉に挟まれて、ムンクのような顔になりながら警備パチュリーは叫ぶ。
「開けなさい、といわれて素直に開けると思わないでよ!」
てゐは警備パチュリーの顔面に、両耳で正拳突きをぶち込んだ!

ドゴオッ!

挟まっていた警備パチュリーはロビーの床に転がり落ち、異物がなくなったエレベータは正常に閉じられる。
エレベータはそのまま上昇を始めた。

「ムキュ!大丈夫!?」

受付パチュリーの片割れが、警備パチュリーを起こす。
大丈夫では無いだろう、モチモチのほっぺには立派な跡が刻まれていたのだから。

「ムキュー!絶対に逃がさないわよ!」

怒りに燃える警備パチュリーは頭のナイトキャップの中から通信機を取り出した。
勿論、他の階の警備パチュリーに侵入者が居ることを知らせるために。


エレベータの中ではてゐと赤ちゃんれいむが一息ついていた。

「…さて、あんたの親にもうすぐ会える訳だけど、心の準備は出来ているかい?」

「むしろ、あんたがこころのじゅんびをしゅるべきじゃないの?」

「…そりゃ厳しい。」

赤ちゃんれいむの言葉に、てゐは苦笑いをするのであった。




続く



  • 「昔はもっとシンプルだったよ、出会い頭に「ゆっくりしていってね!!!」で誰も彼も仲良しだった。」
    ってなにげにいい台詞 -- 名無しさん (2011-01-29 18:04:12)
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最終更新:2011年01月29日 18:04