最強のあまあま

 娘のれいむが久しぶりに帰ってくると手紙をくれた、自分の子供も連れてきてくれるという。
 あのおちびちゃんだったれいむももう母親…ちょっと複雑な気分、ゆふふ


 と思うゆかりんだった…」

「母さんはずっと、おちびちゃんおちびちゃんって可愛がってたからね。
 あの子が家を出た日は号泣し続けたあと抜け殻みたいにカサカサしてたし」
「ゆかりんのぴちぴちお肌にカサカサな日なんてないわ!ぷんすか☆ぷんすか!」
「だけどいよいよありすもグランパかぁ…れいむの赤ちゃん楽しみだね」

「!!!」

その時ゆかりに電流走る。
娘の子供という事は自分にとってはOMAGOSAN、なら自分は必然的に………
ダメ!禁断の言葉口ニシタラ娘ノ子供トイエ…『つい、やっちゃうんだ♪』

「し、しない!させない!それにゆかりん17歳だもん!!
 ダーリン(ありす)は母さん、娘(れいむ)はお母さんだから、れいむのおちびちゃん(れいむの子供)なら…

 おねえさんorおねえちゃん♪

 これ!これなら全てが丸く!」
「ゆっはっは、ありすは母さんのそういう所好きだなぁ、けど多少現実もうけいれてこうか」

そんなありすの言葉もむなしく、ゆかりは「これよー!」と笑い続け、
そんな妻の姿はありすにフォローの効かない不安を与えるのだった。

そして結局様々な不安を抱えたままの中、れいむが帰省してきた。

「お父さん、お母さんただいま!」
「「ゆっくりおかえり!ゆっくりしていってね!!」」

久しぶりの娘は家を出た時よりも一回り大きく立派になっていた。
まぁ、その頃のれいむはまだだいぶ子ゆっくりだったから仕方ない。それというのも…

「おちびちゃ~ん!久しぶりねぇ~!」すりすーり
「ゆぅ…お母さん相変わらずだ、もう『おちびちゃん』はやめてよー!」

これが嫌でれいむは人一倍「早く自立したい!」という気持ちが育った末の結果だった。
しかし自分の成長に一役かったのは事実と邪険にできないのと、久々だと満更でもないのが合わさり、
親子の再会は非常に和やかさ満点で行われ、そしてついにその時はきた。

「ほら赤ちゃん、ママのお父さんとお母さんだよ」
「ゅぅ~」

れいむに言われるままの後ろからちらちら顔を覗かせた赤ちゃん。
待望の孫は娘に似たれいむだった。

「その子だね?わぁー、れいむが小さかった頃を思い出すね!ねぇ、母さん」
「…………」
「母さん?」

しかしその姿を目にした妻から返事がない。

「ほら、ごあいさつしようね」
「ゆ!じぃじ、ばぁば…ゆっくり!」ぴょん!

『しゅばっ!!』

その一言を聞いた刹那、ゆかりの体が物凄いスピードで宙に飛んだ

《まずい―!》

ありすは咄嗟に思った。
『その言葉』に触れた時の妻の行動は冗談では済まない、
その昔、冗談で口にしたであろう者達は皆『つい、やっちゃうんだ ♪』されてきた…
それは久しぶりとはいえ娘も承知しているはず。
しかしなんの配慮も躊躇いもなく『その言葉』はストレートに妻へ放たれてしまった。

《なんとかしないと!》

だが時すでに遅く、ゆかりは孫であるれいむの前へと降り立った後だった。

もうダメ…、そう思った次の瞬間。

「おぉ~!よしよしよしよし!ゆかりばぁばですよ~♪すーりすりすりー」
「ゆっ、けらけら♪ばぁばくしゅぐったぃ~♪」

「・・・あれ?」

そこにあったのは、ただただ初孫を可愛がるデレデレ甘々なおばあちゃんの姿だった。

「お父さん、ちっちっち…だよ」
「れいむ、こうなるとわかって?」
「お母さん子供好きだしね、小さい《ぁ》の位置が違うだけでひとは幸せになれるんだよ。それに」


「欲しいものがあったらばぁばに何でも言ってね」
「あまいのー!」
「は~いはい、好きなだけあまあまさんあげようね~♪」
「わーい!」


「あまあまはみんな好きでしょ?」

甘さを扱いこなす娘の姿に「あぁ、ホントに立派になった」とありすは胸をあつくするのだった。



おしまい


by. とりあえずパフェ

  • ゆっくりのおばあちゃんってめずらしいなあ -- 名無しさん (2010-05-09 11:25:35)
  • ↑スキマ決定 -- 名無しさん (2010-05-09 11:47:22)
  • 「ついやっちゃうんだ☆」 -- 名無しさん (2010-05-09 16:17:28)
  • まさかの胸熱 -- 名無しさん (2010-05-13 20:39:05)
  • じゃおじゃお!
    -- 名無しさん (2010-11-28 13:19:24)
  • ふっ、ばばぁだろ・・・・えっ、ちょ!なに!?(ピチューン -- 名無しさん (2012-08-08 18:54:32)
  • ありすとゆかりを掛け合わせてれいむはみょんに納得 -- 名無しさん (2013-07-07 12:06:36)
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最終更新:2013年07月07日 12:06