いつもの遊び仲間が、春を通り越して夏の様な気温のため、ついにばてた。
そういう訳で、明美ちゃんは公園で、いつもとは違うゆっくりのお友達と遊ぶ事になったのだが
………物語はもう佳境に
「かわいくないよ!!! さみしいならさみしいって素直にいってね!!!」
―――降れ豪雨!!!
ポロワオケレルプシヌプリ!!!(大きい大きい凍る山)
「いまさら泣いてもしらないからね!!!」
―――吹き荒れろ!最大瞬間風速120m/s900ヘクトパスカルの大暴風雨!!!
ゴッドブレスハリケーン!!!
「明美ちゃんのような甘ったれには地獄の業火さえ生ぬるい」
―――くらえ 1200℃の地球の業火
マグマアッパー!!!
ポカッ ポコッ
「………………」
「え~と次はねー………」
「………………」
「―――どしたの明美ちゃん?」
「それでね、次にゆーぎが、S・O・E出してね~」
「…………もうやだ……」
ジャングルジムの下、一人の人間の女の子と、5人の
プチゆっくり。
そう――――ゆっくりが5人という事か問題か。明美ちゃんが普段あまり加わってない友達だという事が
問題なのか
「もうやだよ……『シャーマンキングかんぜんばん』ごっこ なんて………」
「なんで~?」
「ぴったりだよ!!! みためとか、 とくぎとか、
けーねちゃんが蓮で、
にとりちゃんがホロホロで、
めーりんちゃんがチョコラブで、
ありすちゃんが、リゼルグで、
ゆーぎちゃんが葉で、
一番背の大っきな明美ちゃんがハオ役だよ!!!」
そりゃ、体がある分大きいけど、ゆっくりに対して「ちっちぇえな」なんて言うのは却って気まずい。
「だったら、ほんとのおなまえでで呼ぶのよしてよお」
「う~ん…… 明美ちゃんはわがままだにぇ…………」
この後、ラスボスには地味にきつい台詞が多い展開だった。
大体こっちは人間だし、そんなに世の中憎悪してないので感情移入もしにくい。
ゆっくり達に悪意は無いし、入れてもらっただけでもありがたいと思うべきだが………
――――それにしても、5人というのは美しい数だ。
バスケットボールのチーム人数でもあるし、奇数の集団は基本的に締りが良いが、3人では見た目にやや
物足りないし、7人では多過ぎる。
最近は6人目が大抵はいるそうだが、戦隊が5人なのも必然であろう。
それだけで、子供達はロールプレイがどこでもできる。仮想敵も、本当は必要ない。
そこに、もう一人が入ってしまったら………
「わたし、もうかえるね………」
「明美ちゃん、かえらないでね!!!」
「もっとあそんでいってね!!!」
「なんでこの状況でかえろうなんておもうんだ?」
「まったくもってかいもくけんとうもつかないよ!!!」
「ほら、ハオのお母さん役はゆーぎがやって、マタムネ役はにとりがやるからげんきだしなよ!!!」
明日になったら、チルノちゃんもちぇんちゃんも、教s……じゃなかった、ルーミアちゃんも元気になってるだろうか?
この5人も楽しいけど、やはり自分はお邪魔蟲だったのだと、明美ちゃんが項垂れて公園を出ようとした時……
「おくれてごめんね!!!」
入れ違いに入ってきたのは、学校でもあまり見かけないゆっくり――――一輪ちゃんだった。
何だか怖い顔のピンク色の綿飴みたいなのを背負っているけど、あれは何だろう?
「おそいよー!!!」
「あ、明美ちゃんといっしょにあそんでたんだけど、かえっちゃうんだって………」
「いちりん、アバさん役やってくれない? 竜さんでもいいや」
「もう、いちりんって本当にいつでもおくれるんだから……………」
青い頭巾の両端から、クルクルした水色のくせ毛が飛び出している可愛い子だが―――そういえば、隣の
クラスの転校生だ。
まだ来て間もないはず。
とても真面目な良い子みたいだけど、どこか抜けていたり、生真面目すぎたり、「ねたにまじれす」ってやつを
しちゃったり………
あんまり馴染めてないみたいだ。
多分、今遊んでくれてるのも、この5人だけなのだろうけれど、いまいち馴染めてないみたいだ。
決して悪意があったり、いじめをする5人じゃないけど……
今、明美ちゃんが帰ったほうがゆっくりだけでバランスはいいかもしれないけど、6人でできるのって何だろう?
(…………昭和ウルトラ?)
ビジュアルで選ぶなら、けーねちゃんが末っ子になるかもしれないが、色々それもバランスが悪い。
そして、ジャンケンで決めたりして、結局一輪ちゃんが長男になったら可哀想。
明美ちゃんは、うじうじ考えるのをやめて引き返した
「ねー やっぱり私も入れてー!!!」
「だにぇ~」
「でも、何しよう?」
「あ、そうそう。ちょうどいいのがある!!!」
7人だとすると………?
これはこれでかっこいい数字だが、ありそうで………何があるだろう?
その時、にとりちゃんが思いついたらしく、ぴょんぴょん飛び跳ねて言ってくれた
「『ロックマンエグゼ5』ごっこ!!!」
「えっと、どっち?」
「かーねる? ぶるーす?」
「どっちでもいいよ!!!」
一輪ちゃんは知らないみたいで、目を白黒させていたが――――
―――占領された、ゆっくりの森
再び皆がゆっくりできるため日の――――主人公は、チームを作り、ネビュラに立ち向かっていく。
――最初に立ち上がったのは、歴戦の戦略家
リーダー: ありす
――無人島でウサ晴らししていた鉄壁の格闘家
防御係: めーりん
――ネビュラと戦うために、はるばる里へ下りてきた凄腕の入道使い
偵察係: いちりん
――潰されそうな地元の村を守るため、無鉄砲だが強さを求め続ける鬼
攻撃係: ゆーぎ
――ありすと胡瓜7.5本で契約した一流技術者
ブレイン係: にとり
――ええと………まあ…その…………
サポート係: けーね
( ※ そして主人公(ロックマン)は明美ちゃんです)
様々なネビュラの刺客や張り巡らされた罠を乗り越え、時に傷つけあったり、疑心暗鬼になったり
大きく負傷したりもしながら、人数を増やし、次第にチームとしての絆を深めていった7人
舞台はついに富士の火口内の秘密基地での最終決戦の地へ――――
次々に立ちふさがる、今まで倒してきたはずの各セクションのボス達――――
主人公を最期の舞台へ導くため、身を張って道を作るチームメイト達
「わたしにかまわずさきにいけええええ!!!」
「かならず勝ってね!!! そして森をまたゆっくりに!!!」
「ふん、これはおぜうさまのためだからね!!! 明美ちゃんのためじゃないんだからしっかりやってよね!!!」
――今回ばかりは、本名で呼ばれて嬉しかったのはここだけの話
一人減り、二人減り、気がつけば、ラストボスの一歩手前で、主人公と偵察係の二人きり
今度は一輪が、明美ちゃんのために道を空ける番。
しかし――――明美ちゃんはここで立ち止まってしまった。
(これでいいのかな………?)
いきなり入ってきた自分を受け入れてくれた5人。
(枠的に仕方ないが)主人公にまでしてくれた。
みんなよいこばっかりだけど………真面目すぎる所がけっこう傷になってる一輪ちゃんは、もしかしたら
いつもさっきの自分と同じ気持ちかもしれない。
チルノちゃんやちぇんちゃんや、教s……じゃなくルーミアちゃん達と遊んでる時にも似たような事があった。
楽しいんだけど………やっぱり、ちょっと寂しい役や気分が続きすぎるのはよくないよね
5人から、楽しい時間はたくさんもらった。
今度は、自分が返す番だ。
「うわー大変だー もうもたいないよー」
「………え?」
「明美ちゃん、なにやってるの?」
「一輪ちゃん………あとは任せたよ!!!」
「----――ええええ!!?」
一番驚いたのは、一輪ちゃんだ。
多分、後に残すセリフを考えていたのだろう。
「ええ……… なにそれー」
「世界を救うのがー しゅじんこうのロックマンじゃなくてー いままで毒パネルの上も走ってテイサツしてくれた、
一輪さんでもいいじゃない?」
最初ブーイングを飛ばしていた5人も、それを聞いて、意味を理解したのかニッコリ。
リタイアしたメンバーは、滑り台の下に集まって声援を送っていたが、明美ちゃんもそこに入る。
「さあ、いちりんちゃん!!」
「『ネビュラ』なんてやっつけちゃってね!!!」
「いちりんちゃんがこれからしゅやくだよ!!!」
ラスボスは―――ぷくう、と膨らんだ、さっきの綿飴みたいな一輪ちゃんの横にいたお化けが引き受けてくれている
(雲山さんとかいうらしい)。
事情が飲み込み無かった一輪ちゃんも嬉し涙を流して頷いた
「がんばれー ていさつやくー!!!」
「世界をすくうんだよ!!!」
雲山さんも頷いている。
―――これは、一輪ちゃんが、本当にみんなの仲間に入るための登竜門だ。
――――力強く、一輪ちゃんは踏み出しながら言った
_人人人人人人人人人人人人人人人人人_
> 姐さーん 一輪、きっと戻ってきます!!!<
 ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「姐さん ってだれ?」
「びゃくれんさんの事かな………?」
雲山をポカポカ体当たりを繰り返して、一輪ちゃんはなおも言った
「これが終わったら………もうこんな頭巾を被るのはやめるんです!」
「……………」
「妖怪は皆死ね なんていってたやつらを見返して………」
「…………………」
「あ、相手がよく見えないや…… こうなれば……やぶれかぶれ攻撃で!!!」
「…………………」
6人は、その場から動く事ができなかった。
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「今だかつてここを潜り抜けたものはいない!!! 休日なんて聴いたことも無い!!!」
「や………やったよね…?」
「これ、おわったら、けーね、先生になろうと思うんだ」
「昨日つくった新兵器だよ!!! これなら100%勝てるはずだね!!!」
「やだなあー 変な母さん!」
「ここは、姐さんの出るマクじゃないけど、私が………」
――その後、6人のゆっくりの間で、妙な遊びが流行ったという
了
最終更新:2010年05月22日 10:44