最近うちのれいむが勝手に私のビデオカメラを持って行くようになっていた。
それで風景の撮影でもするのかと思ったら、TVの前でぶつぶつ独り言を言ってる始末だ。
流石に仕事の邪魔だしちょっと気になるので何をしてるのか聞いてみた。
「れいむ、さっきから一体お前何やってんの?」
「うおーーー、このすてーじはわたしのたいりょくとせいしんをどうじに……うわっおねえさん!音がはいっちゃうでしょ!」
そう言ってれいむはぷんすかしながら近くにあったビデオカメラを一時停止させる。
一体何を録画しているのだろうか、とりあえずレンズは目の前のTVの方を向いている。
「いまれいむはロックマン9を必死こいて攻略中だよ!意外と難しいからゆっくりあっちいってね!!!」
「いや、
ゲームだったら静かにやってほしいんだけど………」
「ちっちっち、あまいねおねえさん。れいむは今実況中だよ!」
実況?ゆっくりが実況って、どこかの動画サイトで有名なゆっくり実況?
「えっと、ああいうのってsofttalkとか使ってやるものじゃ……」
「………ふっ、実はあれって全部れいむ達がしゃべってるんだよ!!」
「うそっ!まじで!?」
れいむが語るには、ゆっくり実況をやる際にはまずゆっくりメディア協会に電話して実況をやりたいゲームを話す。
そのゲームの難易度で料金は決まり、それを支払えば準備完了。
一日か二日でゆっくり(指定は可能だが別途料金がかかる)が派遣されるそうだ。
ちなみにスーパーマリ○○○○ーズを一時間程度で約二百円、meg○mariだと四百円くらいらしい。
プロのゆっくり実況とか………想像が出来ない。
「マジでか………いや、私そんなの頼んでないから!」
「いや、これはれいむの趣味だよ!好きでやってることだからね」
そんなこんなでれいむはあっちいけの仕草をして再びビデオを録画し始める。
とりあえず……言った方がいいのかな?
「れいむ………ビデオカメラじゃ駄目でしょ」
「ゆっ!?」
「ああいうのってこう、ケーブルとかエミュレーターとか必要だと思うけど…ビデオカメラじゃ画質悪過ぎだろうし」
「ゆがーん!!!」
れいむはとんでもなく驚いた表情で○iiのクラシックコントローラをを落とす。その際画面の中の岩男が針に刺さってティウンティウンした。
「こんにゃろー!折角ギャラクシーマンステージ三日もかけてクリアしたのにぃぃ!」
「………三日もかけてやっと1ステージだなんて……」(←ちなみにギャラクシーマンはロックマン9で一番簡単なステージ、ボスも恐らく最弱)
とりあえず言えることは、お前はプロの実況者にはなれないな。
とはいっても三日も水の泡にしたことはちょっと可哀そう。今も少し涙ぐんでる。
なので今日は一緒に遊んであげることにした。今日くらいなら問題ないよね?