君達は今日も迷宮を探索していた。すると、どこからか悲痛な人の叫び声のようなものが聞こえる!
ほかの冒険者か、公宮の衛士が危ない目に遭っているのかもしれない。君達は、急ぎ声が聞こえる方に行ってみることにした。
だんだん声に近づくにつれて、声が何を言っているのか聞き取れるようになる。どうやら、ゆっくりやめていってね!ゆっくりどこかにいってね!!などと言っているようだ。
…錯乱しているのだろうか?
君達は声の元であろう部屋にたどり着いた。するとそこでは、大量の毒ふきアゲハが草むらの中の何かにたかっていた!件の声はその何かが発しているようだ。
アゲハの群れは、君達に気がつくと一斉にこちらに向かって来た。声の主も気になる所ではあるが、今はそれを気にしている場合ではない。
さあ!剣を抜いて戦いたまえ!
冒険者戦闘中...
毒ふきアゲハの群れを全て倒した君達は、声の主の様子を見ようと草むらに近づいた。すると、草むらから何かが飛び出してきた!
君達は思わず身構えるが、そこにいたのは、
「ゆっくりしていってね!!!」
…人間の生首のようなものだった。これが声の主だろうか?というか生き物だろうか?それとも新種の魔物なのだろうか?
君達はとりあえずそれを警戒しつつ観察する。一見無害そうに見えてもそうでない物の方がこの迷宮のなかでは多いのだ。(例えばりすとかリスとか栗鼠とか)
しかし、
「おにいさんたちたすけてくれてありがとう!このままじゃ、れいむのあんこがちょうさんにぜんぶすわれてゆっくりできなくなるところだったよ!」
若干涙ぐみながらそう話しかけてくるそれは、どう見ても害を及ぼすようには見えなかった。
あんこってなんだ、確かどこかの菓子の材料だったはずだ、などと話し合っているうちに、君達の仲間のひとりがそれに近づいて行った。
「ゆっ?おねーさんどうしたの?」
魔法使いのような赤い帽子を被った彼女は、それをつついてみた。
ぷにっ …ぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷに
よほど触感が気に入ったのか、彼女は非常に和んだ表情でそれをつつき続ける。
しかし、それはやたらとつつかれたせいで体勢を崩しそうになる。そしてあわてて体勢を戻しながら、
「おねーさんなにするの!!」
と膨れつつ言ってきた。…やはり、こちらに何か害を及ぼすことはなさそうだ。
彼女はそれに謝りつつも、仲間達と共に、それに気になったことを聞いてみる事にした。
→彼女?について
「れいむはゆっくりだよ!れいむはゆっくりするおまんじゅうなんだよ!」
よく分からなかったが、饅頭ということはこれは菓子なのだろうか。
→れいむは生き物なのか
「れいむはおまんじゅうだけどいきてるよ!ごはんたべないとしんじゃってゆっくりできないよ!!」
はたして饅頭が生き物の範疇に入るのかは疑問だが、とりあえず生き物であるようだ。
→ゆっくりとはなにか
「ゆっくりはゆっくりすることだよ!ゆっくりするとゆっくりできるよ!」
よく分からないが、なんだかそれはれいむにとって大切なことのようだ。
→今まで見たことがないが、昔からここにいるのか
「れいむはいままでほかにもゆっくりがいるところでくらしてたけど、さっき、きがついたらここにいたんだよ!こまってたらちょうさんたちにおそわれちゃったんだよ!」
とりあえず、ここではないところから来たのだろう。
ここがどこなのか分かってないようなので、君達はれいむに説明を試みる。
ここには、魔物たちがわんさかいてとても危険な事。自分達は冒険者で、魔物達を倒して迷宮の奥に進もうとしていること。
話して聞かせているうちに、れいむはだんだん不安になってきたようだ。魔物が怖いのだろう。
そんなことをしているうちに、だんだんと夜が近づいてきていた。そろそろ町に戻ろうかと思った君達は、れいむにそのことを告げる。
するとれいむは一瞬びっくりしたような顔をした後、ぽろぽろと泣き出た。
「れ、れいむまものがきたらすぐにやられちゃうよ!ひとりはやだよ!かえりたいよおぉ!こわいよお゛お゛お゛ぉ!!!」
ついには本気で泣き出してしまった。君達はあわててれいむをなだめる。そして、先ほどれいむをつつきまわしていた仲間が言った。
よかったら、一緒に町までこないかと。
その言葉にほかの仲間とれいむは驚いたが、その仲間は言葉を続ける。
町には魔物がでないし、たくさん人がいる。あなたみたいなもののことを知っている人がいるかもしれない。あなたの面倒は自分がみるし、いろいろと調べてみる。
自分は冒険者だから、いつも一緒にはいられないかもしれないけど、町にはここにいないギルドの仲間も居るし、ひとりぼっちで寂しいことはない。
それに、
「うちのギルドにはなんだかんだでお人よしばかりだから悪いようにはしないだろうさ」
そうさね?といいつつ彼女は君達のリーダーに向けてニヤリと笑いかける。
それに君達のリーダーもにやりと笑いつつ返す。
「上や周りに何か言われるかもしれないが、
『迷宮で見たこともない生き物を見つけた。無害なようだが、一応うちのギルドの有志の手で調査する』
とか言っておけばおそらく何も言えないだろうな。」
彼女は、あながち嘘でもないさ。と満足そうに言い、いまいち事態が飲み込めてない様子のれいむを抱き上げ、目線をあわせて今一度問いかける。
一緒に町まで来ないかと。
「…れいむいっしょにいってもいいの?」「いいって言ってるじゃないか!」
そう言って笑う彼女の顔を見て、れいむは安心したようだ。
「ありがとう、おねーさん…」
そう言って、れいむはそのまま眠ってしまった。
いきなり知らないところに来てしまったうえに、毒ふきアゲハにあんこを吸われたりして疲労がたまっていたのだろう。
彼女は、そっとれいむの頭を優しく撫で、じゃあ町に帰るか。と呟いた。
君達は、れいむを連れて町まで帰っていった。町にいる仲間たちに、新しく仲間が増える事をはやく報告しないとね、などと話しながら。
あとがき
小説なんて今まで書いたことなかったのに唐突に受信した電波にしたがって書いてみた結果がこれだよ!
世界樹なんだしと思ってゲームブック的な文章にしようとしたけど無理がありすぎる。
続きはあるかもしれないしないかもしれない。自分でも悩み中。
- はぁ~♪れいむが可愛すぎて鼻血がでそう・・・ -- 名無しさん (2009-06-28 02:20:49)
- 2のペットみたいな扱いにできると面白いかも。乙です -- 名無しさん (2009-09-13 00:01:33)
- リスとか栗鼠とか・・・ -- 名無しさん (2009-12-20 00:38:15)
- スキルはゆっくりすることだけだなきっと -- 名無しさん (2011-04-29 15:53:13)
最終更新:2011年04月29日 15:53