都合の悪い赤子 前

※ゆっくりの出番が若干少ないです
※直接的では無いですが、グロテスクな表現が一部あります
※東方原作キャラが登場します
※かなり勝手な解釈と妄想で書かれているので、そうしたものが苦手な方はごめんなさい




 行き止まりだった。
 前方左右は壁。足元には死屍累々と、主に頭部がおかしくなった人の死体の数々が転がっている。
足元に食料がばら撒かれているのは、嬉しいようでそれ程嬉しくない。
 不衛生だし、何より調理器具が無い。
 隣にいる友人に頼めば火はすぐに出してもらえるが、それが料理に使えるかと改めて考えている内、
気配を感じて振り返れば、はや追っ手が迫ってきていた。
 ほぼ全員人間―――――この中には生粋の差別主義者と博愛主義者がいて――――――だが、
やたら態度の悪い生首もいる。

 「もう、逃げられませんよ!!! 退治させてもらいます!!!」

 さて、どこへ身を隠そうかと迷って友人を見ると。下半身が地面に埋まっている。
 粘度の高い土なのか?
 友人は、珍しく泣きそうだ。


 「所詮、私達は何も生み出せない」


 そうだね。むしろ、他人から貪るばかりで、何も外へ出すものがなかった。
 生きる目的など考えもしなかった。


 「何かできると思う事自体間違い」


 徹底的に奪う側だったのだ。しかし、そんな身分なのに、奪う側から攻撃されているとすれば―――
 ここで、彼女は違和感に気がついた

 (こいつ、前にも行ってなかったっけ?)

 突然言い始めたので、面食らった覚えがあるのだ。
 あれは――――――確か、この友人が引きこもってしまう直前だった。
 となるとこれは―――――

 「ルーミアはずるい」

 友人は、ズブズブともう顎の辺りまで泥に浸かり、手首だけ出して上目遣いに叫んだ
 本当の生首に見えるが、追っ手の一人とは違ってふっくらともしていないし、顔つきも普通なので、不気味な
だけである。

 「あ?」
 「地上のルーミアは、妖怪はずるい!!!」











 目覚めると旧友は、今の友人相手に愚痴っていた。
 久々に満腹になってうたた寝していたこちらもこちらだが、向こうもあつかましい。
 封じられた地下道の、日の光が当たらなくなってすぐの場所で、5人の妖怪がたむろしている。
 酔っ払った鬼が来て、怒られるかもしれないと思ったが、キスメを尋ねに来た、と告げると、気を
よくして許してくれた。
 「またきてやってくれ」
 とまで言われて。恐ろしいのか寛容なのか、解らない場所だ。

 「オマエラはずるい。地上で暮らせるから、人間獲り放題、話し放題、触り放題、喰い放題」
 「触りたい? でも、地上に居るからっていつでも人間取って食べるわけでもないし」
 「何で!?勿体無い!! せっかく地上には人間がたくさん居るのに」
 「こっちもこっちで大変なの。」
 「それでも、頑張れば獲れるでしょ! いやむしろ獲るべき」
 「イヤだよ、めんどいなー」

 夜雀は思いついて言う

 「うちの鰻買ってよ」
 「買う………? 売る? 何で? そのお客さんを食べればいい」
 「常連さんもいるからなあ。お客さん食べちゃう店はないわよ」

 続いて虫の妖怪にもせがむ

 「蟲の知らせサービスだって、気に入ってくれる人間がいるのよ」

 本当か?

 「里で唐揚げでも買ってくるのはどう?」
 「別に人間くらい乱獲したって大事ならない」

 いや、大事だろう。少し前まで、ルーミアもそう思っていた。
 しかし、それは困るのだ。
 割と意気投合したと思っていた旧友だったが、地上の今の友人たちも、そろそろ違和感を覚え
始めた頃だろう。

 ―――久々に会ったが、変な攻撃性を感じる
 嗜好として、彼女以上に人肉を好む所は昔と変わらないが、いわゆる人間の捉え方が前と
変わっている様子だ。

 「お客がそんなにほしいの?」
 「そりゃ、誰だろうと来てくれる人がたくさんいるのは嬉しいし」
 「何で?お金入るから?」
 「それだけじゃないけど」
 「何で、鰻屋さん始めたの?」
 「焼き鳥撲滅のため………」
 「焼き鳥食べる生物、たくさん食い殺して減らせば、焼き鳥誰も食べなくなる」
 「ん?」
 「お金稼ぐ必要ない」

 しばらくして、額に冷や汗をかきながら、ミスティアは「ああ なるほど!!」と手を打った。横では
リグルが冷めた顔で返してくる

 「その理論で言うと、蟲食ってる奴等はミスティアも含めて鳥なんかも全員殺さなきゃならないわ。
 あの新聞記者とかもね。根本的なようで遠いわね……」
 「驚いてくれる相手がいなくなるのは困るよ……・・・ 
 「いや、元々誰も驚いてないから大丈夫だわ」

 項垂れる小傘を見ながら、ルーミアは里の居酒屋ではよく焼き鳥を注文し、夏場には蚊取り線香を
買い込んでいることが知られたらどうしようかと適当に心配した。
 ―――しかし、最近ではそれもできなくなった。
 少し前に人里にわざわざ出向いて問題を起してしまったから、最近は顔を出しづらい。
 久々に旧友に会いがてら。食事でも奢ってもらおうと考えていたのだが。質のあまり良くない死体を
メインに、蚯蚓の料理ばかりが出た。

 (――――地下になんかくるもんじゃないのかなあ)

 会っていない間に、本当にキスメは変わってしまった気がする。
 それ程までに地下生活は過酷なのか?割と中心部は栄えているそうだし、そうは思えなかったが。

 「だからさ!」

 バチバチと自分の桶を叩きながら、特にミスティアとリグルに詰め寄る。

 「仕事するの、なんか変」

 そして、先程の堂々巡りになる。
 詰まる所、人間自体がいなくなれば、商売の必要も無くなる。稼いだ金は、基本里でしか使えない。
妖怪相手にもやってはいるが、その金は維持費か自身の嗜好に使ったりもする
 確かに、人間がいなくなったらなったで、(気軽に食べられるものでは無いとは言え)食材の一部が
なくなるのは心もとないが、ある意味気楽になるはずだ。
 ――――そこまで考えた時、それをあまり自身が望んでいない事に気がつく。
 キスメはそれを否定するのだった。
 仕事・生産性を持つ、 という事が信じられないらしい。

 「どうせ死ぬ。早く絶対死ぬ」

 当たり前だ

 「こっちは食べるだけ。向こうにできる事、何も無い」

 ミスティアは、キスメを最初、度の越えた人肉好きか、よほど嫌いなのかと思って話をあわせていたよう
だったが、その根底にあるのは憎悪や食欲では無い様子だった。
 何か観念的なものだ。
 ――――夢に見たが、地下に潜る直前から、こいつはこういう事を言い始めていたと思う。

 「帰るよ」

 腹も膨れたのだし、何だか平行線を辿っているので、ルーミアは3人を促した。

 「――――また来てね」

 そう言ったのは、キスメ本人ではなく、どこにいたのか、一人の土蜘蛛だった。
 ミスティアの話によると、この地底での人気者らしいのだが、笑っていてもひどく寂しそうな表情をしていた。
先程からいたはずだが、話しかけるでもなく、ただキスメが連中と雑談するのを聞いているだけであった。
 どういう関係なのだろう
 振り返らずに、手を会釈するだけで別れを告げ、ルーミアは地上に向かってふわふわと浮遊し始めた。
 他の3人も続いていく。

 「妖怪、いや、人食いの鏡だね、あの子」
 「本当に食べたくて仕方がないんみたいよ」
 「そんなんだから、地下に落とされたのかしら」

 いや、違う。

 「あいつは、自主的に潜ったんだよ。」
 「へえ?」

 実はこの理由はルーミアも知らない。仲はそれなりに良かったとは言え、出不精な妖怪で、森の人の往来がやや多い
数箇所付近の木以外はあまり動かない妖怪で、付き合った時間は短い。
 木の上の事は、あまり実は知らない。
 ちょうど地上までの中間へさしかかったところで――――そんな事を考えている内に、ルーミアは地に足をつけてしまった。

 「どした?」
 「腹が気持ち悪い………重い」
 「あれだけ食べてすぐに寝たのに………」

 呆れる3人を、先に戻るように伝えて、彼女は手ごろな岩に背をもたらせ、一人再び休む。




 膝を抱えて、ルーミアは、キスメがあの巫女さんに会ったら、どう思うかと考えた。
 今のキスメの様な考え方の妖怪には、本当に容赦が無いだろう。
 以前の自分と同じ、釣りにでも行く気分で人間を襲って、一食材と見ていた頃のキスメならば、まだ話せる気がした。
 今は、明らかな敵意というか、拒絶したがって、それが攻撃性になっている。
 自分自身は退治されたし、あの後もの凄く悩みもしたが、巡り巡って、あの巫女さんから得たものはかなりあるのだと、
ルーミアはそれとなく思っていた。同時に大きな悩みが今でもつきまとっているし、上手く言えないが、あまりにも目的が
なさすぎた生活を、多少変えるきっかけになった。
 それは悪い事ではないし―――――何より、気がつけばあの巫女さんの事が頭から離れられず、色々な判断の基準が
あの巫女さんに変わりつつある。
 何かの行動、出会う妖怪、考え方――――あの巫女さんなら、どう思うか、といった具合にだ。
 そして、もう一つの基準があった。
 忘れられるはずもない―――――――

 「今度はちゃんと普通に来て下さいよ」
 「わるいねー パルパルが可愛いから直接来ちゃったんだよ」

 抑揚が非常に少なく、適当に棒読みのはずなのに、変に調子がところどころ外れていたり、時折早口になるためか、
もの凄く感情豊かに聞こえる声である。
 地下の奥から来る。
 確か、あの先をずっと行った所で、地上とをきっちり隔てる橋がある。そこにいる妖怪が、まんざらでも無い顔でやって
来ていた。

 手には生首を抱えて。


 「いやー何度来ても地底って変なもの食べてるよね。最近随分寒くなったと思ったら、また暖かくなってきたし」
 「もう地底=地獄って訳じゃないから、どんどん冷えてたんですよ。―――最近なんで暖かいんだろう?」

 何度見てもふてぶてしい、ふざけた顔だ。
 多分、もう一度会ったら嬉しいと思っていたが、その妖怪の胸に実に心地良さそうに抱かれている様子を見ていたら、
何だか変な気分になる。



 突如、目の前に現れた最初から最後まで得体のしれなかった、饅頭の様な、あの巫女さんそっくりな首だけの生物。
いや、生物ですらないかもしれない不思議な存在



 イライラしながら見ていると、生首――――ゆっくりれいむと名乗った、正体不明の生物――――よりも早くに、その
地下の妖怪と目が合った。
 こちらの気分に即座に気がついたらしく、小馬鹿にしたように笑った。途端に、モヤモヤした気分が火山の様に
不自然な程吹き荒れたが――――

 「お、お、お久しぶりです~ ルーミアちゃん! ゆっくりしていってね!!!」

 どう考えてもあなたは客だ、と言いたかったが、ゆっくりれいむは自分からルーミアの胸に飛び込んできた。

 「ぬう………まな板と信じて疑わなかったのに……これは……」
 「えっ」
 「………………」

 地下の妖怪は露骨に顔をひきつらせた。
 この時点で、ルーミアはそのもやもや感が嫉妬である事に気がついたが、もうそんな事はどうでも良かった。

 「うひゃあ、何これ………」
 「ゆふふふ。この前はこういう事はできなかったからね」
 「あ、癖になりそう」

 ゆっくりに本格的に触れるのは実は初めてだったが、予想外に柔らかい。
 ぶよぶよしただらしない質感ではなく、表面は吸い込むようなのに、中心には弾力があって弾き返すものがあり、触る
楽しみを十分に与えてくれる。
 何より微妙に暖かいのが心地よい。
 ルーミアが夢中になって触ると、全てそれに応えて返してくれる。
 本当にたまらない。

 「ほれほれ」
 「あはははは、やばい、やばいってこれ!!!  ああ、あっぁ あ……」

 妖怪がついにそっぽを向いてぶつくさ言いながら帰っていくのを横目で見てかいると、相手はそのまま振り返らずに言った。

 「また会いに来なさいよ」

 鬼・土蜘蛛・そして橋守と、皆「また来るように」と言う。
 ルーミアの様な妖怪が来ることに、何かのメリットがあるのだろうか?
 それとも。
 彼女は両手で改めてゆっくりれいむを抱えて、問いかけた。

 「ここに入っちゃいけないんじゃない?」

 そもそも地上の妖怪は地下には、目的が遊びでも行ってはいけないのだ。

 「う~ん、れいむが人間ってのはちょっと無理があるかな? 」
 「そりゃ人間じゃないもの。どこから入ったの?」
 「色々あって、旧都の方へ出かけてたんだよ!!! 『なんでそっちの方から来るんだ』ってパルちゃんに怒られちゃったよ」

 あの橋守とは、自分よりも付き合いが長いのだろうか?
 そう考えると先程のもやもや感がまた燻ぶる。
 あの巫女さん本人ではないのだが、本当に訳が解らない存在だ。
 正体不明で、特に何かしている訳ではないが、何故にこんなに自分にとっては落ち着いてしまうのか。
 ――――そこで、思いついた

 「れいむ」
 「ん?」

 抱えたまま立ち上がる。
 ―――………存外重い。よく、あの妖怪は抱えてこられたものだ。


 「会わせたい奴がいる」
 「うん」


 元来た道を、また地下へ地下へと、二人で向かう事にした。
 しかし、重い。
 中に何がつまっているのだろうかと考えると、少し恐ろしい気もしたが、あまりに疲れたので、一端下ろしてしまった。

 「だらしねえなあ」
 「あんたも実は太ってるんじゃない?」
 「れいむはデブじゃないよ!! あのうーうー言う奴や、冬の太いのと一緒にしないでね!!! まあ、ゆっくり行こうね」

 それが誰の事か解らないが、あの山の巫女や、寺の尼さんのゆっくりがいたように、他にも同種の生物がいるということ
だろうか?
 暫く、ゆっくりれいむはその重さからは想像も出来ない軽快さで、ポインポインと謎のマヌケな音を発しながら進んでいったが、
暫くして止まった。

 「痛い………」
 「えっ」
 「何ここ。岩でごつごつしてるし怖い………」

 だらしないのはどっちだろう。
 ゆっくりれいむならば、そのまま浮遊して進んでいけそうな気もしたが、わざわざ地面を歩いていく姿には律儀ささえ感じて
しまう。
 しかし、跳ねる姿がなんとも可愛いので、ルーミアとしてはそのまま進んで欲しい所だった。

 「だっこするのは嫌だよ?」
 「ゆゆぅ………ルーミアちゃんと一緒に行くためなら仕方が無いね………」

 後ろから見て、ゆっくりれいむが「起き上がった」様に見えた。
 元々首だけで、若干扁平気味に休んでいたので、起き上がるも何もないのだが――――

 体が生えたのだった。


 「………うわあ」

 しかも、裸である。

 「ちょっとそれは………」
 「流石にこれはないか」
 「ないね」

 次の瞬間、服が装着されていた。
 あの巫女さんと全く同じものだったが、驚いた事は、一連の動作が、全て一瞬の事だったという事だ。
 何かしら合図や、体が生える時のしぐさ、音も動作も何も無い。
 一瞬で、さっきまであったかのようにそれが現れるのだから、不可解な事この上ない。
 心の準備もまるでできないまま、ひたすらかき乱された気分にすらなる。

 「さて」

 そのまま、スタスタと走っていく
 遅い。
 ゆっくり過ぎる。

 「仕方ないね!!!」

 いかにも疲れきった様子で、がっくりと肩を下ろして―――ゆっくりれいむは、ふゆふゆと浮遊し始めた。

 ――どうやって体ができたのかとか
 ――実際に飛べるのかとか
 ――存外体力がないのかとか
 ――飛べるのならば、何故最初からやらなかったのかとか

 言いたい事は本当に沢山あったが、ルーミアはもう、考えない事にした。
 ゆっくりれいむは、明らかに飛んでいる方が楽そうなのに、何故かげんなりとした表情で飛び続けている。
 ルーミアはルーミアで、一緒に飛ぶのは楽しかったのだが………

 (そういえば、小さくなってる………?)

 勝手な憶測だが、ちょうどあの胴体と頭部の質量の合計は、あの頭だけの状態と同量なのかもしれいない。
つまり、好き勝手自分勝手やってるように見せかけて、自身の質量だけは変える事ができないのだろう。
 あのずっと冬が続いた後から、最近神社にたむろしているという鬼は、密度を操ることができるそうで、自分の
体の大きさをいじることができるそうだが、そうした芸当とは無縁のようだ。

 「まあ、どうでもいいか………」

 少しだけ正体が見えたと思ったのに、「できない事」が見えてしまうと却って不安になってしまった。

 (可愛いし)

 元々普通の人間と変わらぬ大きさの生首だったが、胴体に使った分(?)、本当に、2・3歳のようやく歩行
し始めた赤子にすら見える。

 そう――――元々子供っぽい顔立ちなので――――まさに、赤ん坊である。

 二人は、面倒くさそうに歩く橋守を追い越し―――― 先程まで皆で集まっていた、広場まで行く。
 そこには、まだあの土蜘蛛と、キスメが何かを話していた。

 「あ、妊婦だ妊婦」
 「え?」

 あの土蜘蛛の事だろうか?
 確かに、太っている訳ではないだろうが、腹から下にかけて、変に膨らんでいるデザインは、蜘蛛らしくもあるが、
身ごもっている女にも見える。
 流石に失礼だろうと思い、何とたしなめようかと思っていると――――
 気づいた。

 キスメの表情に。


 「ん?」

 妊婦、という単語が何か障ったかと最初は思った。
 自分の事を言われたのではなかろうと思った。あの土蜘蛛、多分日常的に妊婦とかマタニティとか言われているに違いない
とルーミア自身も考えた(特にあの酒癖の悪そうな鬼から)。
 だから、キスメがそうおちょくられたのを気にしたのでは無いことは解った。
 そもそもそんなガラではない。
 土蜘蛛の方を見ると、露骨に顔をしかめていたが――――同じく、キスメの方を向いて、気まずそうな顔をしているのだった。
 怯えていた。
 何に対してかと考えたが、ルーミア自身のはずはない。
 となると、ゆっくりが問題かと考えたが、極端に小さく、顔がマヌケなだけで、胴体がある今はかなり一般的な姿に近い。
 小さくて、浮いている以外は人間と変わりあるまい。

 (あーそういやこいつ、ずっと人間を食うだの生産性だの、どうこう言ってたな)

 何やら少し前の自分の様―――― いや、今でも変わらないが ――――だと思っていると、れいむも気まずそうな顔をし始めた。
 地下には、どれくらいの頻度で人間が来るのだろう?
 妖怪には、人間に近い外見の連中も多い。
 見た目も、老若男女(若干、変化が効く奴ならば、色々得するために女子になるだろうから比率は高かろう)と様々だが、
極端に小さい童子の姿をしたものもいるとは言え、ここまで小さい幼児の姿はあまり見かけないのかもしれない。



 珍しいからと、赤子に何故怯える?


 同じく渋い顔をしている土蜘蛛と、きっかけを作ったゆっくりれいむに話を聞こうとした時には――――
 一人真顔のルーミアを残し、キスメは、すっぽりと桶の中に隠れていた。




                                        続く

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最終更新:2011年06月15日 14:20