てゐ魂 第25話

袖ふり合うのも他生の縁という言葉をごそんじですか?
ただすれ違っただけの人にも何らかの縁があるという事です。
そんな些細な出会いからでも、面白いドラマが生まれる、
世の中という物は面白い物なのです。

今回はそのドラマという物をお見せしましょう。

あるゆっくりとゆっくりの出会いから始まる物語、お楽しみください…と言いたい所ですが!

その前に!一つ確認させて頂いてよろしいですか?


この小説は銀魂のパロディです。
でてくるゆっくりにロクな奴はいませんし、
ゆっくりが酷い目に合うこともあります。

我慢できないという方は席をお立ちに、

それくらいどうって事無いという方は席に座ったまま、この物語をお楽しみください。






















てゐ魂、第二十五話「焼き鳥って、東方では意外と重要ワード。」



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     レヽ、/ヽ!,.イ´ \_/iヽ!ノ!/レ'
   ト 、,  /´`ヽ::ヽ、/ムレ'i`ヽ./!
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「はーい、そこのスィー止まってー。」

ちるのはそう言ってスィーに乗って進んでいるゆっくりを呼び止める。

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        y'  ノ   !'"    ,___,  "' i .レ'      
      ノノ  (  ,ハ U  ヽ _ン   人!     
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「何だぜ!まりさはこれから配達のお仕事で忙しいんだぜ!」

運送屋をやっていると思われるそのゆっくりがちるのに文句を言うと、
ちるのはそのゆっくりに身分証明である警察手帳を見せ付けた。

「な、これって公安⑨課の!?」

そのゆっくりは驚きに満ちた目でちるのを見つめる。
ちるのは続いて懐から紙切れを取り出すと、またゆっくりに見せた。

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かかれていたのは、長髪が特徴のゆっくりの人相画。

「この辺りに蓬莱山かぐやという反逆ゆっくりが潜伏中とのたれ込みがあったから
あたいが直々にこの辺りを調べてるのさ!そんな訳だからごちょ…。」

あ、噛んだ。運送屋のゆっくりはそう思った。
「…ご協力をお願いしたいんだけど、アンタはあたい達に協力してくれる?」
ちるのは軽く咳払いをした後そう言い直した。

「反逆ゆっくりかぁ…最近聞かないと思ったけど、まだ活動してるのか?」

すると、まりさはそう言ってきた。
ちるのはそんなまりさの言葉に、こう答えた。

「活動してる!平和になったのは表向きの所だけだよ!」


反逆ゆっくり。

それは、この街でドンドン増長する胴つきのゆっくりに反逆する胴無しゆっくり達の総称。
殆どの反逆ゆっくりは粛清されたが、今だ水面下での活動が確認されている。
これらの排除も、ゆっくりの国の治安を維持する公安⑨課の仕事の一つである。


「…まぁ、協力ぐらいなら別に良いぜ。ホラ、好きなだけスィーを調べろよ。」


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運送屋のゆっくりはそう言ってスィー上面の蓋を開けた。
ちるのの部下のゆっくり達がスィーの中身を調べる。
中に入っているのは宅配用の荷物だけで、特にめぼしい物は見つからない。

「ちるの隊長!怪しい物は何も入っていません!」

部下たちはちるのにそう報告する。

「だってさ、まりさも仕事があるし、これで通してくれるんだろ?」

運送屋はちるのにそう問いかける。
「…いや、そうは行かない!」
ちるのはそう言うと、いきなりスペルカードを取り出した!

「お、おい!一体そのスペルカードで何をするんだぜ!」

嫌な予感を覚えた運送屋はちるのを止めようとする。

凍符「パーフェクトフリーズ」

しかし、ちるのはお構い無しにスペルカードを発動!

どがあああんっ!

弾幕の直撃を受けて派手に横倒しになる運送屋のスィー!

「ぎゃああああ!まりさの運送スィーが!」

思わず絶叫する運送屋。

「ちょ、隊長!一般人に危害を加えたらまた問題に!」

部下がちるのに向かってそう言ってくる。
ちるのはそんな部下を無視して横倒しの運送スィーに近寄ったかと思うと、スィーを調べ始めた。

「…あ!」

と、そこで部下が気づく。
横倒しになったスィーの底に、変な蓋がついていることに。
「ん?これは?」
ちるのもそのことに気づき、蓋の取っ手に手を掛けてみる。

カパッ。

バササアーッ!

開けた蓋から出て来たのは、大量のカードの束であった。

「あ!あれって…!」

「密造されたスペルカード!?」

出て来たカードの束を見て部下がそう叫ぶ。
ちるのは出て来たスペルカードの束を見つめる。

「や、ヤバイ…!」

真っ青な顔になった運送屋を、ちるのの部下たちが睨みつける。

「そうか、二重底になったスィーを使って密造されたスペルカードを運んでたんだな!」

「これが立派な犯罪だよ!わかってるよね!」

部下達はそう言って運送屋ににじり寄る。
「ま、マズイ…。」
悪事がバレ、追い詰められた運送屋。
今、正にお縄に掛けられようとしていたその時だった。

「…何だ、かぐやが隠れていると思ったけど、そんな事はなかった。」

「え。」

運送屋と部下のゆっくり達は一斉にちるのの方に振り向いた。
ちるのは残念そうにスペルカードの束を元の場所に仕舞い込むと。
横倒しになっていたスィーを元に戻す。

「呼び止めて悪かったね、ホラ、先に行っていいよ。」

ちるのは運送屋に向かってそう言った。

「え?い、行って良いんならそうさせて貰うけど…良いの?」

運送屋はちるのに確認する。

「しつこいなぁ…この先に行くの?行かないの!?」

「い、行かせて貰うんだぜ!」


運送屋は慌ててスィーに乗り込むと、凄い速さで遥か彼方へと消えていった。
そのスィーを見送った後、ちるのは懐からパニラバーを取り出し、それをしゃぶる。

「ふぅ…。」

『ふぅ…じゃねー!』

ちるのは部下から総ツッコミを貰ってしまった。

「何普通に犯罪者見逃してんですか隊長!」

「え?でもあれ、かぐや関係なかったじゃん。」

「例え関係なくても、あれは逮捕しなくちゃいけないゆっくりだったじゃ無い!」

「え?そうだったの?じゃあ今すぐ追いかけて捕まえてきてよ。」

呑気にそう答えるちるのに、部下のゆっくり達は行き場の無い怒りを覚える。

「いや、今から追いかけたって逃げ切られるよ!」

「それに、ここを離れるわけには行かないでしょうが!」

ちるのと部下がそう言ってぎゃーぎゃー騒いでいたその時。

ブップー!

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────────────        |   ノ^   | 早 |///// \
─────────────  _--_   ,ゝ  ヽ   \ / ̄ ̄ ̄ ̄.\
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                     |三\  /===┬ /〈 ̄  ソ    ( (_)
────────────   |三  |(    ヽ ヽ ヽ-´     ゝ/
                     )三/|_ヽ   ゝ/ )   婦瑠鬱1//  /
───────────── /三 \  ゝ   ヽ   _    / ̄ ̄/
──────────  (\ゝ二_\苗 ヽ   ヽ  ̄/ \/ |.|  |.| ヽ
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                     ゝー ノ_ノー‐^          ゝー‐ノノノ


「あのーすみません通行の邪魔なんですけど。」

乗り物に乗った胴付きゆっくりがクラクションでちるの達にそう知らせる。
「…あ、すみません。」
「ちょっと取り込み中だったもんで、すぐ退きますんから。」
ちるの達はそのゆっくりにそう言ってぺこりと謝ると、道を譲ってあげる。
そのゆっくりは軽快なエンジン音を立てて向こう側へと消えていった。
ちるの達はそのゆっくりをじっと見つめている。

「…あのさ。」

「何?」

「ついノリで道を譲っちゃったけどさ、あのゆっくり、なんか怪しくね?」

「うん、そうだね、なんかヘルメットで顔もわからないし。」

「………。」

「……………。」

ちるのと部下達はお互いに顔を見合わせる。

びゅおおおおおおお!

と、その時、強い突風が!

ポロ。

「…あ。」

次の瞬間、乗り物に乗っていたゆっくりの首がポロリと取れると言うショッキングな光景が!
「!?」「!?」
部下達はショックで一瞬身を固めてしまった。
「いったぁ、ちょっと義体との接続が緩過ぎた…。」
一方、取れてしまったゆっくりの首は何事も無かったように起き上がる。
何とかもとの位置に戻ろうと身体を登っているうちに、ヘルメットの下から、黒くて長い髪の毛がはみ出てきた。

「…あの長い髪。」

「ねぇ、蓬莱山かぐやの特徴って何だっけ。」

「確か、長くて美しい髪が特徴で、外で活動する時は義体をつけているとか。」

首の取れたゆっくりをじっと見つめるちるのと部下たち。
ちるのは懐からスペルカードを取り出すと、それをゆっくりに向かって投げつけた。

凍符「マイナスK」

実体化した氷つぶてが、ヘルメットのゆっくりに襲い掛かる!

「!」

ヘルメットのゆっくりは、とっさの判断で、氷つぶてをかわす!

バキイッ!

しかし、不意を疲れた所為か、氷つぶてを完全に交わすことが出来なかった!


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     .|::::7"  ヽ _ン  U  .レi:::::::::|::|
    レ'iゝ、          ,イ:::|:::::i:::|:::|
      !::::!::i:>ー-r   i;:-!::::|::::::|::::|::::|

ヘルメットが割れ、その下の素顔がさらされる!
「し、しまった!」
素顔がさらされてしまったゆっくり―かぐやは思わずそう叫んでしまう。

「ちるの隊長!あれ、かぐやですよね!」

「かぐや!今日こそ年貢の納め時だ!」

かぐやの姿を見るなり、ちるのは凄い勢いでかぐやに向かっていく!

「クッ!ここで捕まって溜まるか!」

かぐやはすぐに義体の上に乗っかると、義体を操って乗り物を走らせる!

「隊長!このままじゃあ逃がしてしまいます!」

「だったらこいつを使う!」

ちるのはそう言うと、懐からでかい筒を取り出した!


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        r!;:7' ,.'´  ハ    !   ヽ;:!
        /:::/ ./ /  ,' !   ! ; , ヽ!>
      く/`iノ iノ  !__,.、/ | /_,!-ハ  〉从./ ̄ ̄|、______
      /   /∠,..イ (ヒ_]  レ' ヒ_ン! ヘ(  [;二].()|         ()
    _ __!  i__ノ !ノ '"   ,___,  ",Vi,‐ァ |_|__|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ヽ∠'、,__ゝ`ヽト.、   ヽ _ン  ,イ.〉/__,,.. -‐、
    , 彡 ヾ.     〉>,、 _____, ,.イレ'ヾ´  __,っノ
ド  //  く : ゝ、.,_,. イノ´::`ヽ,_∞_i::レi   i, :'"
タ       `ヽ::::::::::::::::',_____!::::',__ノ  
           ヽi::::::::i:::::::::::::::::::i   .:ト
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           .....,':::/ __,,. 、!:::::::;::::',-、_     Y´
        .....:::::::::ノi::::i7´   ,!::::ァ'"`'' :、!, l: |!
      :::::::::::::::く∠:::::i  '"´i//i     ヽ
        :::::::::::::::`ー'、    !ー-:`ー-、____ノヽ
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             彡           ヽ、__ノ

「止まれ!止まらないならこいつを撃つ!」

ちるのはバズーカを構えてそう叫ぶ。
しかし、かぐやはバズーカを構えるちるのの姿を見つめながらも、乗り物の速度を緩めない。

「ば~か、こんな市街地でバズーカを撃つなんて非常識な事はしないでしょ?」

かぐやがそう呟いた次の瞬間。


ズガアアアアアンッ!


ちるのは遠慮なく、躊躇無く、バズーカを発射した。
「あぁあああああ!?」
魂はかぐやの乗る乗り物に命中し、爆煙をあげる。

「…フッ、相変わらずあたいったら百発百中ね!」

「さ、さすが隊長!こんな市街地でも躊躇無くブッぱなつその度胸には感心します!」

「その結果、副長が胃を痛めることになるんだけどね!」

部下達はすぐさま、爆煙が上がる乗り物の方に向かう。
「さあ、ちょっと生きているのか不安に思うけど、神妙にお縄に…ってあれ?」
しかし、乗り物の近くまで来て、部下達は顔をキョトンとさせる。

そこにあったのは炎上する乗り物。

ボロボロに壊れた義体。

あちこち凹んだヘルメット。

…それらの物はすぐに見つかったが、肝心のかぐやの姿は何処にも見当たらなかった。


「隊長!かぐやの姿が何処にも見当たりません!」

部下達はかぐやが居ないことをちるのに報告する。
こういう時、ちるのの判断は早い。

「包囲網を張れ!かぐやをここから逃がすな!」


~☆~


「…ま、参ったわね…まさかあいつ、本当に発射するなんて…。」

バズーカが発射された瞬間、とっさにバイクから飛び降りて路地裏に逃げ込んだかぐや。
その身体はバズーカの爆風を浴びたため、あちこちが黒く焦げている。

「と、とにかく今は逃げなくちゃまずいわよね…。」

かぐやは髪を伸ばして、屋根の上へと伸ばしていく。
「何か、つかめる物は無いかしら?」
掴む物を探してかぐやは屋根の上で髪の先を動かしていく。


ガシッ!


そのうち、髪の毛は何かを掴む。
「よしっ!」
かぐやは全身に力を込め、伸ばした髪を収縮させる。
かぐやの身体は髪の毛に引っ張られるように屋根の上へと登っていく。
「ふう…ところで私、一体何を掴んだのかしら?」
屋根の上へ登った所で、ふとそう思ったかぐやは髪の毛の先を見つめる。


   ____
  (\  ∞ ノ
   \ヽ  /
    ヽ)⌒ノ
      ̄

持ち主を実直さを思わせる飾り気の無さ、
それでいて、ワンポイントで付けられているリボンは女性ものの下着であることを主張している。
かぐやが掴んだのは、そんな軒先に干されていた下着であった。
「………。」
かぐやはなんとも言えない表情で下着を見つめる。


       iヽ、
     ____」____ゝ'´/':\ /|       
     ヽ. _/___/___::\/      
      <Y---r二二二二ハ.フ.    
       ,.L__:::::|::::i::::L-」::l::7>    
     /     ̄' 'ー---─' `ヽ.  
    ./   ,.      ⌒ヽ.     ',  
   ,'  / / ‐/- i:::::::::::i   `ヽ!. 
    i   i  !/ア!-;!、ハ:::::::ハ-!、.i . i.  
   |  ハ .! rr=-, レ r=;ァ;!、i i |  
   |  i レ' !""      ""/レ'ヽ!  
   |  ! .|ハ、   -=-   /:::| .|    
    | ./i  |::::!>、._  _,,.. イ .|::::| |  ,.、
   .| ./ !,..-|::::|'´/ヽ二ン`7ー、|:::|. | i !,,.-''" ノ
   |/ /  .|::::|〈 イ::::V:::::::::!〉:`i:::ト、! .! ヽ -=ニ__
  .!r〈_   !,ヘ!:::ヽヘハ::::;イノ:::::;ヽ! ヽ,!   !  ‐--,' 
  !.ゝr、__r、i::::::::::::/ ハ Y::::::::::i  r/ ヽ   ー,--' 
  !/  、/ヽ;::::::〈  ハ ',:::::;イ、_ /!   7`  ̄   
  .〈    ヽ、/:::::::::ヽ/Vヽ、〉::::! !`ー,ヽ-'       
  .レ\ ,.イ`ヽ:::::::::::::ハ::::::::::::ハ、 |ノ         

そして、その下着の持ち主であろう青い髪と変な帽子を被った胴付きゆっくりも窓からかぐやを見つめていた。
そして、かぐやとそのゆっくりはお互いに見つめあう。


「コンニチハ ワタシハ ウチュウジンデス。」


かぐやはその場を誤魔化す様に片言口調でそのゆっくりに話しかける。

ゴガアッ!

次の瞬間、そのゆっくりは窓から勢いよく飛び出して、かぐやに頭突きを食らわせていた。


~☆~


「…全く、この私の家に下着泥棒とは度胸のあるゆっくりもいたものだ。」

そう言いながら青い髪のゆっくりはかぐやを睨みつける。
「だから、それは誤解だってば…。」
かぐやはそう言って誤解をとこうとする。
しかし、そう言っても青い髪のゆっくりはかぐやの言葉に聞く耳を持ってはくれないだろう。

「誤解だと言うのならいい加減この髪の毛に絡みついた下着を返せ!」

その理由はかぐやの髪の毛の先に今だから身ついたままの青い髪のゆっくりの下着である。

「解ってるけど、なんか妙な絡まり方をしたみたいで・・・。」

かぐやはそう言って他の髪の毛を使って下着に絡みついた髪の毛を解いていく。
数十分後…下着は無事、髪の毛から開放された。

「ハイ、これで下着泥棒じゃ無いって解ってくれるかしら。」

かぐやはそう言って青い髪のゆっくりに下着を差し出す。
青い髪のゆっくりはかぐやと下着を交互に見た後、下着をゆっくりと回収した。


「…それにしても、何だか変わったところね。」


かぐやはそう言っていま自分が居る所を見回した。
現在、かぐやは青い髪のゆっくりの住んでいる家の一階に居るのだが、かなり奇妙な間取りをしていた。
まず右半分、壁には黒板が掛けられており、その前には子供用の机と座布団が幾つも並んでいる。
左半分にあるのはカウンターだ。
カウンターは数匹のゆっくりが座れるようになっており、その奥にはでかいコンロと網が敷かれていた。

「これか?昼は子供相手に塾を開いて、夜は焼き鳥屋を経営しているからな。」

青い髪のゆっくりの言葉を聞いて、かぐやは目を丸くした。

「は?アンタそれ何の冗談?」

「いや、冗談じゃ無いぞ、ホレ、教員免許。」

青い髪のゆっくりはそう言って懐から一枚のカードを取り出した。
「けーね」と名前が書かれたそのカードには、この胴付きゆっくりが先生である事を証明している。

「…本当に教師なんだ。」

かぐやは呆れた顔で青い髪のゆっくりーけーねを見つめる。
けーねはかぐやの瞳をいきなりじっと見つめながらこう問いかける。

「・・・で、貴様は結局何者なのだ?」

「何者かってタダのゆっくりだけど?それと好きな団子は三色団子です。」

「タダのゆっくりが何で屋根に上ってるんだ!?後団子の嗜好なんて聞いてないぞ?
 食いたいのか?団子が食いたいのか?」

「ホントにタダのゆっくりだって、暫くゆっくりしたらすぐ出てくから。」

そう言いながらかぐやは窓から外の様子をじっと見ている。

「オイ、そんな怪しい素振りでゆっくりするゆっくりなんて聞いたことないぞ?
 貴様、絶対後ろめたい事やっているだろ!」

けーねがかぐやに向かってそう叫ぶが、当のかぐやは聞く耳持たず。
何故なら彼女の関心は、窓の外から見える、巡回中の公安⑨課に向かって居たのだから。

(参ったわね、あちこちに⑨課の連中が居るじゃ無い、
 こりゃ、ほとぼりが冷めるまで何処かに実を隠していた方が良いわね…。)

「おい!さっきから明らかに怪しい素振りしか見せてないじゃ無いか!
 お前は私の店で何をたくらんでいるんだ!?」

けーねはかぐやに向かってそう怒鳴りつける。
そんなけーねに向かってかぐやが言った答えは…。

「実は私は究極の団子の味を求めて全国行脚している菓子職人なの。
 あなたを一目見て感じたわ!あなたの料理の腕前は凄い!と!
 …と、言う訳であんたの腕を盗みたいから暫くここに置かせていただけないかしら。」

見事なまでの口からでまかせだった。
それを聞いたけーねは複雑な顔になる。

「…いや、私は団子屋ではなく、焼き鳥屋なのだが。」

…とりあえず、かぐやの出任せは信じちゃったらしい。

「良いじゃない、どっちも串さすじゃん、タレ付けるじゃん。」

「何そのかなり無理矢理なこじつけ!?」

「とにかく置いてくれ!迷惑はかけないから!今なら特典としてちょっと大人な黒下着を上げるから!」

「それ、私の下着だろうが!?」

そんなやり取りを二人が繰り広げていたこのときだった。

「け~ねさん♪おッ元気か~い♪」

玄関の方から調子っパズレな声が聞こえてきた。

「!?今のは!?」

「あら、お客さん?それとも生徒の方かしら?」

「悪いがそんな事いってる場合じゃ無い、この場に貴様がいたらなんかややこしい事になりそうだ!」

けーねはそう言うと、かぐやを抱えて、トイレの中へと放り込んだ。

「ちょ、何するのよ!」

「悪いがそこで暫く大人しくしてくれ!」

そう言ってけーねがトイレのドアを閉めると、玄関を空けて誰かが入ってきた。
そいつは一人の胴付きゆっくりと、数匹の胴無しゆっくりで構成されたグループだった。


              .___      .xヘ
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           |トyノ___,/^'^v'´rニニー'.X
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 .   !. n    |イ  | |_/|_|ハ_|_|  ヽ、l/ /´
      | ト、   ,イ  /N{;:::゚ノ   {;:::゚)|   ト..! ̄ 〉
     と /`^./ ! i Ⅳ xx.t‐-─ァ xx.i  | i| ハ
      K/    |  i|ハ    V三リ   | .!  | /  !
 .     |   、_∨ .\____ ,.ノ|/|  |、__ノ
       \__乂   i 〉`ーv─' 〈| | |/∧ .|
 .         /  `ー| |`ー个ー-、イ ! t.イ| |\!∠!   、
         / ./| ./| |   |o   | | /|:|:|:| | l〈ハヽ     !
        / / ! |;;兄__ !.__只L|:|:|:| | |ト、l |/|  | |
        | {  ∧ X:::::::::::∨:::::::::::::::::::::〉|:| | |レ'!ヽ ̄ / /
        ∨    \|:::::::7:::::::::::::::¬T:::ヽ\人ノjノ    /

「やーっはッは、相変わらず二足のわらじで頑張ってるねぇ~。」

白くて長い髪に口から牙を生やした、凶悪そうな面構えの胴付きゆっくりは
けーねに向かってそう言った。

「おいけーねさん!つくねを5人前で頼むんだぜ!」

「ビールも忘れずにね!」

お連れの胴無しゆっくり達は、カウンターの席に座ってけーねに向かって注文を繰り出す。
けーねは胴無しゆっくりの注文を無視して、胴付きゆっくりのほうをむいてこう言った。

「…人の店に変な連中を連れてくるな、
 こいつら連れてとっとと出て行け、マジキチ。」

「おいおい、仮にも義理の妹に向かって出て行けは無いだろうが。」

「どうせ金をせびりに来ただけだろ!前に金を貸したときに言ったよな、
 貴様との縁はこれっきりだと、もう私の前に出てくるなとな!」

そう言って胴付きゆっくり―マジキチを睨みつける。

「ムーシャムーシャ、まぁまぁけーねさん、そんなにカッカなさらないで。」

「そうそう、マジキチさんはまりさたち反逆ゆっくりの為に頑張ってるんですから…ご~くご~く。」

カウンターに座った胴無しゆっくり達はそう言いながら何かを食べている。
…何か?

「おい、ちょっと待て、貴様ら一体何を食べてるんだ?私は何も作ってないぞ?」

けーねは食事中の胴無しゆっくり達に向かってそう問いかける。

「ああ、これ…?」

「髪の長いゆっくりが「本日のお勧め」だって。」

「…髪の長いゆっくりが…?」

けーねが胴無しゆっくり達の言葉に首をかしげていると。


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「はーい、前菜の「うまい棒サラミ味」で~す。
 みんなゆっくりムシャムシャしていってね。」

かぐやがそう言ってマジキチに袋から出して皿に乗せたうまい棒を差し出した。

「って、お前何やってるんじゃー!」

けーねはかぐやを見て思わず大声を上げる。

「なんだよ、お手伝いを雇うほど繁盛してるのかい?
 だったら私にもおこぼれを分けてくれよ、なあ!」

マジキチはかぐやが差し出したうまい棒を食べながらそう言ってくる。

「今のはこいつが勝手にやったことだ!それに金があったとしても貴様に貸してやるつもりはもう無い!
 どうせギャンブルに使うんだろうが!」

「違うって~!借りたお金は反逆ゆっくり達の活動資金に使うんだって!
 でかい事するには何かとお金が入り用なんだよ。」

「そうそう、れいむ達はお金が入り用なんだよ!」

「だから頂戴!頂戴!」

マジキチ率いる胴無しゆっくり軍団はけーねに媚媚で金をせびりまくる。

「反逆ゆっくりだと?お前達はタダのチンピラゆっくりの集まりだろうが!
 外で騒いでいる公安⑨課だって、あんた達の相手なんて下らなくてやってられないだろうね!」

けーねがマジキチに向かってそう怒鳴りつけたその時だった。


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「お客サマー前菜は食べましたか~?」

かぐやがかなり間抜けな声でマジキチ達にそう問いかけた。

「ッておい!お前は何いきなり話しかけてきてるんだ!」

マジキチはかぐやにそう言ってくる。
すると、かぐやはこう答えた。

「あ、お取り込み中でしたか、空気を読まずにすみません。」

「お前、絶対にわざとやっているだろ!」

「いえいえ、全く、それよりメインデイッシュの、「うまい棒たこ焼き味」も、どうぞご賞味ください。」

かぐやはそう言って頭の上に乗せていたうまい棒をマジキチの前に差し出した。

「またうまい棒なのかよ!?」

「今回はメインデイッシュなのであっさり風味のサラミではなく、こってり味のたこ焼き味です。
 ちなみにデザートはうまい棒の穴の中に綿パチを詰め込んだモノになっております。」

「何そのリトルグルメ!?」

あまりにも意味不明過ぎる程のうまい棒ラッシュにマジキチもツッコミを入れざるを得なかった。
…ちなみにお供の胴無しゆっくり達は全員うまい棒を食べている。

「まぁまぁマジキチさん、落ち着いて。」

「このうまい棒、中々うまい…うッ!?」

その時、うまい棒を食べていた胴無しゆっくり達の顔色が真っ青になった。

「お、おい!どうしたんだオマエラ…うッ!?」

何が起きたのかと立ち上がった瞬間、マジキチも自分の身体の異変に気づいた。


ごろろろろろろろろろろ…。



「は、腹が…腹がいてぇ…!?」

マジキチはそう言って自分の腹を押さえ始めた。
取り巻きの胴無しゆっくり達からも、ゴロロロロ…とお腹を下した音が聞こえてくる。


「ま、マズイ…!これマズイよ!便意じゃなくて殺意だよ!」

「と、トイレ…!今すぐトイレ!」


マジキチを初めとした自称反逆ゆっくり達は真っ先にトイレに向かう。
しかし。


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  ヽ  ヽゝ ゝ、_____,.ノ ノ
   ヽ   ,ゝ.        /
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     `、_______ノ


「入ってま~す。」

先にトイレに入っていたかぐやが冷酷にそう言い放つ。

「ちょ!」

「何で入っているのぉおおおお!」

取り巻きのゆっくり達がトイレのドアに体当たりを繰り広げるが、全くびくともしない。

「てめぇ!さっきのうまい棒に何か仕込みやがったなぁ!
 …ぐうっ!マズイ!もう入り口のほうまで来てる!」

マジキチがトイレのドアを叩きながらトイレにいるかぐやに向かってこう叫ぶ。

「ごめんなさいね、ただ今一週間ぶりのお通じが来ている最中なの、用を足したかったら
 外でやってね。」

かぐやはニヤニヤしながら扉越しにマジキチにそう言ってくる。

「ち、畜生!今日のところはここで引き上げてやる!
 でも覚えておけよ!反逆ゆっくりを怒らせたらただじゃあ住まないんだからなぁ!」

「ま、まずいー!!!もう出る!もう出ちゃうー!」

「今度来るときは、トイレの増設を要求するんだぜ!」

マジキチ達はそう言って、実がはみ出ないように細心の注意を払いながら店を出て行く。
マジキチたちが去ったのを見計らってかぐやがトイレからゆっくりと出て来た。

「…一週間ぶりのお通じはどうだったんだ?」

「スッキリしたわよ、いろんな意味で。」

けーねの問いかけに、かぐやは実に晴れ晴れしい顔でそうこたえた。

「…正直言って助かった、あいつは死んだ旦那の妹なんだが、
 チンピラとつるんで自分達は反逆ゆっくりだーとかえばり散らしているどうしようもないゆっくりだったんだ。
 しかも、毎日のように私のところに金をせびりに来る、困った連中だったんだ。」

「あら、助かっただなんて大した事はしてないわよ。」

さも当然のようにかぐやはそう答える。
そんなかぐやに対して、けーねはこう問いかけた。

「…お前、少しは学があるのか?」

「へ?一応、それなりにはあるつもりだけど。」

かぐやがそう答えると、けーねはよしと頷いた。

「…なら、お前の事は暫くここに置いてやる。
 団子でも焼き鳥の技術でも勝手に盗むがいい。」

「ホント?それは嬉しいわね、でもそれと学はあるのかという質問には何の関係があるのかしら。」

実はけーねの真意には薄々感づいては居たがかぐやは確認の為にけーねにそう問いかけた。

「昼は子供の相手をして夜は大人の相手…正直、疲れが見えてきた所だったんだ。
 ワタシは使える奴はとことん扱き使う主義だからな…覚悟しておけ。」

けーねはにいっと笑ってそう答えた。
かぐやは頭の中でこう考える。

(あれ?もしかしてこれって⑨課に追われていた方が楽だった?)







続く

  • もこたんの扱いがヒドスw -- 名無しさん (2010-06-15 22:30:28)
  • 慧音が焼き鳥屋で輝夜がお手伝いで妹紅がタチの悪い客
    元ネタとは変わった配役が面白い -- 名無しさん (2010-06-15 23:51:12)
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最終更新:2011年02月02日 16:21