てゐ魂第二十六話-3

「…あいつの姿が見えない…ハハ、とりあえず一安心かな?」
かぐやの姿が見えなくなったのを確認してマジキチはほっと胸をなでおろした。

「…ま、マジキチさん、まだ安心できないんじゃない?」

「あいつも、⑨課の連中も振り切ったんだ、これ以上やばい事にはならねーよ。」

マジキチからはさっきまでの切羽詰った様子が完全に無くなっていた。

「そういう事を言うと、決まって災厄が降ってくるものなんだよ。」

「ハハ、そんなバカな…。」

マジキチがそう言って笑おうとしたその時。


ヒュルルルルルルル…。


後ろから、何かが飛んでくるような音が聞こえてきた。

「…。」

「は、ハハは…まさかこれ以上ヤバイ事になる訳が…。」

嫌な予感を覚えながらマジキチと運転手れいむは後ろに振り向いた。




  三三 =======<il>


何ていうか、ミサイルが凄い速さで飛んできていた。
しかも、マジキチ達の乗るスィーに向かって真っ直ぐに。

「ぎゃあああああ!?何でミサイルがぁああああ!?」

マジキチは顔面を真っ青にしてそう叫んだ。
まさかこのミサイルが⑨課の面々のうっかりで発射されただなんてマジキチには予想もついていないだろう。

「に、逃げろ!全力で逃げるんだ!」

マジキチに言われるまでも無く、運転手れいむはアクセルを全開にしていた。
スィーの全速力と、そのスィーを追いかけてくるミサイルの移動速度はほぼ同じでその差は全く縮まらない。

「ち、畜生!振り切れねぇ!お前、ちゃんとアクセルを全開にしてるんだろうな!」

「い、言われるまでも無いよ!ミサイルが早すぎ…ん?」

運転手れいむがそう言って前を向きなおしたとき、彼女はあることに気がついた。
…前方から、何か走ってきている。
最初は遠すぎたのでそれが一体何なのか解らなかったが、次第に姿もはっきりしてくる。

「…う、嘘!?」

その正体を知って、運転手れいむは全身を震えさせる。

「おい、何だそんなに震えて…一体何を見たんだよ!?」

マジキチはその正体を確かめる為、スィーの前方に身を乗り出した。
その瞬間、マジキチの思考が一瞬固まってしまった。





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そいつは、なんと先ほど自分達が置いてけぼりにした筈のかぐやであった。

『なんでぇええええええええ!?』

その姿を見て、二人のゆっくりが同時に叫び声を上げる。

「な、何で置いてけぼりにしたのに、前に回りこんでいるの!?」

運転手れいむは前方から迫ってくるかぐやの姿を見て混乱している。
勿論、マジキチも同様だ。

「…あ、あのゆっくり、普通じゃねぇ…一体何者…はッ!」

そこでマジキチは思い出す。
さっき⑨課の面々はかぐやかぐや、と喚いていた。
そして、彼女はそんな名前の反逆ゆっくりがいる、と言うのを聞いた事があった。
そのゆっくりは美しい長い髪を持ち、永遠とシュユの間を駆け抜け、
ゆっくり出来ない連中には分別無しに容赦ないお仕置きを加えるらしい。

「…まさか、本物なのか…?」

「え?」

「本物の反逆ゆっくり、蓬莱山・・・蓬莱山 かぐやだって言うのか!?」

マジキチは恐怖に満ちた表情で前方から迫ってくるかぐやの方を見た。
かぐやの方はと言うと、ますますスピードを上げてマジキチ達に迫っていく。

「お客さまー!これがデザートのぉ…。」

そして、物凄いスピードでマジキチの乗るスィーとすれ違った次の瞬間!

「うまい棒、綿パチ詰めでございまーす!」

ズガガガガガガガガガガァ!




                      .___      .xヘ
                      /,1.iヾ、  /\ヾゝ_
                    __!! !_i ヾ、 ,/ ,.-.''.1] //
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         .   !. 三,r'\   二 ニ― ,.,r'!、::ィ:;__  ヽ、l/ /´
        ____゙i  \ 二ー三 ,r'´` \、;ニ)|   ト..! ̄___    _____  ______.  
    三 /        \  ) ̄´         !、.i  | i| ネ  _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ、_''  
    三■{ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄_´{_| .!  | /, ン 'r ´          ヽ、
     三'----------/ / ==゛'‐rー'‐-:::ッ´!、|/|  |、 i ,' ==─-      -─== ;
             三|/               |/∧| i イ ル__;:ィ::ノヽ、―ニ 二   /ヽ三         
         .         /  `ー| |`ー个ー-、イ ! t.イ| |||. i、|. | (ニ;、/ ´`ヽ 三ー二 /  /____    
 __             / ./| ./| |   |o   | | /|:|:|:| || iヽ「 ! " .ノ         ` ̄(  /        \ 三
   /    __    / / ! |;;兄__ !.__只L|:|:|:| | .| |ヽ.L.」 _}`_ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(\  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄}■三
  /\  イ         | {  ∧ X:::::::::::∨:::::::::::::::::::::〉|:| |ヽ |イ|| |ヽ、ノ`ヾ:::-‐'ーr‐'"== \ \----------'三 
 ____         ∨    \|:::::::7:::::::::::::::¬T:::ヽ\人レ レル. `.ー--一 ´ル レ    \|三         
.            |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
──────   |           そーなのCAR           |          |
           |                              |        |
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             ',   -' ノ   ヽ:::::::::',          ',  -'  ノ  ヽ::::::::::丿




うまい棒に綿パチを詰め込んだものをマジキチと運転手れいむの顔面に叩き込んだ!
マジキチの顔面と運転手りエムの顔面にうまい棒が思いっきりめり込む。

「グ、グハ…。」

「ま、前が見えな~い!」

うまい棒が顔面にめり込んだ所為で前が見えなくなった運転手れいむ。
スィーの軌道が微妙に乱れて左右にぶれまくる!
そこに後ろから飛んできたミサイルが直進!




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         ("  ./   i {;;;;;;;i|    .|i;;;;;;) ,ノ    ii
     ,,       (    l, `'-i|    |i;;-'     ,,-'"   _,,-"
     "'-,,     `-,,,,-'--''::: ̄:::::::''ニ;;-==,_____ '"  _,,--''"
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    ._,-"::::/    ̄"''---  i|     |i            ヽ::::i
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     `''-,_ヽ:::::''- ,,__,,,, _______i|      .|i--__,,----..--'''":::::ノ,,-'
       "--;;;;;;;;;;;;;;;;;""''--;;i|      .|i二;;;;;::---;;;;;;;::--''"~
               ̄ ̄"..i|       .|i
                  .i|       |i
                  |:::::: ::    `,


…そして、マジキチの乗るスィーは大爆発を起こしました。
爆発を確認してから、かぐやはスィーをピタリと止める。
そして、マジキチ達が爆発した地点まで歩いていく。

そこではマジキチと運転手れいむが黒コゲになって倒れていた。
「ひっ!」
マジキチはかぐやがこっちに近づいてきている事に気づき、顔を真っ青にさせる。

ビュルル ガシッ!

脅えて逃げようとするマジキチの足にかぐやの髪の毛が絡み合う。
「な…!?」
マジキチは慌ててかぐやの髪の毛を解こうとするが、中々ほどく事が出来ない。

「あなたに言っておく事が3つほどあるわ。」

髪の毛を解こうと悪戦苦闘しているマジキチに向かって、かぐやが話しかけてきた。

「一つ、あの店とはきっかりハッキリ縁を切ること。

 一つ、けーねにはもう係わり合いにならないこと。

 そして最後は…もう二度と反逆ゆっくりを名乗らないこと。


 ・・・どれか一つでも破ったらこの蓬莱山かぐやが直々に天誅を叩き込んであげるわよ。」

かぐやはそう言ってマジキチを睨みつけ、マジキチの足に絡みついた髪の毛を解いてあげた。

「ひ、ひいいいいいいい!」

マジキチは顔面から出る液を全部流して(ついでに下からも液を出しながら)凄い勢いで逃げ出していった。
運転手れいむもいつの間にか逃げ出し、その場に居るのはかぐやだけ。
かぐやはミサイルの直撃を受けて横倒しになっているスィーの方を見る。

「けーね、中に居るんでしょ、大丈夫?」

かぐやはそう言ってスィーの蓋を開けた。



       _,―――――   、
    ,-'     `        ̄ヽ_
   ,'                 ヽ
  (                    )
  (                    )
  (        ノ`ー'ー'ヽ       )
    i   i  !/ア!-;!、ハ:::::::ハ-!、.i . i. 
   |  ハ .! rr=-  レ'r=;ァi i | 
   |  i レ' !""      ""/レ'ヽ!  
   |  ! .|ハ、   ー=‐'  /:::| .|   
    | ./i  |::::!>、._  _,,.. イ .|::::| |  ,.、    __
   .| ./ !,..-|::::|'´/ヽ二ン`7ー、|:::|. | i !,,.-''" ノ
   |/ /  .|::::|〈 イ::::V:::::::::!〉:`i:::ト、! .! ヽ -=ニ__
  .!r〈_   !,ヘ!:::ヽヘハ::::;イノ:::::;ヽ! ヽ,!   !  ‐--,'
  !.ゝr、__r、i::::::::::::/ ハ Y::::::::::i  r/ ヽ   ー,--' 
  !/  、/ヽ;::::::〈  ハ ',:::::;イ、_ /!   7`  ̄   
  .〈    ヽ、/:::::::::ヽ/Vヽ、〉::::! !`ー,ヽ-'      
  .レ\ ,.イ`ヽ:::::::::::::ハ::::::::::::ハ、 |ノ         


「…ゴホ…これが無事に見えるか?」

「…プッ。」

「笑うな!」

中から出て来た黒コゲになったアフロを携えたけーねを見て思わず吹き出してしまったかぐやであった。
「…あ、そうだ。」
しかし、すぐに気を取り直してけーねに向かって頭をぺこりと下げる。
元々頭しかないので地面にうつぶせになって寝ているように見えるのだが。

「お、おい、いきなり頭を下げて何のつもりだ?」

かぐやのいきなりの行動に戸惑いを覚えるけーね。

「いや、騙していたことを謝っておこうと思って。」

「はぁ?」

かぐやの言葉に首をかしげるけーね。
そんなけーねに対して、かぐやは思い切って告白する。

「…私は旅の団子職人なんかじゃ無いわ、反逆ゆっくりよ。あなたの旦那を殺したゆっくりの仲間なの。
 …あ、そうは行ってもビルの爆破の件には一切合財かかわっていないと思う…けどね。」

「…!」

けーねはかぐやの告白を聞いて表情を変える。
それもそうだろう。その表情を見てかぐやはそう考えた。

「…とりあえず、あなたの前から消える前にこれだけは言っておきたかったの、
 それじゃあ、もう⑨課の連中も追いかけてくるだろうし、これでおいとまさせてもらうわ、
 それでは、ごきげんよう。」

かぐやはそう言うとけーねの前から逃げるように去ろうとした。
その理由は簡単だ。
反逆ゆっくりである自分がけーねの傍に居たら彼女はずっといや事を思い出し続けてゆっくり出来ないだろう。
誰かがゆっくり出来ないという事は、かぐやにとってあってはならないことなのだから。


「…待った!」


と、去って行こうとするかぐやをけーねが呼びかける。
かぐやは立ち止まり、けーねの方へと振り向く。

「…その…私もお前に謝っておかなくてはいけない事がある。
 お前の素性には一週間も前に気づいていた。」

「…ハイ?」

けーねの言葉にかぐやは目を点にする。

「…いや、だって、指名手配犯として、お前の顔の張り紙があちこちに張られているし…
 それに、たまに外に出ると⑨課の人達にこの顔を知らないかって何度もお前の写真を見せられたしな。」

「…ああ、そっか。」

あっちは元々かぐやを捕まえる為にこの辺をうろついて居たのだ。
当然、捕まえる為の努力はさっきの検問以外にもちゃんとしていたと言うわけだ。
もっとも、店の外に一歩も出なかったかぐやはその事に気づかなかったわけだが。

「…アレ?じゃあ何で私のこと報告しなかったわけ?」

と、そこでかぐやはけーねにそう問いかける。
その問いに対してけーねはこう答えた。

「…お前はどうにも世間一般で言われているように悪い奴には見えなかったからな、それだけだ。」


ウ~ウ~。




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                _ノ::::;.'   ,'  ,   ;    i    i ヽ!
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「かぐやー!何処に行ったー!」


と、遠くからパトスィーのサイレンの音とちるのの怒号が聞こえてくる。
どうやら⑨課の面々がかぐやを追いかけてきたようだ。

「…どうやらお別れの時間のようね…けーね、私のこと匿ってくれてありがと!」

かぐやはけーねに向かってお礼を言うと、すぐさまその場から逃げようとする。
「待った!」と、そこでけーねがかぐやを呼び止める。

「何?」

かぐやはそう言ってけーねのほうへと振り向く。
すると、けーねは何故か困った顔をしている。

「…いや、店の事を手伝ってくれたんだし、アルバイト代くらいは渡しておこうと思ったんだが…
 財布は捕まった際にマジキチにとられてしまって、今持ち合わせが無いのだ。」

「アルバイト代?それは別に良いわよ、あなたの店を手伝ったのは匿ってくれたお礼みたいなもんだし。」

「いや、それでもこのまま行かせたらただ働きさせたみたいで申し訳が無いし…あ、そうだ。」

けーねは懐からメモ帳とペンを取り出すと、さらさらとメモ帳に何か書きこんでびっと破いた。

「ハイ、これ。」そして、けーねはかぐやにそのメモの切れ端を渡す。
メモの切れ端にはこうかかれていた。


「団子、タダ券。」


「…結局団子は食べさせてあげられなかったからな、今度近くによったときにはこれを使ってくれ。」

けーねはちょっと照れくさそうにそう言った。
かぐやはそれを見てフッと笑い、そのメモ帳を髪の毛の中にしまいこんだ。

「ありがとう、機会があったら使わせてもらうわ。」

かぐやはそう言うと、今度こそけーねに背を向けて、走り出した。
けーねはそんなかぐやの背中と言うか後頭部を、見えなくなるまで見送っていた。


~一ヶ月ぅ~後☆~


相変わらず、けーねの店、夜の部はにぎやかに繁盛している。
その店の前で何かがモゾモゾ動いている。



      ミミミ¨゚ ¨゚¨¨¨¨゚゚゙゚巛¨゚゚<ヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘ
     彡彡 ノ )                    彡彡
     彡彡    ´)                 彡彡
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     彡彡                      彡彡
      ミミミ¨゚ ¨゚¨¨¨¨゚゚゙゚巛¨゚゚<ヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘ

それは、一ヶ月以上かぐやを探している内にカビ塗れになっていたテルヨフであった。

「…何、あれ?」

何か、馬鹿でかい毛虫にしか見えなくなったそれを横目で見ながら、一匹のゆっくりが店の中に入っていく。



      ,. -‐-、        ,.- 、
     /     i      /,   ヽ.
    /      ハ├──-//i    i
   ,'      / ソ::::::::::::::::::ヽ、!    |
   i   /:;:::::::::::::::;:::::::::::::::ゝ、____ノ
    〉--' /:/、__;:ィ::ハ::、_;:!:::i:::ハ::〈
   i::::::::/::::::ハ_ニ;、,レ レ、_;、ゝ::::|:Y
   ハ:::::::レヘ::i' (ヒ_]    ヒ_ンハソ:::ハ
   |::::::::ノ:::l:|"   ,___,   l:::::|::ノ
   ノ:::::::::::::ハヽ、  ヽ _ン  ノ::::i:::(
  イ:::/::::::/:::イヽ>, -r=i':´イ:::ハノ
  〈rヘ:::::!::レ´   `y二」ヽレ':::〈


「ちわーっす!ゆっくり焼き鳥を食いに来ましたよ~!」」

てゐは店の中に入るなり、大声でそう叫ぶ。
出迎えるのは当然、店主のけーねだ。

「ゆっくりしていってね!!!・・・って、おぉ、お前が来るとは珍しいな、
 何か良い事でもあったか?」

「ん~まぁ久しぶりに纏まったお金が入ったから豪勢にね。
 そんな訳だから今日はとことんまで飲ませてもらうよ。」

「ん、そうかなら私も腕によりをかけなくちゃな。」

そんな店主の話を聞きながらてゐはカウンターの椅子の上に飛び乗る。
…と、そこで壁に掛けられたお品書きの変化に気づく。

「…アレ?何、この店いつの間に団子も注文できるようになったの?」

てゐは店主のけーねにそう問いかけた。

「ん、アレに気づいたか、焼き鳥と同じで串に刺すものだから、良いんじゃ無いかなって。」

「何さ、そのヘンテコな理由…で、アレおいしいわけ?」

てゐの問いかけに、店主のけーねは不敵な笑みでこう答えた。

「フフ、それは試して見なくては解らんだろ?どうだ、食べてみるか?」



       iヽ、
     ____」____ゝ'´/':\ /|        
     ヽ. _/___/___::\/        ____________________________________
      <Y---r二二二二ハ.フ.     |
       ,.L__:::::|::::i::::L-」::l::7>       | つ も レ 手
     /     ̄' 'ー---─' `ヽ.     | く  も バ 羽 団
    ./   ,.      ⌒ヽ.     ',     | ね   | 先 子
   ,'  / / ‐/- i:::::::::::i   `ヽ!.    |
    i   i  !/ア!-;!、ハ:::::::ハ-!、.i . i.   |100 150 200 180 100
   |  ハ .! (ヒ_]'  レ'ヒ_ン;!、i i |   |
   |  i レ' !""  ,___, ""/レ'ヽ!   |
   |  ! .|ハ、   ヽ _ン  /:::| .|     l___________________________________
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  !/  、/ヽ;::::::〈  ハ ',:::::;イ、_ /!   7`  ̄    L!_!ハ!_ハ_i.」 i
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 第二十六話終わり



  • 後ろにあるのはだんなの写真か・・・ -- 名無しさん (2011-02-02 16:46:27)
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最終更新:2011年02月02日 16:46