7月20日
ああ何故こんな事に…。
すわこは机にうつ伏せながらそんな事を考えた。
最初は気楽に考えていた。
こんなに時間があるんだから絶対に間に合うだろうって。
だからそんなことも忘れて遊びほうけていた。
しかし、気がつけば、もう期日は目前。
目の前には白紙のノート。
頭の中は真っ白だ。
そんなすわこの後ろからかなこが怒鳴りつける。
「すわこ先生!いい加減宿題ドリルの原稿はあがったのかい!?」
「…ま、まだ出来てないよ…ちょっと待って…。」
すわこはそう言って栄養ドリンクを飲み干した。
今日は7月20日、終業式はすでに終わって子供たちは夏休みに突入。
しかし、夏休みに子供達がやる予定の宿題は昨日の内には配られなかった。
当たり前だ、その宿題の内容が担当のすわこ先生が遊びほうけていたせいで
一ページも出来ていなかったんだから。
とりあえず、後で配るからと誤魔化して(子供たちは喜んだりあきれたりと反応はまちまちだった。)
すわこ達は夏休みの宿題を必死で作成中というわけである。
「うう、どうしてこうなった…。」
すわこは涙目で、問題集の内容を書き写している。
時間がないのだ、問題を一から考えている余裕はない。
「すわこ先生…あなたが宿題どころか学校のことまですっかり忘れて梅雨中はしゃぎ回ったのがいけないんですよ。」
隣で、手伝いをしているみのりこ先生があきれた口調でそう言った。
「うう…仕方ないんじゃ…梅雨はカエルの天国なんじゃぁ~。」
すわこ先生が訳の分からない事を呟いた。
「早く宿題の原稿をあげておくれ、印刷所の人に迷惑をかける気かい!?」
「わ、分かってるよ…すぐに仕上げるから…みのりこ先生、このイラストに色塗りお願い。」
そういってすわこ先生はみのりこ先生に原稿を渡す。
「…はいはい…なんだか漫画家の修羅場ってこういう感じかしら。」
そんな事を言いながらみのりこ先生は渡されたイラストに適当に色を塗っていく。
その色彩センスはかなり独特のものを感じさせる。
「ふぁあああ…眠いので帰っていいですか?」
「ちょっと帰らないでよ教頭先生!夜明けまでには仕上げるから!」
帰ろうとしているさなえ教頭をかなこ先生が慌てて呼び止める。
「夜更かしはお肌の大敵なのに…仕方ない、ゲラゲラ体操で顔の筋肉をリラックスさせますか。」
さなえ教頭はそういってゲラゲラ笑い出した。
「…ね、ねぇ、期日を8月31にまでに延ばさない?どうせ子供たちはギリギリまで宿題なんてやらないよ?
私がそうだったし。」
すわこ先生がかなこ先生に恐る恐るそう問いかけた。
「駄目に決まってるでしょ、世の中には早いうちに宿題を終わらせることが生き甲斐の生徒たちも居るんだからね。」
かなこ先生がそういうと、すわこ先生が目を見開いた。
「そんなやつ居るの!?私が小学生の頃なんて、夏休み最後の日になって慌てまくる友達ばかりだったよ!自分も含めて!」
「それは先生がとその友人達が馬鹿なだけだったのでは?」
かなこ先生はもう、呆れるしかなかった。
夏休み、始まって早々の先生たちの修羅場、
夜明けはまだ、遠くにある。
- イラスト、修羅場、諏訪子、これらから導き出される諏訪子の宿題は保健体育だな! -- 名無しさん (2010-07-21 10:25:44)
- そういう発想かwこういう見方って斬新ですねw
>自分も含めて!」
その結果がこの惨状だよ! -- 名無しさん (2010-07-21 19:57:55)
- おもしろい -- 名無しさん (2010-07-23 13:43:15)
最終更新:2010年07月23日 13:43