ミリィのゆっくり冒険記 第四話

※ヤンデレに対して不快を感じる方
※ゆっくりを野生動物として扱われるのを不快に感じる方
※捕食種設定を不快に感じる方
※ゆっくりの戦闘シーンを不快に感じる方
※酷い目に遭ってしまうゆっくりがいるのを不快に感じる方
※素晴らしい小説を求めている方


は、この小説に合いません。
申し訳ありませんが、ゆっくりお引き返しください。


















それでも良ければどうぞ

(注)今回は時系列が分かりにくくなっている場面があります。
   同じセリフが2度出ているところがありますが、その場面は同じ場面(時間)だということです。
   同じセリフを違う場面で言っているということはありません。













ミリィは夢を見ていた。
紅魔館にいる胴なしだった頃の自分。
そして自分の隣にいる同じく胴なしのまんまぁ。
咲夜は、まんまぁは事情があって遠いところに行ってしまったと言っていた。
何故自分だけを置いていってしまったのか。
いつ帰って来てくれるのか。
だが、今はそんなことはどうでもいい。
今は夢の中のまんまぁと一緒にいたい。
まんまぁに甘えたい。
まんまぁとお話がしたい。
まんまぁとあまあまを食べたい。
まんまぁとゆっくりしたい。
夢の中のミリィのまんまぁはいつも満足そうに笑っていた。




「ふ、ふりゃんだ~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!」



「…うぁ?」



その声でミリィは夢から覚めた。







ミリィのゆっくり冒険記 第四話




「うぁ?」

ミリィは上半身を起こし、ふくよかな手で目をこすりながら辺りを見渡す。

「う~?」

自分と一緒にゆっくり寝ていたはずの子まりさがいない。
その時


ぐるるるぅぅぅぅぅぅぅぅ


発信源はやはりミリィのお腹だ。
お腹も空いたミリィは、御飯集めも兼ねて子まりさを探そうと立ち上がった。

昨日、まりさが眠った後、子まりさを抱いたまま御飯探しを始めた。
しかし、ミリィが食べられそうな御飯はなかなか見つからなかった。
それは当然だろう。ミリィにとって、外で食べられる御飯というのは決して多くはない。
咲夜のあまあまなお菓子しか食べたことがないミリィは、すっかり舌が肥えてしまっていたからだ。
野生のれみりゃ種ならばゆっくりを捕食するのだが、ミリィはそんなものを食べたいとは全く思わなかった。
雑草や虫などは食べるかどうかという発想すらなかった。
なかなか食べられそうな物が見つからず、空腹も限界に達しようかという時に、この界隈を見つけたのである。
この界隈はミリィでも食べられるあまあまな木の実や花の蜜が豊富にあった。
ほとんど外に出たことがないミリィにとってはどれも未知の物だった。
しかし、背に腹は代えられぬと思いきって木の実に齧りついたところ「しあわせ~!!!」と思わず叫ぶくらいあまあまだった。
勿論、普段食べている咲夜の料理には到底及ばないものであったが。
空腹のミリィにとって、ここは楽園のように思えた。
ついでにゆっくりさくやがいてくれれば最高だったのだが、それはさすがに贅沢というものであった。
あまあまな木の実をたくさん食べたことでとてもゆっくり出来たので、昨日のミリィはとてもゆっくり眠ることが出来たのであった。



時間にして1分程歩いていると、昨日も獲った木の実がある木までやってきた。

「うっう~♪」

木に生えている木の実を食べようと翼をはためかせ、飛翔する。
目的の木の実を獲り、木の枝に座って手を合わせて

「いただきま~す♪」

と言って木の実に豪快にかじりつく。
その味はとても美味ではあったが、二口目がかじられることはなかった。
ミリィは木の枝の上から見てしまったからだ。
自分が昨日連れてきた子まりさが、ふらんによっていたぶられている場面を。
このままじゃいけない、そう思ったと同時にミリィは叫びながらふらんに向かって突進していた。

「だめぇ~~~~~~!!!!!」





ふらんは一瞬驚いた。
ピンク色の物体が自分に向かって突進してくるからだ。
だが、そのピンク色の物体の速度は速くなかったので、その突進を冷静に回避し、逆にその物体に上から体当たりを仕掛けた。

「ふぎゃっ!!!」  

そのピンク色の物体は、自分が先ほどまでいたぶっていた子まりさの隣に墜落した。
ふらんは一瞬怒りの表情を浮かべた。
自分が何よりも楽しい獲物をいたぶっている時間を乱入者に邪魔されたからだ。
しかし、物体が何かを確認した時、狂ったような歓喜の表情を浮かべた。
その丸々とした物体がふらん種の姉妹種に当たるれみりゃ種だったからだ。

ふらん種は獲物をいたぶることでゆっくり出来るという性質を持っているが、その獲物がれみりゃ種だった時は、その快感は他のものとは比べようもつかなかった。
では、ふらんはれみりゃを使ってどのようにゆっくりするのか。


仮に野生のゆっくりれみりゃとゆっくりふらんが戦ったとする。
もし野生のれみりゃが勝つことになれば、まず間違いなくふらんはれみりゃの食物と化すだろう。
何故なら、ふらんの中身はあま~い餡子なのだから。
甘味を求める捕食種にとって、最高の御馳走となる。

逆に野生のゆっくりふらんが勝ったらどうなるのか。
ゆっくりふらんも主食は甘味である。
しかし、れみりゃの中身は肉だ。
ふらんの食べ物とはなりえない。
では、ふらんはれみりゃをどうするのか。


それは…





れみりゃを…『飼う』のだ。



ふらんは高所に自身の住居を置く。
その住居までれみりゃをお持ち帰りするのだ。

れみりゃをお持ち帰りしたふらんが最初に必ずやることは、れみりゃの羽を千切ることだ。
羽を千切られたれみりゃは、ふらんの巣から逃げ出せなくなってしまう。
そうして動けないれみりゃを、ふらんは死ぬまで飼い続ける。

時には一緒にあまあまを食べてゆっくりし、時にはれみりゃを攻撃してその泣き顔を見てゆっくりする。
特に、あの丸々とした大きな下ぶくれ顔に他の饅頭より手応えのある肉質、そして汚れを知らないような笑顔を壊す瞬間がふらんにとって非常にゆっくり出来るものだった。

しかし、そのような扱いをされたれみりゃには絶大な負担が生じる。
肉体的にも、精神的にもだ。
そのような行為が多くのふらんによって為された結果、れみりゃ種の個体数の減少にも繋がったのだ。

このふらんもその例外ではなく、歓喜の表情を浮かべながら震えている。

「おにぇえしゃま!おにぇえしゃま!おにぇえしゃま!あしょぼ!あしょぼ!ふりゃんとあしょんでぇぇぇぇ!!!」  

あまりの興奮のせいか舌が回っていない。
狂ったような歓喜の表情を浮かべたままれみりゃに体当たりを仕掛けた。








「ふぎゃっ!!!」  

ミリィは背中とお腹が痛かった。
ふらんに突進をかけたものの逆にふらんの体当たりが背中に直撃し、お腹から地面に墜落してしまったからである。

「う~…いたいいたいなのぉ…」

しかし、墜落したおかげで地面で怯えている子まりさの近くまで来ることが出来た。

子まりさは
「ゆっくりやめるんだぜ…ゆっくりやめるんだぜ…」
と目を瞑ったまま震えていた。

ミリィは地面にうつ伏せの状態のまま子まりさを片手に持って状態を確認する。
見たところ、傷だらけではあるが餡子は出ていなかった。
ミリィは安心した様子で子まりさを両手で包みこみ、優しく声を掛ける。

「もうだいじょ~ぶだぞぉ♪」

その屈託のない笑顔で子まりさが安心できるように頭をなでてやる。
この子まりさにはゆっくりしてもらいたかったから。
しかし…

「おにぇえしゃま!おにぇえしゃま!おにぇえしゃま!あしょぼ!あしょぼ!ふりゃんとあしょんでぇぇぇぇ!!!」  
という声が聞こえたと同時に、ミリィの背中にまたもや衝撃が走った。

「ぶへぇっ!」

胴なしふらんの全身を使った体当たりをまともに食らったのだ。
ミリィはあまりの痛みに泣き出しそうになってしまう。
しかし、ミリィはそのことより手の中の子まりさのことが心配だった。
子まりさが安心できるように、片手で撫でながら優しげに声をかけた。

「もうだいじょ~ぶだぞぉ♪はやくにげるんだぞぉ♪」

そのなでなでは子まりさにとってとてもゆっくり出来た。
子まりさは目を開ける。
目の前の笑顔がとても輝いて見えた。
しかし、

「ぶはっ!」

ミリィがまたも背中に体当たりを食らい悲鳴をあげる。
子まりさはミリィの予想外の優しさとふらんの恐ろしさに混乱して、動くことが出来なくなっていた。






ふらんは腹が立っていた。
それも当然だろう、狂おしいほど愛しい姉が自分のことを見ようともせず、あろうことかただの獲物でしかない子まりさなどに構っているからだ。
そんな状況で姉をいたぶっても何も面白くなかった。
姉にこちらを見てもらうようにするにはどうすればいいかふらんは考えた。
答えはすぐに出た。
あの子まりさを潰せば姉は自分を見てくれるだろう。
そして、その時にどのような表情を見せてくれるかということを考えた時に、ふらんはまたも興奮した。
そうと決まればこんな子まりさに手加減してやる必要もない。
後で姉と一緒に食べよう。
そんなことを考えながら、子まりさから仕留めようと体当たりを仕掛ける。

「だめぇっ!」  

子まりさに仕掛けたはずの体当たりだったのだが、またもミリィによってそれは阻まれてしまった。
ミリィが子まりさをうつ伏せの状態となっている自身の体の下に入れたのだ。
勢いが止まらず、今度はミリィの頭に体当たりする羽目になってしまう。
何故こんなものを庇うのか、こんなものなどさっさと捨てて自分と追いかけっこをしてくれればいいのに。
ふらんは目の前の光景に苛立っていた。
その時、ふらんには姉の腹の下から金色の丸い物が出てきたのが見えた。
それは憎むべき敵、子まりさであった。
ふらんはニヤリと笑いながら、苛立ちを子まりさをぶつけるかのように、今度は自身の全力のスピードの体当たりを子まりさに仕掛ける。

「おねーさまとふらんのおあそびをじゃまするまりさはゆっくりしねぇ!」  







「だめぇっ!」  

ミリィはふらんが子まりさを狙っている事を察知した。
子まりさを右手で自分の背中の下に入れることでふらんの攻撃から庇う。
後頭部に鋭い衝撃が走る。

「うぅ…」

今度は後頭部にふらんの体当たりを食らったミリィ。
れみりゃ種はゆっくりにしては強靭な生命力を持つので、ふらんが相手でも簡単にやられることはない。
だが、頭を狙われれば別だ。
ゆっくりにとっての頭とは、人間と同じく急所なのだ。
背中の痛みよりもミリィにはずっと堪えた。
だから気付かなかった。
自分が子まりさを手から放してしまったことを。
そして、その子まりさが自身のお腹の下から出てしまったことを。

「おねーさまとふらんのあそびをじゃまするまりさはゆっくりしねぇ!」  

その言葉が聞こえると同時に、子まりさが餡子を吹き出しながら吹っ飛んだ。
痛みに耐えながらのミリィでは、ふらんの全力の体当たりに反応出来なかった。
ミリィが吹き飛ぶ子まりさの姿を見た時、脳裏に何かの光景が蘇った。





「ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!」

何かが胴なしれみりゃを一方的にその拳で殴りつけている。

「い…いたいぞぉ!やめてぇ~!!」

攻撃を受けている胴なしれみりゃが悲鳴を上げるが、それでも攻撃は止まない。

「ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!ゆっくりしねぇ!」

呪いのように同じ言葉を叫びながら、『それ』は殴り続ける。

そして、胴なしれみりゃが動かなくなったと判断すると、『それ』は右手を空中にかざした。

かざした手の中には1メートル以上はあるだろう、紅い槍状の武器が現れた。

紅い槍はかなりの重さがあるように見えるが、『それ』はよろめくことなく、紅い槍を真っ直ぐに構える。

「ゆっくり…しねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!」

そして、その叫びと共に紅い槍は胴なしれみりゃに向かって放たれた。








「うあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

ミリィの突然の叫びにふらんは一瞬空中で静止する。
ふらんが我に返った時、先ほどとは段違いの速度で飛ぶミリィが目の前に迫って来ていた。
ふらんはミリィの全身を使った体当たりをまともに受ける。



「ゆっくりできないふらんは…」



ミリィが咆哮を上げる。




「ゆっくりしねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!」






後書き
楽しい記憶よりもつらい記憶の方が人間は忘れやすいそうです。
ゆっくり風に言えば、ゆっくりする為に。


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最終更新:2011年01月01日 00:21