ゆっくりちるのと一緒に生活し始めて、はや数ヶ月が過ぎた。
お互いにいい関係を築けているとは思うのだが、暑がりなので、布団によってこない。
それだけは残念だが、と考えて床に就く。……一時間後、トイレに行きたくて目が覚めた。うっかり酒を飲みすぎたらしい。
「……」
電気をつけるのも面倒なので、眠い目をこすりこすり、布団の魔の手から逃れる。大惨事は御免だ。
そして、テレビがつけっぱなしな事に気付き、消しに向かう。ちるのは、テレビの前においてあるソファでいつも眠る。
「ゆっ……! ゆっ……! サイキョー!!!」
どういう寝言だ、とふと思って、リモコンを手にちるのを見に行く。
ブランケットも放り出していることから、よっぽど暑いのが苦手らしい、と微笑んで覗き込んだが、そこには、クリーチャーが居た。
TVのざー、というノイズと、それの発する光が、ちょうどちるのの顔を下から照らす。陰影がつき、まるで死蝋のようにも見える。あげく、を目開けて寝ていた。
どろりとした光の無い目が、こちらをのぞきこむ。
ぞくり、と背中に悪寒が走り、悲鳴を上げてしまう。その数秒後、ちるのがもぞもぞと動き始め、ソファからべち、という音をさせて落ちた段になって、冷静にようやくなれた。
「ゆゆ……?」
騒ぎを聞いてか、おちたのかが原因かは分からないが、ちるのは目を覚ます。目に光が戻ったのはいいが、当分ちるのの夢を見そうだった。
最終更新:2008年08月31日 05:39