わたしはさくや、おぜうさまの忠実なるメイド。
おぜうさまのためなら何者を始末するのもいとわない。
そう、すべてはおぜうさまのために。
「ゆっくりおはようございます!おぜうさま!」
「ぅ~…ぅ~…」
「‥ゆっくりおやすみください」
規律よりもおぜうさまのえがおが第一。
このえがおを曇らせる輩がいたら、ブチ撒けるのがこの世の真理。
そう、すべてはおぜうさまのために。
「おぜうさま、おしょくじのごよういができました。今日の昼食はチキンライスです」
「うっうー♪おいしそぅだぞ♪旗もたっててかっくいぃぞ~!」
「おそれいります。ゆっくりおめしあがりください」
「うー♪あ~ぐあ~ぐ…はぴはぴー!うぁうぁ♪」
小食のおぜうさまですから、おしょくじは美味しく楽しく。
奪う者あらば、その下郎の全てを奪い去る。
そう、すべてはおぜうさまのため。
すべてはおぜうさまのため。
…だけど、おぜうさまのえがおはもう見られないかもしれない。
「さくやー、ただいまー!」
「おかえりなさいませ!おぜうさまがおでかけされてる間におへやのお掃除をすませておきました」
「うっ!?!」
あの時のおぜうさまは忘れもしない。
焦り、不安、怖れ、悲しみ…そのすべてがいりまじった顔。
飛ぶのも忘れ、おからだを壁や床に打ちつけても走る姿。
そしてすぐにおへやから聞こえてきた叫び。
「ぅ"ああああああ゛あ゛あ゛!!!なんで!…ど!あ゛ぁ…あ゛! なんでこんなことするのぉぉぉお゛お゛!!!!」
はじめてきいたおぜうさまの『怒り』
…あれからおぜうさまはめったにおへやから出てこられなくなってしまった。
扉には鍵がかかり、わたしがはいることはかなわない。
まいにち扉の前によういしているおしょくじはちゃんとめしあがっておられるご様子。
けれどまえのように明るい声は聞こえない。
時々、おぜうさまにおあいできる時もある。
けれど私とは目をあわせてくれない。あのえがおももちろんない。
わたしはさくや、おぜうさまのえがおを奪ったおろかなメイド。
わたしはどうしたらいい。
「いつもありがとうございます。佐川急便でーす」
「ごくろうさまですわ」
きょうも『箱』がとどく。
おぜうさまの『大事な箱』がとどく。
わたしはさくや、おぜうさまの忠実なるメイド。
これを受け取り、おぜうさまのお部屋に運ぶのがいまのわたしの使命。
今はこの『箱』がおぜうさまの笑顔を一瞬見せてくれる。
ふとみた箱のマークは愚かなわたしをわらっているように見えた。
わたしはさくや…、わたしはさくや…
BADEND…
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あとがき
もう1月終わりそうですが明けましておめでとうございます。
お久しぶりのとりあえずパフェです。ようやく頭のつっかえが取れてきました。
久々がこんな話です。
最近部屋を大掃除されてカッとなって書いてしまいました(;-w-)<さくやさんごめんね。
でも多分またこんな話になります。
やる、とか 続く、とか言うと見事に書けなくなるので断言はしません
では byとりあえずパフェ
最終更新:2011年01月24日 22:59