ミリィのゆっくり冒険記 第八話

※ゆっくりを野生動物として扱われるのを不快に感じる方
※捕食種設定を不快に感じる方
※ゆっくりの戦闘シーンを不快に感じる方
※酷い目に遭ってしまうゆっくりがいるのを不快に感じる方
※素晴らしい小説を求めている方

は、この小説に合いません。
申し訳ありませんが、ゆっくりお引き返しください。


















それでも良ければどうぞ








「う~♪う~♪」

ミリィはれいむの周りを飛び回る。

初めての友達が出来たことで非常に嬉しそうだ。

「ゆっ!れみりゃはとってもゆっくりできるれみりゃだね!」

「う~♪」

2匹はとてもゆっくりしていた。

捕食種、被捕食種といったことは全く関係ない。

そのような穏やかさがこの2匹の間にはあった。

「おちびちゃああああああああん!」

そんな穏やかさを斬り裂くような叫び声。

「ゆっ?」「う~?」

2匹はその声が聞こえた方を向く。

そちらを向くと、ミリィには見覚えのある胴なしれみりゃがこちらに向かって飛んできたのが見えた。

「うっう~♪まんまぁ~♪」「れ…れみりゃだ…」

嬉しそうな声を出すミリィに自分がいる方向に飛んでくる胴なしれみりゃを恐がるれいむ。

ミリィ達がいる方向へ飛んでくるゆっくりは、ミリィの母親…マリィと名付けられた胴なしれみりゃだった。

「う~…おちびちゃん…よかったぞぉ…」

ミリィの至近距離まで飛んできたマリィは、ミリィの無事な姿を見て安心したようだ。

「まんまぁ~!ミリィ、おともだちができたの~!」

「う?」

嬉しそうなミリィに不思議そうなマリィ。

ミリィのことで頭がいっぱいで、れいむのことには気付いていなかったようだ。

「みてみて~♪れいむだよぉ~♪おともだちなんだぞぉ♪」

「れ、れいむはれいむだよ…ゆっ…ゆっくりしていってね…」

恐がりながらもマリィに自己紹介をするれいむ。

ミリィの母親だろうとも、やはりれみりゃは恐かった。

マリィはれいむの姿を認めると

「うっう~♪おちびちゃんのプレゼントだぞぉ♪まんまぁうれしいぞぉ~♪」

「う~…?プレゼント…?」

ミリィには目の前の母親が何を言っているのかよく分からない。

「うっう~♪あまあま~♪」

そして、マリィはれいむの近くに寄って…





ミリィのゆっくり冒険記 第八話





「うぁ!?」

ミリィが目を覚ました。
辺りは真っ暗。
すっかり夜のようだ。

「う~…」

ミリィは先ほど見た夢を思い出す。
確かにあれは自分だった。
れいむとゆっくりしていた後、まんまぁが迎えに来てくれたのだ。
あのれいむは一体どこに行ったのだろう。
そして、以前どこかで見た紅い槍を出していた胴付きれみりゃ…と、考えたところでとてつもなくゆっくり出来ないと感じてきた。

冷や汗が止まらない。

「あれは…まさか…」
「目を覚まされましたか?」
「うぁっ!!?」

ミリィは突然聞こえてきた声に飛びあがるくらいに驚いた。

「ど、どうかしましたか?」

今度は少し慌てたような声。
上半身を起こし、声のした方を見てみると、黒い翼を生やした胴なしゆっくりの姿が見えた。

「う、う~…しゃめいまる~♪ぶじでよかったぞぉ~♪」

ミリィはさっきのゆっくりできない考えはとりあえず置いておくことにした。

「無事とは言えませんが…何とか生き延びることが出来ました」

しゃめい丸が自身の黒い翼を広げる。
ふらんに斬られた傷はまだ完全には癒えていないようだった。

「う!?ふらんは!?」

しゃめい丸の傷を見てふらんを思い出したミリィ。

「しゃめいまる!ふらんはどこなのぉ!?」

ミリィは先ほど戦った相手だというのに、ふらんのことを心配していた。
何故なら、ミリィはふらんにもゆっくりしてもらいたかったからだ。

「あのふらんのことを心配しているのですか…?」

先程戦った相手を心配するなんてことはしゃめい丸には理解不能だった。
思わず呆れたような声を出す。

「気付きませんでしたか?そこで寝てますよ」

ミリィがしゃめい丸の視線の先を見ると、胴付きふらんが倒れていた。

「う~!ふらん!」

ミリィは立ち上がり、ふらんに駆け寄る。
ふらんの体の左肩から胸までの大きな傷口はほとんど塞がったようだった。

「本当に呆れるような生命力ですよ。これも胴付きの能力なのでしょうか」
「う~…よかったぞぉ…」

ミリィは心底安心したようだった。
そして、しゃめい丸の方を向き満面の笑みを浮かべる。

「しゃめいまる!ふらんをたすけてくれてありがとう!」
「わ、私は別に何もしていませんけど…」

面と向かってお礼を言われたからか、顔を赤面させながらそっぽを向くしゃめい丸。

「ゆ~…すぴ~…」

ちなみにミリィの近くにはマーサも寝ていたのだが、ミリィはこちらにも気付いていなかった。





「ところで…」

しゃめい丸がコホンと一つ咳払いをして

「ミリィさんはこの胴付きふらんをどうするつもりなんですか?」

しゃめい丸はこのふらんをどうするのか気になっていた。
自分達を襲ったゆっくりだ。
止めを刺されても仕方のないことだと思っていた。
手負いの状態が一番危険なのはゆっくりでも同じことなのだから。

「う~…ふらんがマーサやしゃめいまるをいじめたのはだめだけど…ミリィはふらんにもゆっくりしてもらいたいぞぉ~♪」

しゃめい丸はこの言葉に驚く。
自分を襲った相手を助けようと言うのだ。
ここまでくるとただのバカだとしゃめい丸は考えていた。

「…起きたらマーサさんを食べ始めるかもしれませんよ?」

しゃめい丸はミリィの真意がわからなかった為、あえて意地悪な質問をしてみた。
目の前で寝ているふらんは誰が見ても危険なのだから。

「う~…ふらんにもゆっくりたべちゃ、めっ!ってするからだいじょ~ぶだぞぉ♪」

あくまで楽観的な考えを崩さないミリィ。
そんなミリィにしゃめい丸は危うさを感じた。

「ミリィさん、先ほどの同行のお誘いの件なのですが…」
「う?うぁ♪しゃめいまるもいっしょにゆっくりするぞぉ~♪」
「…ええ、そうさせていただきます。これからよろしくお願いします」
「うぁうぁ♪ゆっくりぃ~♪」

ミリィはますます御機嫌になった。
いつの間にか立ち上がってダンスを踊り始めていた。

「うっうー♪うぁうぁ♪」



しゃめい丸がミリィ達の同行の誘いを受けた理由は、胴付きの件のこともある。
確かに、ミリィの行動を見ていれば手がかりがつかめるかもしれないと思ってはいる。
だが、真の理由はそれではない。

「うっう~♪」

しゃめい丸はミリィに危うさを感じたからだ。
目の前のミリィはゆっくりを食べようとしない。
いや、そもそもゆっくりを食べ物とは見ていないのだろう。

「うぁうぁ♪」

だが、野生のれみりゃ種の主食はゆっくりなのだ。
確かにこの魔法の森ならばゆっくりを食べなくても生きては行けるだろう。
れみりゃ種でも食べられるような木の実が豊富にあるからだ。

「ゆげっ!」
「う~…なんかふんだ~…?」

しかし、この魔法の森を出たらどうなるのか。
しゃめい丸には、ミリィがこの森を出たら餓死するとしか思えなかった。
森の外にはれみりゃ種でも食べられるような餌が豊富にある訳ではないのだから。
しゃめい丸はふらんから助けてもらったことへの恩義、特殊なれみりゃであるミリィに興味、そしてその危なっかしさから守ってやりたいと思っていた。

「れみ」

出来れば死んでほしくない。
いざとなったら強引にでもミリィにゆっくりを食べさせる。

「りゃ」

そう決意した。

「う~!!」


ダンスを踊り終えたミリィは「しゃめいまる、ゆっくりしていくんだぞぉ~♪」と声を掛ける。

「ゆっくりしていくんだぜ!」

ちなみに、今の返事はしゃめい丸のものではない。
いつの間にか起きていたマーサのものだった。

「マーサさん、おはようございます。いつの間に起きたんですか?」
「ミリィにふまれておきたんだぜ…」
「う、う~!?ごめんごめんなのぉ…」
「ゆっへっへ、そこにあるあまあまわたしてくれればゆるしてやってもいいんだぜ!」
「う、う~…しかたないぞぉ…」
「それ、私の家のご飯なんですが…」

そんな会話をしている間に

「う~…」

ふらんが目を覚ましたようだ。





「ミリィさん、ふらんが目を覚ましたようですよ」
いち早くふらんが目を覚ましたしゃめい丸がミリィに教える。

「う~?ふらん~…よかったぞぉ~…」

ミリィは安心したように溜息をついた。

「お、おねえさ…ゆあああああああああ!!!」

目の前の姉を見て慌てて立ち上がろうとしたふらんだが、自身の左半身の鋭い痛みに思わず叫び声をあげる。
まだふらんの傷口は完全には塞がっていない。

「う~!まだおきちゃだめぇ~!」

ミリィがふらんに慌てて駆け寄る。
しかし、この場にいる全員がふらんの体を気遣っている訳ではない。

「マーサをいじめたふらんにはおにあいなんだぜ!」

ふらんを睨みながら叫ぶマーサ。
マーサがこのふらんを良く思わないのは当然だろう。

一方、そんなマーサをふらんは射抜きそうな視線で睨む。
険悪な空気が流れ始めたが

「う~!けんかしちゃだめぇ~!」

ミリィがそう叫んだことで睨みあいは止む。

「う~…おねえさま…」

ふらんはミリィの方を向く。

「おねえさまは…ふらんをたべないの…?」


ふらんの中身は甘い甘い餡子だ。
れみりゃにとって、それは本当に美味しい御飯となる。
勿論、中にはふらんをつがいにするれみりゃもいるだろうが、ふらんの戦闘本能の恐ろしさはれみりゃが一番よく知っている。
そうなることは極稀だと言っていいだろう。
つまり、今回の場合はその極稀のケースに値するのだ。


「さっきはごめんなさいだぞぉ…ミリィはふらんをいじめちゃったんだぞぉ…」

ミリィはそう言って頭を下げる。
ふらんには訳がわからない。
目の前の姉は何故謝るのだろうか。

「ミリィはふらんにゆっくりしてほしいんだぞぉ…」

ふらんは考える。
自分がどうやったらゆっくり出来るかを。

そしてふらんの出した結論は…



「う~…お姉様を踏みたい…お姉様をいじめたい…お姉様の泣き顔を見たい……」
「う、うぁ!?」

ふらんの口から出てきたものは、一歩間違えればHENTAIさんに間違えられるような言葉だった。









「で、では、ふらんさんもミリィさんと一緒に来るということで構わないんですね?」

気を取り直したしゃめい丸が話を先に進めようとする。
しゃめい丸としても、ふらんを完全に信用した訳ではなかった。
しかし、一緒にいれば胴付きになれる手がかりがつかめるかもしれないということ。
自分は飛行速度の差でふらんからも逃げきれるということ。
しゃめい丸はふらんがお腹を空かしても自分は食糧にはならないだろうということ。
そのような理由から、しゃめい丸はふらんの同行に異議を持つことはなかった。

しゃめい丸の中身は黒胡麻の餡子だ。
甘味は無い訳ではないが、胡麻の渋みはある。
総じてお子様舌の甘味を求めるゆっくりには、少々食べづらい物があった。


「ちょ、ちょっとまつんだぜ!」

それを聞いて慌てるマーサ。

「いじめるふらんはゆっくりできないんだぜ!マーサはふらんはいやなんだぜ!」

マーサがこう思うのも当然だろう。
目の前のふらんにいたぶられた経験があるのだから。

「う~…お前、ゆっくりしね!」
「だからけんかしちゃだめなんだぞぉ~!」

一方、ふらんはマーサを言葉と深紅の眼光で威圧する。
叫ぶミリィ。
なかなか話が先に進まない。

「ふらんはマーサとしゃめいまるをいじめちゃだめなんだぞぉ!あと、もうゆっくりもたべちゃだめなんだぞぉ!」
「う…?えええええ!」

ふらんは一瞬ミリィの言葉が理解できなかったようだが、間をおいてからその言葉に驚く。
それだけミリィの言葉が衝撃的だった。
ふらんはこれまで生きてきた中でゆっくりを始めとした甘い食べ物しか食べたことがないのだから。

「ゆっくりじゃなくてもぉ♪きのみさんをたべればいいんだぞぉ♪あまあまだぞぉ♪」
「ゆっ!そうだぜ!ゆっくりをたべるふらんはゆっくりできないんだぜ!ゆっくりをたべなきゃいいんだぜ!」

ミリィを援護するマーサ。
マーサとしてもふらんがゆっくりを食べないのならある程度は安心できた。

「…」

そのやり取りを黙って見ているしゃめい丸。

「うううう…う~…お姉様の言うとおりにする…」

ふらんは渋々頷いた。
目の前にいる大好きな姉に嫌われたくなかったからだ。
ふらんは自分を二度も倒した姉に憧れてしまっていた。

「ううう…」

憧れの姉とこれからは一緒にいられる。
それはとてもゆっくりできることだった。
しかし、これからはゆっくりを食べられなくなると考えれば気も重かった。






「じゃあ!しゃめい丸とふらんのおなまえ☆タ~イム!だっぞぉ♪」
「おなまえなんだぜぇ!」

盛り上がるミリィとマーサ。

「う~…?ふらんはふらんだよ…?」

ふらんにはミリィの言っている言葉はわからなかったようだ。
これまでも、そしてこれからも自分はふらんと名乗っていくのが当たり前だと思っていたからだ。

「おなまえはゆっくりできるんだぞぉ~♪」
「う~!わかった!お姉様と一緒にゆっくりする!」

ふらんはミリィの一言で納得した。
『ゆっくりできる』という言葉の説得力は、ふらんにとっても絶大な効果があったようだ。

「じゃあ…まずしゃめいまるにおなまえつけるぞぉ!」
「変な名前にはしないでくださいね?」

苦笑するしゃめい丸。
正直名前にはそれほど興味はなかったが、他の3匹より大人なしゃめい丸はそれを口には出さなかった。

「う、う~…しゃめいまるしゃめいまる…まるしゃ…いめしゃ…う~…うぁ♪」

閃くミリィ。
嬉しそうにしゃめい丸の顔を見る。

「メイシャ♪ってのはどうだっぞぉ~♪」
「おお…悪くないですね」

しゃめい丸改めメイシャはその名前に特に不満を抱かなかったようだ。
というより、それほど興味がなかったので実感が沸かなかったと言った方が適切なのかもしれない。

「うぁうぁ♪メイシャ~♪」
「メイシャ、ゆっくりしていくんだぜ!」
「はいはい、ゆっくりしていって下さいね」

そんなやり取りをじーっと見ているふらん。
どうやら羨ましかったようだ。

「お姉様~…私にもおなまえおなまえ~♪」
「う~…ふらんはぁ…ふらんどーる…どーる…ふらん…う~…」

ミリィはなかなか思いつかない。
今までは適当に種属名をもじってきたが、今回はどうもしっくりこないようだった。
そんなミリィを尻目に、マーサが提案をする。

「いじめっこのふらんだからイジリーっていうのはどうなんだぜ!?」
「ゆっくりしね!」

笑いながら言うマーサに、怒りながら返事をするふらん。
また喧嘩が勃発しそうな雰囲気だ。
困っているミリィに「ミリィさんミリィさん」とメイシャが横から話しかけてくる。

「レーヴァテインから名前をとってレインというのはどうでしょうか?」
「レイン…うぁ♪」

ミリィはその名前が気に入ったようだ。

「ふらんはこれからレインだっぞぉ~♪」
「う~…お姉様がそれで良いならふらんは良いよ!」

ふらん改めレインは名付け親がミリィでないことに少々不満だったが、ミリィが嬉しそうなので気にしないようにした。

「ミリィはミリィだぞぉ~♪メイシャとレインはゆっくりしていくんだぞぉ~♪」
「ゆっ!マーサはマーサなんだぜ!ミリィとメイシャだけはゆっくりしていくんだぜ!」
「お姉様はゆっくりしていってね!マーサはゆっくりしね!」

そんな三匹のやりとりを見つめるメイシャ。
これから一波乱ありそうだな、と思いながら…。






後書き
誰も見ていなくてもひっそりと更新。
最初はこちらの方がメインだったんですがねえ…。


  • 読ませていただいています。面白いです。 -- 名無しさん (2011-01-28 05:02:25)
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最終更新:2011年01月28日 05:02