『むささびれいむ』
傾斜が厳しく高い木が並び立つ地域にそのゆっくりは居た。
「すごい!まるでおそらをとんでるみたい!!!」
赤いリボンを大きく広げて風を受け、空より舞い降りるゆっくりれいむ。
しかしこのれいむは、通常のれいむとはシルエットが大きく違う。
このれいむのリボンは一回り大きく、後ろ頭を隠すほど大きかった。
今日は地上に降りて、持ちの良い木の実を集めているようだ。
「ひゅっふひはふへふぁほ!!!」(ゆっくりあつめたよ!!!)
口に一杯の木の実を集めると、すぐ近くにそびえ立つ高い木に近づき
「ひゅっほ!!」
なんとゆっくりが木を駆け上っていくでは無いか。
この地方のゆっくりれいむは独自の進化を遂げていた。
身体が全体的に、通常のゆっくりよりも粘着力の高い餅肌になっており、
そのくっつく力を利用して、木にくっついては飛びくっついては飛びを繰り返し、高くへと上っていくのだ。
そしてある程度の高さに生えたしっかりした枝に乗ると
「ひゅっほひほらぼほぶびょ!!!」(ゆっくりそらをとぶよ!!!)
周りを確認した後、頭を下にした状態で大きなリボンに風を受け飛び立つ。
「ひゅぼひ!ふぁるへふぉほはほほんふぇふゅふぃふぁひ!!!」
(すごい!まるでおそらをとんでるみたい!!!)
別にいつも飛んでいるのだが、
まるで初めての飛行に感動するかのようにこの言葉を放つ。
しかし、実はこのセリフには重要な意味がある。
ほかのれいむに対し警告する合図である。
滑空であるゆえ、旋回はできる物の高度を変える事は出来ない。
しかも回りは背の高い木々が何本もたった場所。
もし他の飛んでいるれいむとニアミスでも起そうものなら、それは即激突死である。
それを避ける為、たとえ食物を口に入れ持ち帰る途中であろうとも
先程のセリフで、周りに自分が飛んでいることをアピールするのだ。
あるとても太く巨大な木の上。大きく開けた樹穴のなか、
存分にゆっくりするには少し狭いものの、中では赤ちゃんゆっくりがゆっくりしていた。
先程のれいむの子供であろう。
やはり、他のちびゆっくりれいむに比べてリボンが大きい。
「ひゅっひゅふぃふぃふぇいっふぇへ!!!」(ゆっくりしていってね!!!)
そこに、大きなリボンのれいむが帰ってきた。
「ゅ!おかーしゃんかえっちぇきたょ!!」
「「「ゆ~♪!!おかーしゃ~ん!!」」」
大きなリボンのれいむは即座に、口にためていた木の実をテーブル代わりの
大きな葉っぱに吐き出し、子供たちに与える。
こうやって、飛べる程の大きさになるまで子供たちに食事を与え続け、
もう少し大きくなり、リボンが風を受けれるようになって初めて
親子で狩りに出かけるのだ。
食べ終り、日が落ち始めると皆で夕日を眺めゆっくりする。
「ゆ~!もう少し大きくなったら、みんなでおそらをとぼうね!!
そしたら、とってもすごくゆっくりできるよ!!!」
「「「「しゅごきゅゆっきゅちできるにぇ!!!」」」」
仲良く家の中に戻っていくれいむ達。
大きなリボンに風を受け空を舞う彼女の姿はまるで、むささびの様だった。
即興の人
- 頬袋が可愛いです -- 名無しさん (2009-08-29 11:56:50)
- かわいいいいい -- 名無しさん (2009-09-05 18:09:54)
最終更新:2009年09月05日 18:09