ミリィのゆっくり冒険記 第十二話

※ゆっくりを野生動物として扱われるのを不快に感じる方
※捕食種設定を不快に感じる方
※ゆっくりの戦闘シーンを不快に感じる方
※酷い目に遭ってしまうゆっくりがいるのを不快に感じる方
※素晴らしい小説を求めている方

は、この小説に合いません。
申し訳ありませんが、ゆっくりお引き返しください。





















それでも良ければどうぞ

















ミリィのゆっくり冒険記 第十二話





「ひさしぶりのあまあま~♪おいしいぞぉ~♪」

「やめてよね!れみりゃはれいむをたべないでね!」

「おちびちゃんのまえでおのこしなんておげひんなまねはしないぞぉ~♪」

「ゆっ…ゆっ…もっと…ゆっくりしたかった…」

ミリィには目の前で何が起きているのか理解できない。

まさか自分の母親が…

友達を食べるとは…

ミリィには思いつきもしなかった…

「う~♪おいしかったぞぉ~♪おちびちゃんありがとうだぞぉ~♪」

そこには、れいむの皮だけが残される。

ミリィには信じられない。

目の前のぺらぺらとした皮が

さっきまで一緒にゆっくりしていた

れいむだなんて…

「う…うあああああああああああああ!!」

「お、おちびちゃん!?どうしたのぉ!?」

友達…まんまぁ…れいむ…食べる…

怒り、悲しみ、憎しみ…ミリィの中で色々な感情が渦巻く。

「あつい…あついのぉぉぉぉ!!」

ミリィは自身の体の変調に耐えきれず叫ぶ。

「う…あ…あ…」

あつい

にくい

くるしい

ゆるせない

たすけて

れいむを

まんまぁ

かえして

「うあああああああああ!!」

行き場の無い感情。

ミリィの中で走り回る。

「う~!おちびちゃん!おちびちゃああああん!さくや~!さくやああ!たすけてぇ~!」

ミリィの意識はそこで途切れた。





場面が変わる






ここがどこかは自分にはわからない

そこで眠っているゆっくりできていないゆっくりを見つけた

自分にはそれだけで十分だった

「おちびちゃん…ふりゃあん…う~…う~…」

そのゆっくりできていないゆっくりは幸せそうに寝言を言っている。

目の前のゆっくりが誰なのかは知らない。

しかし…

目の前のゆっくりがゆっくりできていないということだけはわかった。

そのゆっくりに『せいっさい』を加える。

ゆっくりできていないのだから。

なんだか少し動きづらかったが仕方ない。

目の前の眠っているゆっくりに向かって右腕を動かす。

「う…うぁ!?」

ゆっくりできていないゆっくりが目を覚ましたようだ。

驚きの表情でこちらを見ている。

「お、おちびちゃん…!?」

黙れ

黙れ

お前なんか…

「ゆっくりしねぇっ!」

その呪いの言葉と共に目の前のゆっくりに向かって腕を動かす。

目の前のゆっくりは逃げようともしない。

好都合だ。

「い…いたいぞぉ!やめてぇ~!!」

「ゆっくりしねぇっ!ゆっくりしねぇっ!ゆっくりしねぇっ!ゆっくりしねぇっ!」

なんだか楽しくなってきた。

目の前のゆっくりは最初は叫んでいたが、だんだん動かなくなってきた。

つまらない。

そろそろとどめを刺そう。

右手を空中に掲げる。

右手を掲げたことで何が起きるかなんてことはわからない。

ただ、何かが起こるという確信だけはあった。

体だけが覚えているかのように。

右手が紅く光る。

右手から紅く光る槍が現れた。

その槍を構える。

目の前のゆっくりを貫けるように。

「お…ちび…ちゃん…ふ…りゃん…」

目の前のゆっくりが何かをつぶやいているが気にしない。

狙いはターゲットの中心部分。

「ゆっくり…」

「ふ…りゃ…ん…」

「しねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!」

そして、槍は放たれた。









そこでミリィの目が覚めた。








ミリィは全身に冷や汗をかいている。
今の夢は一体…。
いやだ…まさか…そんな…
そう思いながらも、ミリィは確信を持っていた。
ミリィは自分の両手を見る。

自分は。

この手で。

母親を。



周辺を見回してみると、3匹のゆっくりが眠っているのが見えた。
辺りはもう暗かったので見えにくかったが、マーサ・レイン・メイシャで間違いなかった。
3匹を起こさないよう、慎重にその場を後にする。
今は1人になりたい気分だった。


「まんまぁ…」

ミリィは思い出す。
記憶の中にある母親との思い出を。
それはとってもゆっくり出来る思い出。

記憶にある限り、母親はずっと自分を大切にしてくれた。
自分にとっても大切な母親だったことは間違いない。
しかし、れいむを食べたことは受け入れ難かった。
同時に、自分がやってしまったことも。

捕食種と基本種。
どうしてこのような関係が生まれてしまったのだろうか。
皆でゆっくり出来ればよかったのに。
どうして同じゆっくり同士で。
どうして…。

ミリィの中でぐるぐると色々な思いが駆け巡る。


その時

「ぎゃお~♪たべちゃうぞぉ♪」
「れみりゃはゆっくりできないよ!こっちこないでね!」
「こにゃいでね!」

3種類の声がミリィの耳に届いた。
声が聞こえた方向を見てみると、胴なしれみりゃが胴なしれいむの親子を追いかけているのが見えた。
ミリィは無言のまま3匹のいる方へと歩く。
その顔は無表情のまま。

「うっう~♪…う?おっきなれみりゃ、どうしたのぉ?」

胴なしれみりゃが不思議そうな顔でミリィを見ている。
無邪気な笑顔。
しかし、その笑顔のまま親子れいむの命を奪うのだろう。
当然、ミリィにもそれは予想できた。

「れ、れみりゃがにひきぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
「にひきぃぃぃぃぃ!!!」

一方で絶望的な表情をしているれいむ親子。
すっかり混乱状態に陥っていた。


ミリィは胴なしれみりゃへ無表情のまま話しかける。
その深紅の瞳には何が映っていたのか。
誰にもわからなかった。

「やめるんだぞぉ…ゆっくりを食べるゆっくりはゆっくり出来ないんだぞぉ…」
「う…?おっきなれみりゃはなにをいっているのぉ?ゆっくりをたべなきゃゆっくりできないぞぉ…」

胴なしれみりゃにはミリィの言っていることはわからない。
今までゆっくりを食べて生きてきたのだから。
ゆっくりと食べることでゆっくりしてきたのだから。
突然『お前はゆっくり出来ない』と言われても、困惑するだけだ。
自分が全否定された感覚に陥る。

れいむの親子はその場から動くことが出来ない。
2匹のれみりゃへの恐怖によってすっかり体がすくんでしまったようだ。

「他に食べられる物だってあるぞぉ…あまあまなら木の実だってあるぞぉ…」
「…う?あまあまなきのみ?」

胴なしれみりゃはその言葉に辺りを見渡す。
あまあまなれいむの親子と謎の胴付きれみりゃ、そしてどこにでもある木と草むら。
胴なしれみりゃの深紅の瞳にはそれしか映らなかった。

「ここにはあまあまなきのみなんかないぞぉ!!ゆっくりをたべなきゃゆっくりできないぞぉ!!」

胴なしれみりゃは憤慨する。
危うく目の前の胴付きれみりゃに騙されるところであった、と。

「おっきなれみりゃは…れみぃからそのゆっくりをよこどりするつもりなんだぞぉ!」

胴なしれみりゃの笑顔が怒りへと変わる。
目の前の胴付きれみりゃは、自身の獲物を横取りする敵だ。
胴なしれみりゃはそのように結論を出した。

ミリィは胴なしれみりゃを見て溜息をつく。
何故こんなことが分からないのか。
何故ゆっくりを食べるのか。
何故こんなに愚かなのか。
ミリィは完全に目の前の胴なしれみりゃを見下していた。





「う~!!」

胴なしれみりゃがミリィに体当たりを仕掛ける。
自身の体当たりに自信を持っていた胴なしれみりゃ。
何故なら、この体当たりで数々の獲物を仕留めてきたのだから。
相手が胴付きれみりゃだろうと、この体当たりなら絶対に勝てる。
そう疑うことはなかった。
実際に体当たりを仕掛けるまでは。

しかし、手ごたえはなかった。
いや、それどころか胴なしれみりゃは動けなくなってしまった。
何故なら、胴なしれみりゃの翼はミリィの手に掴まれていたからだ。

「う、うごけないんだぞぉ!?」
「…単純な動きだもの」

ほっそりとした胴体に、白くすらっとした綺麗な四肢。

顔も小さくなっており、満面の笑顔はなく深紅の瞳だけが光っている。

そしてその深紅の光は非常に鋭い。

まさに深紅の槍のようだった。








「ゆっくり出来なくなりたくなければ、ゆっくりせずにこの場から去れ」

その姿は、まさにミリィがおねーさんと慕うレミリア・スカーレットに瓜二つであった。






「う…う…う…?」

胴なしれみりゃは混乱する。
目の前の胴付きれみりゃは一体何なのか。
そう考えていると、自身の身体が解放される。

ミリィが胴なしれみりゃを掴んでいた手を離したのだ。

動ける。
飛べる。
今度こそ体当たりを仕掛けなければ。

胴なしれみりゃはあまりの混乱ぶりに判断能力を失っていた。
目の前の胴付きれみりゃがどのような存在か。
自分が勝てる相手なのか。
この胴なしれみりゃも幾つもの修羅場を潜り抜けてきたはずなのに。
無謀にも。

「う~!!」

再び体当たりを仕掛けた。

「…愚かな」

胴なしれみりゃの耳元で鋭い声が聞こえた。




「私の名前は…ミリィ」

視界に広がる深紅の槍状の光。

「ゆっくり出来ないゆっくりは排除する」

刺さるととっても痛そう。

「ゆっくり出来ない愚かなゆっくりよ」

その深紅の光は自身の目の前にある。

「去れ。三度は言わない」

今にもこっちに向かって来そう。

「もし去らないのならば…」

もしあれがこっちに少しでも向かってくれば

「ここで…」

自分は

「しね」

死ぬ。






「うっ…うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

胴なしれみりゃは悲鳴を上げながら、漆黒の空へ逃げていく。
土壇場で自身の野生の本能を思い出した。
あの胴付きれみりゃには絶対に勝てない。
もしあと一秒でもあの場に留まっていれば自身は死んでいた。
最早それを疑っていなかった。

いや、そもそもあれは本当にれみりゃなのか。
胴なしれみりゃには最早何が何だか分からなかった。
とにかくこの場を離れてゆっくりしたかった。

「…ふん…」

ミリィは逃げて行くその後ろ姿にすでに興味を持っていなかった。
右手の中にある、胴なしれみりゃの眼前に突きつけていた深紅の光を消失させる。
その深紅の光はロンギヌス。
かつて自身の母親を突き刺した罪深い槍だ。

ミリィは改めてれいむ親子へ向き直る。
その顔は先程までの無表情のままだ。
しかし、この瞬間のミリィは間違いなくゆっくり出来ていた。
醜悪な捕食種の牙から今度こそれいむを守れた。
今度こそ。
そう、今度こそだ。
ミリィはその想いと達成感を胸にこの上なくゆっくり出来ていた。

「「ゆっ…!!!」」

胴なしれいむはその深紅の視線を感じて怯える。
目の前にいるのは、姿はすっかり違うがれみりゃで間違いない…はずなのだから。
れいむ親子にとってはどのれみりゃも同じだ。
自身の姿を見つければ、一直線に牙を剥いて襲いかかってくる。
それは目の前のれみりゃも変わらない。
そう思っていた。

「…れいむ」

ミリィの鋭い声が静寂に響く。

「ひゃ…っひゃい!!」

れいむはあまりの恐怖に上手く言葉にならない。
しかし、自分に対して声をかけていることはわかったので、返事だけは返す。
ミリィとしては、別に脅すつもりはなかったのだが。

「さっさと巣へ逃げなさい…もしかしたら他にも貴方を食べようとするれみりゃがいるかもしれない」

そう言うとミリィは微かに笑う。
親れいむから見れば理解不能な出来事でしかなかった。
自分達を食べないれみりゃが存在するとは思わなかったからだ。
が、これはれいむにとって千歳一隅のチャンスであることには変わりない。

「あ、ありがとう!!…え、え~と、おちびちゃん!ゆっくりせずににげるよ!!」
「ゆっくりわかっちゃよ!!」

ミリィのいる方向とは逆の方向に逃げだす。
必死に跳ねる。
あのれみりゃの気が変わったら自分達は食べられてしまうかもしれない。
親れいむはミリィの言葉を完全に信じたわけではなかった。
だから必死に逃げていた。

「れいむの…子供の方!!」

離れて行く必死に跳ねる後頭部を見据えながらミリィは叫ぶ。

「ゆっ…?」
「おちびちゃん!はやくにげるよ!」

子れいむがその声に振り返る。
親れいむが子れいむに跳ねるよう促すが、子れいむはミリィへと視線を向けたままだった。

「ママ…いえ、お母さんを大事にしてあげなさい」

ミリィは出来るだけ優しく語りかける。
やはり怯えられるのはあまりゆっくり出来ることではなかった。

子れいむは一瞬呆然とする。
何を言われたのかわからなかったようだ。

「…ゆっきゅりりょうかいしたよ!!」

子れいむは満面の笑みを浮かべてその言葉に応える。
その表情にミリィも満足げに微笑する。

「さ、おちびちゃん!ゆっくりせずににげるよ!」
「ゆっきゅりりょうかいしたよ!!」

れいむ親子の姿が段々小さくなって行く。
ミリィの瞳は、れいむ親子が見えなくなるまで視線を逸らさなかった。



れいむ親子が去るとミリィは再び一匹になった。
身体の中を駆け回る感情。

「まだだ…まだ全然足りない…」

満たされない。
ミリィの心の中はその言葉が支配していた。

そう、ミリィは満たされていなかった。
砂漠の中で遭難したかのように。
渇いていた。

心が。

「…ふふ…」

ミリィは笑う。
暗く。
静かに。

今の自分なら何でも出来る。
全ての基本種のゆっくりを救うことだって。
絶対に出来る。
そう疑っていなかった。

れいむを救うことが出来る。
まりさも救うことが出来る。
自分のやりたいことは何でも出来る。
さあ、早くこの渇きを潤しに行きたい。

ミリィの心は渇きと歓喜に震えていた。


そして、静かに笑うミリィの後ろ姿に忍び寄る3匹のゆっくりの影。

「…お姉様?」
「ミリィ…なのぜ?」
「これは…一体…?」

それはレイン・マーサ・メイシャだった。
先程の胴なしれみりゃの叫びにより起きてしまったのだった。
ミリィは振り返り、深紅の視界に3匹の姿を認める。

「…お久しぶり…で良いのかしら?」

微かに笑った。






「お、お姉様…で、いいのよね?その姿…どうしたの?」

レインが戸惑うのも無理はない。
起きたらミリィがいなくなっていて、やっと見つけたと思ったら全く違う姿に変わっていたのだから。

しばしミリィとレインは互いに見つめ合っていた。
いや、見つめ合った…と言えば語弊があった。
ミリィは明らかに睨んでいたのだから。
やがてミリィが視線を外し、ふ、と微かに笑いながら口を開く。

「私は…弱い自分を捨てたの…」
「弱い自分…?」

その言葉に食いつくメイシャ。
弱い自分とは何のことを指すのか?

マーサもミリィに何かがあったことを察する。
言いようのない不安に駆られたが、相手がミリィだということを自分に言い聞かせ、勇気を持って話しかけた。
レインやメイシャにも自身の気持ちを分かってもらえたのだから。
ミリィにだって。
そう信じて。

「ミリィ…何があったのぜ?」
「…別に…いえ、貴方達にも話しておくべきなのかもしれない…」

ミリィは一瞬拒絶を仕掛けるが、思い留まる。
目の前のゆっくり達はわずかな期間とはいえ一緒に過ごしたゆっくり達だ。
話くらいはしておくべきなのだと考え直したのだ。

「愚かなゆっくり達がいたことを…」

自嘲の声が混じっていた。





「あれはまだ私が胴なしの時だった…私はママと咲夜とお姉さんと他の人達と一緒に紅魔館でゆっくりしていた…」

ミリィが淡々と話し始める。

「ある日、私は外に出たいと咲夜やママにお願いした。聞き入れてもらえなかったけどね」

一言一言、思い出すように。

「だけどそれでも出てみたかった。ママから外のお話を何度も聞いていたから」

懐かしげに。

「だから私は無理矢理外に出ることにした。ママにも咲夜にも告げずにね」

愛おしげに。

「気持ちよかった…。紅魔館の外にはこんなに広い世界が広がっているなんて思いもしなかった」

悲しそうに。

「しばらく風を感じながら飛んでいた時、地面で動く物体を見つけた」

苦しそうに。

「それが私の一番最初のゆっくりのお友達。ゆっくりれいむだった」

マーサ・メイシャ・レインの3匹は聞き入っている。

「れいむと一緒にいるととってもゆっくり出来た。初めてのお友達だったから」

ミリィの一言一言を

「しばらくゆっくりしていたら…私のママが迎えに来てくれた。私がこっそり外に出てしまったことがばれてしまったんでしょうね」

決して

「ママが来てくれたことが嬉しかった私は…ママにお友達であるれいむを紹介しようとした。ミリィの初めてのお友達だよ、ってね」

聞き漏らさぬように。

「でもね…でもね…ママは…」

ミリィが震えだす。

「ママは…」

それは怒りか、悲しみか、苦しみか。

「ママは…れいむを食べちゃった…」

ミリィ自身にもわからなかった。



メイシャは納得がいった。
ミリィが何故ゆっくりを食べることを頑なに拒むのかを。

レインは思った。
仮に自身がミリィの母親だったら、自分もそのれいむを食べていたんだろうな、と。

マーサは同情した。
そのれいむは運が悪かったんだろうな、と。



「でもね…でもね…話はこれで終わりじゃないの」

ミリィは自身の両手を見る。
ほっそりとした白い手。

「私は急に体が熱くなって…気が付いたら紅魔館にいたの。多分、咲夜か美鈴が運んでくれたんでしょうね」

ミリィの遠くを見据えているかのような瞳。
今のミリィの瞳にはそこに何が映っているのか。
何を見据えているのか。

「私は胴付きになっていた。そして、私の目の前にはママが寝ていた。多分、寝ずに見守っていてくれたんでしょうね」
「それで胴付きに?まさか…感情…?」

胴付きという言葉にメイシャが反応する。
一匹でぼそぼそと呟き始める。
ミリィはメイシャを無視して話を続ける。

「でもね…私はママが憎かった。そう、憎かった…はず…」

ここでミリィは言葉を濁す。
ミリィの中に迷いが生じたのだ。

「…うん、憎かったんだ。止まれなかった。許せなかった。お友達であるれいむを食べたママを」

レインとマーサが息を呑む。

「私は紅い槍…そう、ロンギヌスを出してね…」

ミリィは苦しそうに息を吐き出す。

「ママを…」

思い出すことさえもつらそうに。

「ママを…ロンギヌスで…」

必死に吐き出す。

「永遠にゆっくり出来なくさせてしまったの…」



ミリィの言葉に辺りが静まり返る。
マーサも。
レインも。
メイシャも。

誰も動けなかった。


それを予想していたのか、ミリィは自嘲気味にふ、と軽く笑う。

「私とママは…ゆっくり出来るゆっくりをゆっくり出来なくさせてしまった…」

ミリィの瞳に決意の色が宿る。

「だから…私は決めたの…」

ミリィは感情の全てを吐きだすかのように叫ぶ。

「ゆっくり出来るゆっくりをゆっくりさせてあげるとね!!」


  • ロンギヌス?・・・グングニルじゃないの?   -- 名無しさん (2011-03-17 17:19:12)
  • 突然カリスマが出てきたな。口調もゆっくりっぽく無くなったし。
    しかしゆっくりさくやを探すという目的はどうなったのだろう? -- 名無しさん (2011-09-01 16:24:58)
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最終更新:2011年09月01日 16:24