※東方原作キャラが登場します
※全員キャラが壊れてます…
※ゆっくりの出番があまりないような気が…
よろしければどうぞ…
博麗神社の日常(すりすり編)
「暇ね…」
ここは幻想郷の外れにある少々寂れた木造の神社。
その神社には一つの人影があった。
「誰も来ないし…」
神社の外廊下に腰掛ける一人の人物。
その人物の名前は博麗霊夢。
言わずと知れたここ、博麗神社の巫女である。
「どうしてこんな時に限って萃香も紫も文もいないのかしら…」
霊夢は思わず溜息をつく。
すでに境内の掃除は終わっている。
霊夢の視界内には塵一つ落ちてはいない。
「せめて参拝者でも来てくれればなあ…」
参拝者がいなければ賽銭は集まらない。
賽銭が無ければ巫女としての生活は成り立たない。
しかし、賽銭を入れてくれる参拝者など極々稀にしか存在しないのだ。
妖怪共はしばしば来訪する癖に賽銭は全く入れていかない。
代表例があのスキマ妖怪だ。
その癖に宴会はこの神社の一室でしばしば行われる。
今度の宴会の時は場所代でも請求してやろうか。
霊夢はそんなことも最近考え始めている。
しかし、現状は別だ。
あまりにも暇すぎた。
妖怪でも厄介者でも神様でも緑色の髪をした常識に囚われない風祝でも誰でも良いから来てほしかった。
「あいつらはいてもいなくても厄介で迷惑なのね…」
ここにはいない妖怪達に心の中で八つ当たりを始める霊夢。
そんなことを考えてしまうくらいに暇だった。
「あいつも昼寝中だし…」
本当に何もする事が無い。
霊夢はとりあえず空を見上げてみる。
見上げると、青い海の中を真っ白な雲が動いていた。
霊夢の灰色の心境とは裏腹に、今日も良い天気だった。
「ゆっくりしていってね!」
「ん?」
霊夢の耳に届いた一つの言葉。
その言葉に、霊夢は体勢を崩して振り返る。
「れいむ!れいむ!」
「…あんた起きたの?」
「れいむ!ゆっくりしていってね!」
霊夢に向かって声を張り上げる一つの影。
それは博麗神社に住みついている先程まで昼寝中だったゆっくりれいむであった。
「ゆっくりぃ!ゆっくりぃ!」
れいむは霊夢の視界内で元気に飛び跳ねる。
霊夢はそんなれいむを一瞥すると思わず溜息が出た。
「あんたはいつも元気ね…」
その溜息には自嘲の意味が含まれていた。
今の自分は全くゆっくりしていない。
れいむを見ていると、それを思い知らされた気がしたのだ。
「ゆゆ…?」
れいむはそんな霊夢を見て首をかしげる。
いや、れいむに首など無い。
正確に言えば、体全体を傾けている。
「れいむもゆっくりしていってね!」
ゆっくりの『ゆっくりしていってね』という言葉は口癖のようなものだ。
霊夢も聞き慣れているだけに、いちいちまともに取り合ったりはしない。
「はいはい…。あんた、お腹空いてない?」
と、自分で言っておきながら、自分の言葉に疑問を感じる霊夢。
胴なしのゆっくりにお腹など無い。
では、空腹時のゆっくりはなんと表現すればいいのだろうか。
「う~ん…」
暇な時ほどどうでもいいことを考えてしまうものだ。
霊夢の意識は思考の海で泳ぎ始めた。
「ゆ~…れいむはおまんじゅうがたべたいよ!こうはくのおまんじゅう~!!」
「う~ん…」
霊夢の意識は未だに思考の海を彷徨っている。
全く答えなど見えそうもない。
「れいむ!れいむ!」
「う~ん…」
れいむの叫び声など霊夢の耳には届いてはいない。
難しい顔をしたまま唸っているだけだ。
「れいむ?れいむゆっくりしてない?してない?」
れいむが固まったままの霊夢に向かってぴょこぴょこ飛び跳ねる。
霊夢は相変わらず難しい顔をしたまま考え中だ。
「こんなときにはねぇ…」
れいむは座ったまま考え中の霊夢の肩に飛び乗る。
「しゅ~りしゅ~りするよ!」
れいむは霊夢の顔に自身の体を擦り付け始めた。
その行為ではゆっくりの間で『しゅ~りしゅーり』と呼ばれている。
親愛関係のゆっくり同士が行う行為で、それをするととてもゆっくりすることが出来たのだ。
「しゅ~り…しゅ~り…」
「むむむ…」
れいむは霊夢の顔に自身の体を擦り続ける。
それが刺激になったのか、霊夢の頭の中に一つの閃光が走った。
「わかった!」
「ゆぅ~!!!!?」
突然立ち上がった霊夢。
霊夢の肩に乗っていたれいむは、霊夢の突然の行動に落っこちてしまう。
「ゆぅっ!じゅってんまんてん!」
神社の床に華麗に着地するれいむ。
れいむの中では今の着地は満点だったらしい。
そんなれいむに、霊夢はビシッと擬音が聞こえそうなくらいに人差し指を向ける。
良い子は他人にも他ゆっくりにも指を向けてはいけません。
「今のれいむは頭がカラッポなのね!?」
「…ゆゆ?」
この場に魔理沙がいたら「頭がカラッポなのは霊夢の方だぜ」とでもツッコミを入れてくれただろう。
しかし、この場にいるのはドヤ顔をした霊夢とれいむの言葉の意味が理解できないれいむのみ。
霊夢にツッコミを入れるのは絶望的だった。
「頭カラッポの方が~♪ 球乗り仕込める~♪」
謎の歌を口ずさみながら、戸棚かられいむ用の和菓子を取り出す霊夢。
先程思い付いた自身の答えに手応えを感じたらしい。
今の霊夢には、歌詞が間違っていようとも関係なかった。
「ほら、れいむ。ゆっくり食べなさい」
和菓子が乗った皿をれいむの前に置くと、今度は自身のお茶を汲みに行く霊夢。
そんな霊夢の耳にご機嫌な声が聞こえてきた。
ゆっくりれいむのもので間違いないだろう。
「ゆゆっ!いっただっきま~すぅ!」
「うぁ~♪うぁ~♪いっただっきま~すぅ♪」
今何か変な声が聞こえたような。
急須の網に茶葉を入れている霊夢の頭に疑問符が浮かぶ。
「しあわせぇぇぇぇぇ!!!!」
「しあわせだぞぉぉぉぉ!!!!」
やはり気のせいではない。
霊夢は慌ててれいむの元へ向かう。
そこにいたのは…
「おいしいね!れみぃ!」
「うぁうぁ♪れみぃのおしたをうならせるえれがんとなあまあまだぞぉ♪」
「霊夢、私には紅茶を頼むわ」
「おぜうさま、お口が汚れておりますわ」
「うっう~♪さくやぁ♪ありがとねぇ~ん♪」
そこにあったのは二つの人影に二つのゆっくり影(れいむ含む)。
先程まで待ち望んでいたはずの来訪者。
しかし、実際に来られるとそれはそれで複雑な心境だった。
「あんたら何しに来たのよ…」
先程までのご機嫌な気分が何処かに吹き飛ばされてしまうのを感じた霊夢。
それどころか霊夢の頭は痛み始めてきた。
その原因は、目の前にいる桃色の服を着た胴付き肉まんと吸血鬼と銀髪のメイドなのは明らかだった。
「れ、れみりゃがどうしても来たいって言うからここに来たのよ!べ、別にあんたに会いに来たんじゃなかったんだからね!」
吸血鬼…レミリア・スカーレットはそう言って顔を背ける。
若干棒読みではあったのだが。
ついでに言えば少々時代遅れだ。
「じゃあさっさと帰りなさい」
一方の霊夢は冷ややかな言葉をレミリアに浴びせる。
なんだかウザかったのだ。
その冷ややかな言葉に驚きの表情を浮かべるレミリア。
今の言葉で上手く行くと思っていたのだろう。
上手く行くと何がどうなるのかは誰にもわからなかったが。
「な、何で!?ツ、ツンデレ?はポイント高いってパチェが言ってたのに!」
「お嬢様!私の中では高ポイントでしたよ!ありがとうございます!そしてごちそうさまです!」
メイド…十六夜咲夜の顔から少量の血液が流れ出る。
まあ具体的に言ってしまえば鼻血であり忠誠心だ。
咲夜の忠誠心が咲夜の顔を伝い、畳に零れ落ちた。
「ちょっ!畳に鼻血零すな!取るの大変なんだから!」
霊夢は憤慨する。
血が畳に付くとなかなか取れないものだ。
霊夢の怒りは最もだろう。
「鼻血くらいで慌てるなんて霊夢もまだまだねぇ。咲夜と一緒にいれば鼻血なんて日常茶飯事よ?」
「鼻血なんて拭けばすぐに取れるでしょ?」
何故かドヤ顔の吸血鬼と従者。
『ふふん♪』という声まで聞こえてきそうなくらいの見事なまでのドヤ顔だ。
「(こ・い・つ・ら・はぁぁぁぁぁぁ!!!!!)」
霊夢は心の中で怒りの炎をたぎらせる。
霊夢にとって、この二人も博麗神社に来訪する厄介者達の一部だ。
突然変な方向へ走り出すレミリアに、そんなレミリアを見て鼻血を流しながらこれまた明後日の方向へ走り出す咲夜。
微笑ましい関係かもしれないが、この二人の関係がたまにウザイと思う霊夢であった。
「うぁうぁ♪れいむぅ♪」
「ゆゆぅ♪れみぃはあったかいよ!とってもゆっくりできるよ!」
ゆっくりしていない霊夢の横で、ゆっくり二匹がとてもゆっくりしていた。
「しゅ~り…しゅ~りぃ…」
「うぁうぁ♪しゅ~りしゅ~りだっぞぉ♪」
二匹がやっているのは『しゅ~りしゅ~り』だ。
れみりゃがれいむを柔らかそうな肉まんアームで持ち上げ、自身の顔の元にれいむを近付け、れいむの顔と自身の顔を擦り合わせている。
「ゆ~♪」
「う~♪」
紅魔館に住みつくゆっくりれみりゃと博麗神社に住みつくゆっくりれいむ。
この二匹はとても仲良しであった。
何か惹かれあう特別な要素があるのかもしれない。
そんな二匹のゆっくりを見つめる三人。
その中の一人は「おぜうさま…」と呟き鼻血を再び流していたが、すでにツッコミを入れる者は誰もいなかった。
このメイドの傍にいれば、文字通り鼻血は日常茶飯事だからだ。
「ねえ、霊夢…」
レミリアが期待を秘めた瞳で霊夢に視線を向ける。
一般人が見れば魅了されてしまうと確信できるくらい、見事な流し目であった。
「絶対にイヤ」
しかし、霊夢はそんな流し目も一刀両断。
やはり博麗の巫女は伊達ではなかった。
「まだ何も言ってないわよ!?」
「絶対に嫌!」
レミリアがゆっくり二匹を興味深そうな眼差しで見ていたことを霊夢は気付いていた。
大方『自分達もスリスリしてみましょう』というに違いない。
「お嬢様。ならば私と一緒にスリスリ致しましょう」
「あんたは何を当然のように言ってるのよ」
咲夜はすでに顔を紅潮させていた。
このメイドの忠誠心は何か間違っていないだろうか。
咲夜を見る度に霊夢はそんなことを考えてしまう。
一方のレミリアの表情は芳しくない。
レミリアの咲夜を見つめる視線には呆れの色が宿っていた。
「咲夜とは最近いつもやってるでしょ…。私は霊夢とやりたいのよ」
「あんたら本当にそんなことやってんの!?しかもいつも!?」
思わず叫んでしまう霊夢。
まさか本当にやっているとは思わなかったのだ。
ついでに言えばそんなことも知りたくはなかった。
ゆっくり同士がやるから可愛いのであり許せるのであって、人間や妖怪同士がやっても気持ち悪いだけではないか。
そう考えている霊夢だからこそ、レミリアの発言が信じられなかった。
「常識でしょ」
「スリスリが!?」
咲夜が冷ややかな視線を霊夢に浴びせる。
何が常識なのか霊夢にはさっぱりわからない。
「…まだまだね」
「何が!?」
咲夜は溜息をきながら首を左右に振る。
そんな咲夜の仕草に、何だか敗北してしまった気がしてしまう霊夢。
何に敗北したのかは理解不能だったが。
レミリアはそんな霊夢の反応に首を傾げる。
少々予想外の事態だったようだ。
「え?スリスリって最近の幻想郷の流行なんじゃないの?」
「そんなの誰に吹き込まれたのよ…」
この吸血鬼は五百年も生きているというのに世間知らずなところがある。
霊夢はそんなレミリアに呆れていた。
傍から見れば、霊夢もあまり他人のことは言えなかったのだが。
「え?咲夜にだけど…」
「咲夜…あんた…」
今度は霊夢が咲夜に冷ややかな視線を浴びせる番だった。
自分が楽しむ為にそんな嘘を吹き込んだのだろう、博麗の巫女の勘はそう告げていた。
別に巫女の勘で無くても察する事は出来るだろうが。
「お嬢様…私がお嬢様に嘘を申し上げた事がございますか?」
咲夜の顔はいつもと変わらぬ冷静で瀟洒な顔。
しかし、その額に一筋の冷や汗が流れたことを霊夢は見逃さなかった。
「まあ流行かどうかはどうでもいいわ。ねえ霊夢、とりあえずちょっとだけスリスリしてみない?」
「絶対に嫌よ」
「お嬢様!私の顔ならばいつでも空いております!さあ!」
「あんたもキモいこと言うんじゃない!」
「お願い霊夢!お金なら出すから!」
「あんたは何処のエロオヤジよ!」
やかましく騒ぎ出す三人。
今のこの三人は全くゆっくり出来ていないと言っても間違いはないだろう。
「しゅ~り…しゅ~り…」
「しゅ~り…しゅ~り…だっぞぉ…」
ゆっくりしていない三人の横で、眼を瞑りながら顔を擦らせ合う二匹のゆっくり。
とても暖かそうに。
とても愛おしそうに。
「ゆ~♪」
「う~♪」
ゆっくり二匹はこの瞬間、とてもゆっくり出来ていた。
,.-─- 、
∧_,,∧\書/
/\ ( e'ω'a)∩‐
| 後 ⊂ /
ヽ/ r‐' /
`""ヽ_ノ
作成時間約一時間半。
ゆっくりしなかった結果がこれだよ!
皆さんはきちんとゆっくりして下さいね。
で、リクがあったので書いてみましたが…こんなんで良いのかなあ。
全てのリクエストに応えられる訳ではありませんが、時間があればこれからも書いてみたいと思います。
私にリクエストをしたいという奇特な方がいらっしゃれば、ですけどね。
しかし…これはゆっくり小説なのかな?
ゆっくりが出てくる単なる東方小説な気がしないでもないと気付いてしまった私。
- 掲示板にレスしたものです。まさかホントに書いてくれるとは思わなかった。
ゆっくりの空腹は頭がカラッポなのかw
胴付きと胴無しのすりすりなら胴付きがうつぶせになってすりすりとか
あおむけになってる胴付きにすりすりとか(いつもと頬の触れる角度が違う)
いろんな体位?が出来ますねw -- 名無しさん (2011-04-01 18:21:40)
- もしかしてれいむがはじめてゆっくりしているような -- 名無しさん (2011-04-02 16:50:09)
最終更新:2011年04月02日 16:50