『すりすり』
『耐久レース』
『蠱毒』
『納涼』
きめぇ丸VSゆっくりあや、十番勝負…
『料理対決』
『写真撮影対決』
『競争』
『みたらし団子たれ対決』
当初の予定を外れ、勝負の数はとうに10を越えなお続き…
『エマニエルイス取り対決』
『エア獅子舞対決』
『万国旗出されたら負けよ対決』
『顔面パンスト脱がし対決』
もはや誰もが、この勝負の意味を見失っていた…
おお おお
次の対決を三日後に控えたその日、あやの自宅にもみじが訪れた。
「もういいでしょう、あやさん。こんな戦いやめましょう」
「もみじ…何度も言うようですがこの戦い、やめるわけにはいかないのです。そしてこれも何度も言った事ですが…」
, へ
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Vヽル/ ヽiヽ `"'、.|
「もうやめましょうよ、本当に。もうどっちがいくつ勝ってるかもわからなくなってるじゃないですか。これ以上続けても辛いだけ、むなしいだけですよ」
「たといそうだとしても、私は戦い続けます。やめるわけにはいかないんです」
「まったく、何があやさんをそこまで頑なにさせるんですか…馬鹿鴉の分際で」
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レ'"´ ル"レ
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'、 ! /,!'、(ヒ_] ヒ_ン ハ! 八:::::/|::::i`(○) (○)|:/:::::::::::::! くソ
i. ヽ. V ハ''" ,___, "'!ノ ! ヽ;ハ|::7" ,___, /:::!::::::::/:::::;ハ
ハ, )ヘ`ヽゝ、 V V 人| シャキーン ム /;:> ヽ _ン ";';::::/:::::::::/
,' ヽ. _V>ソ`; ー-r='i´/ _ノ´:::::ヽ、, |::/::::::::::::/
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レ'"´ ル"レ
「…とにかく、私は戦います、戦い続けます」
「今までたくさん、ひどい目にだってあってきたじゃないですか。そんな思いをこれからも続けるつもりですか?」
「…続けますよ。私は、続けなければいけないんです。ここでやめたら、私が私でなくなってしまう…そんな気がするんです」
「あやさん…」
もみじに背を向け、虚空に向かって呟く。その様はまるで、自分に言い聞かせているようでもあった。
「それでも…こんなの、全然『ゆっくり』してませんよ!」
「っ!」
もみじの言葉が心に突き刺さる。今までの戦いで受けたどんな傷よりも痛い。そんな気がした。
「戦って、争って、傷つけあって、勝って負けて…それを繰り返して、最後には何を得られるって言うんですか!こんな戦いに意味なんて」
「あります!」
もみじの言葉を遮り、あやが叫んだ。
ここだけは譲れない。
絶対に譲ってはいけない。
言葉に出来ない、理屈ではない何かがあやの心を揺さぶり、その一言を叫ばせた。
「意味はあります、この戦い…誰もが、私自身が意味を見失っていたとしても、必ず意味はあるんです」
「あやさん、でも…」
もみじは次の言葉を続ける事ができなかった。もみじもあやと同様、言葉に出来ない何かが、彼女の口を鈍らせた。
「私は、戦い続けます…………そして、勝ってみせます…………………この……………」
対決前日、もみじはきめぇ丸の自宅を訪れた。あやの説得に失敗した今、対戦相手であるきめぇ丸の説得に向かったのだ。
「きめぇ丸さん…こんな不毛な戦い、もうやめてください」
「もみじ…残念ですがもう誰にも止めることは出来ないのです…というかその前に…」
, へ
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'、 ! /,!'、(ヒ_] ヒ_ン ハ!
. ヽ. V ハ''" ,___, "'!ノ
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ヽ,_,ノ ハ -=‐ レrレ' かまないでください
, -〈 ヾ lハ _> __,l' {._.)
! _..ノ Vル、人 `r 'ハ/>‐、
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「きめぇ丸さんまでそんな事言って…こんな事を続けて何になるんです」
「何もならないかもしれない…いえ、おそらく何にもならないのでしょう。しかし、私は戦い続けなければいけないのです…」
「何もならない、何も得られない戦いを続けるなんて間違ってますよ!おかしいですよ!カテジナさん!」
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'、 ! /,!'、(ヒ_] ヒ_ン ハ! レヽ.,トl ー=‐' / li、,_,,ノ
i. ヽ. V ハ''" ,___, "'!ノ ( ,}' ', レヘ, /レ' ,/ .>‐、
ハ, )ヘ`ヽゝ、 ヽ _ン 人| .7'´ レ1 ヽ 人ル'レ' .i、 _ノ
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'、 ! /,!'、(ヒ_] ヒ_ン Uハ! レヽ.,トl ー=‐' / li、,_,,ノ
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ハ, )ヘ`ヽゝ、U ヽ _ン 人| .7'´ レ1 ヽU 人ル'レ' .i、 _ノ
,' ヽ. _V>ソ`; ー-r='i´/ , ‐'、 レ~i`ヽ 、 _ __ - ´
!、_ノ
「…戦いますよ、私は。あの偽者も、そう言ったんでしょう?」
「それは…」
「わかってますよ。あっちの説得に失敗したからこっちに来たんでしょう?」
「………」
「同じ事です」
きめぇ丸は細い目をさらに細めて、遠くを見つめる。その瞳にもみじは映っていない。彼女が見据えているのはきっと。
「あっちの説得に失敗した時点で…いえ、違いますね。そんなのは関係ありません。そもそも最初から説得など不可能だったのです。私達はきっと、戦う宿命なのです」
「………」
それは、もみじにも半ばわかっていたことだった。しかしいざ言葉にされると、心にずっしりとのしかかってくる。
『諦めろ』
そう言われているのと同じなのだから。
「次の戦いは…」
暫しの沈黙の後、きめぇ丸が口を開く。
「相当、苛烈なものとなるでしょう」
「それでも…行かなきゃならないんですか?」
「…」
きめぇ丸は無言で、力強く頷く。そして少し口元を緩める。
「心配いりません、と言うのは少し違うとは思いますが…勝ちますよ、私は。この…」
かくして、戦いは始まった。
今回の対決に種目名は無い。
強いて言うならば、戦い。何の飾り気も、審判も、ルールも無いシンプルな戦い。互いを傷つけあい、滅ぼしあう、もっとも根源的、原始的で無情なる生物同士の闘争。
2人は帽子から発生する粒子を撒き散らし、戦場を縦横無尽に飛び回り、絶えず攻撃を続ける。飛び交うビームが空を裂き、死と破壊を撒き散らす。
「む…」
「今だ!」
空中できめぇ丸の体勢が揺らぐ。その瞬間を逃すまいとあやが高出力のビームを打つ。
「おお、甘い甘い」
しかしきめぇ丸はシールドを展開し、それを受け止める。そして、そのまま反撃に転じる。
「そんなものに!」
あやも負けじときめぇ丸の攻撃を回避し、反撃する。両者の実力は拮抗しており、一進一退の攻防を繰り広げていた。
「なかなか手ごわい…しかし、負けるわけにはいきません!」
「それはこちらも同じです」
あやは地表スレスレを飛行しつつ、きめぇ丸の攻撃をかわす。舞い上がった土埃に紛れてきめぇ丸の視界から隠れつつ、ビームを連射。その程度の攻撃はきめぇ丸も読んでおり、難なく回避する。
「おお、セコいセコい。さすがは偽者、姑息な手を使いますね」
「知的と呼んでほしいところですね」
「!」
危険を察知したきめぇ丸が本能的に回避行動をとる。きめぇ丸の髪先が、あやの放ったビームによって焼き焦げる。あやはきめぇ丸の回避運動まで読んだ上で攻撃を行っていたのだ。
「おお、惜しい惜しい。さすがは偽者、生き残る術に長けていますね」
「く…!」
意趣返しともとれる挑発的な台詞に苛立ちを覚えたきめぇ丸は、まっすぐあやに向かって突っ込んでいく。あやは迫り来るきめぇ丸とは逆方向に逃げながら、きめぇ丸のほうに向かって細かいビームを雨霰のように撒き散らす。
きめぇ丸は、飛来するビームを回避し、迎撃し、時には被弾しつつもあやとの距離を詰めていく。そして突然、体を反転させた。
(まずい!)
「受けなさい」
きめぇ丸は接近しつつ、あやの死角となる部分で粒子を圧縮し、エネルギーを溜めていた。それを今一気に、ショットガンのように炸裂させた。
「ちぃっ!」
あやは懸命に回避し、シールドを展開して防御するも数発のビームに被弾する。
「偽者のくせに!」
「それはこちらの台詞です」
防御と回避に気をとられていたあやの目前に、突如としてきめぇ丸が現れる。きめぇ丸はそのままあやに体当たりを行い、その体を地面へと叩きつけた。
「まだまだ!」
あやは地表に激突する寸前で体勢を立て直し、再び飛翔した。地面に激突した後の追撃を考えていたきめぇ丸は一瞬出遅れ、あやの接近を許してしまう。あやは扇状に展開したビーム・ファンを下方から振り上げ、きめぇ丸は同じくビーム・ファンを寸でのところで打ち下ろし、受け止める。両者のビーム刃が干渉し、激しい閃光とスパークが巻き起こる。
「私は、負けるわけにはいかないんですよ…!」
両者は暫く鍔迫り合いを行った後、再び距離をとり射撃戦に移行する。
「そんなもの、私だって同じです」
2人は互いの攻撃をかわしながら接近と離脱を繰り返す。
「もう、たくさんなんですよ…!」
「もう、うんざりしてるんです…!」
このままでは埒が明かない。そう判断した二人は一気に勝負を決めにかかる。
「「あなたを倒して、私は!」」
一直線に接近する2人は一度、至近距離ですれ違い、
「『本物』を取り戻す!」
「『本物』を手に入れる!」
大きく円を描き、再び接近する。両者とも最大出力のビーム・ファンを構えながら。
「「消えなさい、この…」」
そして2つのビーム刃が激突する。
「「『偽者』め!」」
その瞬間、2人は光に包まれた。
「なんだ、『偽者』のほうか」
言われた。
また、言われた。
言われるたびに、傷がつく。
言われるたびに、ひび割れる。
私の心が、プライドが。
私の存在そのものが。
「君さ、募集要項見てないの?『偽者』はお断りなの。まったく、これだから偽者は図々しくて…」
違う。
『偽者』なんかじゃない。
私は「ゆっくりあや」だ。
「きめぇ丸の『偽者』」なんかじゃない。
「ゆっくりあや」なんだ。
「どうして私じゃダメなんですか!?」
「いや、だってホラ…」
やめて。
やめて。
言わないで。
「『偽者』だし…」
お願いだから。
私を、『偽者』と呼ばないで…。
いくらそう願っても。
何度そう望んでも。
私は『偽者』と呼ばれ続ける。
いつまでも、ゆっくりできないままでいる。
ならば、道は一つしかない。
あの『偽者』を滅ぼして、私は『本物』を取り戻す。
「きめぇ丸」
呼ばれた。
また、そう呼ばれた。
そうだ、私は確かにきめぇ丸だ。
しかし私は、ゆっくりあやでもあるはずなのだ。
「お母さん、私はゆっくりあやではないのですか?」
「私達はきめぇ丸、ゆっくりあやではなくれっきとした『きめぇ丸』です」
「では、私達はゆっくりではないのですか?」
「………」
「お母さん…」
「…私達は、『きめぇ丸』。それ以上でもそれ以下でもありません」
小さなころに抱いた疑問は、私の中で燻り続けた。
私は確かに、きめぇ丸だ。
しかし私は、ゆっくりでもあるはずなのだ。
なのに私は、ゆっくりを名乗れない。呼ばれない。
呼ばれるのはただ、『きめぇ丸』。
「私は…一体…」
ゆっくり、何なのか。
誰もそれに答えてくれない。
誰もその答えを知らない。
誰もその答えを持っていない。
私はただ、ゆっくりとしていたいだけなのに…。
いくらそう願っても。
何度そう望んでも。
私は『きめぇ丸』のまま。
いつまでも、ゆっくりになりきれずにいる。
ならば、道は一つしかない。
あの『ゆっくり』を滅ぼして、私は『本物』のゆっくりとしての私を手に入れる。
「………」
「………」
気がつくと、2人は光の中で向き合っていた。
ここがどこだかはわからない。しかし周囲は柔らかく、優しい光に包まれており、不思議と不安は感じない。
「今のは…」
「あなたの…」
それきり、2人は暫く沈黙した。
2人が今見た光景。それは、戦場に充満した高濃度の粒子と、2人の強い思いが引き起こした互いの記憶のフラッシュバック。
突然見せられたそれを理解し、整理するのには、少しの時間が必要だった。
「私達は…」
やがて、あやが口を開く。
「私達は、同じだったんですね」
思うことは同じだ。きめぇ丸も続けて言う。
「2人とも同じように、『本物』になりたくて」
「もう一方を認めず」
「受け入れず」
「争いあって」
「滅ぼしあって…」
「おお…」
「おお…」
「おろか…」
「おろか…」
2人はここで、ようやくお互いを知る事が出来た。
もはや戦意は無い。目の前にいるのは、憎き偽者ではない。一個のゆっくりであり、同じものを追い求めた同志であり、それは自分自身であるともいえる。
やがてあやは向き直った。光の強い方向へと。
「行きましょう。私達は、ゆっくりする必要があります」
「…いいのですか?」
2人にはわかっていた。今ならまだ引き返せるが、あの先へ行けばもう戻れない。
あの先へ行く事は、今の自分を失う事。
そして。
「いいも悪いもありません」
あやはそう言って、にやりと笑った。
まるできめぇ丸のように。
「そうですね…そう、私達には…」
きめぇ丸はそう言って、穏やかな表情になった。
まるであやのように。
「生きている意味が、あった…」
2人は、光の中から戻ってくる事は無かった。
あの瞬間、あやときめぇ丸は激しい戦いの中、最大出力で激突し、両名ともに一瞬にして閃光の中で消滅した。
戦いをモニター越しに観戦していた者たちは一様にそう結論付け、また歴史にもそう記録された。
―――――15年後。
へ ,
/__:::!__\_
. ., '´イ:::::::::::::i::::::::゙i `ヽ
ZZZZZZ.... .,.´ └----'-ー``' 丶
.,' ,' , ! 、 '., `,
/,' ; ノ, !゙i ハ Y ', _,,ゝ
'‐-| ! ∨_ V .'、.| __ヽト、 i ´ .|
!ハ i ー ー !ヘ .! ,'
ゝ!'" ,___, "'ハ V . ノ
|人. くノ´ ヘ(
Y`i'=r-ー ;レ<V_
「もみじ」
へ ,
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. ., '´イ:::::::::::::i::::::::゙i `ヽ
.,.´ └----'-ー``' 丶
…ん? .,' ,' , ! 、 '., `,
/,' ; ノ, !゙i ハ Y ', _,,ゝ
'‐-| ! ∨_ V .'、.| __ヽト、 i ´ .|
!ハ i(ヒ_] ー !ヘ .! ,'
ゝ!'" ,___, "'ハ V . ノ
|人. くノ´ ヘ(
Y`i'=r-ー ;レ<V_
呼ぶ声に、もみじは目を覚ます。そして、懐かしいその声を思い出した。
「その声は…まさか…」
「こんなにも長く、時間がかかってしまいました」
これが、2人の出した答え。
あやでもなく、きめぇ丸でもなく、あやでもあり、きめぇ丸でもある存在。
彼女たちは一つになることで全てを失い、全てを手に入れたのだ。
「すれ違ってばかりいましたから…」
もみじの声は震え、その目元には涙が浮かぶ。
「しかし、求めていたものは同じです」
2人はゆっくりとその距離を縮める。
「もみじ…あなたが正しかった」
「あやさん達も、間違ってなかった…」
そして2人は身を寄せる。
「「私達は…」」
へ ,
/__:::!__\_
., '´イ:::::::::::::i::::::::゙i `ヽ
.,.´ └----'-ー``' 丶
.,' ,' , ! 、 '., `,
/,' ; ノ, !゙i ハ Y ', _,,ゝ
'‐-| ! ∨_ V .'、.| __ヽト、 i ´ .|
!ハ i(ヒ_] ヒ_ン) !ヘ .! ,'
//ゝ!'" ,___, "'ハ V . ノ
,..└'"´ ̄  ̄ V V くノ´ ヘ(
,. '´ 、 、 ヽ ヽ ;レ<V_
ゆっくりすることができ… ノ , lヽ N/ヘ、ヽト、_,,',
かまないでください r'´ r'"イ、ノ\| レ' ヒ_ン)Vl ( )
{ !、 l (ヒ_]::::::::::::: / `'''l.>‐ 、
レヽ.,トl -=‐ / li、,_,,ノ
( ,}' ', レヘ, /レ' ,/ .>‐、
.7'´ レ1 ヽ 人ル'レ' .i、 _ノ
, ‐'、 レ~i`ヽ 、 _ __ - ´
!、_ノ
-おしまい-
♪クオリア
,、
,,、 /ハ\
./ ハ\ _/-─-i‐ヘ- ..,,_
, r' ´ ̄ ̄`゛'┘ー . いつたーいむなー ,..::'"´:└──'─'::::::::::::`'::.、
,r' , r ' ` 、 /:::::::/::::::::!::::::::::::';::::::::::::`ヽ;:::::ヽ.
_i;,._,イ ハ, ト、人N、 ' , ああー /:::::::::::;'::::/::ハ:::::::::!:::!:::::::::::i:::::::';::::::::',
(. .) /Vヾ V r=-!、 ヽ !::::::::::::|:::/メ!_|::::::/!/|-‐ァ:;ハ:::::::ト、::;;_!_
,. ‐<;'''`. 〈 rr=- .'i ノ ) しーみなー !::::::::::;ハ:7__,.ハ|/ 、!__ハく!::!::::::/:::::::::| `ヽ
ヽ,_,ノ ハ ー=‐' レrレ' 八:::::/|::::i`(ヒ_] ヒ_ン)|:/:::::::::::::! くソ
, -〈 ヾ lハ _> __,l' {._.) ! ヽ;ハ|::7" ,___, /:::!::::::::/:::::;ハ
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レ'"´ ル"レ
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(. .) /Vヾ V r=-!、 ヽ
,. ‐<;'''`. 〈 rr=- .'i ノ ) おお
ヽ,_,ノ ハ ー=‐' レrレ'
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あや やや やや !::::::::::::|:::/メ!_|::::::/!/|-‐ァ:;ハ:::::::ト、::;;_!_
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ム /;:> ヽ _ン ";';::::/:::::::::/
_ノ´:::::ヽ、, |::/::::::::::::/
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, r' ´ ̄ ̄`゛'┘ー . やっとー ,..::'"´:└──'─'::::::::::::`'::.、
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_i;,._,イ ハ, ト、人N、 ' , で /:::::::::::;'::::/::ハ:::::::::!:::!:::::::::::i:::::::';::::::::',
(. .) /Vヾ V r=-!、 ヽ !::::::::::::|:::/メ!_|::::::/!/|-‐ァ:;ハ:::::::ト、::;;_!_
,. ‐<;'''`. 〈 rr=- .'i ノ ) あーえたーんだーねー !::::::::::;ハ:7__,.ハ|/ 、!__ハく!::!::::::/:::::::::| `ヽ
ヽ,_,ノ ハ ー=‐' レrレ' 八:::::/|::::i`(ヒ_] ヒ_ン)|:/:::::::::::::! くソ
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! _..ノ Vル、人 `r 'ハ/>‐、 ム /;:> ヽ _ン ";';::::/:::::::::/
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レ'"´ ル"レ
勝負内容:戦い
決着:そんなものに意味はない、必要ない、捨てろよ
元ネタ:劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-
冒頭にある見覚えの無い対決は山崎VSモリマンの種目から拝借しました
あと、タイトルは『ダブルおお』と読みます
書いた人:えーきさまはヤマカワイイ
- おお……
何という労力を -- 名無しさん (2011-09-01 00:28:51)
- 対話で終わらせたwwwww太陽炉なんて得体の知れないもの搭載するからこんなことに!!いや、結果的にはとてもハッピーエンドですがw
しかしフラッシュが凝っててスゲェ!普通にスゲェ!
感動的な終わりでしたもみじ可愛い。 -- 名無しさん (2011-09-01 00:30:39)
- いや、本当に凄いわ 凄すぎ!
二人の苦悩にホロっときたと思ったら、もみじに全部持っていかれたw
これは名作 -- 名無しさん (2011-09-01 00:34:32)
- 偽者と言われるのが悔しかった・・・ゆっくりと言われないのが悔しかった・・・
でも私はこの新しい帽子で全てを薙ぎ払う! -- 名無しさん (2011-09-01 16:37:59)
最終更新:2011年09月01日 16:37