出産や傷ついている表現があります
また俺設定とかオリジナル人物が使われているので気になる方はスルーしちゃってください
ゆっくりのお医者さん
今日もまた朝日が上り、一日の始まりを告げる。
此処は幻想郷の隅っこ。人里から大分離れた位置にある高山地帯。
木々は生い茂り、川はやさしく流れあらゆる存在がゆっくりと在る。
そんな厳しくもやさしい自然に抱かれた山々が連なる普通なら人も入り込まないような場所の原っぱに
なぜか一軒だけ円筒形が重なった形のレンガ造りの小さな家があった。
斜陽が窓の隙間から入り込み未だに布団の中で愚図る小さな家主の眼を刺激する。
部屋の中は殆ど整理されておらず、書きかけの文章が机の上で散乱し
床には衣類が放置されおよそ其処が女性の部屋とは思えないほどに荒れ果てていた。
更に数刻後。日は高く上り行き眩しい日差しに観念したかもそもそと手を卓上へと伸ばし眼鏡を取る。
そしてむくりと起き上がったものは、どう見ても幼子にしか見えない
小さく見た目は可憐ではあるがぼさぼさな長髪などから不精な印象を与える少女であった。
ゆるゆると起き出して髪を整えた後、引き出しから何時もの衣装を揃えはじめる。
ゆったりとした着物の上にまるで木の棒に蛇がのたくった様な模様の付いた
いわゆるローブと呼ばれる外套を着、最後に十字があしらわれた不思議な形の帽子を被る。
身支度を整え同じようにゆるゆると階段を降りて左手に在る一室へ向かうと其処には
「「「「「ゆっくりしていってね!!! せんせい!!!」」」」」
「うん、おはよう皆の衆」
木で作られた、それなりに大きい家畜小屋くらいの大きさのケージに入れられた
人の顔をした饅頭のような生き物達…ゆっくりが上りかけた太陽に照らされテカテカと笑顔を浮かべていた。
せんせいと呼ばれた少女にゆっくり達はすぐさまケージから飛び出し、
様々な大きさ、色とりどりのゆっくり達がぴょんぴょんと駆け寄ってくる。
このケージはとある里の大工が作っていた、ゆっくりハウスというものの改良品だ。
ケージの中には藁が敷き詰められ未だ寝息を立てているものや外に出る事無くそのままの状態で居るものもいた。
此処はゆっくり達にとって、とてもゆっくりできる快適な場所であるようだ。
「せんせい! ごはんをちょうだいね!! あとおかあさんにおみずをわけてあげてね!!」
「ゆっ、おかあさんにおみずをあげるほうがさきだよ!! わたしたちはあとなんだよ!!」
「せんせいせんせい! ここにきてからまりさとってもゆっくりできてるみたいだよ!!」
「むきゅ! みんなしずかにしてね!! せんせいがこまってるわよ!!」
「あーうー! せんせい!! さなえのところにはいつもどっていいのかな!!」
大小様々、形も正確も全く違うゆっくり達が少女の行く先を追いかけては口々に喋りかける。
しかし共通して彼女を指す言葉は常に『せんせい』という言葉だった。
「あー諸君、まだ眠っている子も居るのでもうすこしゆっくりしていてくれ」
唐突に少女は振り向き足元に群がる小さなゆっくり達に向かい、
口元に指先を立て、しい、と語りかけるとちいさなゆっくり達はハッとして徐々に声のボリュームが下がる。
「「「ゆっくりごめんなさい! せんせい!!」」」
若干ボリュームを抑えられた何時もの言葉と共に小さいゆっくりたちはそそくさと一箇所に集まっていった。
少女はそれを見、嘆息と共に微笑を浮かべ残りのケージを開けてゆく。
ケージそのものは隙間が大きく開いており、天井も開いているため中の様子が直ぐに見えるようになっている。
其処ではとてもちいさなゆっくりが大きなゆっくりの傍らで寝息を立てていたり
あるいは頭の頂点に小さな茎を付け、実をつけているゆっくり
はたまた底面が大きく膨らんでいるゆっくり、包帯でぐるぐる巻きにされ形が歪なゆっくりまで様々居た。
そう、此処はゆっくり達の病院だったのだ。
「それでは皆、いただきます」
「「「「「ゆっくりいただきます!!!!」」」」」
ケージから小さなゆっくり達が全て出られた後
全員分の食料を調理した少女は一同そろった所で食事を取ることにしている。
こうする事でゆっくりたちを身近にとらえることが出来る…かもしれないと少女は思っていた。
「ハフハフッ! これむっちゃうめ!!」
「とかいはのわたしはそんながっつかないわ!! じょうひんなたべかたはこうよ!! むーしゃむーしゃ♪」
「じゃおぉぉぉんっ」
「みょ~~~ん!!」
「わかる、わかるよー!!」
とはいえ食事となると夢中になりがちなのもゆっくり達でもあるため
その目論見は半ば薄れ、単純に一緒に食事を取るという単なる習慣になりつつあった。
各々の食事が終わり、食器を片付けた後、少女は未だケージの中で動かない・動けないゆっくり達へ食事を持って行く。
ケージに入っている殆どのゆっくりには頭の上に茎のようなものを生えていたり、底面の下半分が膨れている。
このゆっくり達はこれから母親になるもの達だった。
母体となっているゆっくり達はほぼ動くことが出来ない。
身体的な変化もさる事ながら意識がどうしても子供の方へ向いてしまい
注意力が散漫となり非常に危険であるためなるべく動かないよう勤めてゆっくりしているのだ。
しかしながら体内の栄養を子供達に分け与えていることもあり体力の消耗は通常よりも早く食料を倍近く必要とする。
「とりあえず経過は良好…と、栄養状態は大丈夫か?」
「ゆっくりできてるよ! ごはんがたりなくなったられいむがとってきてくれるからあんしんできるよ!!」
「ふむ、良き哉良き哉。次の子はー…っと」
このまりさのように、家の中にはほぼフリーで出入りすることも可能な為
一度の食事で賄えない分は野生のゆっくりと同じように追加してとって行く事も出来るようになっている。
むしろ食事を受け取ることを必要とせず、外に直通できるスペースのみを借りて
八割がた野生での生活習慣のままのゆっくりすらこの場所には存在していた。
「…ふむ、生育状態は全体的に順調…と。では次、傷口の様子はどうかね?」
「ゆ…ゆっ…だいじょうぶだよ」
中ほどからやや外れた位置にあるケージの中には包帯が巻かれ痛々しい格好のゆっくり達が居た。
思いがけず他の野生動物に襲われたり山や木など高所から落下してしまい皮がやぶけてしまったゆっくりだ。
元来ゆっくりという生き物は半妖に近い生態を持っている為、可也頑丈に出来ているものでは在るのだがそれでも限度がある。
表面的な擦り傷などは物の数分で完治するが中身が出てしまう程の大怪我となると勝手が違うようで、
そのまま放置されてしまえば中身が全て抜け出てしまいほぼ確実に死に至ってしまう。
此処に居る大怪我を負ったゆっくり達は運よく通りがかった他のゆっくりに救助され
一命を取り留め運ばれてきたゆっくり達なのだ。
少女は手馴れた手つきでゆっくりにかけられた包帯を取り
傷口に薬草を溶かし込んだ溶き粉を練り込んでゆきまた同じように包帯を取り付けてゆく。
こうすることにより徐々に表面積を再最適化し再びもとの形状へ戻ることが出来るのだ。
「傷も大分ふさがってきたみたいだしそろそろ動けるようになると思う。養生しなさい」
「ゆ、ありがとう、せんせい」
少女はゆっくりの前で手をひらひらとした後、次の怪我ゆっくりの様子を見る。
少ないながらもこういった患者は現れるものなのだ。
「ふう…これで入院中のゆっくり達は完了と。さて次は往診だな…」
怪我をしたゆっくり達を診察し終えた少女は新たに外套を羽織りカルテを纏めて外へ向かう。
最近では人里近くにも時折ゆっくりが出没し、更には人間と共に暮らすゆっくりも存在している。
野生のゆっくり達から薬草や木の実等の謝礼を貰う事は在っても基本的にお金が貰える訳ではない為
ほぼゆっくり専門医になりかけている彼女はそういった類のゆっくりを診察する事や
本来の人間の外科医としての治療費等でこの病院は生計を立てているのだ。
「お前達ー、昼は何時もの通り自分達で取ってくるんだぞー。」
「「「「わかったよ!!! ゆっくりいってらっしゃい!!!!」」」」
表のドアから少女とともにゆっくり達が飛び出し伸び縮みするように遥か彼方へ飛んでゆく少女を見送っていった。
少女の姿が雲の向こうに見えなくなった後ゆっくり達は各々の家族で
怪我をしたゆっくり含め自分達の食料を取りに森の中へと駆け込んでゆく。
今は少女と一緒に住んでいてもいずれは森の中に帰ってゆく定め。
ゆっくり達は自分達の力で立たねばならないことをゆっくりなりに理解していた。
所変わってここは人里。外れの方では藁葺きや瓦の屋根の家ががそこかしこに存在し
町の中央に行くにつれ人の活気に満ち溢れて行くが、残念ながら彼女が向かう先はそういった市街地ではない。
若干外れの方、広い野原にたわわに育った果実や野菜が軒を連ねたいわゆる農耕地帯と呼ばれる場所だった。
「こんにちは皆さん、お体は大丈夫ですか?」
「ゆっきゅりー!」
「せんせいだー!」
「ゆっくりしていってね!!」
少女が農家の玄関口で挨拶するとこれまた大小さまざまなゆっくりが飛び出してくる。
其処での彼女の仕事といえばやはり基本はゆっくりの往診。
それと時折現れる野生のゆっくりとの付き合い方を教える事だ。
ともあれこうして彼女の一日はゆっくりと過ぎてゆく。
日が徐々に傾きかけてきた所で少女は帰宅する。
だが、彼女にはまだ仕事が残っていた。
「はい次のゆっくりー」
「ゆっ、ゆっ、ゆっくりしていってね!!」
居間を囲んでのゆっくり診療。それが大体日が落ちる辺りまで続く。
ただし山林の奥深くに住み着き多少の怪我では動じないゆっくり達が相手な為
それほど多くの来客…もとい来ゆっくりは訪れないが時折大きな怪我を負ったゆっくりや病気のゆっくりが訪れる事もある。
「せんせえ! ちぇんをたすけてね!!」
「わがらない、わがらないよぉー!!」
「あー分かった分かった、兎に角ジタバタするな。チョチョイと治してやるからちょっと押さえつけていてくれ」
時にはもげてしまったちぇんのしっぽを繋げ直したり
「ゆ゛ゆ゛っ…せ゛んせ゛い、なんだかからだがあついよ…」
「分かったわかった。はいゆっくりアーンしてね」
(…扁桃腺のようなものが腫れている…風邪なのか? 妖精みたいな生態のくせに難儀なやっちゃ)
時には風邪引きゆっくりを診てあげたり
「ゆっくししちぇいってね!!」
「うむ、ゆっくりしたいな。だがゆっくりとして外の世界を生きる為には色々あってだな…」
時に親からはぐれ、孤児となってしまったちびっ子ゆっくりの面倒を見る事もあった。
忙しいながらも充実した時間をすごす内、やがて日は傾き山間に全てを照らす灯火が降り
小さな家以外から光が漏れ出す事が無くなった頃。
「フゥー…う…っと」
小さな体の柳のような細い首をコキコキと鳴らし、本日の診察を終え少女はゆっくりと肩の荷を降ろす。
が、唐突にその余韻は阻止される。
「せんせい! まりさのあかちゃんがうまれそうだよ!!」
扉に取り付けられたゆっくり専用の小さなドアから顔を出したゆっくりれいむに告げられ
少女はハッとして奥のゆっくり達の部屋へ向かう。
部屋の中では数匹のゆっくり達が件の生まれそうなゆっくりを心配そうな表情で見つめている。
ゆっくり達の目線を見やればそこには胎生出産のゆっくりがいつも以上に苦しそうな表情で
しきりに体を動かし体勢を変え、まるでのた打ち回るかのように激しく動き回っていた。
ゆっくり達の繁殖方法は様々あり、一概にコレと決まったものも無い。
ある日唐突に分裂して増えたというものもあるらしい。だがこの行動はあまりにもおかし過ぎた。
このまま続けていてはお腹の中の子を痛めてしまう可能性がある。
「これは一体どういう事だ? ゆっくりと説明できる奴、してくれ」
少女はしゃがみ込み、ケージの外でオロオロとする小さなゆっくりたちに話しかける。
その言葉に紫色のゆっくり…ゆっくりぱちゅりーが反応し、他のゆっくりは道を譲る。
「むきゅ、せんせいがしんさつしおわったころ、きゅうにあのまりさがくるしみだしたの。
さいしょはうまれるちょうこうだとおもってみていたんだけど、どんどんくるしみだして…」
他のゆっくりよりも頭の良いゆっくりぱちゅりーの説明に少女先生は
脳みそをフル回転させ思い当たる事柄を探り出しながら、とりあえずケージの中で動き回るゆっくりまりさを引っ張り出す。
だが取り出したゆっくりまりさは気が動転しているのか腕の中でもプルプルと暴れたままだ。
「まりさ、私の声が聞こえるか? このまま暴れているとお前の子供がお前の中で潰れてしまう。
だから少し落ち着いてゆっくりしているんだ、いいな?」
下膨れになったゆっくりまりさを正面に見据え、丁寧に語りかけると
若干落ち着いたようでその振動を徐々に緩めて過呼吸気味だった息は徐々に落ち着いてゆく。
しかしいくら少しばかり元に戻ったところで恐らくこのまま流産してしまう可能性は高いと少女は見た。
先ほどまでの衝撃で下膨れの中央に位置する穴…人間で言う産道が開きかけてしまっていたのだ。
少女は急いでまりさの全身を見やる。
外傷によるものならどこか異常な箇所があれば見てすぐに分かるはずなのだ。
しかし外的要因は見当たらず、何が原因なのかは全く特定出来なかった。
少女は考えながらも触診を続ける。外面には全く裂傷など危険なサインは出ていなかった為
内部に特定し検査方法を切り替えたのだ。
入念に手で探ってゆく。母体の方は体力こそは落ちているが
完全に健康なゆっくりそのものであり特にこれと言って反応は無かった。
だが下膨れの子供の元が在る場所を触った途端
「ゆ゛ゆ゛ーーーーーっ!!?」
ゆっくりとは信じられないほどの力で私の手から逃れようとし
吃驚してしまった少女はつい手を離してしまう。
「しまっ…!?」
無常にも重力に導かれるまま落下してゆく母体まりさ。
このまま落ちてしまえば流石のゆっくりのプニプニボディでも耐える事が出来ずに全て自壊してしまうだろう。
「じゃおおおおっ!!」
「ゆゆーーーーーっ!」
「ゆゆゆっーーーーっ!」
瞬間、飛び出したつがいのれいむ含む数匹のゆっくり。
各々底面のもっとも柔らかい箇所を巧みに使い、空中で受け渡しあう格好となり
最後に数匹のゆっくり達が自身の体で受け止め事無きを得たのだった。
「…ふぅー…、すまない、助かった」
少女はそう言って助けたゆっくり達を撫で、冷や汗に塗れながら再び母体となったまりさを
机の上にやわらかいものを敷き、其処に置いて調べだした。
患部は特定された。しかし一体なぜ苦しんでいるのか
どうして生むことが出来ないのか非常に大きな疑問が残されていた。
産道が開きかけているので多少マッサージをすることで一匹ずつ出すことも可能な筈だった。
しかし現状では下膨れに触ること自体が危険なようで、下手をすれば先ほどの二の舞である。
かといってこのまま放置すれば母体まりさそのものの生命を危ぶめてしまう。
「まりさぁ…がんばってぇ…」
「う゛…う゛…」
つがいになっていたれいむが母体のまりさに寄り添い不安な声をあげる。
だがせっかく一度は助け出したのにどうすればいいのか分からないまま時は過ぎ、
その場にいる一人+全ゆっくりがうんうんと唸っている最中
ふとボーン、ボーンと時計の鳴る音が辺りに響き渡る。
「…もうこんな時間か」
彼女は時計の見かたを知らない。ただ知り合いの河童がこれを取り付けに来た時
大体日付が変わる数刻前に一度大きく二度鳴ると説明していった。
生活習慣として一応はその音が鳴る頃に風呂を沸かしゆっくりと共に入る事にしていたが…
「…まてよ…風呂…?」
流石の先生でも無理なのではないか、と立ち上がった少女を不安げな目線で見るゆっくり達。
しかし少女の目線の先には明確な意思が存在していた。
「…分かったぞ! みんな、急いで風呂の支度だ!」
「「「「ゆゆっ!?」」」」
先生の一言にゆっくり達は驚き目を白黒させた。
「出口が詰まっているなら緩くさせてあげればいいんだ」
少女とゆっくり達はこのときばかりはいそいそと風呂の支度をし始めた。
室内に湯気が充満する。ゆっくり診療所の奥に存在するのがこの給湯室ならびにお風呂だ。
水気の多い事を苦手とするゆっくり達にとってはあまり近寄りたがらない場所であったが
何故かお風呂などの温水にはそれなりに長時間浸かっている事も出来る為、少女とゆっくり達全員のゆっくりプレイスであった。
「ゆゆっ、それじゃああかちゃんがおぼれちゃうよ!?」
「だいじょうぶだよ! せんせいだからきっとかんがえがあるんだよ!!」
各々真っ二つな意見が飛び交い合いながらもゆっくり達が見守る中、
少女は湯船にぬるま湯を作り母体まりさを浸して頃合を計る。
「これで上手く行く筈なんだ…お客さん、ゆっくりできてますか~?」
「ゆ…ゆ~っく~り~…」
湯に浸かるまで下腹部(?)の痛みに耐えて強張っていた母体まりさの表情が徐々に和らいでいく。
その表情の変化に少女は内心ガッツポーズを取り、そのまま母体まりさの下膨れをゆっくりと刺激する。
「ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ…」
「はい、ヒ、ヒ、フー、ヒ、ヒ、フー、真似して」
「ゆ、ゆ、ゆぅ~、ゆ、ゆ、ゆぅ~…」
少女は医者として里の娘から赤ん坊を取り出すいわゆる産婆さんもやっている。
そして今回の場合、人間と同じような出産方法なら同じ方法が取れるのではないか? と考え
ゆっくり達に適したぬるま湯を作り、同じように取り出す方法を試してみたのだ。
「ゆう゛う゛う゛う゛っ!! う゛、ま゛り゛さ゛の゛あ゛か゛ち゛ゃん゛でちゃう、でちゃう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!」
「頑張って! はい、ひ、ひ、ふー、ひ、ひ、ふー!」
「ゆ゛っ、ゆ゛っ、う゛ー! ゆ゛っ、ゆ゛っ、う゛ー! う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」
母体まりさの動悸が激しくなると同時に下膨れが揺れ、もぞりと中が動く感触が少女の手に伝わる。
やがて其処に浮き出てきた顔がゆっくりと剥き出で
すぽーん!
蔦から生まれるゆっくりよりも若干大きめな赤ちゃんゆっくりが母体まりさの下腹部(?)から勢いよく飛び出しぬるま湯に落ちる。
だがゆっくり達はお湯に浮く習性を持っているため、湯船の中にに着水させれば衝撃で潰れてしまう可能性はほぼゼロにできる。
続けて2匹目…3匹目…4匹目…
「え…ちょ…まっ…」
少女は目を見開いた。
普通なら3~4匹が目安というゆっくりの胎生出産であったが、今回は未だに産道が開いたままで新しいゆっくりの顔がのぞきかけている。
そのまま続いて5匹目…6匹目…7匹目…8匹目…9匹目…を出したところでようやく産道が閉じた。
そしてぷるぷるとぬるま湯のなかで震える小さな赤ちゃんゆっくり達が一斉に目を開き、産んだ母まりさに向かって
「「「「「「「「「「ゆっくりしていってね!!!!」」」」」」」」」
少女は合計9匹の赤ちゃんゆっくりの大合唱を風呂場特有のエコー付きで聞くことになった。
「…くあー…まだ耳がキンキンするわぁ…」
風呂から上がった少女は肌着のまま自室の居間で一人牛乳を煽っている。
今回生まれた子供を含む他のゆっくり達は沢山生まれた事から喜び疲れたのか
風呂場で全員ひとしきり洗われた後、一斉にぐっすりと寝てしまったのだった。
少女は一人自室で今日の診察のレポートや出産の方法等を記して纏めている。
一人で賄う量としては大分大目ではあるが彼女は信じられないほどの速度でそれを書き上げてゆく。
未だに未知の部分の多いゆっくり達の為、日々彼女はゆっくり達の生態研究に余念が無い。
そうして夜が更け、川のせせらぎしか聞こえなくなった頃少女は就寝する。
翌日、新たに生まれた九匹の子供と共にまりさとれいむの親子が森へ帰って行く。
「「「「「「「「「「「せんせい! どうもありがとうございました!!」」」」」」」」」」」
「うん、達者で暮らせよ。ゆっくりとな」
「「「「「「「ゆっくりいきていくよ!!」」」」」」」
そう言ってゆっくり達は森の中へと消えていった。
これから後にこのゆっくり達がどうなるのかは分からない。
しかしゆっくり達の手に負えない異変が起こることがあれば彼女を頼って来るだろう。
ゆっくり達は彼女のことをゆっくりのお医者さんと呼んだ。
終わり
ゆっくり達のブラックジャック的な存在を描いて見たくなった。
動物病院というか野生動物との付き合い方という感じで
- ☆楽園の素敵なお医者様☆ゆっくり医 GJです♪ -- ゆっけの人 (2008-10-31 20:08:35)
- いい話ですな -- 名無し (2009-09-20 00:14:02)
- とてもいい話でした!GJ!! -- 名無し (2011-02-20 18:52:38)
- 最初と最後は良かった。特に最後の締めの部分は素晴らしい。 -- 名無しさん (2011-10-12 01:40:09)
- やっぱかわいいな ゆっくr「おにーちゃん なんでにやけてんの?」 i・・・ -- おにーたまと呼べ! (2012-08-13 21:06:55)
- なんで9匹も産まれたんだろう? -- 名無しさん (2014-04-05 12:22:58)
最終更新:2014年04月05日 12:22