【ファイアボール チャーミング ちくわぶボックス】
ロボット貴族のお嬢様“ドロッセル”と、その執事“ゲデヒトニス”が帰ってきた!
ディズニーが贈る高密度インダストリアル・ギャグ・短編アニメーション。
特典付きDVD&ブルーレイはオンライン専用数量限定商品で発売中!
はいはい、ステマステマ。
──────────────────────────────────
アパートの一室。
若い女性が玄関扉を開ける。きめぇ丸が入り口にいる。
「いらっしゃい」
「おお、失礼失礼」
「寒かったでしょ。紅茶飲む?」
「砂糖たっぷり入れてください。加糖茶で」
「ハゲヅラ連想させる言い方ね……あら、そういえば紅茶、切らしてたんだったわ。烏龍茶でいい?」
「めでたさも中くらいですねぇ」
「それは小林一茶。飲めないわよ。とにかくお湯なら沸いてるから」
「もっと手っ取り早く温まる方法がありますよ」
「え?」
きめぇ丸、女性を前から抱きしめる。女性、少し驚く様子を見せるも、抱き返す。
「心から温まりますね」
「バカね……」
きめぇ丸、手に持った手提げ袋を女性に見せる。
「さて、今日は御所望の物をお持ちしたんですよ」
「あっ、まさか」
「はい、『ちくわぶ』です。今日ようやく届きまして」
「わあ! 早く見たいわ」
きめぇ丸、手提げ袋から「ちくわぶ」を取り出す。正真正銘、どこから見てもおでんの具。
「……何これ」
「おお、心外心外。ちくわぶです」
「こっちが心外よ! そのまんまじゃない!」
「さて、DVDの挿入口は、と」
「何入れようとしてんのよ! 無理矢理やったって壊れちゃうわ!」
「あ、今の言い方、エロいです」
「はっ倒すわよ!」
「まあ、これは冗談。差し上げたいのはこっちの方です」
きめぇ丸、手提げ袋から綺麗なケースを取り出す。
「バレンタインのお返しです。女が女に、チョコにチョコを返すというのも変かもですが」
「あら、嬉しい」
「さて、DVDの挿入口は、と」
「だからやめい!」
「おお、怖い怖い(首を振る)」
「つまらないネタを繰り返しても受けると思わないでよね!」
「(ポーズを取って)『あなたは口を挟まないで』」
「ドロッセルの台詞使うな!」
「おお、怖い怖い(首を振る)」
女性、ため息をつく。
「まあ、DVDもチョコも、いいのよ」
「はい」
「それよりもっと欲しいものがあるの。わかるでしょ? 私たち付き合ってもう長いんだから」
「当然わかってますよ。では、今から泥酔して、深夜の公園で絶叫してきます。全裸で」
「私はあなたの中で何を求めているの?!」
「てっきりこれで一本満足かと……」
「意味わかんないわよ!」
「大丈夫、立ちションまではしませんから。それだと婦女膀胱になってしまいますし」
「暴行でしょ! あと、全裸で出歩く時点で犯罪だからっ! そうじゃなくて、私が欲しいのわねっ、プロポーズよ、プロポーズっ!」
「ああ、私も好きで何にでもかけてます」
「それ、マヨネーズ!」
「あ、ヤクルトのことでしたか」
「スワローズ!」
「下半身で愛用しているやつですね」
「ドロワーズよ!」
「残念。ブリーフでした」
「全然違うじゃない、音が! しかも何てもん使用してんのよ!」
「いやあ、これだと収まりが良くて」
「何が?!」
きめぇ丸、女性の両肩に手を置く。微笑む。
「私の心の中に、あなたの存在がすっぽりと収まっているのですよ……」
「(微笑み返して)良いこと言っているようだけど、ブリーフ履いてる理由にすんな?」
「(素直に)はい。──冗談はさておき、私もちゃんと用意してきた台詞があるのですよ」
「本当かしら」
「ええ、女同士という周囲に承認されにくい関係、一つの形にすることがどれだけ重要か、わかっているつもりです。しかし単刀直入に述べるのは気が引けましてね。ちょっと前振りを」
「そうだったの。それにしてはちょっとふざけ過ぎだったけどね」
「気を落ち着かせるためとお思いください。今現在も緊張のあまり、つい吹き出しそうです」
「なんで笑いをこらえてんのよ?!」
「では、私の渾身のプロポーズをお聞きください!」
きめぇ丸、女性の横に立ち、上方を指さす。
「『あの夕日に向かって、競争しましょう!』」
「それ、青春の台詞でしょッ! あと、もう夜中だから! とっくに太陽沈んでるから!」
「いいのでは? 私たちの関係は始まったばかりだ!って感じで」
「打ち切られてるじゃない!」
「じゃあ、言い直しますか」
きめぇ丸、コホンと咳払いして、
「『毎日、私のために作った味噌汁で顔を洗って出直してきてくれませんか』」
「そっちが出直せよ!」
「そしてその味噌汁を私が飲みます」
「どんな性癖よ?! 何フェチ?!」
「いい出汁が取れるんですよ」
「私の顔は昆布か鰹節か!」
「いえ、豚骨です」
「ブチ殺すぞ、饅頭!」
「じゃあ、こんなのはどうですか。『一生、二人で二人四脚し続けましょう』」
「二人三脚でしょ! 二人で四脚じゃそのまんま! お互い独立独歩で立派に生きとるわ!」
「いえいえ、増えた足は『満足』ってことですよ」
「あら……上手いわね」
「女なのに股から第三の足が生えそうです」
「結局シモか! いい加減にしろ!」
「それでは──『私の子どもを生んでください』」
「無理でしょ! 女同士なんだから」
「じゃあ、私が生みますので、誰かの子種を仕込んできますよ」
「浮気上等?! どんなプロポーズよ!」
「ともかく二人で甘くスイートな生活を作りましょう」
「甘いもスイートも同じ意味よ」
「具体的にはリンゴと蜂蜜を混ぜたような」
「カレーじゃない」
「さらにサッカリンも混入して」
「発ガン性物質!?」
「素人のバイトを雇って原発の管理をさせます」
「それ、管理体制が『甘い』! 危険あふれ過ぎでしょ、夫婦生活! 真面目にやれ、真面目にッ!」
きめぇ丸、ふっ… と微笑み、愛情を込めた目で穏やかに語りかける。
「このような楽しい家庭を築けるよう努めますので、結婚、してもらえますか?」
「きめぇ丸……」
「…………(潤んだ瞳で見つめる)」
「謹んで、お断りします」
「ですよねー」
《この二人は後でスタッフが無理矢理結婚させました》
- 百合かと思ったらただの漫才だったw
流石は我らのきめぇ丸! -- 名無しさん (2012-04-05 09:50:05)
- ただ会話してるだけなんだけど、リアルにきめぇ丸が想像できて成立してるw地味に凄いね
きめぇ丸さんのキャラクターがしっかり確立して把握できてるんだろう -- 名無しさん (2012-06-14 22:23:35)
最終更新:2012年06月14日 22:23