「………あー、まったく腹が立つ!」
魔理沙は博麗神社からの帰り道であった。
霊夢のやつが、私が楽しみにしていた桜餅を横取りした。
仕方がないから隣のシフォンケーキを食べてたら何故かアリスに半泣きされた。
いったい何だというんだ…!!
まあいい、同居人と気晴らしだ。
魔理沙は霧雨邸への家路を急ぐ。
「おう、ただいまなんだぜ。」
『ゆっ! おねーさん、おかえり!!』
玄関まで駆け寄るれいむ、それを魔理沙が抱き上げようとする。
「…!!」
魔理沙の顔が一瞬引きつった。
ゆっくりとはいえ、今魔理沙が腹を立てている相手の顔が視界に飛び込んできたからだ。
ふつふつと湧き上がる感情。
(……ダメだ、我慢できん………!!)
魔理沙はおもむろにれいむの両頬に手を伸ばす…。
『ゆっ!? おねーさ………!!』
『ゔあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ん゙!!!』
『びどい゙よ゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙ぉ゙ぉ゙!!!』
「ふぅ… お前がそんな顔してるから悪いんだぜ…。」
魔理沙はそう呟き、れいむに目をやる。
心が晴れない。
(まったく、つまらん事をしたものだぜ…。)
だがやってしまったものは仕方がない、魔理沙はれいむに声を掛ける。
「れいむ、ごめん、悪気は無かったんだ…。」
『ゔあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ん゙!!!』
『びどい゙よ゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙ぉ゙ぉ゙!!!』
大泣きしているれいむに魔理沙の声は届かない。
(仕方ないな、泣き止んでからちゃんと謝ろう…。)
しかし、れいむは泣き止まない。
五分、十分と微塵も勢いを落とさず泣き叫ぶれいむを見て、魔理沙は本気で心配になってきた、
れいむは、このまま泣き疲れて死んでしまうのではないのか?
そして魔理沙は神社の宴会場から持ってきた飴やたい焼きなどを掻き集め、れいむをなだめ出した。
それはもう、必死に。
『ゔあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ん゙!!!』
「れいむ、私が悪かった、ほらたい焼きもやる。」
「だから泣き止んでくれよぉ!!」
魔理沙も、もう泣きそうだった。
それからどれぐらい時間が経ったのだろか、れいむは泣き止み、霧雨亭は落ち着きを取り戻していた。
「ごめん! ごめんなれいむ!!」
『ゆう…。 れいむはもうおこってないよ!!』
れいむは飴玉を頬張りながら答えた。
『でも、もうあれはやめてね!!!』
「分かった、絶対にやらないよ!!」
魔理沙は反省していた。
八つ当たりなんかでストレスを発散しても後ろめたいだけなんだな。
それより、嫌な事を忘れるように今を楽しんだ方がよっぽどいい。
私にはそういう相手がいるじゃないか。
「れいむ、今日の夜は何が食べたい?好きなものを作ってやるぞ。」
『ゆっ!?ほんとう!? じゃあおにくおにく!!!』
「ははっ、れいむは本当に肉が好きだな。」
しかし、さっきの騒動でれいむはいっぱいお菓子を食べた事を思い出した。
「でもれいむ…、太っちまうぜ?」
『いいの!!れいむとおねーさんのなかなおりきねんだからいいの!!!』
「ははっ、そりゃいいぜ…。」
今日も霧雨邸の夜は賑やかになるだろう、
一人と一匹の小さな物語は、まだまだ続く…。
- 魔理沙のキャラが崩壊しとるw魔理沙を普通のお姉さんに置き換えたほうが高評価かも。 -- 名無しさん (2008-10-14 17:29:38)
- いやいや、魔理沙は普通の魔法使いで女の子だからこれはこれでありですよw -- 名無しさん (2009-01-31 00:28:07)
最終更新:2009年01月31日 00:28