小ネタ426 れいむとじゃのひげ

「ゆわぁ…おとーしゃん!おかーしゃん!おしょと、とってもひろいよ!」
「ゆわぁい!ゆわぁい!きゅうきがしんしぇんだじぇ!」
「ちゃっちょくたんっけんしゅるよ!」
「あんまりとおくにいっちゃだめだからね!」
「うう、まだまださむいよ…おちびちゃんたちはげんきだね…」

とある年も明けたばかりの山の中。
越冬の最中に生まれた赤れいむと赤まりさ達にとって、生まれて初めて見る外の景色は
何もかもが新鮮で、寒さも気にせずぴょんぴょん元気に飛び跳ねています。
そのまま迷子になってしまわないか、お父さんまりさは気が気でありません。

「ちゃんとまりさとれいむのちかくにいるんだよ!がけのほうにいっちゃだめだよ!」
「ゆぅ?がけっちぇどっちにゃの?」
「ゆわぁぁああ!みちぇえ、ここからとってもとおきゅがみえりゅんだじぇ!」
「ほんちょだぁ!おしょらのうえからみおろちてるみちゃい!」
「そっちががけさんだよぉぉぉ!あぶないからさがっててねぇええ!」

しかし、そこはまだ何も知らないけど好奇心いっぱいのおちびちゃん。
斜面の陰に隠してあるおうちの出入り口から出てきてすぐ、その下との落差も気にしないで
目の前の崖に近付こうとしてしまって、慌ててまりさに引きずり戻されてます。

「このがけさんは、まりさでもおちたらいたいいたいじゃすまないんだよ!ゆっくりりかいしてね!」
「ちゅまんなーい、じゃあなんじぇそんなあぶにゃいところにおうちちゅくったんだじぇ?」
「おとーしゃんだけおしょらとんでりゅきぶんどくしぇんちてるんじゃないでちょーね?」
「だがこちょわる!このれいみゅはうまれちぇはじめちぇのおしょとまんきちゅしちゃいのぉお!!」
「こわいこわいさんからみつからないためだからね!どくせんなんてしてないよ!」
「ちっちっち、まりさ?おしてもだめならひいてみなだよ!」

なかなか言うことを聞かないおちびちゃんにまりさが困っていると、
お母さんれいむが自信満々に進み出ました。

「おちびちゃんたち、がけのけしきもゆっくりできるけど…うしろをごらんなさい?」
「なぁに…ゆっ?くさしゃんがおうちのまわりにはえちぇるじぇ!」
「おかあしゃん、ちゃむいときはみどりのくさしゃんはあんまちないっていってちゃよね?」
「このくささんはとくべつなんだよ!もーぐもーぐはできないけど、すてきなものがなってるよ」
「ちゅてきなもにょ…なんじゃろ…ごーしょごーしょ」

れいむに教わって、赤ゆたちはおうちの入り口の周りに生えていた草むらの中に
めいめい潜りこんで、興味いっぱいで中を探していきます。
ほどなくして、あちこちから何かを見つけた喜びの声があがります。

「ゆわぁ、ちゅてきなあおいみがなっちぇまちゅよ!」
「こっちにもいっぱいなっちぇる!おかーしゃん、これはおいちいの?」
「にがにがさんでたべることはできないけど、おうちでとてもゆっくりできるきのみだよ!」
「ああ、そういえばすーぱーぼーるさんができるからここにおうちをつくったんだよ!」
「しゅーぱーぼーりゅ?」

巣穴の周囲に生えて、入り口をさらに見え難くしているこの草むらは
人間の言葉で「リュウノヒゲ」「ジャノヒゲ」などと呼ばれている植物です。
日陰の地面を低く覆うように細い葉が育ち、栄養が少なくても立派に育つこの草は
冬になると小さくて青い実をたくさんつけます。

「ここだとあぶないからね、おうちにむかってなげこんでみようね!」
「うーん、えいっ…ゆわぁ!すっごいぽんぽんはねちぇった!」
「まりちゃもちゅるぜ!れいみゅよりもっとばうんどさせるじぇ!」
「えぇい!…まっちぇ、どこまではねてきゅのぉ!?」
「はくしょん!このままかえろうか…ちゃんとしたおでかけはもうすこしあたたかくなってからだね…」

この実は鮮やかな青なので、冬でも緑の葉っぱと合わせて
園芸の世界でも冬の庭を彩るために人気がある品種なのですが、この実には
とにかく弾力性があってよく弾む性質があります。
1cmにも満たない小さな実ですが、同じように小さなゆっくりから見れば
綺麗な色合いも合わさって本当に「スーパーボール」のようです。

「いりぐちをふさぐよ!まりさ、おちびちゃんたちはゆっくりしてるかな?」
「みつけたばかりのすーぱーぼーるさんでげんきにあそんでるよ!」
「まちゅんだじぇ!そっちにとんでっちゃらとれにゃいのじぇ!」
「ゆっ、ゆっ…おいちゅいた!れいみゅのたきゃらもののしゅーぱーぼーるしゃんだよ!」
「しょれはれいみゅのだよ!しょっちのがおねーしゃんのぉ!」

親れいむと親まりさがけっかいを作り直している間、おちびちゃんたちは部屋の中で
ジャノヒゲの実を壁にぶつけたり、相手に投げてみたりと楽しんでいます。
そのうち、赤れいむの片方が飛んできたすーぱーぼーるを弾き返し始めました。

「ゆぅ!なんかこちゅちゅかんだ!おねーしゃん、こっちにとばちてみて!」
「なんだじぇ…れいみゅがいいだしたんだから、いたくてもないちゃだめなんだじぇ?」
「いきゅよ、えいっ…ゆぅ!?きれいにはねかえちゃれた!?」
「すごい、まだおちびちゃんなのにきびんにうごいてはねかえしていくよ…」
「いもうとのほうのれいむには、そんなとくぎがあったんだね!」

まりさの驚きはもっともです、赤れいむのうち妹のほうは、赤ゆにしては素早く動き
しかも何回でも綺麗にすーぱーぼーるを弾き返しています。
実はこの赤れいむ…よーくみると分かるのですが、髪の色が母れいむや姉の赤れいむより
いくらか薄い感じで、しかも地の色が黒ではなく紫系統の色になっています。
お飾りももみあげについているのは白だったりします。

「おちびちゃんすごいね!おはなしにきいてるごせんぞさまみたい!」
「ごしぇんぞしゃま?」
「むずかしいじをかくほうのれいむだよ!れいむいちぞくのずっとむかしのすがたなんだよ」
「よきゅわかんないじぇ、いもうちょれいみゅはとくべちゅなのじぇ?」
「そうかもしれないね、これからおおきくなっていくときにかみのいろが
 だんだんうすくてむらさきにかわっていったら、きゅうさくれいむとはっきりするよ!」
「…れいみゅ、おかーしゃんやおねーしゃんとちがうゆっくちになっちゃうにょ?」
「れいむはれいむだからだいじょうぶだよ!」
「じゅるいー、れいみゅもきゅうさくれいみゅになりゅう!」
「まりちゃも…まりちゃはきゅうさくまりちゃにならないほうがいいきがちたじぇ…」
「なりたくてなれるものじゃないけど、まりさはやめておきなさい…」

ゆっくりとしても黒歴史なんでしょうか、まりさとまりちゃはなんだかブルー入ってます。
ですが、一家にひとりでも特別なゆっくりが生まれたんだと思うと
みんなとってもゆっくりとした気分になることが出来ました。
難しい字ってなんだろう?なんてちっとも気になりません。

「ほかのゆっくちにもれいみゅをみせちぇあげたいにぇ!」
「もっとぽかぽかさんになったら、すーぱーぼーるがとんでいかない
 ひろいあそびばまでいって、ほかのかぞくのゆっくりともあそべるようになるよ!」
「ちょのときはみんなにきゅうしゃくれいみゅのしゅーぱーしぇーぶをみしぇてあげゆよ!」
「まりちゃもぱわーまんてんのしゅーちょをみせちゅけてやるのじぇ!」
「じゃあれいみゅはしぇんたーばっきゅ!じょーんぷれしゅしゅる!」

まりさもれいむも加わって、すーぱーぼーるを蹴ったり弾いたりしながら
早く暖かくならないかなとおちびちゃんたちはわくわくしながら過ごしていくのでした。

名前:
コメント:

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2013年01月05日 12:09