率直に聞きます、あなたの親は何をしている人ですか。
真っ当な仕事ですか?自慢できる仕事ですか?
それとも人に言えない怪しい仕事ですか?
どんな仕事であっても、それが理由で親を嫌いになってはいけません。
何故なら、彼等はその仕事で家族を支えているのですから。
さて、此処でいつもの前口上。
このssは「銀魂」のパロディです。
ロクでも無いゆっくりが出て来たり、
ゆっくりが酷い目似合う描写が出てくる場合がございます。
そのような表現に不快を感じるならば、席をお立ちに。
それでも構わないという方だけそのままご試聴下さい。
てゐ魂45話「外人と会話するときちゃんと通じているか不安になる。」
ゆっくりの国の中央にあるメインぷれいす。
今日も電脳の波に乗って、沢山のゆっくりや荷物がやって来る。
そしてメインぷれいすで働くゆっくり達はその荷物を点検したり、パスポートを確認したりでおおわらわ。
スケジュール的にゆっくりする暇もありゃしない!
しかし、その位でゆっくり達はへこたれない。
肉体的にゆっくり出来ないなら、精神的にゆっくりするまでだ!
「ねぇねぇ、あの映画見た?」
そんな訳で倉庫で休まず働くゆっくりれいむまりさも、その手を休めないで
ゆっくり雑談トークを繰り広げるのであった。
「映画見たって言われても、具体的にタイトルを言ってくれなくちゃどう答えたら良いか解らないんだぜ。」
「あ、ゴメン!今話題になっている映画だよ!『ドキドキプリキュア!ミッシングエース』!」
「ドキプリかぁ、まりさはお子様向け映画は見ない主義なんだぜ。」
「む、プリキュアはお子様向けじゃないよ!全年齢向けなんだよ!」
「ハイハイ、大きなお友達の定型文をどうもありがとうだぜ。」
ムキになって話し掛けてくるれいむの台詞を、まりさは軽く流す。
それで更にムキになったれいむが、声を荒げてこう言ってきた。
「今年のプリキュアはホントに評判が良いんだよ!」
「あ~それは良く聞くな、何でもニーサンが良いキャラしてるって話だっけ?」
/ _」,> > く ∧ / | _l /. : /⌒ヽ ∨,.≦三==:.、ヽ. \
〃 ̄ ̄/ ´  ̄ ̄ 'ー‐ハ_/_厂 ヽヽ ,.イ. : /∠⌒ヽヽ_彡' ⌒ヽ`ヽ ヽ ':, ヽ
/' | 〃 / \ ヽ ̄ ∧ //.:: /: :/´ ⌒` ー '´ ヽミ、 ', :. :丶
,' ! / / ヽ\| \ ハ //.:: /: :/ .: . ヽミ、 ', :. : .丶
,' ゝ ′' / 人 ヘ、 ハ / ', 〃.: : .: :〃 .: . ',ミ;、 :. :. : . ヽ
{./ :! ! / //、_ \ _」 ヘ ハ ./ } 〃.:: : .: .:i| :.: . ミハ :. ヽ. : . ヽ
く | | | __ .〃  ̄ハ |.,_ ∨ ハ \ | ,' .: : : : : :儿_,.-='≧:. .;≦三ニ:.ヽ'ミ人. :. . ヽ、._ ',_
l \ :! ! ./| / 〃)ナXく∨ li > | 、i .: : : : : ;レ'イ'´_,..,_`ヽ. .: _,..,_ `ヾ\:.≧==ニ二 > 、
| \| | |' {!_ノo;;} } ', li_/ | ヽ._彡.: : : リ ;'_イ'じノヘ ';:. . : ∠じリ>.、_ \≧==ニ ='⌒ヽ
j ∧人 ! _ ゞ _,ノ ', | /| ._,.イ.:: : ノ.: .:`¨¨⌒ ;:':; . : ::. . .::⌒ :乂 ー-=彡ヘ ':.
,' / ∧ \__V,ィ==ミ , , , l | / /八 ≧=ー .:彳.:: .: ,' .:; .: : .:: . .:从':.、: : .ヽ、)′
/ ` ̄ハ ヽ/ ` n | |、,' ∧ 三:._彡'.::从:: .: .イ:::;' .: , 、: . :|lヽヽ`:.、: . 〉
,' ハ ∧ ' ' _,ノ’ /| ∧\ ハ /.:/.: ;厂ヘ.: : :. / `'ヘ、_ , -:' \ :リ ヽ \`:.、
,' /∧ _人  ̄ / l| / 〉 〉 ∧ 乂 .:: :人__八 : .′ _,..,_ _,,..、 〉 从_ .ノヽ冫〉
,′ r―‐- 、./´ ∨ | i> ..,, ___ イ| | ,′ ′/ / ', ヽ: ;' .: : : :∧ : <L.T^Y^レイ:/ .:////イ′
i `¨¨>、 \_ 」 | i! {―- x -―}__/i| ,′/ / / , ヽ\ : :/. :ト、 . \`'┴ イ/ . :,イ|// . : : :/
l ヽ ./∧/ ̄`i ∨|\ ∧ ̄)人( ̄ / l| |// / ∧ \|l : : :ノ| ';.丶 `¨¨ ´ , : , ' |/, : : ; ;'
|、 l| 〈 ´ ̄`} } !\\∧, -―- 、 / 」 l/ \/ / | 〃: :〈│: '; .ヽ: . ,.:' :/ .:|八: :ノノ
| \ l| { ´ ̄`} / | / / \ / |/! V /\Ⅳ | 八:、;ゝノ: : : : . ヽ、: : . ._.; .;' : : ' . : |、彡'
| 八 ヽ  ̄´ 八j \\ ((⌒"⌒)) / ∧ V ji| | ` 爪: : : : : : : : : : : : : : . : ;ハ、
,イ│\: : : : : . . :/ |:.\
「そうだよ!得にニーサンとキュアエースの一騎打ちが凄いんだよ!
お互いに四つん這いになってGOKIBURIみたいにカサカサ~って!」
「何でだよ、なんでニーサンとキュアエースがそんな一騎打ちをしなくちゃいけないんだよ。」
_
/l:l_,.__,.、 ,_
,l: :.l:ll:.!:!rl!rト':.!、 ,、
,イ;!: :.!:!:.!:!l:.!:.l !l:.!:Y;l:.l!
,'::;;j!:.,j:.l:.l:.!l:.l:.l l:!:!:!:l:l:.l!
|::.:.l:ィ'/////,';,'j:j:j:j:l:l:.l!
{::.:ト':.!:.j' ' ' ,;;'- 、///j}
_ _ ∨;;;;;;∧ ;;;' /;}/l/l,'
/;:';:';`^,テ='=-r 、 __.`ゞ、;;∧,,;;'_ノ;;r、_/ __
,ィ´;::';:';:'.:;::'://r.-t`i~rt-二ニー-:::、t'´_/7:7フ/./`/"テ7==-ァ=.、
L.lヾ、';::'://,.:',.:';::',.:';::',.:';::',.:';::',.:';::',:〃/:./ /:/./:/./:/./:/./ /;}`!
`ヾ.!::l ' , ',.::',.:';::',.:';::',.:';::',.:';::',.:';::',.:':./ /:./ ,/:/./:/./:/./:/./ ./;;;;l |
`!::!l l l`|:.T:.:l:::l:.:i:::i.:.i:::i.:.i:::l::.{:.,:/ /:./ .{.:/./:/./:/.:,':,'.,'_l:.../l;;;;::l l
l!::!l l l:.|:..l!:.:!:::!:.|:::l.:.!:::l:.:!:::|:.!:.l! l:..l .!:.l:..!:::!:l:::l:_l-'-':::`l;;;;l;;;:::l/
_ヾ::ト、!:.l:..l:.:.l!-'-'-l、!:::.!:.l::::!:.l:.l! l:..l !::l,::'-=,ヽ::::::::::::::::::ト、_r='
/::/::!:.:.Y;;,´,r-,::::,r-:::、:`"ヽ、::!::l l:._!_,}∨:.:.:.:.l::::ヽ -=-..、;!
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/::/:.:.:.:.::.:.:.:/::ヽ二 _ ` ¨´_,二ニノ_;_;_:::::::.!:::l:::::::!:! ヾ,:.:.:.:.:.:.l!:::::::::::::,r ´
r:':ー' 、:.:.:.:.:.:./::::::::::::::::::::::: ̄::´:::::::::: {.:.:.:.:.:.`ヾ:|:.::L:::::!' l:.:.:.:.:.:.l!::::::::::::|
「で、最後は二人同時にディエンドに腹パンを叩き込むの。」
「それただ単にディエンドが可哀相なだけじゃね?」
「そのシーンだけで一体何枚書いてんだって話だよ、ホント。」
「ハイハイ、じゃあDVDが出たら見てみるぜ、ディエンドの腹パン。」
プリキュアの話をしていたのに、いつの間にかディエンドの話になっている。
おのれディケイドな話をしながら、ゆっくり二人は何事も無く倉庫の整理を終えるはずだった。
ドサァアアアッ!
「へ?」
「な!?」
,、 _,、--,-- 、_ l.l、
/) l ヽ_/´ ll--ll .nヽl l
///) l .ll n 、 ll o.ll ,、ll ll .ll l
/,.=゙''"/ .l .ll ll ll ll 0ll l:l.ll ll ll .l お宝だけでいいんだよ!!
/ i f ,.r='"-‐'つ.l ll ll.ll ll 8.ll l:l.ll ll .ll l
/ / _,.-‐'´ l ll ll.ll ll l.l.ll ll.ll.ll ll.トl
/ ,i ,二ニ⊃ トLトlトllトH ll tl.llトll〈 ll
/ ノ il゙フ l lトll`r´ l:l ` `ヽ〈.ll
,イ「ト、 ,!,!| ____ヽ^ ^ヽ、.l:l__ .ノ/H-`‐ ,‐-- ___ , -,-‐‐---、
_/ iトヾヽ_/ィ"\‐////: ̄ ̄ゝ ____, -‐// /// l l.l.l l l.l.l l l.l:::,.-、:::::l
_(;;;;ヽ;;;;)_;;l、>_ノ ヽ .///,、,、:::::ヽ、___n /7/////.l l l.l.l l l.l.l l l.l:::l:::::::ヽ::l
彼女達の目の前に、突然ディエンドが降って来なければ。
上から落下して来たと思われるそれは、俯せに倒れたままピクリとも動かない。
「な、何で上からディエンドが?」
「これがタイムリーって奴だね!」
「そんな呑気な事言ってる場合か!」
ディエンドを見てワーワー騒ぐゆっくり二人。
その時、ディエンドの身体の下から何かが這い出してくる。
『ん?』
二人のゆっくりはそれを目撃する…と言うかしてしまう。
, '" \ / \
/ 、 ヽ
/ r===x /
{ /:i:i:i:i:i:iト、
/^ヽi:i:i:i:i:i:i:i:i:i,
⌒''*==≠ゝノi:i:i:i:i:i:i:i:i:i}ト、__ ,
/公x、:i:i:i:i:is≦i, `^''⌒
.′:_:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i}
〃: :/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i}___
//{i:/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:}i⌒V!
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/ {:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:}} . Ⅵ
''⌒” r≦Ⅶ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:リ≧x `㍉、
{:{⌒Ⅶ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i.′ .}I}
㍉ .Ⅶ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:{ //
Ⅵ . Ⅶ:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:/ {i{
}} Ⅷ:i:i:i:i:i:i:i:i:.′ ..{i{
リ .}:i:i:i:i:i:i:i:i:i/ノ .从
ハ \:i:i:i:i:i/ミ*、 {!
{{ .`⌒^ ヽ} {
{! {
「わぁああああああああああああ!」
「Gだ!りぐるだ!這い寄る混沌だ~!」
ディエンドが落下して来た時よりも、物凄い声を上げて騒ぐゆっくり二人。
女の子だもん、ディエンドよりGが怖いのは仕方ない。
そして、Gでパニックを起こしているゆっくり二人を見下ろす奴が一人。
フードで身体と顔を隠したそいつの素顔は解らない。
だが、彼が胴付きのゆっくりであることは確実だった。
何故か?フード部分が異様にでかいからだ。
「既に抜け殻…本体はカードを持って逃げた後か。」
フードのゆっくりはそう呟くとチッ、と舌打ちした。
そして下で騒いでいるゆっくり達を見下ろして、声を掛ける。
「おい、そこのゆっくり!悪いがチョット此処の警察に伝言を頼みたいんだが…。」
『わぁあああああああああああ!』
フードのゆっくりが呼び掛けた所で、パニック状態のこの二人に聞こえる訳が無かった。
フードのゆっくりはハァ、と溜め息を付いた後、白紙のカードを一枚取り出した。
そして白紙のカードにマジックでおもむろに文字を書き、ゆっくり達の居る方へと向かって投げ付ける。
カードはしゅっと地面に刺さる訳でも無く、ひらひらひらりと地面に落ちて行った。
「落ち着いたらそのカードをゆっくり読んでいってね。」
フードのゆっくりはそう言うと、コンテナの上から姿を消した。
そして彼の残したカードには、こんな文章が書かれていた。
「厄介な事態発生、警察に連絡求む。」
~☆~
トゥルルルルルルル。
ゆぶき町にある万事屋てゐに電話の音が鳴り響く。
本来なら万事屋の主であるてゐが取るべき電話だが、生憎彼女は今不在だ。
「…誰ですかねぇ?」
代わりに出るのはてんこちゃん。
ヴァナ出身の一級廃人(自称)ゆっくりである。
「もしもし!れいむれいむ!れいむだよ!ゆっくりしていってね!!!」
受話器の向こうから聞こえてきたのは、慌てている感じのゆっくりボイス。
普通に考えれば怪しさ満点、受話器を真っ先に切るべきこの台詞。
「…もしかして、てゐですかねぇ」
しかし一級廃人(自称)のてんこちゃんは予想もしない返答を返す。
「え。」
思わずそんな声を上げてしまう、受話器の向こうの声の主。
しかし、此処で怯んで堪るかと会話を続ける。
「そ、そうだよ!てゐだよ!今、大変な事になってるの!」
「ほう、だからナイトである私に助けを求めてきたのか、ナイトに助けを求めるのは
本能的に長寿タイプ。」
「……えーと。」
ヴァナ出身のてんこの独特のノリは、並のゆっくりにはちょっと理解出来ないものである。
「と、とにかく大変なんだよ!今てゐね、スィ~で事故っちゃったの!」
付いて行くのを諦めて、もう強引に話を進めることにしたらしい。
以外と正しい判断である。
「事故った?」
「は、撥ねちゃったんだよ!秋姉妹を!スィ~で!」
_,,,...,,,__
<<`「::ァ‐∧、-イ`゙∧,ヽ
., ァ<_r「::::_ゝL:::V:::ヾ/ヽく、 `- ,,
__,!, ´  ̄ `゛''<_:::'ノi 〉`、
ヽ´, ノ ゛`弋メ ',
Y ! i _!_ ! ヽ !ハ、 ヽ ヽ ト、
ヽ ヽ.ハ´_(,_ ハ i _!___`ヽ ', ト、!
), i Y´ノ_」_ノレ' レ' ソ `〈! ,J ノ (
'レヘハ rr=-, u r=;ァ iV `ヽ )
ハヽゝ" ̄  ̄"'' ! ! `'y
! ハ、u 'ー=-' u゛'゛'<´_, ノ , !  ̄ ̄^ニv..........,、
ヽノ ヽ >.._ u ,∠ハ( (_ノ、  ゙゙゙̄''ー `'-、
,,-'"゙゙,゙ニ=ゝンヽ `i:'=ー='' ´,i人\ノ(\ム)ノ´ \
/_..-'"″ '''^゙>'''"゛ ´ `!、
_..イ'"゛ ./ \ ,..-''''''''''''''ー.., .l
/ / ./ `゙''‐ .、 \.,,,│
/ l 「 l " .`''、
/ l゙ i ! .,! . .,!
! ./│ ._/ .ヽ,_, ,│ │ ! .!、
,, -ー¬'''" ./ .ヽ _.. ‐″ .`'. " `゙''―- ....,,,_ _.../ │ l 丿 .′
′ .i゙'''゛ `'''r‐―‐'´ ヽ .l _,. .ヽ
|, _,,,,,....、 / .‐ , .`'i .`'' .″ ヽ
,,.. . .ヽ. .ン._,,,,,,... .、,`'ー、、 ,. _..l, │ / ヽ .../ '
゙l、.i ′ ゛ `"´ '"´ ,.ゝ ! .| l/
‐'│゙.l i ,r'" " l .l ,, 'ソ゛ `
,i゙.l .\ ‐- ........ ‐' 、 ,r‐'' |, .ヽ _,, イ゛ .'、
/ l. | _i,,,...... -----.... ....;;_ / " ....l .ヽ .,/´ .ゝ .ヽ
_,,, ‐" l",゙,,...... ---――ー- ....,,,,,,_"'''ー ..,,_ ,L-'゛ ヽ } / / ヽ `
-'" ̄ ̄゛ .!.´ `"'ー ..,゙.\.l .,/ ヽ ゙./ .l .`_,,,,,
| /´'i Й /゙''i `'-/ \ ./ _.. -''" ./
| .ゝ′ ! ./ | ゙'l゙ .,/゛ ._,,、l゙
,| ._,,..........--―¬''''¬- ....,,,,_ .| ヽ ,/ .,..-" . l
「今、ムッキムキな静葉に睨まれてるの!視線が痛い!」
「ほむ。」
電話の向こうの話し相手の話を聞いて、てんこは考える。
そして何かを思いつき、こう告げた。
「ゆっくりしずははキックの一撃が重いが、脇のガードが甘い。
わざとキックを誘ってそれをかわし、ボディブローを叩き込むべきそうすべき。」
「なんでガチバトルのアドバイスをしてくるの!?」
予想外の解答に思わずそんなツッコミが入ってしまう。
「むう、男のピンチは拳で乗り越えるべきがてゐの信条でしょう?」
「そんな信条持ってないし、大体ゆっくりは女ばかりだよ!」
「ほう、そこに気づくとはお前頭いいな、INT255くらいあるんじゃね?」
「あ、やっぱりそう思う…ってそんな事言ってる場合じゃなーい!」
またもてんこのペースに巻き込まれていき、話が脱線する。
それでも負けるなくじけるな!
「とにかく!慰謝料2000万銀行に振り込まないと、れいむはえらいことになるから! って、うっかりれいむって言っちゃった!」
「ほう、やはりはナイトの出番という訳ですね。」
「そういう事!とにかくれ…てゐの為にも急いでね!ああ、静葉姉さんの大胸筋が迫ってくる…。」
ガチャ。
そこで電話は切れてしまった。
「お、おい!最後の大胸筋とはどういう意味だ教えろサル!」
てんこが呼び掛けても返事は返って来ない。
彼女の額に冷や汗が流れた。
「どうやら本当にナイトの力が必要なようだな…。」
てんこはキッと顔を引き締め、カカッと玄関に向かって駆け出した。
「って、おわぁ!」
「どおっ!」
と、居間を出た所で部屋に入ろうとしていたれみりゃを踏みそうになる。
「おいぃ!こっちは急いでいるのに急に部屋に入らないでくれませんかねえ?」
「て、てんこちゃんも足元の確認くらいしてくれど!」
「悪いが今私は足元を見ている暇がにぃ!てゐのピンチを救うため、今は前だけ見て進むのみ!」
てんこはそう言って玄関に向かってまっしぐら!
そして外へと飛び出したてんこを見て、れみりゃは呆然とする。
「前だけ見て進むって、何少年漫画みたいな事言ってるんだど…。」
ザァアアアアア。
と、れみりゃの耳に水の流れる音が聞こえてくる。
音がしたのはトイレの方だった。
/||ミ
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|:::::::::::::::|| ||ガチャ
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/ i /, ヽ.
/ ハ├──-//i i
,' / ソ::::::::::::::::::ヽ、! |
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〉--' /:/、__;:ィ::ハ::、_;:!:::i:::ハ::〈
i::::::::/::::::ハ_ニ;、,レ レ、_;、ゝ::::|:Y
ハ:::::::レヘ::i' (ヒ_] ヒ_ンハソ:::ハ
|::::::::ノ:::l:|" ,___, l:::::|::ノ
ノ:::::::::::::ハヽ、 ヽ _ン ノ::::i:::(
イ:::/::::::/:::イヽ>, -r=i':´イ:::ハノ
〈rヘ:::::!::レ´ `y二」ヽレ':::〈
「ふぅ、最近便秘気味かな。」
すっきりした顔で出てくるのは、この物語の主人公ゆっくりてゐ。
トイレから出て来た彼女は、部屋の入口で呆然としているれみりゃの姿が目に入った。
「…そんな所で何してるのされみりゃ、すっごく邪魔なんだけど。」
「あ、てゐさん、なんか今てんこちゃんが変な事言いながら外に出て行ったんだど。」
「は?あいつが何言ってたのさ。」
「前だけ見て進むとか、てゐさんがピンチだとか。」
「私がピンチ?」
確かにさっきまで出るもんがなかなか出無くてピンチだったが、
そのピンチは既に切り抜けている。
「…訳わかんない。まぁてんこの場合いつもの事か。」
とりあえず、出すもん出したしゆっくりしよう。
そう思ったてゐは今の座布団に乗っかると、目の前に置いておいたリモコン耳で操作してテレビを付ける。
テレビはワイドショーをやってるらしい。
ナレータみょんと翻訳の字幕が写っていた。
「みょんみょんみょんみょんみょんちーんぽ!」
《はい、そんな訳でれいむれいむ詐欺は全国津々浦々で横行しています!
全国のゆっくりれいむはゆっくり気をつけてください!》
「…れいむれいむ詐欺?」
ナレータみょんのみょん語を翻訳した字幕を見て、てゐは首を傾げる。
「ああ、最近流行ってるらしいどその詐欺。」
後ろで見ていたれみりゃがてゐに説明を始める。
「まず最初に「れいむだよ」と名のって知り合いと勘違いさせて、
それからトラブルにあったから金を振り込んでくれと騙す詐欺なんだど。」
それを聞いたてゐはおもわず『はぁ?』と声を上げてしまう。
「…何じゃそりゃ、そんな馬鹿な詐欺に引っ掛かるゆっくりが居るの?」
「ゆっくりれいむが身内に居る場合、割と引っ掛かる確率が高いらしいど。
大体の場合、れいむ達の一人称って「れいむ」の場合が多いから。」
「引っ掛かるんだ…そんな手で。」
そんな詐欺に引っ掛かるゆっくりもゆっくりなら、思い付くゆっくりもゆっくりだ。
てゐはそんな事を考えて呆れ顔になってしまう。
…と、そこでれみりゃは何かを思い付いた顔になる。
「…あ、もしかしててんこちゃん…。」
「てんこ?」
てゐは辺りを見回して、てんこの姿が何処にも無い事に初めて気がついた。
「そういえば何処にもいないね。こんな暑い日にどこに行ったのさ?」
「さっき、変な事を言いながら凄い勢いで部屋を出て行ったんだど…
もしかしたらてんこの奴、引っ掛かったのかも。」
「引っ掛かったって、何に?」
「決まってるど!今話したれいむれいむ詐欺にだど!」
れみりゃの言葉にてゐは目を点にする。
「は?てんこが?馬鹿じゃないの?ウチにゆっくりれいむは居ないし、
引っ掛かる訳無いじゃないのさ。」
「で、でもてんこちゃん勘違いも甚だしい時があるから…。」
「だからって、そんな詐欺に引っ掛かるほど馬鹿な訳…。」
そう言いかけるてゐの目にあるものが目に入る。
それは、受話器部分がテーブルからブラーンとぶら下がっている電話機。
まるで、電話の相手がのっぴきならない事態になって、
それを察した受話器を取った相手が、慌てて受話器を放り投げて
部屋を飛び出して行ったかのような。
「…まさか、本当に引っ掛かった…。」
れいむれいむ詐欺に?
良く考え無くても、ゆっくりれいむの知り合いが居ないのに?
しかも、仮に引っ掛かって銀行に向かった場合別の問題が浮かび上がる。
「…れみりゃ、てんこちゃんお金なんて持って無いよね。」
「……!」
詐欺にひっかかったのならてんこは銀行にお金を振込に行ったんだろう。
しかし、てゐの言う通り、てんこはお金なんて一円も持ち合わせて居ない。
そうなったら基本いい子とはいえ、世間の常識がかけているてんこは何をしでかすか。
れみりゃの貧困な発想力でもそれは容易に想像出来た。
「…てゐさん。」
「ああ、此処から一番近い銀行は『せきBank』だった筈。」
「行ってみるど!」
てゐとれみりゃは走り出す。
てんこの暴挙を止めるため、そして自分達がそのとばっちりを受けないため!
今は全力で銀行に向かうのだ!万屋てゐ!
~☆~
その頃公安⑨課の詰所では、凄まじいまでの張り詰めた空気が漂っていた。
勤めている⑨課の隊員達も、辺りに漂う空気のせいで、心なしか背筋がピンとしている。
その中心にあるのは、ゆーぎ所長の部屋である。
そしてその部屋には今、ある客人とこの部屋の主であるゆーぎ所長の姿があった。
しかし、ゆーぎ所長は自分の部屋に居るというのに全然ゆっくりしていなかった。
: ∧ :
: |::::| :
: /´ ̄'!☆|"´ ̄\ :
: / / |::::::| \ :
: / ノ |:::::::! \__\ :
: ∠〃 {ノノ_ハ_V レ'、_i_l>\__> :
: /'レ小(◯), 、(◯) 从l \ :
: |('/ ̄ 'ー=-'  ̄///) :
: ,r‐──────‐、 :
. : / ',, : 過ぎる年月を幾つ経たことか
: / ', :
. : ├─────────┤ :
. : lニニニニニニニニニニニl : いずれ人にも忘れ去られて
: lニニニニニニニニニニl :
. : ',─────────/ :
: }ニニニニニニニニニ{ : 幽かに残る幻は
: jニニニニニニニニニ', :
. : / '', :
: i TEN G A i : いつか見た萃夢想
: l l :
: l l :
: l l :
: l l :
. : ゝ────────‐'''
全身がカチガチに固まって、今にも何かの弾みでロボット歩きしてしまいそうな状態だ。
ゆーぎ所長がこんな状態になっている原因は、今この部屋に来ている客人のせいである。
「あの。」
「ほげぁあああああああああ!」
客人がただ呼び掛けただけなのにこのオーバーリアクション。
完全に所長はテンパってしまっている。
そして客人がドンびいているのを見て、ゆーぎ所長はコホン、と軽い咳ばらいをする。
「いや、済まない。とりあえず本日はこんなむさ苦しいところに来てくださって、ご足労感謝する。」
「そんな畏まった挨拶は良い、今は一刻を争う事態なんだ。」
客人は全身をフードで覆った胴付きゆっくりだ。
…大体察しは付いていると思うが、この客人は冒頭に現れたフードゆっくりと同じゆっくりである。
「貴方ほどのお方が緊急事態なんて言葉を使うとは…
それは下手するとゆっくりの国全体に及ぶほどの危機が迫っているという事なのか?」
「ああ、その通りだ。実は…。」
ぐぅうううううう…。
フードのゆっくりが何か言いかけたその時、物凄い腹の虫の音が
部屋中に響き渡る。
ゆーぎ所長はフードのゆっくりをじっと見つめた。
彼の聴覚が、今の腹の虫がこのゆっくりが放ったモノであることを的確に認識したからだ。
「あの、もしかして今の…。」
「済まない、実はこの国に来てから何も食べていない…。
情報を伝えることを優先したからな。」
質問しきる前にフードのゆっくりは答えを返す。
「そ、そうか、それなら食事を今すぐ用意しよう。」
そうは言っても。今は飯時ではないので食堂はしまっている。
部屋にはお酒しか置いていないし、どうしたモノかとゆーぎ所長は考える。
と、その時、一人のゆっくりが部屋の前を通り掛かった。
「…ち、ちるの!良い所に良いモノを持ってきたな!」
「え。」
/^\ ,.へ___
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〉 / /´ / , 、 、 ヽ〉
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└rイ レイ (ヒ_] ヒ_ン)ハヘ| n⌒i
く_ノ 〉 i"" ,___, " iハ _,,.! ノ
ハ. i ハ、 ヽ _ン 人|´ /
i\レヘハレへ〉'=r--r='i´Vヽy'´
ヽ、,_`ヽ,r'´ `ト、 ∞」 i ノ
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くヘ,.へ_,.へ__,.ヘ,.ヘ
`'r、__ハ___ハ__!ン
ト_ン ト_ノ
いきなり呼び掛けられて、公安⑨課の突撃隊長、ちるのは立ち止まる。
ゆーぎ所長が彼女を呼び止めた理由。
それは彼女が運んでいるものだった。
「その素麺だ!その素麺をコッチに渡してくれ!」
ゆーぎ所長はそうちるのにお願いする。
「素麺って…これ?」
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ちるのは自分が運んでいる皿に乗った麺状のものを見ながらそう言った。
透明感のある白さといい、見事なまでの細さといい、
誰がどう見てもそれは素麺としか言いようがなかった。
「今お客さんが来てるんだが、どうにもお腹が空いているらしいんだ。」
「ああ、だからこれを食べさせようと?」
「そう言う事だ。」
それを聞いたちるのは明らかに微妙な顔になる。
その顔を見てゆーぎ所長は気づいた。
「そ、そうか、それはお前の食事…。」
「いや、違うけど?」
ゆーぎ所長の推測をちるのはあっさり否定する。
所長は思わずガクリとなってしまった。
「まぁ食べたいと言うのなら食べても良いけど。」
ちるのはそう言うと素麺の乗った皿をゆーぎ所長に差し出した。
「そ、そうか!恩に着る!」
ゆーぎ所長はそう言うと、素麺の皿をちるのから奪ってフードの男の前に置いた。
すぐさまめんつゆを取り出し、小さな器に二人分注ぐ。
「…めんつゆ、何処から持ってきたの?」
ちるのはぼそりとそう言ったが、その言葉がゆーぎ所長の耳に届くことはなかった。
「さぁ!思う存分腹を満たしてくれ!」
ゆーぎ所長は素麺を指差しながらフードのゆっくりにそう言った。
フードのゆっくりは差し出された素麺を、ゆっくりと啜り始める。
リアクションは何も無い、旨いのか、それともマズイのか。
「…とりあえず、私も食べるか。」
めんつゆを二人分用意したのはその為である。
ゆーぎ所長はマイ箸を取り出すと、おもむろに皿にのった素麺を絡め取る。
そして絡め取った素麺をめんつゆにin!
十分に絡ませた後口の中に運び!ズズッと啜りあげる!
この瞬間、至福の時が訪れる筈だった。
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ノ ∠,,..イ "  ̄,. ‘-,,' ≦ 三
'´7 /_ノ)>、 .ゝ'゚ ≦ 三 ゚。 ゚
≧ 三 ==-
-ァ, ≧=- 。
イレ,、 >三 。゚ ・ ゚
≦`Vヾ ヾ ≧
。゚ /。・イハ 、、 `ミ 。 ゚ 。 ・
しかし次の瞬間、ゆーぎ所長は派手に吹き出してしまった。
「ゴハッ!ゴホッ!」
おもいっきりむせるゆーぎ所長。
一連の様子を見ていたちるのはああ、やっぱりといった表情になっている。
「所長、大丈夫?」
ゆーぎ所長にちるのはそう話しかける。
「あま、あま、あままままま……!」
口の端から素麺を垂らしながらゆーぎ所長は何か言おうとしている。
しかし、呂律が回らず、目も焦点が合ってない状態じゃあ何を言おうとしてるのか伝わらない。
「ほい。」
ちるのはヤバイ事になっている所長に水を一杯差し出した。
そのまま奪い取るように水を受け取り、ゆーぎ所長は水を一気に飲み干す。
「っぱぁーーー!何だ今の素麺!甘いってレベルじゃなかったぞ!」
水を飲んで口の中と頭の中をリセットしたゆーぎ所長は大声でそう叫ぶ。
そう、ゆーぎ所長が口にした素麺は、有り得ないほど甘かったのだ。
いくらゆっくりの嗜好が甘味よりでも、素麺が甘いと不意を突かれれば吹き出してしまうというものである。
「そりゃそうだよ、それ素麺じゃないもん。」
「へ?」
ちるののその言葉を聞いてゆーぎ所長は目を点にする。
ちるのは箸で素麺を摘み上げてこう言った。
「これは、めっちゃ細いところてんです。」
「何…だと…。」
まるで英語の教科書の意味不明な翻訳のように答えるちるのに対し、
ゆーぎ所長は死神漫画でよく出てくるフレーズでリアクションするのであった。
「いやぁ、折角だからアタイ好みの甘味に仕上げようとしたら失敗しちゃって。
レティにでも食べさせようとしていた所なんだよ。」
照れながらそう説明するちるの。
「た、確かにゆっくりですら許容範囲外なこいつを食えるのはレティだけだろうな。」
口を押さえて吐き気を堪えながら納得するゆーぎ所長。
そして直後にある事に気がついた。
「そう言えば…!お客さん!」
ゆーぎ所長は慌ててフードのゆっくりの方へと振り向いた。
この甘さ、並のゆっくりでは堪えることは出来ない。
きっとフードのゆっくりも今頃悶絶して…。
「ずぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞ…!」
いなかった。
彼は物凄い勢いで素麺、否、無茶苦茶甘いところてんを啜っていた。
その啜りっぷりにゆーぎ所長もちるのもあんぐりと口を開けている。
つるん。
皿の上のところてんはすぐに無くなってしまう。
フードのゆっくりは空になった皿を取り、ゆーぎ所長に差し出して一言。
「おかわり。」
ちるのはゆーぎ所長の方へと振り向いてこう問い掛ける。
「所長、コイツ、何物?」
「…お前、知らないのか?」
「ただ者じゃないっていう事は今解った!」
ゆーぎ所長は呆れ顔で溜め息を付き、ちるのに向かって説明を始めた。
「ヴァナディールは知ってるだろ?」
「うん、知ってる!」
ヴァナディール、ゆっくりの国のある大陸の果てにある。
前人未踏の地である。
グルメ界に匹敵する秘境だとか、住むもの皆化け物ばかりだとか、
そんな話ばかり聞く場所。
自然、そこに住むゆっくりも超人的な身体能力を持つゆっくりばかりだとか。
物覚えの悪いちるのではあるが、ヴァナディールについては一通りの知識がある。、
理由としては、やたらと事ある事にぶつかってくるある一級廃人が原因だろう。
「彼はヴァナディールで一番のハンターだ。」
「え?」
ちるのは驚いてフードのゆっくりの方を見た。
フードのゆっくりはまだ皿を差し出している。
「…何の冗談?」
ちるのは思わずゆーぎ所長にそう問い掛けていた。
どう見てもフードのゆっくりがそんなに強いようには見えなかったから。
「冗談のつもりで言ったのでは無いぞ、彼はヴァナディール中を駆け巡り、
数々の危険生物と戦いを繰り広げてきた化け物なのだ。」
「…あれがー?アタイにはただの不振人物にしか見えないわ!」
ちるのはゆーぎ所長の言葉を全然信じていない。
「ホントだぞ!どう見ても前が見えなさそうな恰好で強敵とガン・カタで戦いを繰り広げ、
謎の奇声を上げながら二人に増えながら変則回転キックでとどめを刺す!」
「うわ、ナニソレ気持ち悪っ!」
「そんな戦いっぷりから、彼はいつしかこう呼ばれるようになった…………『一流のゆっくり』、と。」
「戦い方とあんまり関係ないあだ名だ!」
力説するゆーぎ所長の話を聞いて、開口一番で出たツッコミがこれだった。
「…おかわりはまだか?」
フードのゆっくりはまだおかわりを催促してくる。
そして話し掛けられたゆーぎ所長はハッ、となる。
「あ、忘れてたな。ちるの!今すぐところてんのおかわりを…。」
そう指示を出そうとしていたゆーぎ所長を押しのけてちるのが話しかける。
「おい!お前ヴァナディールで一番のハンター何だってな!
ハンターがウチの⑨課に何の用があって来たんだ!」
「お、おいちるの…。」
「答えろよ!答えなくちゃところてん持ってきてあげないぞ!」
ゆーぎ所長をグイグイ押しのけながら、ちるのはフードのゆっくりにそう話しかける。
「…そうだな、今はゆっくり食べている場合ではないか。」
フードのゆっくりはそう呟いた後、一枚の写真をとりだした。
「げ。」
その写真を見て、ゆーぎ所長とちるのは思わずそんな声を上げてしまった。
何故か?その理由は写真に何が写っているのかを見れば一目瞭然だった。
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「チョット!いきなり黒いアイツの写真なんか見せてるんじゃないわよ!」
不快なモノを見せられたちるのはそんな怒りをフードのゆっくりにぶつける。
「…俺は何の理由も無くこんな不快な写真を見せると思うか?」
「え!?」
フードのゆっくりの言葉に驚くちるのとゆーぎ所長。
「と、言うことはその黒い奴はただの黒い奴じゃない?」
「ああ、人やゆっくりに取り付いて自在に操ることが出来るんだ。」
「うげ?この黒い奴、そんな特技を持ってるの?」
「しかも一度に取り付く数が尋常じゃない、
取り付くときは100や200じゃあ足りない数の虫が、取り付く対象の体内に一斉に入り込む。」
「………………。」
ちるのとゆーぎ所長はフードのゆっくりが言っている光景を、
頭の中でシミュレートしてみた。
「うっぷ…。」
どう考えても吐き気しか催さない光景が目に浮かび上がってしまった。
「私は元々この国には個人的な用事でやって来たんだが…。
来た直後にこの虫に取り付かれて居る奴二人と交戦した。
一人問題無く倒せたんだが、もう一人は逃がしてしまった。」
「え、それってつまり。」
「ああ、コイツに取り付かれたゆっくりが今この辺りを歩き回っている…
事によっては、非常に危険な事態に発展するかもしれない。」
「!?」
ゆーぎ所長に電撃走る!
緊張で一瞬身体が強張るが、それでも呼吸を整えて落ち着きを取り戻す。
「それが本当なら、ゆっくりの国の治安を守るものとしては放って置けないな。
解った、今すぐ部下達にそいつを探させよう。」
「黒い奴にとり憑かれた奴は足跡がカサカサと言う音になる、足音に気をつけろと言っておけ。」
フードのゆっくりはそう言って立ち上がり部屋を出て行こうとする。
「ちょっと、どこに行くつもり?」
そこで彼を呼び止めるのは公安⑨課突撃隊長、ちるの。
呼び止められて、フードのゆっくりはゆっくりとちるのの方へと振り向いた。
「俺は俺のやるべき事をやりに行く。」
「怪物退治をアタイ達に押し付けて、アンタはのんびり観光だなんて良い御身分ね!」
フードのゆっくりの言葉に、怒りを覚えるちるの。
当然だろう、面倒事をこちらに押し付けて自分だけ帰ろうとしてるのだから。
「…さっきも言ったが俺は別の用事で此処に来たんだ、お前達と付き合ってるヒマはない。」
「別の用事って何さ?」
ちるのに問われてフードの男は考えるそぶりをみせる。
「…そうだな、モンスターの捕獲、だな。」
「モンスター!?さっきのゴキブリ以外にも居ると言うのか?」
フードのゆっくりの言葉に焦りの色を見せるゆーぎ所長。
その様子を見てフードのゆっくりはククッと笑ってこう言った。
「そうだな、アイツは本当に手に負えない
ゆっくり界最悪のジャジャ馬モンスターだ。」
続く
最終更新:2014年09月15日 23:47