『ゆっくり絵を描いてね!!!』
今日も一段落と、仕事を終えて家に帰る。
「ただいま!!・・・。ん?出て来ないな?」
いつも、例の挨拶と共に玄関に出てくるあいつ等がやって来ない。
「そろそろ、俺の家から離れて行く時期なのかな・・・。」
突然やって来て、突然去る。そんなゆっくり達の気まぐれを
ちょっと残念に思いつつも、居間へと足を運ぶ。
「ゆ、ゆ、ゆ~♪」「かっこいい!!」
「とかいはのあーとをみせてあげるわ!!」
「みょーん。せーしんしゅーちゅー」
ああ、ここに居たのか。と聞こえる声に安心してふすまを開けると、
前に字を書いてみたい、とねだってた時に買い与えたスケッチブックに、皆して群がっていた。
「何をやってるんだ?」
「ゆっ!!かえってたの?!」
「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」
「ああ。ゆっくりする。で、何してたんだ。」
「「「「ゆっくりおえかきだよ!!!」」」」
そういえば皆の口周りにクレヨンの跡がついてるな。
で、スケッチブックを覗いてみる。
「どう?どう!?」ぴょんこらぴょんこら、れいむが自分の絵を一番に見てと急かす。
そこに書かれていたのは、
「・・・これは絵なのか?」
前に教えてみた、ゆっくりしていってね!!!の文字がミミズがのた打ち回る姿で
なんと無しにそう読める程度の形で有るのと。
その横に、黒く塗りつぶした丸(しかも一方がとがってる)が有るだけだった。
「うーん、とりあえず文字は読めるぐらいになったな。偉い偉い。」
「ゆ~♪!!でもそのよこのえもみてね!!!」黒い丸の方を視線で指すれいむ。
「これはなんだい?」
「まりさ!!!」・・・ごめんよ。その発想は無かった。
「まりさのもみてね!!!」まりさの下に書いてあるのも見る。
色が色々混ざった、そう、こう、何か不安になるような妙な色使いの“なにか”だった。
「すごいでしょ!!たっぷりほめてね!!!」うん、いろんな意味ですごいよ・・・。
ちょっとコメントしずらい絵を見ながら、俺は笑顔でごまかした。
「みょーん。みてほしいみょん」誘われる様にようむの下に在る物を見る。
「どれどれ・・・・・・。絵ではないけど上手だな。」
「ゆ!!」そう、まさしく“ゆ”。ゆ、という文字のみがちゃんとした形で書かれている・・・。
相当練習したのだろう。ようむの下付近に、無数の“ゆ”と思われる文字が書かれていた。
「ふん。み、みてほしいなんておもわないんだからね!!」おお、つんでれつんでれ
などと、心の中できめえ丸の真似をしながら、とりあえず見てみる。
「おお!!、これは・・・。」
以外、ではあった。口周りを様々な色でそめたありすの下にあったのは
まるで小学生の子供が書く様な。それでもまだ形がちゃんと解る、れいむ、まりさ、ようむが
草原で仲良く笑っている絵だった。
「ありすはとっても上手だな。れいむ、まりさ、ようむも良く描けたね。」
「「「「ゆっくり~!!」」」」
喜ぶゆっくり達を尻目に、ああ、これは、皆を風呂に入れた後は大掃除だな、と部屋の惨状に苦笑した。
※文で絵を表現するのは難しい。
即興の人
最終更新:2009年02月06日 01:07