『始めの一歩』
それは昔のお話。
好奇心旺盛なちぇんがある日、地面を見ていた。
そこには芽が生えている。
「ゆっくりだねー」
自分達がすっきりすると生えてくる芽。
だけどもそれがなぜ地面から生えてきているのか、ちぇんには解らなかった。
だが、なにせ穏やかな風に揺られこんなにゆっくりしているのだ。
「ゆっくりしていってね!!!」
ならばこう挨拶をするべきだろうとその芽に語りかけていた。
何日か後
芽がどんどん伸びていく。
その姿に感動したちぇんは仲良しのぱちゅりーを呼んで
一緒に眺めることにした。
「むきゅ!!これはすごいわ!!」
「どーしたのー?」
「これはだいはっけんよ!!!」
ぱちゅりーは気が付いた。これはいつも食べているお花さんだと。
これから、どうやってお花を付けるのか。
いや、そもそもどうやったらこういう風に伸びてきたのか。
そこから、ちぇんはぱちゅりーの質問攻めを受けることになった。
「ちぇん!!どうやったらこんなになったのかゆっくりおしえてね!!」
「うーん。わからないよー。」
「じゃあ、はじめはどんなのだったかおしえてね!!!」
珍しく興奮するぱりゅりーに圧されながらちぇんは説明する。
「はじめはおいしそうなものがあったんだよー。
だけどみんなとあそんでてわすれてたよぉ。それでおもいだしてきてみたら
めがはえてたんだよー。」
そのことを聞いてぱちゅりーはハッと気付き、
地面の土に舌で思い当たる“おいしそうなもの”を書いて見せた。
「そう、これだよー!!わかる、わかるよー!!」
「やっぱりこれだったのね!!おはなさんのあかちゃん!!」
そう種だ。花が散った後に残す種がなんなのか。
それがこの時までゆっくり達には良く解っていなかった。
頭の良いぱちゅりーが疑問に思っていたことの一つに、
私達が、芽が成長した茎から子供を産み出すなら
他の物はどうやって子供を産み出すのだろうかと、そういうものがあった。
それをこんな風に食べ物と認識される前の段階の花を見て
そしてそれを見ていたちぇんに聞くことによって新たな発見に至ったのだ。
ちぇんとぱちゅりーは、それからも一緒にその花を眺め続けた。
ぱちゅりーはいそいそと花の周りなどを観察しどんどん何かを思いつき、
ちぇんは素直に花の成長に喜んだ。
そして花が咲き、それを食べずに今度は散ったその花の種を土に植えたのだった。
ちょっとした発見。これが、後に人里に劣らぬゆっくり達の村の始まりになるとはこの時、まだ誰も知らなかった。
即興の人
- 何か偉大なる発見と言うか・・・一歩みたいな感じですね。でも情景を思い浮かべてみても、ゆっくり達だから微笑ましく感じてしまいます。 -- 名無しさん (2008-09-27 03:32:45)
- 何気ない事でも後に大きな事に繋がる。
ゆっくり達が織りなす日常、発展と心の成長物語は読んでいて心癒されました。
-- ine (2008-09-27 05:45:24)
最終更新:2008年09月27日 05:45