おやまのヒミツ
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≪はじめに≫
- 自分設定有りです。
- 元ネタ(?)は"いじめwiki"の方に投稿したSSになります。
- 仕事しながら合間に書いたので、(一応推敲はしましたが)誤字脱字等あるやもしれません。
以上、何卒ご容赦ご了承ください。
少しでも楽しんでいただければ幸いです。
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"その山には決して入ってはならない"
"入ったゆっくりは二度とゆっくりできなくなってしまう……"
近頃ゆっくり達の間で、そう噂される山があった。
だが、そんな噂をたてられれば、逆に好奇心をくすぐられてしまうのは、
人間もゆっくりもそう変わらない。
ある日、好奇心旺盛な3匹の仲良しゆっくり達が、その山へピクニックへ行くことにした。
頭の良いぱちゅりー。
元気で力持ちなまりさ。
優しく面倒見の良いれいむ。
3匹は幼なじみで、群れの中でも一際仲が良く、互いを信頼していた。
3匹がそろえば、どんなことがあっても平気へっちゃら♪
3匹のゆっくりは、周りの大人ゆっくり達が止めるのも聞かず、
こっそり群れを抜け出して、噂の山へと向かった。
だが、その山はゆっくり達にとって甘くは無かった。
気付いた時には3匹は道に迷い、さらに気まぐれな天気が障害となる。
「むっきゅーっ! たいへんよ! 雨がふってきたわ!」
「わかってるぜ! はやく雨宿りできるばしょをさがすんだぜ!」
「ゆぅ~! ゆっくりピクニックしたけっかがこれだよ!」
3匹のゆっくりは、息を切らせながらピョンピョン跳ねていく。
普通のゆっくり達にとって、長時間雨に濡れるのは禁物だ。
なんとか雨宿りできる場所は無いか、探す3匹。
けれど、山はゴツゴツ岩だらけで、
背の低い木や草は生えていても、雨宿りできそうな場所は中々見つからない。
「ゆっ! ふたりとも、はやくついてくるんだぜ!」
「むきゅ? なにかあったの、まりさ?」
先頭を跳ねる元気者のまりさが、ぱちゅりーとれいむに急ぐように促す。
不思議がりつつも、その後を追う、ぱちゅりーとれいむ。
「ゆゆっ! 緑色のお山さんだ!」
まりさの下まで辿り着いたれいむが、目の前のそれを見上げながら声を上げる。
そこには、岩山とは対照的な、緑色の小さな山があった。
しかし、緑といっても木々が生えているわけではない。
文字通り、地面が緑色なのだ。
また、山といっても高さはせいぜい10m無い程度であり、
あくまでゆっくりのサイズから見たら"山"と呼べなくもない……そんな場所だった。
「むきゅー……ふしぎな場所ね……」
首を傾げるぱちゅりー。
そんなぱちゅりーとれいむを、緑色の山を登り始めたまりさが急かす。
「ふたりとも何ゆっくりしてるんだぜ! はやくあそこで雨宿りするんだぜ!」
まりさの視線の先、山の頂上付近には、不思議洞穴のような空間が見えた。
「ゆゆ! あそこならゆっくり雨宿りできそうだよ!」
「む、むきゅー、ここを登るの……?」
溜息をつくぱちゅりー。
生まれつき身体能力が高くないぱちゅりー種にとって、目の前の山を登るのは、
人間でいえば断崖絶壁をクライミングするにも等しい。
「がんばってねぱちゅりー! れいむも協力するよ!」
「おっと、まりさのことを忘れてもらっちゃこまるぜ!」
まりさとれいむは、ぱちゅりーが登りやすいように、後ろから押してあげる。
「むきゅ~~~、2人ともありがとう」
「これくらいどうってことないんだぜ!」
「そうだよ! れいむたちはしんゆうだもんね!」
3匹のゆっくりは、徐々に徐々に、緑色の山を登っていく。
そして、どうにか雨の影響を深刻に受ける前に、山の頂上の洞穴らしき場所に到達した。
「ゆぅ~~~、ゆっくりどうにかまにあったよ……」
「ほんと、ひやひやものだったぜ」
洞穴の中で、安堵の息をつく、れいむとまりさ。
一方、ぱちゅりーは、その不思議な場所に対して興味津々だった。
「むきゅ~~~ふしぎな穴ね……」
そこは、確かに自分達ゆっくりが入るには充分な広さだったが、
洞穴というよりかは、まるで何かと何かの隙間に出来た空間のようだった。
それに、地面も壁も、明らかに土や岩ではなかった。
いや、もっと言ってしまえば、この山自体が土でも岩でもない、
草とは違う何かフサフサしたものが生えた不思議な地面で出来ていた。
「ゆゆ~ん! おもしろ~い♪」
「むきゅ?」
れいむの声に振り向くぱちゅりー。
見ると、れいむとまりさが、地面の上を跳ね回っている。
その高さは、いつもより明らかに高い。
どうやら、地面自体が、ボヨンボヨンと弾んでいるらしい。
「ゆ~! 運動したら汗かいちゃった♪」
「ほんと、ここはあったかいぜ♪」
そう、ここは確かに温かい。
外は相変わらず冷たい雨がシトシト降り続けているのに。
「あったくてとってもゆっくりできるよ♪ まるでお母さんのお口の中みた~い♪」
「むきゅ!?」
れいむの言葉に、ぱちゅりーの中で何かが閃きかけた。
が、その思考はまりさの呼びかけで遮られる。
「おい、こっちにきてみるんだぜ」
「ゆ~?」
「むきゅ?」
まりさの下へ赴く2匹。
そこには、木片や倒木が散乱し、そのうちの何本かは地面に突き刺さっていた。
「ここにキノコが生えてるんだぜ!」
「ほんとだ! れいむおなかがすいてたんだぁ~♪」
地面に刺さった木からは、キノコが生えていた。
それは、3匹がかつて森の中で食べたことのあるキノコだった。
山登りで、お腹の空いていた3匹は、そのキノコを食べようとする。
「ゆっ! キノコさん高いところに生えていて届かないよ!」
「大丈夫だぜ! そういう時はこうするんだぜ!」
まりさは、キノコの生えている、地面に突き刺さった木に体当たりし、それを倒そうとする。
と、その時だった。
『う~~~~~~~~~~~っ』
「「「ゆゆっ~!?」」」
驚く3匹。
どこからともなく、地鳴りのように大きな声が聞こえてきたではないか。
それも、どこかで聞いたことのあるような……。
「な、なんなんだぜ!?」
『う~~~~~っ! ポンポンがいたいどぉ~~~~っ!』
声は洞穴の外から聞こえてくるようだった。
外はまだ雨が降っていたが、このままここにいるのは危険だと、
3匹のゆっくりは洞穴の外へでる。
ゴゴゴゴゴゴゴ。
「ゆゆゆゆっ!?」
「むきゅーっ!?」
「じ、じしんなんだぜ!?」
突如、緑色の山が震えだした。
慌てふためく3匹のゆっくり。
3匹は洞穴から逃げ出すように、洞穴に背を向けてピョンピョン跳ねていく。
すると、やがて緑色の大地が途切れ、その先に血色の良い肌色とも薄ピンク色ともとれる地面が見えてきた。
あそこまで行けば大丈夫。
特に根拠は無かったが、3匹は楽観し、そこを目指して跳ねていく。
が、やがて3匹はピタリと跳ねるのを止めて、口をパクパク動かしだす。
正確に言えば、その肌色の大地の正体を知って、恐怖で体が動かなくなってしまったのだ。
「れ」
「れ」
「れ」
のそぉ~と、肌色の大地がせり上がる。
その肌色の大地には、大きな口と、ニッコリ笑った大きな目がついていて、3匹のゆっくりを見ていた。
『う~~~? おまんじゅうがいるどぉ?』
「「「おっきなれみりゃだぁぁぁぁ---っ!!!」」」
3匹のゆっくりは、そろって絶叫する。
そこにあったのは、肌色の地面などではなかった。
信じられないほど大きな、自分達の天敵・ゆっくりれみりゃの顔だったのだ。
『うっうー♪ れみりゃ、ただのれみりゃじゃないもぉ~ん♪』
「「「え?」」」
下ぶくれた顔を破顔させて、そのれみりゃは誇らしげに口を開いた。
『れみりゃは~、ティガれみりゃだどぉ~~♪』
そう、3匹が緑色の山だと思っていたのは、超特大のれみりゃ……
それも希少種中の希少種、超巨大突然変異種"ティガれみりゃ"だった。
見た目は、ディフォルメされた緑色の恐竜の着ぐるみそのものだが、
恐竜の口と思われる部分に大きな穴が空き、そこにれみりゃ種特有の下ぶくれスマイルが覗いている。
形状は俗に言う"ゆっくりゃザウルス"や"れみりゃザウルス"にそっくりだが、なんといってもサイズが桁違いだった。
尻尾をあわせた全長は20mは下らない。
3匹のゆっくりは山だと勘違いして、仰向けに寝ているティガれみりゃのお腹の上に登ってしまったのだ。
そして、ティガれみりゃの下腹部についているポケット状の袋を洞穴だと思い、雨宿りしていたのだ。
「「「あ、あ、ああああ……」」」
その余りにも巨大な存在を目の当たりにして、3匹のゆっくり達の思考は、完全に停止してしまった。
動かなければ。
何か言わなければ。
そう考える3匹だったが、停止した思考で良いアイディアが浮かぶはずもなく、
開いた口から出たのは、もっとも本能に近いプリミティブな言葉だった。
「「「ゆ、ゆっくりしていってね!」」」
『う?』
しまったぁ、と後悔する3匹。
よりにもよって、こんな時に、こんな相手に。
相手は捕食種、それも見たこともない巨大れみりゃ、一緒にゆっくりできるはずなどないのに。
ああ、きっとこのまま自分達は食べられてしまうんだ……3匹はそう思い、目を瞑って覚悟を決める。
が、この言葉に、ティガれみりゃは予想外の反応をみせた。
『うっう~! ゆっくい~♪』
「「「ゆっ!?」」」
『ゆっくいゆっくい~♪』
「「「……ゆ、ゆっくり~?」」」
『うーうー♪』
なんと、このティガれみりゃ、"ゆっくり"という言葉を気に入ったのか、ニコニコしながら反復しだした。
となれば、3匹のゆっくりが取る行動は一つ。本能に従い、ぎこちないながらも"ゆっくり"返答を返す。
「「「ゆ、ゆっくりしていってね♪」」」
『ゆっくりしていってだどぉー♪』
いつの間にか、3匹とティガれみりゃは、一緒に笑っていた。
"ゆっくり♪"
"ゆっくり♪"
いつ終わることもなく、互いに楽しげにフレーズを繰り返す。
「ゆゆっ! ティガれみりゃはゆっくりできるれみりゃなんだね!」
れいむが嬉しそうにピョーンと跳ねた。
しかし、それを聞いたティガれみりゃは、心なし表情を曇らせる。
『う~~、でも今のれみりゃは~、ゆっくりできないんだどぉ~』
「むきゅ? どうして?」
『うー……。ちょっと前から~、れみりゃのポンポンがイタイイタイなんだどぉー……』
しょぼーんとするティガれみりゃ。
目尻にはうっすら涙を浮かべている。
『れみりゃもー! ゆっくりしたいどぉー!』
仰向けのまま、ジタバタ手を動かすティガれみりゃ。
3匹のゆっくりは、その衝撃でひっくりがえってしまう。
「もー! あぶないんだぜティガれみりゃ!」
「おねがいだからゆっくりしてね!」
『うー? ごめんごめんだどぉ♪』
テヘと頬を紅潮させて照れるティガれみりゃ。
ぱちゅりーは、そんなティガれみりゃの様子を見て、どうやら悪いゆっくりではないようだと判断した。
そして、ティガれみりゃのお腹が痛い原因も、ぱちゅりーには察しがついていた。
「むきゅ! ねぇティガれみりゃ、お願いがあるの!」
『う? なんだどぉ?』
「わたしたちがあなたの腹痛を止めてあげるから、代わりに私たちをお家まで送って欲しいの!」
ぱちゅりーの提案に、ティガれみりゃはパァーと顔を輝かせる。
『そんなのお安いごようだどぉ♪ うー、はやくイタイタイのポ~イしてぇ~♪』
「むきゅ! わかったわ!」
そう言うと、ぱちゅりーは、まりさとれいむを連れて洞穴……即ちティガれみりゃのお腹の中へ入っていく。
「ど、どうするんだぜぱちゅりー?」
心配そうなまりさに、ぱちゅりーは自信満々に微笑みかける。
「むっきゅー! 大丈夫よまりさ! ティガれみりゃの腹痛の原因はあなたが見つけてくれたじゃない!」
「まりさが……?」
頭の上に「?」マークを浮かべるまりさ。
一方、れいむは何かに気付いたようで、ポケットの奥の方へ跳ねていった。
「ゆゆっ! ゆっくり理解したよ! このキノコさんが生えた木がげんいんなんだね!」
「むきゅ~ん! その通りよれいむ!」
ティガれみりゃの腹痛の原因、それはポケットの奥深くで体に刺さっていた木々によるものだった。
これは、ぱちゅりー達は知らなくて当然のことだったが、
ティガれみりゃは、お気に入りの立ち枯れの木を、"すぴあ☆ざ☆ぐんぐにる"と名付けて、
ポケットの中に入れて持ち運ぶ習性があった。
その際、ささくれた木がポケットの奥深くで体に刺さってしまっていたのだ。
とはいえ、そういったことは偶にあることで、人の皮膚に棘が刺さるように、
放っておいても木はやがて自然に朽ち、傷もれみりゃ種特有の再生力によって塞がっただろう。
だが、それはそれ、痛みに弱く甘えん坊なれみりゃ種にとっては、不快極まりないものに変わりはなかった。
「よーし、それじゃ、1・2・3でいくぜ!」
「ゆっくりわかったよ!」
「むきゅ! がんばるわ!」
3匹のゆっくりは、協力しながら体当たりを繰り返し、
刺さった木を倒したり、咥えて引っこ抜いたりしていく。
中にはかなり大きな木片が深めに刺さっていることもあり、苦労したが、
3匹のチームワークで、何とかやり抜けるのだった。
「ゆっふ~ん! どんなもんだぜ!」
「ゆっへん! れいむたちが力をあわせればこんなのかんたんだよ!」
1時間後、ティガれみりゃのポケットの中には、
汗だくになりながらも誇らしげに胸を張る3匹の姿があった。
『う~~! ポンポンの痛いのなくなったどぉ♪』
3匹は、ティガれみりゃの喜ぶ声を耳にして、ポケットの外へ出て行く。
「むきゅー、ティガれみりゃ調子はどう?」
『うーーー♪ 痛いのぽ~いしてくれて、ありがとうだどぉ♪』
「それじゃ?」
『うー! こんどはれみりゃがやくそく守るばんだどぉ!』
そう言うと、ティガれみりゃは手を伸ばし、3匹をその上に乗せる。
そして、その巨大で重たい体を「うーしょ♪ うーしょ♪」と難儀そうに動かしながら、
えっちらおっちら立ち上がった。
『ぎゃおー♪ ティガれみりゃだどぉー♪』
両手をバンザイのように掲げて、自慢の決めポーズをとるティガれみりゃ。
高く掲げられた手の上にいる3匹は、おっかなびっくりしつつも、その見晴らしに感激していた。
「むきゅー! あんな遠くまで見える!」
「かぜがきもちいいんだぜ~!」
「すっごぉーい! まるでお空をとんでるみた~い♪」
ティガれみりゃは、そんな3匹を、自分の恐竜頭の上に乗せてあげた。
『うーうー♪ そこでゆっくりしてるのがいいどぉ♪ あぶないから~おちないように気をつけてねぇ~ん♪』
「「「ありがとう! とってもゆっくりできる眺めだよ! ティガれみりゃ!」」
『う~~~、そんなにほめられると、さすがにてれてしまうどぉ♪』
自分の頬をポリポリかいて照れ笑いするティガれみりゃ。
『それじゃ、みんなのお家にいっくどぉー♪』
「「「ゆっくりおくっていってね!」」」
『うーらじゃー♪』
そう言って、ティガれみりゃは岩山をのっしのっしと歩いていく。
それは、ただ単に歩くのではなくでなく、独特のリズムをとって、まるで
ダンスのステップを踏むようだった。
よったよった、どったどった。
よったよった、どったどった。
『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~~♪』
ステップにあわせて口ずさみはじめる、ティガれみりゃ。
「ゆゆっ! ティガれみりゃ、おうたをうたってるの?」
『みんなもいっしょにうたうどぉ~♪ とぉ~ってもえれがんとでぇ、たのしいどぉ♪』
「わぁーい! とってもゆっくりできそう♪」
「まりさのびせい、きかせてやるんだぜ!」
「むきゅ、わたしだって!」
ティガれみりゃの提案に喜ぶ3匹。
みんなは、楽しそうに一緒に歌い出す。
「「「『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~~♪』」」」
……その後、3匹のゆっくりは、ティガれみりゃに送り届けられ、
無事に群れが住む森へ帰ることができた。
群れの他のゆっくり達が、ティガれみりゃを見てどれだけ驚いたか……
森にどれだけの騒動が巻き起こったか……
それはまた、別のおはなし。
おしまい。
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≪あとがき≫
こちらには初めて投稿させていただきます。ちょっと緊張してます;;
ムチャクチャな設定ですが、少しでも楽しんでいただけましたら幸いです。
by ティガれみりゃの人
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- にぎやかなお話ですね~♪ほのぼのします(*´v`*) -- 名無しさん (2008-09-25 02:33:11)
- 童話っぽくて良いね。 -- 名無しさん (2008-09-27 22:54:14)
- 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~~♪』 ポニョのメロディで歌ってしまったw -- 名無しさん (2009-09-10 21:17:15)
- ティガれみりゃ欲しいです! -- 名無しさん (2014-09-24 09:09:07)
最終更新:2014年09月24日 09:09