きずな①~出会い~

 ※ゆっくりが現代入りしています。死にはしませんがゆっくりが他種から虐められたり人によって怪我を負ったりします。

 川原で1匹の子供のゆっくりが5匹のゆっくりに囲まれていた
「どうしてしゃべらないの?ばかなの?しぬの?」
「ほら、なにかしゃべってみてね!!」
「とかいはのありすからみればぐずめーりんはじょうぶなだけのいなかものね!」
「むきゅ。しゃべれないなんてぜんぜんゆっくりできないのね」
「わかる、わかるよ~!めーりんはあたまわるいんだよね!」
 上からそれぞれ、まりさ、れいむ、ありす、ぱちゅりー、ちぇんである。5匹が子めーりんを罵り終えると今度はまりさが体当たりを仕掛けた。
「これでもゆっくりくらうんだぜ!!」
           ドスン!!
「―――――!!!…」
 子めーりんはこれ程の言葉の暴力、物理的暴力を受けながらも何の仕返しもしないし言い返しもしない。ただ、ただ身体を縮こませ、うずくまり耐えてるだけだ。

 そう、めーりん種は言葉を話すことができないのだ。だが、そうだからと言って頭が悪い訳ではない。寧ろ、ゆっくりの中では知能は高い部類に入る。そして、何より体(皮)が他のゆっくりと比べ異常に硬く丈夫で更に再生力も高い。
 しかし、『言葉を喋れない』―――この事実は言語を操るゆっくりの中ではゆっくりできない存在として排斥されやいということを物語っている。この子めーりんのように。
この光景はめーりん種にとって日常茶飯事なのだ。

 ゆちゅりーが優越感に浸るようにめーりんを見下す。
「むきゅー。ほら、いつもみたいに変な鳴き声出しなさいよ、ほら!」
「JA…JAOOOOOOOO!!」
 この鳴き声がめーりん種に許された唯一の声だ。…だが、それだけ鳴けても全く意味を成さない。むしろ、虐めがエスカレートする火種となるだけだ。
「JAOOOOOOO!!だって(わら)!!」
「わからない、わからないよー!」
「まさにいなかもののなきごえね!」
 ゆっくり達の攻撃は容赦なく続く。罵倒、暴言、暴力…いくら丈夫なめーりん種であってもこれだけ小さな子供では再生も追いつかず、力尽きるまでそう長くはないだろう。

―――突然、声が響き渡る―――

「お、おい、お前等、そ…そ、その子が可哀相じゃないか!やめろよ!」
 ゆっくり達が声のした方を向くと、そこには小学生高学年位の少年が一人立っていた。人間が現れたことに一瞬うろたえたゆっくり達であったが、相手が子供だと認識するとすぐに余裕の表情を浮かべた。

「なによ!じゃましないでよね!!」
 れいむが頬を膨らませ少年を威嚇する。
「そ、その子が可哀相だろ!何でいじめてるんだよ!」
 少年の額にはうっすらと汗が浮かんでいる。

「ゆっ!ぐずめーりんはしゃべれないばかだからいじめられてとうぜんなんだぜ!」
「そうよ、そうよ!わたしたちはとかいはのゆっくりなのにいなかものの、めーりんのあいてをしてあげてるのよ。むしろかんしゃされるべきだわ!!」
 少年はうろたえていた。ゆっくり達がこんな風に言い返してくるとは思ってもみなかったのだ。
「う、うるさい!どんな理由があろうとも弱いものいじめはやっちゃいけないんだぞ!!」
「むきゅー。ばかなにんげんね。まりさ、こんなやつやっつけちゃって!」
「りょーかいだぜ!ゆっくりできないこどもはゆっくりしね!!」

まりさが少年に体当たりを仕掛け、少年のすねに当たった。思いのほか威力があったのか少年がよろめく。歯を喰いしばりながら耐え、倒れるのだけは防いだ。だが、、まりさはすぐに2撃目を繰り出す。今度は腹にヒットした。完璧に攻撃を喰らった少年は尻餅をついてしまう。
「みんな、いまよ!!」
 ぱちゅりーの声で他の4匹は一斉に攻撃を開始する。体当たりに、のしかかり…容赦なく攻め続ける。
 少年は…悔しさのあまり今にも泣きそうだった。だが、決してたかがゆっくりに一方的に負けているからではない。

(いじめられいた子を…守って…あげられなかっ…た…)

 このままゆっくりにやられてしまおうかと諦めかけた時、少年の目にめーりんが映る。
 傷でボロボロで…今にも命が尽きそうな体。弱々しい息を途切れ途切れに吐く姿。

(このままじゃ…僕が助けてあげなきゃ…あの子が…死んじゃう…!!!)

 少年は一欠片の勇気を奮い立たせた―――刹那、雄たけびが上がる―――

「うおおおおおおおおおおおおお!!!」

「な、なによ!?こいつ、めーりんみたいに叫んじゃって」
 一瞬ひるんだゆっくり達であったが、少年の様子がさっきのめーりんと重なった。叫んだって別に何も怖くない。それが彼(女?)等の誤算であった。
 立ち上がった少年はそばにいたちぇんを踏み潰した。
「ぐぅ…わ”がだだい”を…」
 ちぇんは餡子(ねこまんま?)を吐き出し痙攣し始めた。
「ちえええええええええん!!」
「むきゅー!!よくもちぇんを!!」
 ちぇんはまだ死んではいなかったが虫の息であった。ちぇんの下に駆け寄り怒り狂う4匹だったが少年はすぐに次の行動に移した。今度はれいむを掴み上げる。
「ゆっ!!な、なにするの!?ゆっくりはなしてね!」

 ちぇんに気を取られていたまりさ、ありす、ぱちゅりーの3匹はその声でようやくれいむの状況に気づいた。
「れいむをどうするつもりなの!?ゆっくりはなしてあげてね!!」
 まりさが喚くが少年の耳には届いていない。どうやら我を失っているようだ。
 少年は掴んだれいむを思い切りありすに投げつける。

「「ぐばぁああああああ!!」」
 れいむは餡子、ありすはカスタードをそれぞれ吐き出し痙攣し始める。あまりの衝撃に2匹は気を失ってしまった。

「よ”ぐも”れ”ゐ”む”と”あ”り”ずを”!!!!」
 まりさは怒り狂った。目の前で次々に仲間をやられ。
 だが、それに対しぱちゅりーは青ざめてビクビク震えていた。
「むきゅ…ま、まりさ、みんなはまだいきてるよ!ここはみんなをつれてにげよましょ!!」
 ゆちゅりーは冷静だった。この選択肢は実は正しいものである。5匹の内すでに3匹はやられている。2匹では勝ち目は薄い。単純な計算ではあるが、闘うよりも仲間を助けて逃げる方が賢明であろう。
「く…ひとまず…ゆっくりはやく逃げるんだぜ!!」

 まりさは少々渋ったが仲間の方が大切だと判断したのだろう。逃げることを決断した。そして2匹で他の3匹をひきずって逃げていった。

 少年はハッと我に返る。興奮が冷めるとすぐにめーりんの下に寄った。
「大丈夫!?もう、悪いやつらはいないよ!」
 声を掛けながら揺すってみる。が、弱々しい声しか聞こえてこない。
「JA…JAOOO…」
 続いていた攻撃が無くなった為か多少は皮が再生しているがひどく傷ついている。少年はめーりんを抱えると優しい声色で話し掛ける。

「傷…酷いね…可哀相に…すぐ僕の家に連れてくから、それまでの辛抱だよ。」
「JAOOO…」
 めーりんは少年の瞳を見つめ弱々しく鳴いた。

 どうして助けてくれたんだろう?  私はもう無事なんだろうか?

 そんな疑問が浮かぶがまどろみでかき消される。

                     ~続く~


初めまして。私、『ひもなし』と申す者です。処女作となります。
駄作だと思われる方も多いことでしょうがここまで御覧になって頂き嬉しく存じます。

  • 投下してくれてありがとう、続きが楽しみです -- 名無しさん (2008-09-27 01:18:01)
  • 乙です。これからの1人と一匹の交流に期待します。悪役のゆっくり達が仲間を見捨てずに、引きずって逃げるところが地味に好きです。重そうなのに。 -- 名無しさん (2008-09-27 01:19:30)
  • 悪役のゆっくり登場でヒヤヒヤでしたが、このSSに必要悪でしたね。続きがとても気になりました。 -- ine (2008-09-27 01:55:45)
  • ひもなしさんはじめまして。少年、なにか事情がありそうですね。続きが気になります。 -- 名無しさん (2008-09-27 06:49:46)
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最終更新:2008年09月27日 22:32