れみりゃの一日

■警告■
いわゆる虐待設定を使用した作品です。ゆっくりが死ぬシーンや弱肉強食やデタラメ生物設定が苦手な人はプッシュ戻るボタン。



































れみりゃの一日。

朝。
「ふわぁぁぁ、朝がきたどー!」
れみりゃは太陽に負けじと大きなあくびをしながら、木の枝の上で大きな伸びをした。
れみりゃは習性として高い木の上で腹を中心にして枝に干されるようにぶらさがって寝る。
胴体があるため、普通のゆっくりのように巣を作って中で寝るといったことは難しいのだ。
れみりゃが住める程度の大きさがある洞窟を偶然発見できた場合は、そこを巣にすることも稀にあるが、自分で作ることはあまりしない。
もっとも、れみりゃはそこそこ大きいため、巣がなくとも鷹や梟に襲われることは少ない。
高いところにいる限りは外敵の心配はほぼない。高い場所にいるれみりゃを狙うのはふらん種くらいであろう。
「うー、おはよう!」
「うー!」「うー!」
起きたれみりゃは、近くの木の枝でぶら下がって寝ていた胴体のない子れみりゃ数匹に声をかけた。
ゆっくりが群を作るものと作らないものがいるように、れみりゃも家族を作るものと作らないものがいる。このれみりゃは前者だ。
だが、この一家に血の繋がりは全くない。たまたま出会って、たまたま一家になっただけだ。
れみりゃの主食であるゆっくりはいくらでも転がっており、外敵も少なく命の危険もあまりないため、
れみりゃ同士には協力感情や敵対感情といったものは基本的に存在しない。
組むこともあるが組まないこともあり、それらは全て完全な気まぐれで決まる。

起きたれみりゃ一家が空をふらふらと飛んでいると、さっそく草むらの中で草を食べているゆっくりの一家を発見した。
「うー、ぷっでぃーん♪」
れみりゃは素早く降り立ち、近くで追いかけっこをしていた赤ゆっくりを捕まえて一口で飲み込んだ。
子れみりゃたちも近くに居た子ゆっくりに牙を立てて襲い掛かる。
「ゆゆっ!? れみりゃだよ!?」
「こっちこないでね! ゆっくりしていってね!」
ゆっくりの親は近くの子供だけ口に含み、れみりゃ付近の子ゆっくりを見捨てて逃げ出した。
取り残された子ゆっくりの助けを呼ぶ声を無視し、親ゆっくりは涙を呑んでひたすら疾走した。
一見残酷な行為に見えるが、野生では仕方のないことだ。下手に歯向かって全滅する方が最悪だ。
子供なんていくらでも作ればいい、それが自然の世界では真理なのである。
だが、れみりゃが一匹で来ているならよかったが、今回は子れみりゃも一緒だ。
れみりゃたちはあっと言う間に子ゆっくりを頂き、ターゲットを親ゆっくりに切り替える。
子供をおとりにした決死の逃亡も虚しく、空中から取り囲まれてあっと言う間に捕まってしまった。
「ぷっでぃん、ぷっでぃーん♪」
「うー♪」「うー♪」
捕まった親ゆっくりたちは、口内の子ゆっくりごと全てその場で平らげられてしまった。
れみりゃに「エサを溜めておく」という習性は基本的にない。
れみりゃは生まれたときから狩りができるため、赤れみりゃに食べ物を調達するようなことはなく、
中身がほかほかの肉まんなので寒中でもよっぽどひどい吹雪でもなければ問題なく行動でき、冬眠や越冬もしない。
ゆっくりの場合、ごくれまに動けない仲間に食べ物を運んでいくことがあるが、
れみりゃはその再生力のおかげで「全く健康」と「死んでいる」の極端な状態しかなく、そういうことはしない。
ただし、何らかの理由で巣を作ったれみりゃは、ゆっくりをその場で食べずに浚って保管(「しまっちゃう」と呼ばれる)する事もあるが、
珍しい現象であまり確認されておらず、研究の進展が待たれるところである。

れみりゃ一家はゆっくりの吸殻を放り捨て、また別の場所に飛んでいった。
そして数時間経ち、夜になる。適当に空を飛んでいると、段差の近くに木の枝や葉っぱの屑が集まっているところを発見した。
よく目を凝らせば、地面の土が不自然に固まり、周辺の草木の中には大きな穴があることが分かる。ゆっくりの巣だろう。
ゆっくりは巣の入り口を葉っぱや木の枝など自然物でカモフラージュするが、
巣には頻繁に出入りするし最終的には内側からしか隠せないため、巣の入り口が大きいこともあってどうしても完璧な隠蔽はできない。
また、内部を増築するためにはどこかに土を捨てなければいけないし、
雨などで大きく動けない日は巣の周りに生えた草を食べる事が多いので、住めば住むほど巣の入り口は更に目立ってくる。
入り口を塞ぐのは風を防ぐにはいいが、他の生き物からすれば一目瞭然だった。
「うー、ぷっでぃん発見だぞ! 入るんだど!」
「うー! うー!」
親れみりゃは子れみりゃに、入り口を指差して指示した。
さすがに胴体付きの成体は狭い入り口に侵入できないので、入るのは子れみりゃの仕事になる。
丸っこいゆっくりの巣はどうしても入り口が広がってしまうので、子れみりゃが入れないことはない。
知性の優れた成体が巣を発見し、子れみりゃが巣を襲う。実に合理的だ。
もっともれみりゃの食事は、昼や夜に出歩いているゆっくりだけ食べられれば足りるので、巣を襲うことは珍しい。これも気まぐれだ。
子れみりゃは空中で勢いをつけて入り口の適当に束ねられた草木を体当たりでぶっ飛ばし、巣にスルスルと入っていく。
子れみりゃは小さい足があるため、狭い場所では這いずる事しかできない通常のゆっくりよりも遥かに早く移動できる。
「ゆ・・・? うわああああ! れみりゃだあああああああ!!」
巣の中でお昼寝していたゆっくり一家が起き、安全なはずの閉鎖空間で逃げ場を失って慌てふためく。
体格と数はゆっくりの方が勝るが、狭い巣の中では体当たりも押しつぶしもできない。
後は噛みつきでの戦いになるが、そうなれば牙という武器があり移動も素早いれみりゃが負ける事はない。
まず、子れみりゃは一家の中で一番大きいまりさに噛み付いて大きく切り裂いて仕留めた。
動けなくなったまりさの餡子を、子れみりゃはちゅーちゅーと吸っていく。
「うわあああああああ!! うわあああああああ!!」
一家で一番大きいまりさがやられたゆっくり一家は必死で逃げ惑い、押し合い圧し合いの大混乱になっていた。
だが、何とか一部のゆっくりは落ち着きを取り戻し、れみりゃが来なかった方の通路を使って巣から脱出した。
巣には別の出入り口があったのだ。
ただし、本来のゆっくりは巣に非常口などを掘ることはあまりしない。
ゆっくりの力では新たな通路を掘るのは重労働だし、そもそも掘ろうとしても穴の中ではどっちが外に通じるか分からないからだ。
実際は貯蓄庫でも作ろうとして、たまたま外に出てしまったのであろう。が、とにかく今回はこのおかげで命拾いをした。
「うー、そっちにもぷっでぃん発見だぞー!」
しかし、せっかく拾った命も数秒で手放すことになってしまった。
入り口でゆっくりを待ち伏せしていたれみりゃたちが、ゆっくりが別の場所から出てきたのに気付いたのである。
ゆっくりの巣の大きさなどせいぜい数メートルしかない。当然、入り口同士の間隔も全然離れていない。
その上ゆっくりには叫びまくるため、せっかく脱出してもどこから出てきたのかバレバレである。
「たーべちゃうぞー!」
こうしてゆっくりと生きていたゆっくりの一家は、一夜で全滅した。
だが死んだわけではない。その生命は今でもれみりゃの血肉と同化して生き続けているのである。

巣に住むゆっくりは皮だけ残して天に昇ったが、巣は残った。
ゆっくりが巣に住まなくなると、土が崩れたり草が生えたりして巣の入り口がより見えにくくなっていくのは皮肉である。
この巣も今は持ち主がいなくとも、いつか偶然発見した他のゆっくりが住むこともあるかもしれない。
ゆっくりが巣を作るのは非常に大変で、最初から完成された巣は貴重だからだ。ゆっくり同士で巣を奪い合うことすらよくある。
巣を見つけたゆっくりが、先客がいたとしても思わず「ここは○○のおうちだよ!」と言ってしまうのも仕方ないだろう。

数十分後、れみりゃ達は大きな木を発見すると、太い枝を探してその上に乗った。
もう時間は完全に真夜中だ。
「ふわああ、おねむだど。zzz・・・」
子れみりゃは逆さまになって足で掴まり、成体れみりゃは腹を中心にして手足をぶらーんと垂れ下げた体勢になる。
そして一家は先ほど食べたばかりなのに、もう眠ってしまった。おいおい、こんなんだから太るんだぞ。
子れみりゃが多数いるこの一家だが、ゆっくりを食べた量は決して決して多くない。一体のれみりゃ辺り、一匹半も食べていないだろう。
れみりゃは非常に小食である。ゆっくりに対して無敵に近い捕食種でも、ゆっくりを食べつくしてしまわないのはそれが理由だ。
それでもれみりゃの数を考えれば、結構なペースで毎日多数のゆっくりが食べられてしまうのだが、
ゆっくりは繁殖力が高いので、ちょうど拮抗している。自然のバランスは非常にギリギリの部分で保たれているのである。
だから人間が下手な手を入れれば、自然なんて簡単に壊れてしまう。
「むにゃむにゃ、さくや、もう食べられないんだぞー・・・」
れみりゃは下膨れした顔をニヤニヤさせながら何やら独り言を言っている。
自分がこーまかんのおぜうさまになった夢でも見ているに違いない。
我々人間も地球の一員として、この不思議な生き物たちの笑顔を失わせないように気を引き締めなければならないだろう。


  • 可愛いぜ・・・ -- 名無しさん (2009-05-17 23:02:40)
  • 食物連鎖というか自然の摂理を見た -- 名無しさん (2009-05-25 03:39:33)
  • れみぃはかわいいな -- 名無しさん (2010-11-27 15:22:53)
  • 食べられたゆっくりが可哀相だな。 -- 名無しさん (2012-12-29 01:03:30)
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最終更新:2012年12月29日 01:03