「ゆっ!ゆっ!」
キノコ狩りを中断し森の木陰で昼食を取っていた魔理沙に一匹のゆっくり霊夢が寄って来た
「お姉さんそれ美味しそう!ゆっくりちょうだい!」
ゆっくりは魔理沙の食べているサンドイッチにつられてきたらしい
挨拶も無しにいきなり図々しい要求をしてくる
どうやら以前に人に餌を貰った事があるようだ
人間を全く恐れていない
「嫌だね」
「ゆっ!?」
魔理沙がそうアッサリと言い放つとゆっくりは心外とばかりに驚きの声を上げる
「人様に物をねだるなら芸の一つくらいはするもんだぜ?
何か面白い芸でも見せてくれたらこれをやってもいいぜ」
魔理沙はサンドイッチをゆっくりの頭上で見せ付けるようにヒラヒラと動かしながら言った
「ゆ、ゆっくり頑張るよ!」
本能に弱いゆっくりは餌につられ魔理沙の挑発にのった
「ゆ、ゆ~ゆゆ~ゆゆ~♪」
ゆっくりは体を揺すりながら奇妙な音を出す
「・・・なんだそりゃ?」
「ゆ!ゆっくりお歌だよ!さあ、食べ物ちょうだい!」
「ダメだな、そんなんじゃとても餌はやれないぜ。
『おもしろい』芸をしろって言ったんだぜ?全く話にならないな」
「ゆゆゆ!?」
その後ゆっくりは妙な痙攣(
ダンスらしい)や、一人バックドロップ(バク転したかったらしい)をしてみせる
しかし、どれも魔理沙の及第点には至らない
「・・・まるでなってないな。芸ってのはこういうのを言うんだぜ」
そういうと魔理沙は手にしたサンドイッチを空高く投げ上げた
一旦空中でバラバラになるサンドイッチだが、落下しながら次第に元の形に戻っていく
そして、真下で待ち構えていた魔理沙の口の中に綺麗なサンドイッチの形になって収まった
見事な技である
「どうだ?これくらいはしてくれないとダメだぜ?」
魔理沙は口にしたサンドイッチを頬張りながらゆっくりに言った
「ゆ!ゆ!凄い!おねえさん凄いよ!・・・ってそれ食べちゃだめだよ!れいむのだよ!」
魔理沙の芸に喝采を送っていたゆっくりだが、
サンドイッチを食べられてしまった事に気がついて抗議の声を上げる
「あ?芸をしたのは私だろ?だから食べるのは私だ。違うか?」
「ゆ!?ゆ!?」
「そしてお前は私の芸を見たんだから、お前が私に食料を出す立場になったわけだ」
「ゆゆゆゆゆ!?ゆゆゆ!???」
魔理沙の思いがけない理屈に混乱するゆっくり
そして魔理沙は狼狽するゆっくりを両手でつかみ顔のすぐ目の前にまで持ち上げて言った
「そういえばお前ら餡子饅頭だったな。お前を食う事にしようか」
「ゆゆゆゆゆ!ゆゆゆゆゆゆっゆううううう!!!!!???」
口を大きく開けてゆっくりに噛み付くようなそぶりをした魔理沙に、
ゆっくりは仰天したように大きな声を上げる
「れ、れいむは食べ物じゃないよ!ゆっくり食べないでね!!!!」
魔理沙に食われると思ったゆっくりは、激しく暴れて魔理沙の腕から逃れ、
凄い勢いで一目散に森の中に逃げ出していった
魔理沙はそんなゆっくりを黙って見送って一つため息をついた
これであのゆっくりが無防備に人の前にノコノコ出てきたり、人のものに手を出したりする事は無いだろう
「野生動物に気安く餌なんてやっちゃいけないぜっと」
そう言って魔理沙はキノコ狩りを再開すべく籠を背負って歩き出した
- 魔理沙の性格が出てていいですね。 -- Jiyu (2008-10-05 23:33:25)
- とちゅうでほんとにたべるのかとおもってびっくりしちゃったよ! -- ゆっくりまりさ (2009-11-21 13:34:29)
- 魔理沙素敵 -- 名無しさん (2012-12-02 13:38:19)
最終更新:2012年12月02日 13:38