※ 自分設定たくさんあります
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
「当社への志望理由をお聞かせ下さい」
「はい。私は以前より御社の独自の企業理念とその将来性に深く共感を覚えておりまして、自分の
大学とスポーツで培った自分の能力をかけてみようと思い」
どいつもこいつも揃いも揃ってどこかで聞いた台詞ばかり。
面接にとっては退屈との戦いも、苦労の一つである。
中には、これは、と目を見張る者もいるが、今年は特に不作だ
「今日は次で最後ですねえ」
「あ………ゆっくりかぁ」
ゆっくりの採用枠は、ほぼ決まりかけていた。
最後の志望者には悪いが、余程優秀で無い限りは覆られないだろう。今のご時世、人間ほどゆっくり
をとってもいられなくなりつつある。
「少し追い詰めて返しちまいますか?」
「まあ、話だけでも聞かないと」
人事課の中年2人は、最後の1人を入れるように部下に促した。
「よろしくお願い~」
よちよちと入ってきたのは、ちぇんが1人。
今まで来たゆっくりは、まりさ種とありす種、よくてみょん種ばかりだったので少し驚いた。
やたらと幼く、小柄に見えるのは、ちぇんだからだろう。
「おかけ下さい」
人事課の部下が椅子に持ち上げて置いてくれる。
ゆっくりの場合、「おかけ下さい」と言われる前に座るつもりだったのか、ちゃんと待っていたのか
解らないので、この時点での採点ができない。
「ええと………ちぇんさん?」
「まずは、当社の志望理由を教えて下さい」
「らんしゃまが受けた方がいい、って言ってくれたからー」
2人は顔を見合す。
先程の様な、お仕着せの志望理由をただコピーした輩は、大体2分程もだらだら話すが、ちぇんはわず
か15秒。
いや、時間の問題ではない。
意地悪で落とそうとか、そうした問題ではない
「何かね、君はらんしゃま言う事は何でも真に受けるのかね?」
「ちがうよ~。らんしゃまが、接客の方がいい、って言ってくれたから、この会社に来たの~」
「いえ、うちの会社は、本当にやる気も将来のビジョンもある人しか雇うつもりしかありません。接客が
いいだけなら、他をあたってもらえませんか?」
「そんな事ないよ~。この会社のお店によくいかせてもらってるから、働きたいと思ったんだよ~」
どうしても子どもと見てしまうが、立派にこの会社を志望する社会ゆっくりなのだ。それでもまだ甘い。
「らんしゃまがいるんなら、本当のところ君は働かなくてもいいんじゃないかね?」
「そうじゃないの~。働きたいの~」
「どうせ生活には困ってないんじゃないのかね?何でもらんしゃまがやってくれるだろう」
「自分で働きたいし、もうおうちからお外にでてくらしたいのー」
「自立にこだわっているんですね。何でそんなに家を出たいんです?」
「ゆかりしゃまを安心させたいから~」
新しい単語である。ゆっくりの持ち前の好奇心からの欲求だろうと、そこを世間の厳しさを語ってつっこも
うと台詞を練っていたので、しばらく間が空く。
「ゆかりんに?らんしゃまではなく?」
「ゆかりしゃまが、いつまでもおうちにいたらいけない、って心配してるし、わたしも出たいの~」
「何か家が苦痛なのかね?」
「らんしゃまは反対してはいないの?」
「殆どのらんしゃまは反対だけど、この仕事がいい、って教えてくれたらんしゃまもいるよ~」
話をまとめよう。
らんしゃまちぇんを甘やかす? → ゆかりんがちぇんを心配する → ちぇんが自立を決意 →
らんしゃま反対 → らんしゃま接客業を進める → 自身の判断でこの会社を選び面接までたどり着く
「らんしゃまが最初に接客業を進めたのではないのですか?」
「と、言うか、君の周りにはそんなにたくさんらんしゃまがいるのかね?」
ちぇんは数えているのか、少し間を置いていった。
「よくは解らないけど、40人はいるよ~」
と、なると
「ゆかりんは何人いるんだい?」
「一人しかいないよ~」
「周りのちぇんも、君みたいに自立したがっているのかね?」
「ちぇんもわたししかいないよ~」
「他に、同年代のゆっくり達はどうしている?」
「友達はチルノフしかいないから解らないよ~」
確かに、チルノフでは参考にはなるまい。
しかし、チルノフ自体、そんなに集まるものではないはずだが……………
それよりもだ
「40人も、よくらんしゃまがいるね」
「おうちは広いからだいじょうだよ~」
「友達にチルノフしかいない?もっとれいむやまりさはいないかね?」
「それも一人しかいないよ~」
「これは面接とはもうあんまり関係ないんだけど、他にはどんなゆっくりが周りにいるんですか?」
「秋姉妹と………テルヨフがたくさん」
微妙に希少種ばかりである。
そもそも、これも希少種の一人のらんしゃまがそこまで集中していること自体が異常だが、それに対して
ちぇんが一人とは、あまりにもバランスが悪すぎる。
一体どこの出身かと履歴書に改めて目を通す
「オクラホマですか………」
「そういえば…」
先月、あるスラムの出身で、バイトから叩き上げで出世した男が、一人オクラホマへ突然異動になってし
まい、落ち込むかと思っていたら、何か妙に良い思い出があるらしく、感慨深げにしていたのを思い出さず
にはいられなかった。
インディアン居住区である他には、カトリック派が多数と言う事でも有名な州である。ゆっくり達の宗派
というと、大半であるれいむは間違いなく神道だし、ぱちゅりー・ありすは大体プロテスタントが多いと聞く。
あの州では何かが起こっているのだろうか
「それで、自立しようかと」
「働けるなら、なんでもいいって訳じゃないよ~。この会社のお店にはよく通わせてもらったから、自分
もここのお店にいたいと思ったし、お話しするのも、人のお話をきくのは大好きだよ~」
「好き、だけじゃあね」
「努力もするし、入ったらがんばるよ!!!」
履歴書を見ると、以前は地元のライスボール加工工場の生産管理として、工場の進行担当をしていたらしい。
一般的な実務はできる―――というか、かなり優秀な方だろう。
それに――ちぇん種は元来、そうした一般事務よりも、確かに接客業向けの性格なのだ。決して饒舌ではな
いのだが、相手の話を逐一理解し、「わかる、わかるよ~」の相槌が好きで、愛玩用のゆっくりとしては確固
とした立場を世界的に築いている。
確かに転職である上、人並みの仕事もできる。
普通に考えれば良い人材ではある。
そもそも、書類選考や筆記試験、集団面接を乗り越えてここにきたのだ
それから、必要な質問をいささか圧迫気味に続けたが、ちぇんは臆することなくはきはきと受け応えした。
「この仕事は君が考えているよりも大変ですよ?」
「苦労は寧ろ歓迎するよ~」
「物凄く遠い店舗への配属もありますが?」
「ニューヨーク以外ならどこでもいくよ~」
それは
「何故、ニューヨークだけ?」
「あそこだけは碌な思い出が無いし、絶対にいったら駄目だとおおばあちゃんが言ってたよ~」
「何があったんです?」
「出稼ぎでしばらく住んでたら、バスケしてただけでちんぴらにリボンを剥がされ掛けた、って怒ってたよ~」
「リボン?」
「ゆかりんにリボンになんてあったかね?」
「おおばあちゃんは、ゆかりしゃまの事じゃないよ~(混同する人多いけど)。近くのれいむだよ~」
「あ、その人が唯一のれいむですか…」
先入観はよくない
「大体解りました。結果は後日おって報告します」
「どうもありがとうございました~」
椅子から下ろしてもらい、丁寧に一礼すると、ちぇんはよちよちと退室した。
さて、どうしたものか
「いい子でしたね」
「うん。しかし、実際もう枠が無いんだよn………」
と、外から大勢の悲鳴がこだました
その数、20人はいると思われる
何事かと、思わず後ろの窓から下を見ると……
『『ちぇええええええええええええええええええええええん!!!』』
ふさふさした、とがった毛の塊が入り口前にとぐろを巻いていると思ったら、しっぽであった。
「――本当にいたのか…」
「40人はいると言ってたから、この倍か」
この2種が会った時にはよく見られる光景だが、「ちぇえええん」に対しての「らんしゃまあああ」が聞こえない。
単に声が小さいだけかもしれないが―――
それにしたって、子ども(?)の会社への面接に、わざわざ保護者が付いて来るなんて事はどんな人間だって普通は
無い。
―――そんな大人が、周りに40人。
友達は、大抵寝ているだけ。
「旅にも出たくなりますね」
「そうだな」
2人は、改めて採用枠と、ちぇんと、その他決まりかけているゆっくり達の履歴書を眺めた。
「そういえば、一つだけ………」
「ああ、あれか」
「言葉とかは大丈夫ですかね?」
「いや、ドイツ語と日本語ならマスターしてる、って言ってただろう」
とりあえず、仮ではあるが、「NISHI NIPPORI」の支店に、丸をつける。
―――通知は、2週間後に送られたはずだが、その時約40人のらんしゃまと、一人のゆかりんがどんな顔をしていたの
か、ちょっと想像ができない
- ぶはははは。らんしゃまX40は怖くて笑える。その部分の描写がもう少しあったらよかったかなー? -- 名無しさん (2008-10-15 19:06:59)
- ちぇん一匹にらんしゃま四十匹ってwwwこいつらの生活が気になる -- 名無し (2011-02-20 19:44:53)
- > 一体どこの出身かと履歴書に改めて目を通す 「オクラホマですか………」 欧米か!! -- 名無しさん (2011-02-22 17:18:45)
- おお、偉い偉い! -- ちぇん好きの愛で好きの人 (2012-12-06 17:15:40)
- -- 名無しさん (2014-05-05 14:19:03)
最終更新:2014年05月05日 14:19