私の名前はアリス・マーガトロイド、魔法の森に住む都会派魔法使いよ
今までの話を見ていない人の為にあらすじを用意しておいたわ
ある日、家に赤ゆっくりを生やしたありすが逃げ込んで来たわ
そのありすは変わった事に全てのゆっくり種を生む事が可能なの
私は適当な処置を施してそのありすを家で飼ってみる事にしたの
赤ゆっくりも無事に生まれてありすも幸せそうね
それに分け隔てせずに育てているようで安心したわ
こんなかわいい子、離してたまるもんですか、責任を持って最後まで育ててあげるわ
それにしても今日はお客さんが三人も来たの
その全てが赤ゆっくりのモデルなんだから何か作為的な物を感じてしまったわ
できれば魔理沙かパチュリーにも来て欲しかったけど今日は来てくれそうにない
それに私も眠いしそろそろ眠らせてもらうとするわ
「それじゃあゆっくり、おやすみなさい」
「ゆっくりねむっていってもいいんだから!!!」
無縁塚に死者の川流しをする死神一人、あたい、小野塚小町だよ
今日は思ったより早くノルマを達成できたから少し遠出した訳さ
別にさぼってる訳じゃないからね、ホントだって!
とりあえずあたいは魔法の森にいる白黒魔法使いの家に向かった
仕事をサボって遠出した際には彼女と色々面白い話をする訳さ
けど生憎の留守、ガールフレンドの所にでも遊びに行っているのかねぇ?
あたいは待つのも嫌いじゃないけど折角だから辺りを散歩する事にした
そしてらちょっと歩いた所にまた別の家を見つけたんだ、試しに中に入ってみるかな
あたいはドアをノックする、留守だとしてもこれ位はしておかないと失礼にもほどがある
「もしもーし、誰かいらっしゃいますか?」
「誰?魔理沙じゃ無いみたいだけど」
「ああ…あたいだよ、あたい」
「新手の詐欺じゃあるまいし、とりあえず入って来なさい」
入っていいとの許しが下りたので鎌を地面に刺しドアを開ける事にした
「どうもどうも~死神の小野塚小町だよ!」
「ちょっと、私の人生今日で終わりって事!?」
「ちがうちがう、それは別の人、あたいはただの暇つぶしだって!」
早速実動部隊と勘違いされた、あたいはただの船頭なのにさ
家の中には白黒ののろけ話に出て来る少女とゆっくりが数匹いた
金髪だからアリス・マーガトロイドの方か、何人もガールフレンド作っちゃっていいのかねぇ
「で…何しに来たの?暇つぶしなら魔理沙の家に行ったらどう?」
「いやぁ、生憎の留守でさ、散歩していたらここについた訳」
あたいの足下にゆっくりありすが寄って来る
「ゆっくりしていってもいいんだから!!!」
「このありすは?あんたが飼っているのか?」
「そうだけど?なんか不思議そうね……まあゆっくりしていきなさい」
この子ならゆっくりまりさを飼っていると思ったけど…違うもんなんだな
とりあえずありすを持ち上げてみる、ありすは突然持ち上げられた事に驚いているようだね
「な…なにするの?ゆっくりはなしてよ!!!」
「驚かせちまったようだね、ごめんな」
そう言いつつ、あたいはありすを床に降ろす
怒っているありすを気にも留めず、あたいは部屋を見回す
幾つもの人形の間で3、4匹の赤ゆっくりが遊んでいる
数種類いるけど……その中の赤髪のゆっくりをあたいは見逃さなかった
間違いない、あれはゆっくりこまち、あたいがモデルになったゆっくりだね
ゆっくりこまちは今の所、あたいの仕事場付近にしか見かけないと思ったんだけどね……
少し考えた所、心当たりが一つあるので聞いてみる事にしますか
「なあ、ひょっとしてこのありす……そのへんの赤ゆっくりのお母さんなんじゃないか?」
「ええ…そうだけど何か心当たりでもあるの?」
「ああ、こういうゆっくりは仕事で何匹か送った事があるよ」
あたいの仕事は言わずもがな、対象はゆっくりも例外ではない
ゆっくりには他の生き物と同じく、幸せな一生を過ごすのもいれば非業の最期を遂げるのもいる
だけどありすみたいなゆっくりで非業の最期を遂げたのは見た事が無い
「どいつもこいつも、最終的には幸せな一生を送っているよ」
このありすみたいなゆっくりは群れから怖がられて追い出される事もある
だけどほぼ間違いなく優しい他のゆっくりや人間等に保護されている
送る際にこういうゆっくりから身の上話を聞いたりしている
本人から聞いているんだ、本人が嘘をついたり忘れていない限り間違いは無いさ
「あんたのありすも、幸運の星の元に生まれているのかもな」
あたいは大きい方のありすを撫でてやる
「ゆっ?すきなのかきらいなのかはっきりしなさいよ!!!」
「だからさ…あんたもありすが精一杯ゆっくりできるように育ててやってくれよ」
「ええ、そのつもりよ」
何か話題とかないかな……
「そうだ小野塚さん、こまちについて教えてほしいんだけど……」
そうだ、ゆっくりこまちについて教えておくか
「そうだね、あたいが知っている事を教えておくよ」
「こまちはなぁ、あたいに似ておしゃべりと昼寝が大好きなんだよ」
「へぇ、あなたはよく仕事をサボるんだ」
痛い所を突かれた、今回はノルマを達成しているとはいえ、報告を済ませていない
「あまり重要な仕事は任せない方が良いと思うよ、多分すぐにサボるし」
以前、飼っているこまち数匹に代わりを任せてみた事もあったが大失敗
映姫様から3時間も説教を食らってしまった
「まあこれくらいかな、ついでに愚痴の相手になってくれるよ」
あたいは帰ろうとドアに向かうと胸の辺りに頭か何かが当たった様な気がした
「小町…報告を怠るとはどういうつもりですか?」
その頭をあたいは見間違える訳が無かった、まぎれも無く映姫様だ
いつの間に…と言うかここを特定された?
「え…ええ映姫様!?これには…その……」
「家の前に鎌が刺さっていましたのでね、うちの部下が失礼しました」
即、連れ戻される事になった、説教2時間のおまけ付きだった
私は上白沢慧音、とある里の寺子屋で教師をしている
仕事を終えた私は晩飯の買い出しを終え、郵便物を取りに行こうとしていた
「ん?…そちらは…魔法の森のアリス氏か」
「ええ、久しぶりね」
アリス・マーガトロイド氏に会った、彼女はこの村でたまに人形劇を披露しに来てくださる
寺子屋の子供達も彼女の人形劇が楽しみでたまらないようだ
「今日も買い出しか?」
「はい、よくよくこの村にはお世話になっているわ」
アリスから新たな話が切り出される、それは私の興味を引くには十分すぎた
「所で…私の家にゆっくりけーねが住み着いたんです」
「ふむ…私がモデルのゆっくりか……ぜひとも見せて頂けるだろうか」
私はアリスの家に向かう事にした、妹紅には悪いが暗くならないうちに帰ろう
「で、この子がけーね、私が保護したありすが生んだの」
「けーねは十分にゆっくりしている!!!」
「小さいけーねも可愛いな……」
アリスの話によると、ある日家にありすが逃げ込んで来た
そのありすが生んだ様だ、他にもこの辺では見ない種類がいる
「少し…このありすの歴史を調べてみても良いか?」
「え?…良いけど……」
私はすぐさまありすの歴史を調べてみる事にした
少し、境遇が気になるのだ
歴史を調べてみた所、以下の様な事が判明した
比較的良質な群れの中で暮らしていた事
群れのリーダーと思われるまりさと組んだ事
以前、赤ゆっくりを頭に生やした事があるが生まれる予定の日に行方不明になっている事
この赤ゆっくり達を頭に生やした事が原因で一部のゆっくりに群れから追い出された事
この家にたどり着き、応急処置を受けた事
そして赤ゆっくりを無事に生み、今も平和に暮らしている事
「……このありす…二回赤ゆっくりを生やしているな……」
「……え!?」
突然の新事実にアリスも驚いている、当の本人は赤ゆっくりと遊んでいる
「ただ、最初の一回は生まれる前に寝た際にいつの間にか消えている」
「原因はありすが寝ていたからわからないが……大方連れ去られたか……」
「二回目の子を生やした際にありすを追い出したゆっくりが怪しいな」
もし、私なら裏が取れ次第そのゆっくり達に説教と頭突きをかましているだろう
しかし…このありすは強い子だ、立て続けに起こった不幸にもめげず
こうして自分の子を育てているじゃないか、最初に生やした子達の幸せを願おう
そうだ、折角私の家にもけーねがいるんだ、飼う際のコツを教えておこう
「アリス、ゆっくりけーねを飼う際に気をつける事を教えておく」
「ぜひ教えてほしいわ、後で困りたくないし」
「まず、けーねはぱちゅりーの上位互換と思われがちだが少し違う」
「それって…どういう事なの?」
「ぱちゅりーが自然で生きる上での知識を貯えているのに対してけーねは村で暮らす際の知識を貯えている」
自然で生きる上での知識も他のゆっくりより持っていない事も無いがぱちゅりーにはかなわない筈だ
「なるほどね…けーねがいればゆっくりを飼う際にしつけをする手間が省けるかもしれない訳ね」
「そう言う所だな」
「それに短所、ぱちゅりーは激しい運動を嫌うがけーねは満月になると髪の色が変わり角が生えて少々気性が荒くなる」
ゆっくり同士の喧嘩が起きた際に頭突きで喧嘩両成敗する訳だが満月になると怪我沙汰になるな
「自覚しているからその日は他のゆっくりと離してやってくれ」
そう言いつつ、私は親ありすの髪を撫でていた
「ねぇ、おねえさんはどこからきたんだい?」
赤髪の赤ゆっくりが話しかけて来る、この種類は見た事が無いな……
「ふむ…だが、名前を聞く前に名乗るのが礼儀だ」
「あたいはこまちだよ!!!」
ゆっくりこまちか…とりあえず妹紅にでも聞いておくか……
それにけーね同様、赤ゆっくりでもはっきりした発音で喋っている
「私は上白沢慧音、近くの村で教師をしている」
「きょうし…ってなんなんだい?」
「他の人にいろんな事を教えるんだ」
「へぇ…けーねもそういったことしてるよ、きいててもけっこうおもしろいよ!!!」
ゆっくりぱちゅりー、けーねの特徴に、自分の知識を群れのゆっくりに教えようとする事がある
事実、私が飼っているけーねは村の飼いゆっくり相手に勉強会を開いている
本人の自己満足と言うのもあるだろうが問題児の矯正にも効果を現しているのは確かだ
日も暮れてきた、私はそろそろ失礼することにする
「長居して済まなかった、私はこれくらいで失礼するよ」
「こちらこそ、いろんな情報を教えてくれてありがとう」
私はアリスの家を出て、自宅に向かった
その後の妹紅との話だ
「妹紅、今日はあまり見ないゆっくりを見たんだが…こう赤髪の…ツインテールの…」
「ああ、私と輝夜がときどきお世話になってる無縁塚の死神だな」
「モデルを見た事があるのか!?」
「ああ、そのゆっくりもな」
妹紅曰く、輝夜と喧嘩をする際によくよくお世話になるらしい
要は喧嘩で死んだ際に生き返るまでの僅かな時間の間に死神と世間話をしている訳だ
正直もうやめてほしいが妹紅本人の生き甲斐の一つと言う事もあって静観している
私は妹紅と共に、焼き鳥を食べていた
え…私ですか?私は鈴仙・優曇華院・イナバって言います
長いから鈴仙とかうどんげって呼ばれていますけどね
私は師匠のお使いとして魔法の森のお得意様の所に薬を届けに行きました
今日はこれ以外に仕事が無いので永遠亭に帰ったら恐らく師匠の実験に付き合わされると思います
正直、休みたいです、そう思っているうちに目的の家が見えてきました
アリス・マーガトロイドさん、お得意様の一人です
「ごめんくださーい、永遠亭でーす!」
「どうぞー!入ってください!」
私はドアを開けます、中にはアリスさんと数匹のゆっくりが
「えーと、まず頼まれた薬です、適量を守ってくださいね?」
どうやらゆっくりに服用させるつもりらしい、風邪薬だし念の為と言った感じが強いです
「所で…ゆっくりへの適量はどれくらいですか?」
「成長しているなら大人と同じ量、子は子供と同じ量、赤ゆっくりには与えないでください」
「わかりました、そうだ、時間があったら寄って行きますか?」
これ以外に仕事は無い、帰っても師匠の実験に付き合わされるだけだし……少し休んで行こうかな
「じゃあ、お言葉に甘えてそうさせて頂きます」
家の中には沢山の人形が整然と並べられている、すべてアリスさんが作ったのだろうか……
そして私の足下で遊んでいる可愛らしい饅頭、俗にゆっくりと呼ばれています
その中には…私を模したゆっくりまで…竹林の外にもいたっけ?
「アリスさん、この子…どうしたんですか?」
「ええ、実はこの子達…全てこの子が生んだのよ」
そう言いつつ、アリスさんは成長したありすを指差す
確かに竹林でもありすは見る、だけど無縁塚の死神さんを模したゆっくりも
いるから竹林で捕まえたと言う説明は付きそうにない
アリスさんは私の為にこの親ありすの経緯を話してくれた
何とも不思議なゆっくりだと思う、多分師匠もこういった個体を確保しているんじゃないかな?
「とりあえず疑問は解けました、ありがとうございます」
「いえ、それほどでもないですよ」
何かできるお礼があるとしたら……れーせんの特徴でも教えようかな?
「そうだアリスさん、れーせんの特徴を教えます」
「れーせんは外敵に襲われると、自分の目を使って相手を混乱させているうちに逃げる」
「これは師匠著の参考書にも載っていますけど」
「え?…まだ参考書に載っていない事があるんですか?」
「研究している際にわかった事ですけどれーせんは総じて危機管理能力が他の種より優れています」
「何かが近寄るともの凄い勢いで物陰に飛び込むんですよ、他の種より臆病と言うのもありますね」
れーせんについて教えた所で赤ゆっくりが数匹寄って来る、ありすにれーせんだ
ありすの後ろにれーせんが隠れる形になっているけど隠れきれていない
「おねーしゃんはゆっくちできりゅひと?」
「ええ、ゆっくりできる人よ、怖がらずにおいで」
「ゆっくちしていっちぇね!!!」
れーせんも警戒を解いたのかありすの後ろから出て来る
赤ゆっくりの内から積極的に関わって行けば警戒心の薄いれーせんを育てる事ができるのかな?
赤ゆっくりと遊んでいるうちにそろそろ帰らないとまずい時間になってくる
「それじゃあゆっくり、また今度遊びに来てあげるからね?」
「まちゃきちぇね!!!」
「それじゃあ鈴仙さん、また頼みますのでよろしくお願いするわ」
私は永遠亭に帰るとなにやら入り口で焦げ臭いにおいがする
入り口に最近仕掛けた機密漏洩防止用の河童製トラップが作動したのかな?
そして兎達に担架で運ばれて行く何者か、布で隠してある為誰かまではわからなかった
ちょうど師匠がいたので
「どうしたんですか、師匠?」
「ええ、あの新聞記者が取材と称して姫様の風呂を盗撮したのよ」
そう言って師匠は担架を指差す、入り口にあった黒い羽、そして新聞記者であること
大体犯人の想像はついた、あいつらには一度間違えて師匠の布団に潜った所を激写されている
これでここに近づくのをやめてくれれば良いけど……
「これで文々。新聞もしばらく休刊かしら……」
前言撤回、彼女は何度やられても懲りずにやって来る
姫様が直々に何回も撃退しているのに懲りずにやってくる
多分、彼女は何回でも姫様の入浴を狙ってくるだろう、私だってやられたんです、間違いない
「所で師匠、アリスさんの家で不思議なゆっくりを見たんです」
「どんなゆっくりかしら?」
「さまざまなゆっくりを一度に数匹生めるゆっくりなんですけど……」
「ええ、うちの研究所でも数匹保護しているわ、中々面白い子よ、良かったら来る?」
「はい、お願いします!」
私は師匠の話を聞く為に師匠について行く事にした
それが自分を実験相手にする為の罠とも知らずに……
後日、私は痛む尻を押さえつつ仕事をする事になったのはまた別の話
- これがあのシーンに繋がるわけかwご愁傷様w -- 名無しさん (2008-11-30 01:09:53)
- ZA☆YA☆KUですねw 公式設定も踏んでるし・・お見事な作品です。ゴチソウサマデスタ(*´ω`) -- トミー (2008-12-07 17:17:07)
- 幻想卿って設定なのに「上位互換」とかセリフに使っちゃダメ -- 名無しさん (2012-03-27 23:50:06)
最終更新:2012年03月27日 23:50