耳無しれーせん

※怪談の「耳無し芳一」にタイトルが似ていますが、関連性は全くありません。
※ゆっくりれーせんが出てきますが、体はついてませんしゲラゲラ笑ったりしません。普通のお饅頭です。念のため。

 頬を膨らませた2匹のゆっくりれーせんが、洞窟に入っていく。
 一番奥まで行くと、2匹とも口から食料を出し、
 「ゆっくりかえってきたよ!!!」
と叫ぶ。
 すると、暗がりから1匹のれーせんが出てきた。
 しかし、それには耳がなかった。

 れーせんには通常、兎のような長い耳が頭上にある。
 しかし、ほかの耳を持つゆっくり…例えば、同じく兎耳を持つゆっくりてゐや、猫耳のちぇん等と違い、れーせんの耳は外れてしまうことがあるのだ。
 例えば、高いところから落ちた時の衝撃や、耳を強く引っ張ることによって、簡単に外れてしまうことがある。
 ちなみに、ゆっくりを研究している永遠亭の調査によれば、れーせんの耳が外れる確率は約2割程度、つまり5匹に1匹は耳が外れる可能性があるという。
 人間等はれーせんに耳があろうとなかろうとあまり気にしないのだが、ゆっくりはそうもいかない。
 特にいたずら好きとずるがしこさで有名なゆっくりてゐは、耳無しを見つけると積極的に排除しようとしたりいじめの対象にしたりする。
 そのため、争いごとやいじめを好まないれーせんは、自分が耳無しになった時は洞窟などに隠れ住むようになり、耳付きは耳無しを見つけると積極的に保護し、他のゆっくりから守ろうとする。耳無しのためなら他のゆっくりと戦ったり倒したりすることもあった。ただし、相手を殺してしまわない程度に、だ。れーせんにとってゆっくり同士の戦いで同類が減るのは望ましくないことだった。例え相手が天敵のゆっくりてゐであっても。

 「ゆっくりたべようね!!!」
 先ほどの3匹のれーせん…2匹の耳付きと1匹の耳無しは、耳付きの片方の合図で食事を始めた。
 「「「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせー♪」」」
 すると、洞窟の入り口の方からケラケラという笑い声が聞こえてきた。
 「だれだろうね?」
 「ようすをみてくるね!!!」
 2匹の耳付きは洞窟の入り口に向かった。
 すると、洞窟の外にはゆっくりてゐの集団がいたのだ。
 ゆっくりてゐの1匹が言った。
 「ここにみみなしがいるんでしょ!!!ゆっくりいれてね!!!」
 れーせんが言い返す。
 「ここにはみみなしなんていないよ!!!」
 「てゐがいるとゆっくりできないからゆっくりかえってね!!!」
 もちろんゆっくりてゐ達は帰らない。別のゆっくりてゐが言う。
 「ここにみみなしがいるのはかくていてきにあきらかだよ!!!」
 ゆっくりてゐの方もれーせんの行動特性を全く知らないというわけでもないようだ。
 「こうなったらじつりょくこうしだね!!!」
 「「「「「ゆっくりいれてね!!!」」」」」
 「「ゆっくりかえってね!!!」」
 こうして2匹のれーせんとゆっくりてゐ達は戦い始めたが、数の比からしてれーせん達に勝ち目は無かった。しかもれーせんは相手を殺せないため、数分後には2匹のれーせんはボロボロになっていた。それでも洞窟の入り口に立ちふさがっていた。
 「「「ゆっくりどいてね!!!」」」
 「…ゆ……っく…」
 れーせんは言葉を発するのも辛そうだ。
 ゆっくりてゐの何匹かが最後の一撃を放つべく高く飛び上がった。
 「「ゆっくりねむってね!!!」」
 2匹のれーせんは静かに目を閉じた。

 耳付きの1匹が目を覚ますと知らない場所にいた。
 どこかの部屋のようだった。
 「ゆ?」
 「あ、気がついた」
 1人の少女が近づいてくる。それは"本物"の鈴仙だった。
 「気分はどう?」
 声をかけられたれーせんはその場で少しはねてみた。
 「ゆっ!!!いたくないよ!!!ゆっくりできるよ!!!」
 「そう。よかった」
 鈴仙は安堵の表情だ。
 れーせんが思い出したように尋ねる。
 「おねーさん!!!れーせんとれーせんは?」
 共に戦った同胞と耳無しのことだろう。
 「耳付きの方はまだ寝てるよ。耳無しは…ほら、あそこ」
 鈴仙が指さした先に、さっきまで洞窟の奥にいた耳無しがいた。
 耳無しが叫ぶ。
 「ゆっくりしていってね!!!」

 鈴仙は、人里での用事の帰りに例の洞窟を見つけ、ゆっくりてゐを追い払った後、2匹の耳付きと洞窟の奥にいた耳無しを保護し、永遠亭に連れ帰った。
 前々から耳無しの話を聞いていた鈴仙は、なんとしても耳無しを保護したかったのだ。

 すっかり回復した2匹と耳無しを、鈴仙は自室に入れた。
 鈴仙は耳付きの2匹にあるお願いをした。
 「もし耳無しを見つけたら、ここに連れてきてほしいの。ここなら私が守ってあげられるし」
 2匹は命の恩人の頼みを断るはずもなく、
 「「ゆっくりりかいしたよ!!!」」

 後日、2匹は耳無しの捜索のため、永遠亭を後にした。
 「ゆっくりさがしてきてね!!!」
 と耳無しは見送った。
 耳無しと一緒に見送った鈴仙だったが、心配事があるようだ。
 「…さて、保護するのはいいけど、どこに保護したらいいんだろう…数が増えてきたら私の部屋って訳にもいかないし、外に囲いとか作ってもまた襲われるかもしれないし…」
 「…あなた、そこまで考えてなかったの?」
 いきなり永琳の声が聞こえて鈴仙はびっくりして立ち止まった。
 「し、師匠!?」
 「そういうことはもっと計画的にやらなきゃ駄目でしょう」
 「…もしかしてこないだの聞いてたんですか?」
 「あら?何のことかしら?」
 永琳は知らないふりをした。いや、もしかしたら本当に知らないのかもしれない。
 鈴仙にも師匠の本心は読めないようだ。
 永琳はやれやれという顔でため息を1つついた。
 「…しょうがないわね」
 「…師匠?」
 「研究室を1つ貸してあげるわ。…あなたがちゃんと面倒を見るのよ」
 永琳は振り返って奥の方へ歩いていった。
 「…師匠…」
 鈴仙は深々と頭を下げた。
 永琳はそれに答えるように片手を上げ去っていく…。

以下作者の言い訳など
  • 「ゆっくりがメイン」というのを意識してたのに結局東方キャラにおいしいところを持っていかれるっていう。
  • 「ゆっくりれーせん」と「ゆっくりうどんげ」で迷いましたが、「れーせん」の方が語呂がいい気がしたので。
  • ちなみに、鈴仙が初めて耳無しの話を聞いたときはとても複雑な表情をしたらしいです。
  • てゐは本物も平仮名なんだよなぁ。何とかならんものか。
  • やっぱり最後が中途半端だ…。
  • ジャンルマークに自信がありません。
  • 感想、質問、誤字報告等あれば下のコメント欄へ。閲覧ありがとうございました。
尻尾の人

  • ゆっくりれーせんの耳は着脱式ですか?
    どこかのちよちゃんみたいに、
    かしゃっとくっつけることはできますか? -- 名無しさん (2008-11-21 18:48:08)
  • どこかのちよちゃんが誰かは知りませんが…。
    一度外れると二度と元に戻りません。
    でも、生まれるときは親が耳付きでも耳無しでも
    ちゃんと耳がついた状態で生まれてきます。
    ちなみに、のりのようなものでくっついてるイメージです。 -- 作者 (2008-11-21 19:18:39)
  • 取れても暫く経つとまたひとりでに生えてくるでもいい気がするぜ
    耳無しれーせんも可愛いけどな! -- 名無しさん (2008-11-21 21:41:50)
  • 外れた耳をのりでくっつけてあげたい・・・ -- 名無しさん (2008-11-21 21:43:47)
  • オリジナルだってボタンでくっついてるんだし
    -- 名無しさん (2008-11-21 21:47:56)
  • 感想ありがとうございます!

    まぁ、この話の場合、付け直せるんだったら
    外れた瞬間に付け直して話が終了してしまうので、
    戻らない方がいいのかなぁと。
    本文には書いてないですけどね。
    生え替わるというのも、元ネタがアレなんで…。
    他の話だったら、付け直しも生え替わりもアリだと思いますよ。

    ちなみに自分はあってもなくてもいい派。 -- 作者 (2008-11-21 22:15:54)
  • 行頭1字下げ忘れてたよorz
    ついでに微修正。 -- 作者 (2008-11-22 08:38:33)
  • ご本家のはボタン式なのか・・・初めて知った -- 名無しさん (2008-11-23 23:14:38)
名前:
コメント:

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2008年12月16日 21:15