わがままなおじさん【寓話】

 ※ 荒みきった気分で描いた
 ※ 昔読んだ童話が元ネタ。そのまま。
 ※ 甘甘過ぎる展開が苦手な人は注意



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 ゆっくり達は、学校の帰りに、おじさんの庭で遊ぶ事にしていた。
 おじさんの庭だったが、そんな事は露知らず、公園と連中は思っていた。

 とても広い、美しい庭。柔かな芝生と美しい花々。雑多な昆虫達と、季節には
美味しい実を実らせる樹木。
 小鳥の囀り。小川のせせらぎ
 小動物と戯れたり、広大な美しい敷地で全力で子ども達は跳ね回った


 「とってもゆっくちできりゅところだね!!!」



 ある日、その庭の主であるおじさんが帰ってきた。
 こことは違う世界にいる友人のお兄さんを訪ねて長い事留守にしていた。
 ところが戻ってみると、屋敷の庭ではゆっくり達が遊びまわっているのだった。


 「何してやがる糞饅頭ども!!!」


 ゆっくり達は一斉に逃げ始めた。


 「わしの庭ははわしのプレイスだ!!!ゆっくりどもはとっとと出て行け!!!」
 「ゆゆーーっ!!!」
 「怖いおじちゃんがきたあぁぁぁぁ!!!」


 おじさんは庭を強固な塀で囲み、立て札を立てた


 ―――ゆっくりは入るべからず―――


 どうせ頭の悪い奴等だから、好き放題に荒らすに決まっている――――おじさんは、一歩でも
踏み込めば、赤ん坊でも容赦なく叩き潰すつもりでいた。

 おじさんは荒んでいた。

 ゆっくり達は遊び場がなくなったので、道路などで遊んでいたが、石ころだらけの草もあまりな
い地面はあまりゆっくりできなかった。
 塀の周りをころころと転がったりしながら、ゆっくり達は


 「あそこで遊ぶのは楽しかったにぇ……」


 などと懐かしんでいた。



 ―――まもなく冬が訪れた。

 おじさんは冬が嫌いだった。
 庭の手入れには労力を惜しまなかったが、花も咲かない冬は辛かった。
 部屋に引きこもり、吹雪の空をにらみつつ、彼は更に心を荒ませた。


 ―――春は、塀の外に訪れていた

 小鳥はさえずり、植物は芽吹き、ゆっくり達はお年玉を使い果たしたまま、宿題の無い春休みを
迎えてしまったので、暇をもてあましていた割にはゆっくりできずに外を転がり廻ったり、うっかり
すりすりのその先のすっ○りーを覚えかけてしまって、大人にしかられたりしながら遊んでいた。


 ―――おじさんの庭だけは冬だった。
 少なくともそう思えた


 忌々しげに塀の外を覗いていたが、ゆっくり達を受け入れるつもりはなかった。


 ―――夏がやってきた

 夏休みになって、狂喜し休みを満喫したり、はめを外したり、勢いづいてゲスゆっくりになってし
まったり、ゆっくりし過ぎて宿題を終わらせられなかったゆっくり達が塀の外では騒いでいた。


 ―――秋がやってきた

 何やら2種類のゆっくりが元気づき、夏の間にゲスになったまま登校して周囲を驚かせるゆっくりが
いたり、夏の間にゲスになっていたのに、いきなり大人しく戻っていて更に周囲を驚かせるゆっくりが
いたりして、外はにぎわっていた。


 ―――また、冬が来た。

 大抵のゆっくり達は炬燵におさまりたがっていたが、年末の調整でゆっくりできず、サンタさんやお
年玉の訪れを心待ちにして、家に引きこもったまま慌てていた。


 ―――おじさんの庭だけが、いつまでも冬だった。

 否
 冬以外がゆっくりしていなかった。
 朝、花が芽吹いたと思ったら、気がついた時には枯れ、雪が降っていた。
 季節の変化など感じる事はなかった。
 ただ、冷たく嫌いな冬だけがはっきりと感じられたのだった。


 「何なんだ全く……!!」


 ガンガンに部屋を暖まらせたが、心は温まらなかった。

 ある日、庭に出て雪かきをしていると、スコップの先にあたる物がある。何かと思ってほじくり返すと、
少し固くなったちるのとれてぃだった


 「ゆっくりは入ってくるんじゃねえって言っただろうがぁ!!!」


 そのままシャベルで叩き殺そうとしたが、二人はごろごろと転がって塀の外へと飛び出していった。


 ―――ややあって、春が来た
 あっという間に、過ぎ去り、夏が来て秋が来て、長い長い冬が来るのだと思っていたが、冬もすぐに終わった


 「どう言う事だ……?」


 しかし、以前のように、美しい庭を楽しむことができなかった。
 過ぎ去るのは早いとは言え、すぐに冬が来てしまうのだ


 「あいつらのせいか……?」


 ゆっくりへの憎悪は募った
 イライラして、冬にも気がつかなかったし、春にも気がつかなかった―――――が

 ある朝


 騒がしい声で目が覚める
 聞き覚えのある声ではあったが、近距離で聞いたのは何年ぶりだろうか


 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」


 窓の外を覗くと、どこで開いたか、塀のスキマからできた穴から、小さいゆっくり達が入り込んで
庭で遊んでいたのだった。
 外は良く晴れていた。
 小鳥もさえずり、暖かい春を感じた
 おじさんがもう少しおちついていたら、花が咲き乱れている事にも気がついただろう。
 しかし、棍棒を振り回しながらおじさんはゆっくり達を追い回した


 「入ってくるんじゃねえよド饅頭ども!!!」
 「ゆゆゆー!!」
 「おお、こわいこわい」


 ゆっくり達が去った後、ようやく気持ちの良い庭を満喫できると思ったが、それは長く続かなかった。
 季節はすぐに流れて行った。
 冬だけが、たまに長く流れた。そんな時は、塀を乗り越えられ、冬でもお構い無しに外で遊ぶレティと
ちるのが庭に入り込んでいた。
 とりあえず、凶暴な番犬を飼う事にしたが、それでも時折覗きに来るゆっくりはいたし、季節は
ぐるぐると変わって、イライラした日常は続いた。

 そんなある日
 ものすごく暖かい朝、ゆっくり達の声で目が覚めてしまった。
 満開の花畑をゆっくり達が横切り、あらゆる木に登っては落ちたり、下りれなくなってうーぱっくやれ
みりゃに下ろしてもらったり、思い切り遊びまわっていた。
 勿論いつもの様に追い払って部屋にそのまま引きこもった。
 しかし―――そのまま暖かいまま、時間はゆっくりと流れていった。
 どうしたことかと外を見ると、庭の隅に赤ちゃんゆっくりがまだ残っていた。
 木に登ろうとしていたが、小さすぎて登れなかったのだ。
 そして、その木だけ花が咲いていなかった。
 思う所があって、おじさんは言ってみた。


 「――――登れよ」


 その場で聞こえるように言ってみたが、その赤ちゃんには無理だった。
 少し考えて、庭まで下りていった。
 木の根元で、どうして自分だけみんなと木で遊べないのかと、ふるふると震えていた。
 赤ちゃんは逃げなかった。泣きはらした目で、おじさんが見えなかったのだろう
 おじさんは木の上に赤ちゃんを乗せてみた

 ――途端に、木には花が咲き始めた


 「ありがとう!!!ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!!!」


 赤ちゃんは怖がることなく、おじさんにすりすりを始めた。
 それを見て、恐る恐る他の子ども達も戻ってきた。
 何かが、おじさんの中で溶けた。


 「おい、ここでみんなでゆっくりしてもいいぞ!!!ただし……ただし、うんうんだけは、うんうんだけはするな!!!」


 うんうんだけはしないようにと、花を荒らしたり食べたりしないように教え込むのに3日かかったが、一週間後、
おじさんは全ての塀をぶち壊した。


 それからその町では、驚くほど美しくゆっくりした庭で、ゆっくり達が遊ぶのを見る事になった。
 とりあえず花壇には当初柵を作ったが、後々それは必要にならなくなった。
 調子付いたおじさんは、ちいさい砂場や滑り台なども設置した。
 日が暮れるまで、ゆっくり達はそこで存分に遊んだ。
 彼らにとって、町では欠かせないゆっくりプレイスとなっていった。


 季節はゆっくりゆっくりと流れていった。
 おじさんは、四季を十分に感じる事ができた。
 冬もゆっくりと過ぎていったが、毎回来るちるのやれてぃ、雪遊びをする子ども達がやってくるので、おじさんは
気にならなかった。


 ただ―――おじさんが木に乗せた、赤ちゃんれいむだけが、それ以降会う事は無かった。


 おじさんはそれだけが気がかりだった。


 それから何年も経ち、おじさんも年を取った。
 塀を壊してから、長い長い、ゆっくりした人生だと感じていた。
 ゆっくり達が入ることで、いつしか荒れる事も覚悟していた庭は、相変わらず美しかった。が、そんなことより、
皆が楽しく遊んでいる事の方が重要だった。
 軒先の長いすに寝転んでその風景を眺めていると、腹の上に赤ちゃん達が乗ってきて転がり始める。
 指先でぶにぶにとなでながら思う。



 「本当に―――どんな花よりも、このゆっくり達程愛らしいものはない……………………」



 ある冬の朝、目覚めると、あの庭の隅の木だけに花が咲いていた。
 枕元には、あの時の赤ちゃんれいむがいた。
 おじさんは嬉しくなった―――――――――が、それが何なのかを悟っていた。


 「お迎えが来たのかな」
 「ちがうよ!!!」


 あの特有の自信満々な顔で言う


 「おじちゃんは、みんなをお庭であそばせてくれたね!!!今日はおじちゃんは、れいむたちのゆっくりぷれいすで、
  ゆっくりしていってね!!!」


 いつしか、れいむは頭だけのゆっくりではない――――人間の巫女さんの姿に変わりかけていた。


 「――――それは――― ”GEN-SOU-KYOU ” ?」























 ――――否



        __   _____   ______
       ,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、
       'r ´          ヽ、ン、      ―――そんな所はどうでもいい
      ,'==iゝ、イ人レ/_ル==', i
      i イi rr=-,   r=;ァ ヽイ i |
      レリイ"  ̄ / |   " .| .|、i .||      ―――さあ、入りなさい
       !Y!   'ー=‐'    「 !ノ i |
       L.',  'ー=三=-'   L」 ノ| .|l      ―――ホナウド教に―――――― 
       | ||ヽ、       ,イ| ||イ| /!
       レ ル` ー--─ ´ルレ レ´
      ,.┴─、\         \/ヽ
     /    \ ヽ      / )/-/ヽ
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   '|, ノ  ,,-,,.、-'" ̄`>ィ.|   ).l´ /|  |
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.   \`¨⌒丁` |: : [>r'>ソ~:::::::Y::l:::i:::::ム〉 ノ〉 : : Y  `「⌒`´ :/



































  ―――――って話が、


 「インドに残ってるっておばあちゃんが話してたんだぞぉー!!!これがあの”さとれいむ”さんの始まりだって
  いうんだぞ!!!」
 「今時そんな話信じてるの?馬鹿なの?」
 「――――っていうか、インドに何で雪が降るんだ………?」



 庭の無い、日本の西日暮里は今日もそれなりに平和だった



                            了  


  • 感動しかけたのにwwwww -- 名無しさん (2008-12-16 10:59:10)
  • 台無しだぁあああああああああ!!!
    よく見るとさとれいむ様を下でパチュリー殿が支えてる件。 -- 名無しさん (2008-12-16 13:32:48)
  • 元の話が家にあるから最後の最後泣く寸前だったのにーーーーー!!!
    ……覚悟はできてるよな、れみりゃのばあちゃん……。
    -- 名無しさん (2008-12-16 17:11:01)
  • こうするつもりじゃなかったんだ……
    でも我慢できませんでした(おじさんの最後の方の台詞はたまに思うこと
    だけど】 -- 作者 (2008-12-17 12:26:59)
  • 泣きそうになってたけど、幻想郷が「GEN-SOU-KYOU」な所で、
    オクラホマあたりの事が浮かんで嫌な予感がしたw
    -- 名無しさん (2008-12-23 19:38:02)
  • 良い話だったのに色々と台無しだ!!(笑) -- 名無しさん (2008-12-23 23:51:04)
  • あーダメだ……何度見ても吹いてしまうwww -- 名無しさん (2008-12-24 18:29:40)
  • てか、この長い話を必死に話しているれみりゃが可愛い(笑) -- 名無しさん (2008-12-24 18:35:12)
  • 西日暮里って、庭ないんですか? -- 名無しさん (2008-12-24 18:36:18)
  • イイハナシダッタノニナーw -- 名無しさん (2010-03-01 20:53:16)
  • 感動をかえせえええええええええええええええ                                                                                                                     。 -- ゆっくり愛護団体団員 (2011-03-20 03:57:01)
  • これはひどいwww -- 名無しさん (2011-03-20 21:18:48)
  • 話をぶち壊すな! -- 名無しさん (2012-02-15 20:21:53)
  • おじさんの心が開かれてとてもいい話だった、
    オチを除けば -- 名無しさん (2014-04-09 19:02:55)
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最終更新:2014年04月09日 19:02