改札口に、生首が居た。
何を言っているのか自分でも良くわからないが、しかし目に映るのは、紺色をした国鉄の帽子を被り、金色の髪の、自慢げな表情をした少女らしきものの、頭である。
「ゆっくり切符をわたしてね!」
ああ、と短く答えて切符を渡すと、スタンプが押されていた。どうやって押したのかはこの際どうでもいいが。
しばらく思考が停止していたから、相変わらず誰も居ない筈のプラットフォームに何も考えずに入る。そこには、先ほどの生首がたくさん居た。
「れっしゃがはいるから、きいろいせんのうちがわにゆっくりさがってね!」
アナウンスが響くと、一列にならぶ色とりどりの生首。慌ててならぶと、そこに黒煙をもくもくと上げながら、蒸気機関車が入ってきた。資料でしか見た事のない、D51という型だ。
「ゆ! ゆっきゅりはいってくりゅよ!おかーしゃん!」
「ゆっくり待っててね! あかちゃん!」
列車を見てはしゃぐ子供と、その子供の興奮具合についていけない、という様子の母親、というよくある見かける構図だ。
すべるようにとまる列車、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら乗る生き物たち。ぼうっと突っ立っている私に、例の帽子を被った少女らしきものが声をかけてきた。
「おにいさん! のらないの?」
「……あ、ああ……乗るよ」
慌てて乗り込み、楽しそうに外を眺めている生き物に声をかけ、同席する。ちょっとした事が気になって、同席した赤いリボンの母親に聞いてみる。
「……これはどこへ行くんですか?」
「ゆ! げんそうきょうだよ! おにいさん!」
『げんそうきょう』ってのはどこなのだろうか、と考えているうちに、汽車は走り始める。黒い煙をもくもくと吐き出しながら。
オチ?ないよ!
- オチないんかwまぁそれがいいんだが^^; -- 名無しさん (2011-08-05 13:26:55)
最終更新:2011年08月05日 13:26