「おりこうふらん」

「おりこうふらん」

庭で雀がさえずる、穏やかな朝。
両親や祖母はすでに食卓についていたが、妹は寝坊したらしく、慌ててやって来た。
家で飼ってるゆっくりふらんもぱたぱたとやって来る。
今日の朝食はトーストらしい。
私はご飯。
ホカホカとした香りが漂ってくる。
妹は勉強の愚痴をこぼしている。
もうそこまで進んだんだ。もう私には分かんないレベルだ。
こらこら、ふらんに振っても分かる訳無いでしょうが。

朝の団欒は早くも終わり、両親も妹も家を出た。

私は今日は家に居ることにした。

祖母はふらんと遊んでいたが、いつもの時間になると、出掛ける準備を始めた。
ふらんも同じだ。

二人は準備が終わると、いつもの場所に出掛けた。
私も後をつけて行く。

途中、鍵を締めたかどうか気になったけど、そもそも開けて無かった。
相変わらず、間抜けだなぁ、私。

二人はそこに着くと、黙って手を合わせた。
そして、辺りを綺麗にし始めた。
「ふらんちゃん、上手になったねぇ。」
「うー!ゆっくりし……」
ふらんはそこで、詰まり、涙ぐんだ。
「ゆっくり……しんじゃったぁ……。」
ごめんね。
ふらんのせいじゃないんだよ。
ゆっくり出来なかった私が悪いんだよ。

祖母がふらんをなだめて、二人は作業を続けていく。


私の名前を刻んだ御影石は、とても綺麗になっていた。


  • えーき様がいるから、きっと大丈夫!!
    生まれ変われるとしたら、また人間?それともゆっくり?
    どちらでも、待っているのは幸せな未来。
    -- ゆっけの人 (2009-01-01 10:33:03)
  • 切ない……こういうのもいいですねぇ。
    「私」の来世に幸あれ! -- 名無しさん (2009-01-01 17:46:09)
  • 外の世界っぽいから映姫さまの管轄外なような・・・ -- 名無しさん (2010-11-26 19:10:48)
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最終更新:2010年11月26日 19:10