変身2

「い、いけないわ魔理沙……じゃ、なくて、やめなさいまりさ!」
魔理沙を頭突きで怯ませて腕から飛び降りた。
「い、いだい……」
降りてみてみると、魔理沙が顔を擦りながら涙ぐんでいた。……これは永久保存ものではなかろうか。アリスがそう思いながら魔理沙の泣きじゃくる顔を堪能していると、
「アリスおねえさん怒ったよ。おお、こわいこわい」
ゆっくりまりさのダメ出しが入った。
「魔理沙、これには本当に訳が……」
「魔理沙、アリス、痴話喧嘩は後よ。とりあえず中で状況を整理しましょう」
「……そうだな」
魔理沙がそう言うと、アリスはほっと胸を撫で下ろした。


三つのゆっくりと一人の人間がテーブルを囲んでいる。うち人間は膝上に乗せたカチューシャをつけた饅頭を撫でながら万年の笑みを浮かべている。
「まりさ、れいむと遊んで来ていいのよ……」
「だめよアリス。そんな冷たいこと言っちゃ、また泣いちゃうじゃない」
「自分のニヤケ顔がこんなに気分悪いものだとは思わなかったよ。幸せかゆっくり私?」
「しあわせー!」
そう言うとまりさと対照的に、アリスはうつむいて顔を赤くしている。見ていられない、といった感じで魔理沙は霊夢の方に目を向ける。
「霊夢の本体と言えば

_人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
>  博麗有情破顔光線!!! ぬわ~ん!! <
 ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
「「「……」」」
外から響く大声で魔理沙の言葉が中断され、三人に静寂が訪れる。
「れいむはお外でゆっくり遊んでるね!」
「はは……霊夢のゆっくりは元気いっぱいね」

_人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
>  せめて痛みを知らず安らかに死んで行ってね!!! <
 ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
弾丸が飛び交うすごい音に続いて何かが壊れる音が響いた。ちょうど賽銭箱のようなものが。
(あのバカ)
「スペルカード、使えるんだね」
アリスが再び話を切り出した。
「……そういえば、身体に備わった能力はそのままのようね」
「じゃあ、ゆっくり私は魔法を使えるのか?」
魔理沙が目を向けると、まりさが首を傾げる。ゆっくりまりさは自分の身体や能力の変化にはあまり興味がなかった。このあたり、ゆっくりれいむと対照的である。
霊夢が代わりに答える。
「使えると思うわ。この子がここに来るときに空を飛んで来たの。他の魔法も使おうと思えば容易いかと」
「なるほど」
(と、言うことは……)
アリスには先ほどから気にかかることがあった。私と“入れ替わった”であろう者……それが持つ能力……そして何より、その性格…………
「そろそろ沸いたかな。うちのゆっくりはまだ遊んでるみたいだから……ゆっくりまりさ、お風呂入って来なさい。火の止め方はアリスに聞いてね」
「お風呂でアリスおねえさんとゆっくりだね!」
考え込んでいたアリスが我に帰る。
「おおおふオフッろ!!? 魔理沙とおふふふろ!?」
「あ、アリス、鼻血ならぬ鼻餡子出てる」
「出血ならぬ出餡子大サービスだ。好きなだけ私の裸体を堪能していいぞ」
「ゆっくり100まで数えようね!!!」
そう言うとまりさはアリスを抱えたまま席を立った。
「いけないわ、いけないわ魔理沙……ここここ心の準備が、」
すっかり赤くなった饅頭は魔法使いに連れられて部屋を出て行った。
霊夢が小さく微笑んでいる。
「何がおかしいんだ?」
「いや、素直じゃないなあって」
「アリスのことか? ウザいだけだよ。ああいうのは」
「前は二人とも仲が良かったのに。アリスの気持ちに気付いてからかな? 魔理沙がアリスに冷たくなったのは。ふふ……わかる、わかるよー」
「何が言いたいんだ。変だぜ、霊夢」
「変なのはお互いさまでしょう。お饅頭顔でしかめっ面しても似合わ……いや、意外と似合うかも」
「変だぜ」
「れいむ! 暴力はいいぞ!」
全身に万遍無く木片と土が付着した巫女が部屋に突入してきた。
「だーっ!! 汚れる! 上がらないでーっ!」


「かか、感じないわ…………」
「めっちゃやわらけえ!」
湯船に使ってやわらかくなったアリスの頬を存分に揉むまりさ。アリスが溶け出したのに気付き、泣きじゃくりながら一糸まとわぬ姿で霊夢たちの元に飛び出して来るまでそれは続いた。
「ああ、熱くないわ…………」


同時期、博麗神社に不穏な影が近づきつつあった。数多の人形を引き連れ、不敵な笑みを浮かべる少女。
「ふ、ふふ」
一歩、また一歩神社の奥に踏み込んでいくたびに彼女の胸は高鳴り気分は高揚する。
「ついに……ついにこの時が来た! 私は力を手に入れた! 手足を手に入れた! まりさを私だけのゆっくりにする時が来た!」
少女の背後で落雷が起こる。直後、大粒の雨音が周囲の静寂を破る。雨をかき分けるように、少女は走りだした。

少女の名は、アリス・マーガトロイド。
ゆっくりしていたのは、昨日までの彼女。



  • つ、つづく・・・のか?!ゆっくりin霊夢のはじけっぷりワロタw -- 名無しさん (2008-07-13 22:33:34)
  • 続きまだー? -- 名無しさん (2008-08-16 00:42:03)
  • そうそう!!まだー?!まてないよぅ!! -- ゆっけの人 (2008-10-26 01:41:57)
  • れみりゃ編希望!! -- れみりゃ好きの人 (2008-12-05 20:45:49)
  • つづきくれ・・・ -- 名無しさん (2010-11-27 14:59:20)
  • 続きが非常に気になる -- 名無し (2011-03-19 20:20:09)
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最終更新:2011年03月19日 20:20