家でゴロゴロしていたときのことだ。ベランダがなんか焦げ臭い。
ま、まさかボヤか!?と思い、ベランダを覗くと
「もこー!」
ゆっくりもこうがベランダにあった古新聞を燃やしていた。木を伝ってベランダに下りたらしい。
「ちょ、おま、何してるの!?」
「もこ!? ご、ごめんなさい!」
「いや、そのうち処分する予定だったからいいけど、なんでベランダなんぞに……」
もこうの話はこうだ、今日木登りをしていたら、木の上から俺の家のベランダが見えた。
そこにある古新聞の山を見て、多分捨てるつもりだから焼いちゃおうと思ったらしい。
「はぁ……、親切心なんだろうけど、家に燃え移ったら俺がゆっくりできなくなるよ」
「ご、ごめんなさい………」
ゆっくりもこうは火を出せるという能力があるが、それは逆に言うと延焼する可能性もある、ということだ。
だから滅多なことではじぶんの能力を使えない、これがかなりもこうのストレッサーになるらしい。
「たまには、自分の力をつかってみたいもんな?」
「もこー……」
「だからさ、俺が今から燃やしていい場所に要らないものを持って行くからお前が付いてきてくれれば、燃やしていいぞ?」
「もこー!」
泣いた子供がすぐ笑ってくれたよ。
その後、俺ともこうは川原で思いっきり燃やして、それを火種にして鍋を作って食った。
「あついよ!」
「火出せるのに猫舌なんか、おまえ……」
最終更新:2009年01月01日 22:23